GORE-TEX(ゴアテックス)とは、防水性・防風性・透湿性を備えたアウトドアの定番テクノロジー。その仕組みや歴史、GORE-TEX PACLITEやWINDSTOPPERとの違い、代表的な採用アイテム、長く使うためのお手入れ方法までわかりやすく紹介する。

ゴアテックスとは? 防水・防風・透湿性を備えたテクノロジー

アウトドアウェアでおなじみの「GORE-TEX(ゴアテックス)」だが、実はひとつの生地の名前というわけではない。その核となるのが、防水性、防風性、透湿性を備えた非常に薄い「GORE-TEXメンブレン」。これを用途に合わせた表地や裏地と組み合わせ、ラミネートすることで、ジャケットやシューズなどのゴアテックスプロダクトがつくられている。さらに現在は、従来のePTFEに加えて、延伸ポリエチレン(ePE)を使った次世代のプロダクトも登場している。

つまり「ゴアテックス=この生地」という単純なものではなく、メンブレンを中心とした技術と、製品として仕上げるための設計や品質基準までを含めて考えるのが近い。ウェアだけでなく、フットウェアやグローブなどにも採用されているのは、その幅広さゆえだ。

「防水・透湿素材」の代名詞になったゴアテックス

ゴアテックスの名前がこれほど広く知られている大きな理由が、「水は防ぎながら、内部の湿気は外へ逃がす」という相反する機能を両立していることだ。GORE-TEXメンブレンには非常に小さな孔があり、水滴の侵入を防ぎながら、水蒸気を外へ逃がせる構造になっている。雨の日にウェアが濡れるのを防ぎつつ、歩いたり登ったりして汗をかいたときのムレを抑えやすい。

もちろん、防水透湿をうたう素材はゴアテックスだけではない。それでも長年にわたってアウトドアの現場で使われ続け、ブランド名そのものが防水透湿ウェアの代名詞のように知られているのは大きな特徴だろう。

ゴアテックスは、ひとつの生地の名前ではない

ゴアテックスは、メンブレンだけを単体で使っているわけではない。表地や裏地など、それぞれの用途に適したテキスタイルと組み合わせてラミネートを形成し、さらに縫い目から水が入らないようシームテープなども用いて製品へと仕上げられる。どんな生地と組み合わせ、どのような構造にするかによって、着心地や耐久性、軽さなども変わってくる。

そのため、同じ「GORE-TEX」のロゴが付いていても、すべてが同じ着心地や用途というわけではない。ハードな山で使う一着もあれば、街で気軽に着られるシューズもある。素材名だけを見るのではなく、「どんな製品としてつくられているのか」まで見ると、ゴアテックス選びはもっとおもしろくなる。

なぜゴアテックスは選ばれる? 米ゴア社で見えた、その理由

ゴアテックスといえば、高い防水性を備えたアウトドアウェアを思い浮かべる人も多いだろう。けれど、その魅力は雨を防ぐという一点だけでは語れない。長くアウトドアの定番として選ばれてきた背景には、素材そのものの機能だけでなく、製品としてのつくりや品質へのこだわりもある。

ここでは、ゴアテックスが実際のフィールドでどんな強みを発揮するのか、そしてなぜ多くのブランドやユーザーから信頼されてきたのかを、もう少し掘り下げてみたい。

防水だけじゃない。雨を防ぎながら、ムレを逃がす

GORE-TEXメンブレンの大きな特徴は、外からの水を防ぎながら、内側の水蒸気を外へ逃がせることにある。メンブレンには非常に細かな孔があり、水滴は通しにくく、水蒸気は外へ抜けやすい構造になっている。これによって、雨の侵入を防ぎながら、ウェア内のムレを抑えやすくしている。

たとえば、雨のなかでキャンプの設営をしたり、登山で長い上り坂を歩いたりする場面。外から濡れないことだけを優先すると、今度は汗で内側が蒸れてしまうことがある。防水と透湿をセットで考えられることが、ゴアテックスをアウトドアウェアに選ぶ大きな理由だろう。

