アウトドアフリークや旅好きにとって、優雅なキャンピングカーは憧れだ。中でもトラックをベースに作られた通称「キャブコン」は、居住空間が広々としていて収納スペースも豊富。大人数での寝泊まりや長期間の旅も快適だ。その反面、「トラックと聞くと運転が不安…」「駐車スペースを探すのが大変そう…」というイメージもあって、ハードルが高く感じている人も多いだろう。
ところが、トラックベースのキャブコンの中でも普通免許・AT限定免許でも運転できて、しかも、小回りが効くので、まるで乗用車のような感覚で運転ができる。そんな夢のようなキャンピングカーがあるという。
今回は、ロングドライブの旅を趣味にする cardrobe! オーナーの田島直哉さんが、キャンプ仲間の神保哲也さん、そして愛犬のモイちゃんとともに“乗用車感覚のキャブコン”を体験してみた。

(左)神保哲也/soui woodworks 代表 店舗の特注什器やオーダーメイドファニチャーを製作するsoui woodworksの代表。オリジナル家具ブランド「Type」も展開し、ビームスとコラボしたレコードシェルフが話題に。那須高原のキャンプ場「キャンプラビット」とのコラボでギアブランド「mas」も手掛ける。
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普通免許・AT限定で運転OK。いすゞ「Travio」ベースのキャブコン。
今回、田島さんと神保さんが乗るのは、最大で大人6人が就寝可能なキャブコン「EXPEDITION STRIKER(エクスペディション ストライカー)」。タフなルックスのカクカクボディがかっこいいこのエクスペディション ストライカーは、いすゞ自動車のキャンピングカー専用シャシ「Travio(トラヴィオ)」をベースにして、ビルダーの日本特種ボディーが架装したオフロード系キャンピングカーだ。

ベースとなったトラヴィオは、いすゞがキャンピングカー専用として開発したシャシ。軽量な1.9Lディーゼルエンジンと6速ATの組み合わせで、キャンピングカー専用設計のサスペンションやジェネレーターの大型化などのカスタマイズが施されている。
そして、このトラヴィオの一番の特長は、車両総重量3.5トン未満のオートマチック車なので、2018年以降に普通免許を取得した人でも運転できるということ(※)。2025年6月現在、ディーゼルエンジンを搭載したキャンピングカー専用シャシとしては、AT限定、普通免許で乗れる国内唯一のモデルになっている。
※厳密には2017年3月12日の免許制度改正以降に取得したAT限定普通免許で運転可能。
トラックベースなのに乗用車感覚で乗れるってホント!?
“クルマのセレクトショップ”と言われる異色のクルマ屋「cardrobe!」のオーナーで、プライベートでは車中泊仕様にアレンジした愛車とロードトリップを楽しんでいる田島さん。「1週間を超えるような旅になると、やっぱりキャブコンの快適空間は魅力」と、今回紹介する「エクスペディション ストライカー」にも興味津々。さっそくキャンプ場内でハンドルを握ってもらった。

「トラックがベースで視点が高いから運転していて気持ちがいいし、ディーゼルエンジンでトルクがあるからトラックの車重を感じないほど走りが軽快。これなら高速道路でも心強いし、僕のような長距離ドライブ派でもストレスなく運転できそうですね」。
助手席に座った神保さんも「ディーゼルエンジンなのに車内は静かでちゃんと会話も楽しめるし、インパネもすっきりして高級感があるからトラックがベースだとは思えないよね」と感想を漏らす。
「クルマのフェイスも最近の乗用車のようなモダンなデザインだから“いかにもトラック”な感じはないし、これなら所有したいっていう人も多いんじゃないかな」と、トラック然としていないデザインも2人の眼鏡にかなったようだ。

そして、田島さんがハンドルを握って一番驚いたのが、取り回しの良さだ。
「かなり小回りがきくので正直びっくりしました。狭い範囲で転回できるからキャンプ場内はもちろん、街中でも乗りやすそう。小径ステアリングだから運転は乗用車と同じ感覚だし、トラックを運転しているっていうよりも、本当に乗用車に近い感じ」。
いすゞのキャンピングカー専用シャシ「トラヴィオ」がベースなので、乗用車感覚で乗れるのがこのキャンピングカーの最大の魅力。その最小回転半径は、驚きの4.4m。軽自動車並みに取り回しがいい。
さらに、トラヴィオにはプリクラッシュブレーキ、ブラインドスポットモニター、ふらつき警報など先進の安全性能も備わっているので、まさに乗用車感覚で乗れるキャンピングカーになっている。
広々した車内空間は、人間にもワンちゃんにも嬉しい。

テント泊に比べて設営や撤収に時間がかからないキャンピングカーは、のんびりくつろぐ時間が長く取れるのも大きな魅力。時にキャンプ場で、時にサーフィン後の海辺で。景色の良い場所にクルマを止めてカーサイドで過ごすリラックスタイムは田島さんにとっても欠かせない時間だ。

