【ブランドピックアップ〜PWA〜】「一張羅ではなく、雑に着ていられる服をつくっていきたい」。

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まるで米・老舗ブランドのデイリーウエアのような、ラフでノーマルな見た目なのに、さりげなくギミックの詰まったウエアたち。今回はそんな絶妙なブランド「PWA」を手がける増田信希さんの元を訪ね、話を聞きました。

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〝毎日雑に着ていられる服〞をつくりたかった

PWAが生まれる仕事部屋。

スケーターや、自転車乗り、イラストレーター、フォトグラファーに、焙煎士……。主観だけど、クールな連中を頭に描くと、意外と彼らはいつも同じような服を着ているし、良い意味で目立たない絶妙な服を選んでいるような気がする。「PWA(プア)」を手がける増田信希さんは、そんなイメージを代弁するように「周りにいるかっこいい人たちが〝毎日雑に着ていられる服〞をつくりたかった」と話してくれた。

PWAは“progressive workers association(変わり者の労働組合)”と、貧乏を意味する“プア”の言葉からきている。その昔、芸術家パブロ・ピカソが“大金を持った貧乏人のように暮らしたい”という言葉を残していたらしく、PWAのブランドタグの裏にはその英文が刻まれていると聞き、ブランドのエッジを垣間見た。

「ヒップホップが好きだから、シェルやアノラックの’90sな雰囲気には目がない。ポロとかACGみたいな服が浮かぶかもだけど、スポーティなものよりはJクルー的なシティスペックが好み」と増田さん。〝雑に着られる〞の奥深さを、このたわいない話から感じとってもらえると幸いだ。

編集者の川邉伸太郎さんらとともに手がけている雑誌『PPAPPERS』。

増田さんは年勤めた繊維系の商社を退社し、このブランドをスタートさせた。言わずもがな生地選びには特に定評があり、PWAの製作の傍らでさまざまなメンズのOEMを請け負っていたりもする。

過去アーカイブ。初めて作ったアウターがこれだった。

「アイテムに合わせてシワになりにくいものを選ぶなど、生地の的確な使い方はよく知っている方だと思います。PWAも生地には当然こだわっているのですが、何より大切にしていることは極力ノーマルな製品を作ることかもしれません。それに好きな生地を用いたできあがりを想像していき、そこでようやく欲しいギミックを加えるために中身をいじっていきます」。

同シーズンに手がけたハーフジップコーデュロイシャツ。

ノーマルで、雑に着られることに徹し、それでいて生地やギミックにも固執する。PWAのユニークなアプローチは、ブランド誕生から僅か3年で着々と全国に知れわたり、なんと今年の夏からはニューヨークでも取扱いがスタートするという。米国の普段着的な服が本場に受け入れられているのは、抜けているように見えて徹底して作り込んでいる証だと思う。

コチラも人気だった過去アーカイブのリバーシブルベスト。

デザイナーの身のまわりにあったもの。

デザインの主張があまりないのに高感度な雰囲気を持つPWAのアイテムたち。そんな服づくりをしている人を知るべく、取材でお邪魔させていただいた際に見られた、増田さんの趣味嗜好を少しばかりご紹介します。

(左)珈琲はスニートのものがお気に入り。チェックシャツにアノラックの感じがなんともPWA的な雰囲気で良い。
(右)小さな額装が好きで、ポストカードなどのエフェメラ類や、シルクスクリーンなどのアートを見つけては購入しレイアウトしている。下の写真は写真家・呉屋慎吾さんのもの。
(左)コチラも良いモノを見つけたらつい買ってしまうという珍奇的な植物たち。(右)スケートボードの廃材を使ったFATのティッシュケース。右に写るスケートボードを置くラックのほかにも、iPad置きなど、同ブランドのアイテムをいくつか所有している。
(左)オガワヨウヘイさんや、PWAのグラフィックデザインを手がける友人らのスケートボードもお気に入り。(右)レコードラックにはヒップホップやジャズが中心に揃う。ソウルスクリームのレコードジャケットは増田さんの好きなファッション感のひとつらしい。
(左)ウルトラロマンスのバッグがクールな自転車も趣味のひとつ。(右)ランドクルーザープラドで男友達とキャンプに行くのが、増田さん的リフレッシュ法なんだとか。

ルックから読み取る、日常着のエッセンス。

PWAのホームページを見ると、まさに日常着を感じさせる良い雰囲気のルックに吸い込まれてしまう。
過去3年分からいくつかの作品をピックアップさせてもらい、それぞれのストーリーをうかがいました。

最初のシーズンのルック。パンツ2型しかなかったけど、10人集めて撮影した。
パンツのルック。モデルは増田さんの好きなロースタリー、スニートのスタッフ。
シャツを撮るために、日本に住むシンガーを起用。
最近ニューヨークで撮ってきたルックのひとつ。現地のビデオグラファーが着用している。
同じ人物で、東東京に住みオモチャを作って活動する人らしい。いずれもプロのモデルではなく、街のかっこいい人たちにフォーカスしている感じにブランドのらしさを垣間見ることができてたまらない。

肩肘張らない、PWAの絶妙すぎるデザイン。

「毎日雑に着ていられる服でありたい」と話すデザイナーの意図がヒシヒシと伝わってくるアイテムの数々。ブランド設立時に登場した大人気のパンツから新作ショーツまで、気になるモノをピックアップ。

(左)STASH S/S SHIRTS ¥15400、(右)PACK AND DROP ANORAK ¥24200

左は90年代の古着をベースに、テトロンとコットンの混紡素材を使用し、シワがつきにくく、速乾性を持たせたS/Sシャツ。いい意味でイナタいオリジナルのチェックパターンもPWAの真骨頂である。右は撥水性と通気性を持ったミニリップストップ地によるライトウェイトアノラックパーカー。ゆとりあるシルエットで、ストレッチ性も加味し、おまけにパッカブル仕様。バックポケットも備える。

(上)UNIHOME-04 ¥22000、(下)UNIHOME-05 ¥17600

ポリ100%のコットンライクチノを用いた、ワイドシルエットのPWA定番ワークジャケット。ベルトレスで穿ける同素材の定番チノ『UNIHOME-05』とセットで持っておきたい。

(左)CITY HIKE SHORTS ¥17600、(右)EXPLORERS HAT ¥8800

左はヘヴィデューティなブッシュショーツをPWA流にアレンジ。天然繊維とハイテク繊維をMIXした高機能素材で、軽くて涼しく、ウエストゴム、ポケットも多数配備していてとにかく使いやすい。右は薄手ながらハリのある素材感、ライトな着用感が持ち味のコットンタイプライターを採用した日本製のハット。アジャスターでサイズ調整ができるのも気がきいている。グリーンとネイビーを展開。

(左)UNIHOME-02 ¥15400、(右)UNIHOME-03 ¥15400

写真左のパンツはブランド設立時から大好評のブランド定番スラックス。ポリ100%のウールライクな生地で、ドライなタッチと繊細な質感、キレイな落ち感が特徴。センタープリーツも落ちにくく、シワもつきにくい。右は『UNIHOME-02』をベースに、シルエットをややタイトにし、フルレングスに調整。右に同じく、洗濯にも強いし、おまけに乾きやすい。ポケットにもこだわり、ベルトレスにも対応するイージー仕様。

Photo/Shouta Kikuchi
Report&Text/Naoto Matsumura


(問)PWA pwa-tokyo.com instagram@pwa

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GO OUT編集部
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