風も防ぐ。天候が変わっても快適さを保ちやすい

ゴアテックスプロダクトは、防水や透湿だけでなく防風性も備えている。雨が降っていなくても、風が強ければ体温は奪われやすい。冷たい風の侵入を抑えられることで、フィールドで過ごす時間をより快適にしてくれる。

キャンプ場や山では、出発したときは穏やかだったのに、時間が経つと風が強くなることも珍しくない。雨、風、汗というそれぞれ異なる不快要因に一着で対応しやすいことを考えると、ゴアテックスの使いやすさが見えてくる。ハードなアクティビティだけでなく、天候の変化に備えたい普段使いのアウターとしても頼れる存在だ。

「ゴアだから安心」は、長年積み重ねてきた品質への信頼

ゴアテックスの信頼性は、メンブレンそのものの性能だけで決まるわけではない。ゴアテックス製品には独自の品質基準が設けられ、素材の性能試験に加えて、製品の防水性や耐久性、縫製なども確認される。さらに、製品をつくる工場についても基準を設け、一定の品質を保てる体制を整えている。

こうした見えにくい部分まで含めてチェックされているからこそ、店頭でGORE-TEXのロゴを見たときに、その製品が一定の基準をクリアしていることを判断しやすい。高機能な素材を使っていることだけではなく、素材から完成品まで品質を管理する仕組みそのものが、長年にわたるブランドの信頼につながっているのだ。

ゴアテックスはどうやって生まれた?1969年の発見から始まった歴史

いまではアウトドアウェアの代名詞ともいえるゴアテックスだが、そのルーツは決してアウトドアだけにあったわけではない。ゴア社は1958年に創業し、当初は電子機器などに使われるケーブル関連の製品を手がけていた。そこから1969年、創業者の息子であるボブ・ゴアがPTFEを急速に延伸することで、現在のGORE-TEXメンブレンにつながるePTFEを生み出した。こうして生まれた素材が、その後のゴア社の技術を大きく広げていくことになる。

ゴア社の出発点は、アウトドアウェアではなかった

ゴアテックスという名前から、山やキャンプのために生まれた技術というイメージを持つ人も多いだろう。ところが、ゴア社のスタートは電子機器向けのケーブルなど。そこから新しい素材の可能性を探るなかで、ePTFEという多孔質の素材が生まれた。

この素材が持つ「水は通しにくく、水蒸気は通しやすい」という性質が、やがてアウトドアウェアとの相性のよさにつながっていく。最初から「雨具をつくるため」の技術ではなかったことを知ると、ゴアテックスの歴史も少し違って見えてくる。

ePTFEの発見から、1976年に最初のGORE-TEX製品が登場

1969年に生まれたePTFEは、防水・防風・透湿という特性を持つ多孔質構造を備えていた。その後、わずか7年ほどでGORE-TEXファブリクスの販売が始まり、防水透湿ウェアという新しいカテゴリーを切り拓いていく。

そして、その技術はウェアだけにとどまらなかった。ゴア社では、医療分野をはじめ、釣り糸やギターの弦などにもPTFEを使った技術を展開してきた。ゴアテックスというとレインジャケットやシューズを思い浮かべるが、そもそもの技術はもっと幅広い分野へ応用されている。そこに、素材メーカーという枠に収まらないゴア社のおもしろさがある。

ゴアテックスにも種類がある。使うシーンで選び分けたい

「ゴアテックスなら、どれを選んでも同じ」と思ってしまいそうだが、実際には用途に応じてさまざまなプロダクトテクノロジーが展開されている。ここでは、そのなかでも違いをイメージしやすい3つに絞って紹介したい。

選ぶときに大切なのは、単純なスペック比較ではなく「どんな場面で使うのか」。雨の中でしっかり活動したいのか、なるべく荷物を軽くしたいのか、それとも風を防ぎながら軽快に動きたいのか。使うシーンから考えると、それぞれの特徴がわかりやすい。

GORE-TEX|防水性が必要なアウトドアや雨の日に

もっともベーシックなのが「GORE-TEX」。耐久防水性、防風性、透湿性を備え、雨や雪のなかでも身体をドライに保ちやすいのが特徴だ。登山やキャンプなど、天候の変化が気になるフィールドではもちろん、雨の日の通勤や街歩きでも頼りになる。