今回は、田島さんが昇降用の電動ステップに腰かけてモイちゃんとくつろいでいる間に、神保さんがササッとテーブル、チェアを出して設営を済ませた。
「荷物の取り出しはわざわざ乗り降りしなくても、ボディ右後部の大型バゲッジドアからサッと行えるから設営も楽ですね」。
ちなみに、エントランスドアが車体の後ろにあるバックエントランスタイプなので、サーフボードや釣り竿などの長尺ものがエントランスドアから出し入れしやすい構造になっているのも、アクティブ派の田島さんにとって嬉しいポイントだ。

カーサイドにテーブルやチェアをセッティングしたら2人+1匹でリラックスタイム。もともと田島さんが神保さん率いるSOUI WOODWORKSのセンスに惚れ込んでオフィスの内装を頼んだところからスタートした2人の関係。同い年で同じキャンプ好きということもあって、今は仕事にとどまらず、こうして一緒にキャンプにいくことも多いのだとか。

そして、3才になったモイちゃんも田島さんにとって車中泊旅の大切な相棒。モイちゃんはロングドライブも車中泊も慣れっことは言え、なるべくリラックスして過ごせる環境を整えてあげることは欠かせないという。そんなモイちゃんにとっても「エクスペディション ストライカー」の車内空間は快適なようだ。

「トラックベースのキャンピングカーは室内が広いから、車内の導線も立って移動できてストレスフリーだし、キッチンでの作業も立ってできるから楽ですね。犬にとっても車内で動き回れるスペースがあるのは嬉しいと思います。あと、ベッドとは別に広い床面があるから犬用トイレを置きやすいのもポイントかな」。
そして、田島さんがモイちゃんとのリラックススペースとして気に入ったのがここ。

4人がくつろげるダイネット(リビングルーム)のテーブルを下げてマットをのせれば、通路はしっかり確保しながらも1人+1匹でチルするのにちょうどいい空間が誕生する。
「窓が大きく開くから景色の良い場所に停めてチルするのにいいですよね。犬の目線から外の景色が見えるのも最高です」。
いつかこのキャンピングカーで北海道を旅したい!

「このキャンピングカーなら運転がラクで、居住性も高いから長期間の車中泊旅も快適に楽しめると思うし、どこにでも行けちゃうと思います。いつかご当地グルメ巡りやキャンプをしながら1週間から10日かけて北海道をぐるっと一周したいと思っているので、このクルマでモイと一緒に行けたら最高だろうなと思ました」。
1日のキャンピングカー体験を振り返ってこう語った田島さん。自身の夢である北海道一周の旅も実現に向けてイメージがわいてきたようだ。
今回、田島さんと神保さんが体験した「エクスペディション ストライカー」は、いすゞのキャンピングカー専用シャシ「トラヴィオ」をベースにしているので、普通免許・AT限定免許でも運転できて、取り回しの良さ、運転のしやすさはまるで乗用車。さらに全長4955mm、全幅1800mmとワンボックスカーと変わらないサイズ感なので、高さ制限のない平置き駐車場であれば、駐車場所に困ることもない。車中泊の究極形ともいえる憧れのキャンピングカーをグッと身近なものにしてくれるクルマと言えそうだ。
Travio × GO OUT スペシャルムービー
東京アウトドアショーのいすゞブースで展示。注目のコンセプトカーも。
今回紹介した、いすゞ「トラヴィオ」ベースのキャブコン「エクスペディション ストライカー」は、2025年6月27日(金)・28日(土)・29日(日)に幕張メッセで開催される「東京アウトドアショー2025」のいすゞブースで展示予定。もちろん車内も見ることができるので、憧れのキャンピングカーの快適空間をぜひ体感してみよう。

さらに、東京アウトドアショーのいすゞブースで注目なのが、今年の東京オートサロンでも展示されたコンセプトカー「ELFmio CROSS CONCEPT(エルフミオ クロスコンセプト)」。

「だれでもトラック」のキャッチフレーズで話題の小型トラック「ELFmio」を、仕事でも遊びでもとことん使える仕様に仕上げたコンセプトカーだ。スチールフレームを使った荷台が特長で、職人さんが平日は仕事でハードに使って、週末には趣味の道具を積んでそのまま遊びに行くことをイメージしてカスタムしていて、トラックのカスタマイズの可能性を感じる一台になっている。
コンセプトカーなので市販はされていないが、キャンピングカーと同じく“夢が広がる一台”。「東京アウトドアショー2025」のいすゞブースはぜひ注目してほしい。

Photo/Fumihiko Ikemoto
Styling/Kaori Goto
Movie/Fabtone Inc.
(問)いすゞ自動車 www.isuzu.co.jp/