ソロテントとは?
ソロテントとは、1人で使うことを前提に設計されたコンパクトなテントのこと。一般的なファミリーテントや2〜3人用テントに比べると大幅に軽量で、収納サイズも小さいため、ものによっては公共交通機関の移動でも気軽に持ち運べる。
近年、ソロキャンプがブームとなったことでソロテントの注目度は一気に高まった。SNSなどでは1人で自然の中に身を置き、自分のペースで過ごす様子が数多く発信されている。
人に合わせる必要がなく、静かな時間を楽しめるスタイルは、都会の喧騒から離れてリフレッシュしたい人に強く支持されている。
また、軽量であることから登山のテント泊や、自転車・バイクでの長距離旅にも相性が良い。ザックやツーリングバッグに無理なく収まるため、荷物を最小限にしたいシーンで活躍する。
ソロテントは、ソロキャンプだけでなく、移動を伴う幅広いアウトドアスタイルを支えるギアとしても頼もしい存在だ。
ソロテントの魅力
ソロテントは、1人で気ままに過ごすアウトドアスタイルにぴったりと寄り添う性能と利便性を備えている。大きなテントでは得られない軽快さや自由さ、そして安心感は、ソロならではの魅力といえる。
軽量・コンパクトで持ち運びやすい
ソロテントの大きなメリットは、その軽さと携帯性にある。1〜2kg程度のモデルも多く、バックパックやツーリングバッグにも収まるため、公共交通機関を使ったキャンプやバイク・自転車での旅にも最適。荷物をできるだけ減らしたい登山キャンプでも活躍する。
必要最低限の装備に絞られた設計が、アウトドアの自由度を大きく広げてくれる。
設営・撤収がスムーズ
ソロテントはシンプルな構造で、慣れれば数分で設営できるものも多い。
例えばワンポール型ならポールを1本立てるだけで形が完成するし、自立型のドームテントなら初心者でも直感的に組み立てられる。
撤収も同様に短時間で済ませられるため、時間に追われる朝の片付けや、突然の雨から逃げたいときにも心強い存在だ。
プライベート空間を確保できる

1人専用のサイズ感は狭さを感じる一方で、「自分だけの居場所」を確保できる安心感がある。他人の気配を気にせず眠れることは、ソロキャンプならではの大きな魅力だ。
また、テント内で荷物を整理したり、本を読んだり、静かに焚き火を眺めたりと、思い思いに過ごすこともできる。タープやシェルターと組み合わせれば、リビングスペースと寝室を分けた快適なソロサイトを構築することも可能だ。
アウトドアシーンでの活用例
ソロテントはキャンプだけでなく、さまざまなシーンで活躍する。用途や環境に応じて使い分けることで、その便利さをより実感できる。
バイクや自転車キャンプ
ソロテントの軽量・コンパクトさは、バイクや自転車でのキャンプとの相性が抜群に良い。ツーリングバッグやパニアケースにすっきり収まる収納サイズは、荷物をできるだけ小さくしたいライダーやサイクリストにとって大きなメリットだ。
長距離移動のあと、景色のいい河川敷やキャンプ場に到着してテントを素早く設営すれば、そのままチルタイムに移行できる。夜はテントの前にチェアを広げて、コンロで簡単な料理を楽しむ──そんな自由気ままなスタイルが叶うのも、ソロテントならでは。
荷物を絞った軽快な旅をしたい人にとって、ソロテントは欠かせない相棒といえるだろう。
登山やトレッキングでのソロ泊

登山や縦走トレッキングでも、ソロテントは大きな力を発揮する。
1〜2kg程度の軽量モデルであれば、ザックの容量を圧迫せずに携行できる。これにより食料や防寒着といった必須装備をしっかり確保でき、安心して山に挑める。稜線上で風が強い環境や、夜間の急な天候変化にも対応できる耐久性を備えたモデルを選ぶことが重要だ。
フェスやイベントでの快適ステイ
音楽フェスやアウトドアイベントでも、ソロテントは使いやすい。休憩場所や荷物置き場として使えるだけでなく、キャンプ泊ができるフェスなら夜はそのまま宿泊スペースにもなる。
フェス会場では大人数向けのテントも多いが、ソロテントなら狭い区画でも気兼ねなく設営できる。コンパクトながらプライベート空間を確保できるため、音楽を楽しんだあとにひとりで休みたいときに重宝するだろう。
フェスの熱気を全身で浴びたあと、自分のテントに戻ってクールダウンする──そんなオン・オフの切り替えができるのも魅力だ。
ソロテントの種類
ソロテントとひと口にいっても、形状や構造はさまざま。設営のしやすさや居住性、重量などの特徴が大きく異なるため、自分のスタイルに合ったタイプを選ぶことが大切だ。ここでは代表的な種類を紹介する。
ドーム型(自立式)
El Chalten ZEROBONE(1.5P) ¥80300
もっとも一般的なのがドーム型だ。クロスする2本のポールで自立する構造が多く、安定感がありながら設営も比較的スムーズ。設置場所を選ばずに立てやすいのが魅力だ。