特に「濡れたくない」を優先したいなら、まず候補に入れたい存在。ハードなアウトドアだけでなく、突然の雨にも備えたい普段のアウターとして考えると、出番の多さにも気づくはずだ。

GORE-TEX PACLITE|軽さと携帯性を重視したいときに

「GORE-TEX PACLITE」は、GORE-TEXの防水性を持ちながら、軽量で持ち運びやすいウェアを求める場面に向いたテクノロジーだ。レインウェアを常備しておきたいハイキングや旅行など、使わないときにはなるべく荷物をコンパクトにしたいシーンと相性がいい。

しっかりした防水アウターを着ていくほどではないけれど、天候が読みにくいからレインウェアは持っておきたい。そんなときに、収納性を含めて選択肢に入れたいタイプだ。

WINDSTOPPER PRODUCTS by GORE-TEX LABS|防水より防風性と快適性を重視するときに

以前「GORE-TEX INFINIUM WINDSTOPPER」と呼ばれていたウェアやグローブは、現在「WINDSTOPPER PRODUCTS by GORE-TEX LABS」という名称に変更されている。GORE-TEXプロダクトとは異なり、防水性よりも防風性や透湿性を重視したプロダクトで、風が強く寒い日や、にわか雨のような場面に向いている。

たとえば、冬の自転車やランニング、街での移動など。土砂降りへの対応よりも、風を防ぎながら動きやすく、衣服内を快適に保ちたいときに使いやすい。ゴアテックスだからといって、すべてが「雨を完全に防ぐためのウェア」ではないと知っておくと、選択肢も広がってくる。

GO OUTが注目する、ゴアテックスのあるアイテム

ゴアテックスは、さまざまなアウトドアブランドのプロダクトに採用されている。同じテクノロジーを使っていても、ブランドによってシルエットや素材の組み合わせ、得意とするフィールドはさまざまだ。

ザ・ノース・フェイス|山から街まで使える、GORE-TEXの定番

CR Transformer Jacket ¥59400

ゴアテックスを採用したアウトドアウェアを数多く展開してきたザ・ノース・フェイス。レインウェアやシェルジャケットを中心に、本格的なフィールドに対応するモデルから、街でも取り入れやすいデザインまで幅広く揃っている。

特にシェルジャケットは、登山やキャンプなどで天候の変化に備えたいときに頼れる存在。機能性をしっかり確保しながら、普段のスタイルにも合わせやすいのが魅力だ。

アークテリクス|動きやすさまで考えられたシェルが魅力

ARC’TERYX「BETA SV JACKET」

BETA SV JACKET ¥132000

アークテリクスといえば、無駄を削ぎ落としたデザインと、フィールドでの動きやすさを意識したウェアづくりが特徴。ゴアテックスを採用したシェルも、ただ雨を防ぐだけではなく、立体的なパターンやディテールまで含めて設計されている。

登山などで大きく腕を動かしたり、レイヤリングしたりする場面でも使いやすく、ハードな環境でしっかり使える一着を探している人に向いているブランドだ。

パタゴニア|環境への視点も含めて選びたい

メンズ・トリオレット・ジャケット ¥62700

パタゴニアでも、ゴアテックスを採用したシェルやアウトドアウェアが展開されてきた。機能性はもちろんのこと、長く使うことや修理しながら着ることまで含めて、ウェアとの付き合い方を考えられるのがパタゴニアらしいところ。

山でしっかり使えるスペックを持ちながら、街ではシンプルなアウターとして着られるモデルも多い。アウトドアのための機能と、日常での使いやすさを両方求めたい人にはチェックしておきたい存在だ。

メレル|足元からゴアテックスを取り入れる

MOAB SPEED 2 REFLECTIVE GORE-TEX®(モアブ スピード 2 リフレクティブ ゴアテックス®)¥29700

ゴアテックスは、ジャケットだけでなくシューズにも活用されている。メレルでは、ハイキングシューズやトレッキングシューズを中心に、防水性を備えたモデルを展開。雨の日のフィールドでも、足元を濡らしにくくしてくれる。