天井が高めのモデルを選べば圧迫感が少なく、室内で着替えたり、荷物を整理したりといった動作も快適。耐風性や耐久性に優れたものが多く、登山やキャンプのオールラウンダーとして活躍する。初心者が最初に選ぶなら、このタイプを検討するのがおすすめ。
ワンポール型(非自立式)

tent-Mark DESIGNS「PANDA LIGHT」¥25080
ワンポール型は、中央に1本のポールを立てて幕体を支えるシンプルな構造が特徴。三角錐のようなシルエットは、設営も簡単。
ポールでフレームを構成する必要がないため軽量でコンパクトなモデルが多い。携行性や収納性に優れ、バックパックキャンプや徒歩キャンプ、ツーリング、登山など、ミニマリストに人気だ。
一方で、自立式ではないためペグダウンが必須。砂利や岩場などでは設営しにくい場合もある。
ツェルト・ビビィ型
ツェルトやビビィ型は、必要最低限の機能に特化した超軽量なソロテントだ。ツェルトはもともと登山の非常用シェルターとして開発されたもので、布を広げてポールや木を利用して張るシンプルな構造が特徴。重量は数百グラムと極めて軽く、ザックに入れても負担にならないため、縦走登山や緊急時の装備としても選ばれている。
一方、ビビィ型はシュラフカバーのように体をすっぽり覆うスタイルで、就寝時に最低限の雨風をしのげる。テントとしての居住性は低いが、軽量性と携帯性では群を抜いており、ソロ登山やファストパッキングといった軽さ重視のスタイルに向いている。
どちらも快適さより、軽さと緊急性を優先しているが、行動範囲を広げる心強い選択肢だ。
ソロテントの選び方
ソロテントは1人で快適に過ごすための道具だからこそ、使い勝手や安心感を左右する要素をよく見極める必要がある。
重量と収納サイズ
持ち運びやすさを求めるなら、軽量モデルを選ぶのがおすすめ。1〜2kg程度のモデルなら登山や自転車旅でも負担にならず、バックパックの中に収めて気軽に持ち運べる。
反対に、バイクや車を使う場合は3〜4kgクラスでも問題なく、居住性を優先したモデルを選ぶのも良いだろう。
収納サイズも重要で、直径15cmほどのコンパクトなスタッフバッグに収まるモデルなら、限られた荷物スペースでも邪魔にならない。
持ち運びのスタイルを想定し、「自分にとってストレスのない重量とサイズ」を基準にするのがポイントだ。
耐久性と素材選び
テントの耐久性は、使われている生地とポールに大きく左右される。軽さを求めるなら薄手のナイロン、強度を重視するならリップストップ加工の厚手ポリエステルが最適。
さらに、雨天時の安心感を確保するために、フライシートやフロアの耐水圧(目安:1,500〜3,000mm以上)も確認しておきたい。
また、ソロテントには「シングルウォール」と「ダブルウォール」がある。シングルウォールはフライとインナーが一体化した構造で軽量・コンパクトだが、結露が発生しやすいという弱点がある。ダブルウォールはフライシートとインナーテントが分かれているため通気性が良く、悪天候にも強い反面、重量や収納サイズはやや大きくなる。環境や季節を踏まえ、どちらのタイプが合うかを選ぶことが大切だ。
設営のしやすさ
ソロキャンプは基本的に設営を1人で行うため、テントの構造がシンプルであることは大きなメリットになる。自立式のドーム型は初心者でも直感的に組み立てられ、設営場所の自由度も高い。一方、ワンポール型はポールを1本立てるだけで設営でき、撤収も素早く行える。
また、シングルウォールは構造がシンプルで設営が短時間で済む傾向にあるが、雨の日はダブルウォールのほうが安心感がある。自分の経験値やキャンプのシチュエーションを考えて、使いやすい構造を選ぶと良いだろう。
季節・気候に合わせたスペック
キャンプを行う季節や地域に応じたスペック選びは非常に重要だ。夏場であれば通気性の高いメッシュインナーやベンチレーション機能が、快適さを左右する。冬場や寒冷地では、フルクローズできるダブルウォール型やスカート付きのモデルが断熱性を高めてくれる。
さらに、ここでもシングルウォールとダブルウォールの違いが過ごしやすさに影響する。夏の軽快なキャンプやフェスならシングルウォールでも十分だが、標高の高い山や雨天の多い地域ではダブルウォールが圧倒的に安心できる。年間を通じて使う予定があるなら、気候への適応力が高いダブルウォールを選ぶのがおすすめだ。
デザイン性と価格帯
ソロテントは機能性だけでなく、デザインや色使いもキャンプの雰囲気を大きく左右する。自然に馴染むアースカラーや、存在感のあるビビッドなカラーなど、自分のキャンプサイトをどう演出したいかを考えて選ぶのも楽しみの1つだ。
価格帯は1万円台の入門モデルから、10万円を超える本格的な登山用まで幅広い。初めて購入するならコストパフォーマンスに優れたモデルで試し、キャンプスタイルが固まってきたら機能性重視のハイエンドモデルにステップアップするのも1つの方法だ。
テントは長く使うほど愛着が湧くギアなので、デザインと価格のバランスを考えつつ選びたい。
おすすめのソロテントメーカー・ブランド
ソロテントを選ぶ際には、信頼できるブランドを知っておくことが重要だ。各メーカーごとに特徴があり、自分のスタイルに合わせて選ぶことで満足度が高まる。ここでは代表的なブランドを紹介する。
モンベル
mont-bell「ステラリッジ テント1(本体) 」 ¥29700
日本を代表するアウトドアブランドで、コストパフォーマンスの高さと信頼性が魅力。軽量で設営が容易なモデルが多く、日本の山岳環境に合わせた仕様になっている。初心者からベテランまで幅広く愛用されているブランドだ。
ゼログラム
ゼログラム「El Chalten 1p ZEROBONE」¥84,700
韓国発のブランドで、ウルトラライト志向の登山者に人気。軽量性に特化しており、長距離のトレッキングやミニマルな装備でのキャンプに適している。無駄を削ぎ落としたデザインだけでなく、設営のしやすさや、結露のしないモデルもあり機能性の高さも特徴だ。
ネイチャーハイク
ネイチャーハイク 「VIK Ultralight Single Tent」¥19800
中国発のブランドで、リーズナブルな価格が魅力。低価格ながら品質は安定しており、初めてソロキャンプを試す人にもおすすめできる。コストを抑えつつ装備を揃えたい層から支持を集めている。
ニーモ
ニーモ「DRAGONFLY BIKEPACK 2P 」¥85800
アメリカのブランドで、快適性とデザイン性に優れている。居住性と軽量性のバランスがよく、登山からバイクパッキング、自転車キャンプと幅広いアウトドアシーンで活躍する。スタイリッシュなデザインも特徴で、おしゃれに楽しみたい人から人気が高い。
MSR
MSR「エリクサー1」 ¥30240
アメリカの老舗ブランドであるMSRは、世界的に高い評価を獲得している。耐久性と機能性に優れ、厳しい山岳環境でも安心して使えるモデルが揃っている。軽量テントから本格的な山岳用まで幅広く展開しており、経験豊富な登山者から厚い支持を受ける。
ヒルバーグ
ヒルバーグ「UNNA」¥ 187000
ソロテントの注意点とデメリット
ソロテントは軽量性や機動力に優れている一方で、いくつかの注意点やデメリットも存在する。事前に理解しておくことで、より快適に活用できる。
居住性の制限
ソロテントは基本的に1人用に設計されているため、当然ながら居住空間は限られている。寝るだけなら十分だが、テント内で快適に過ごすスペースは少ない。
長時間の悪天候でテントに籠もる際には、狭さがストレスになる可能性がある。そのため、2人用、もしくは1.5人用のテントを使用したり、タープと組み合わせてリビングスペースを確保したりするなど工夫も必要だ。
荷物置き場の工夫
テント本体が小さいため、荷物をすべて中に収納することは難しい。前室の広さが限られているモデルも多く、調理器具や大きめのバックパックなどをどう置くかを考えておく必要がある。
荷物を雨や湿気から守るため、防水性の高いスタッフバッグやグラウンドシートを活用するのがおすすめ。
悪天候での注意点
軽量化を重視したソロテントは、ときに強風や大雨には弱い場合も。設営場所選びを誤ると、雨水が浸入したり風で煽られたりするリスクがある。
シングルウォール構造のテントは特に結露が発生しやすいため、換気性能やベンチレーションの有無を確認しておく必要がある。
安全のために、事前に天候をチェックし、状況に応じてシェルターやタープを併用することが重要だ。
ソロテントを長く使うためのお手入れ方法
ソロテントを含め、テントはアウトドアで頼れる相棒だが、適切に手入れをしなければ寿命は短くなる。日々のメンテナンスを心がけることで、快適さを長く維持できる。
使用後の乾燥と清掃
テントを使用したあとは、しっかりと乾燥させることが基本。濡れたまま収納するとカビなどの原因となり、生地やシームテープの劣化を早めてしまう。
帰宅後は風通しの良い場所で陰干しし、土や砂を軽く払ってから収納する。フロア部分は濡れ雑巾で拭いておくと、次回の使用時も気持ちよく使える。
撥水加工のメンテナンス
長く使っていると、テント表面の撥水性能は徐々に落ちていく。雨粒が生地に染み込むようになったら、専用の撥水スプレーでメンテナンスすることが大切。
特にフライシートや前室部分は雨を直接受けやすいため、重点的に手入れするのがおすすめ。防水性を保つことで、アウトドアの安心感に直結する。
保管のポイント
長期保管する際は、高温多湿を避けることが重要だ。収納袋に押し込んだままでは生地が傷みやすいため、ゆったりめに畳んで保管すると劣化を防げる。
可能であれば収納袋から出して風通しの良い場所に吊るしておくのが理想的。次のキャンプで気持ちよく使うためには、保管環境の工夫も欠かせないポイントだ。
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