シューズならジャケットほど本格的なアウトドア感が出すぎないのもポイント。キャンプやハイキングはもちろん、雨の日の街歩き用として取り入れるのもいいだろう。

サロモン|アウトドアから街履きまで、シューズで楽しむ

ACS PRO GTX ¥36300

サロモンにもゴアテックスを採用したシューズが豊富に揃っている。トレイルランニングやハイキング向けの機能性を備えながら、近年は街のスタイリングに取り入れる人も増えているブランドだ。

雨の日でも使いやすい機能性と、テクニカルなデザインを両立できるのが魅力。アウトドア用としてだけでなく、普段のスニーカー選びの延長でゴアテックスを取り入れたい人にも候補になる。

GORE-TEXを長く使うなら、正しいお手入れも大切

ゴアテックスの製品は、高機能だからといって何もしなくていいわけではない。長く使うためには、表地の汚れを落とし、撥水性を保つことも大切だ。特にシェルジャケットは、表地が水を弾かなくなると生地が水を含みやすくなり、快適性にも影響する。

せっかく選んだ一着だからこそ、使いっぱなしにせず、シーズンの終わりや汚れが気になったタイミングでケアしておきたい。

汚れたら洗って、しっかり乾かす

ゴアテックスウエアの洗濯、どうしてる? 知らなきゃソンする、簡単お手入れ法。 

まずは製品ごとの洗濯表示を確認し、その指示に従って洗うことが基本だ。汗や泥などの汚れをそのままにしておくと、表地の撥水性が低下する原因にもなるため、汚れが気になったら早めにケアしたい。

洗濯後は、製品表示に従ってしっかり乾かすこともポイント。乾燥方法まで含めて正しくケアすることで、ウェア本来の機能を保ちやすくなる。

水を弾かなくなったら、DWRの回復・再加工を

新品のころは水滴がコロコロと転がっていたのに、使っているうちに生地に水が染み込むようになってきた。そんなときは、表地の耐久撥水(DWR)が弱くなっている可能性がある。

まずは洗濯と乾燥で撥水性が回復するかを確認し、それでも戻らない場合は製品に対応した撥水剤などで再加工する方法もある。ゴアテックスの防水性能だけに頼るのではなく、表地のコンディションまで整えておくことが、長く快適に使うためのポイントだ。

FAQ

Q.ゴアテックスは完全防水?

GORE-TEXプロダクトのうち、黒いひし形のロゴと「GUARANTEED TO KEEP YOU DRY」の表示があるものは、防水性が保証されている。 一方、ゴアテックスブランドのすべての製品が同じ防水仕様というわけではない。購入時はロゴや製品表示を確認しておきたい。

Q.ゴアテックスは夏でも使える?

使える。ゴアテックスは透湿性を備えているため、夏のレインウェアやシューズにも採用されている。ただし、透湿性があるからといって暑さを感じないわけではない。気温や湿度、運動量などを考えながら、薄手のモデルを選ぶなど用途に合わせて使いたい。

Q.GORE-TEXとGORE-TEX PACLITEの違いは?

どちらもGORE-TEXの防水透湿テクノロジーだが、PACLITEは軽量性や携帯性を重視したい場面に向くタイプ。レインウェアを常にザックへ入れておきたいハイキングや旅行など、使わないときの持ち運びやすさまで考えて選びたい。

Q.WINDSTOPPER PRODUCTS by GORE-TEX LABSは防水ではない?

WINDSTOPPER PRODUCTS by GORE-TEX LABSは、GORE-TEX プロダクトのような防水性保証の対象ではなく、防風性や透湿性を重視したプロダクトだ。一部には耐水性や撥水性を備えたものもあるため、購入時は商品タグや仕様を確認したい。

Q.ゴアテックスは洗濯できる?

洗濯できる製品は多いが、必ず製品についている洗濯表示やメーカーのケア方法を確認したい。基本的には、汚れを落としてしっかり乾燥させ、必要に応じてDWR(耐久撥水)をケアすることで、機能を維持しやすくなる。DWRは洗濯・乾燥だけで撥水性が回復する場合もあり、それでも戻らない場合は対応する撥水剤を使う方法がある。