あのキャンパーさんのキャンプスタイルはなぜ、いい感じなのか? その答えのひとつは、その人の持つ道具にその人の個性が反映されているからかもしれません。
そんな仮説をもとに、9月末に開催されたGO OUT CAMP vol.20にて、取材班が個性漂うキャンパーさんに突撃取材。今回も、仕事柄たくさんのギアを目にしてきた取材班も知らなかった個性あふれるアイテムに出会えました。当記事ではパート1としてその一部を紹介します。
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あえての低音質が懐かしくて新しい、令和のラジカセ。
オリオンの「SCR-B3A」
まず取材班が惹かれたのは、シックで統一感のあるトムさんのサイトにさりげなく置かれていたORION(オリオン)のラジカセ。サイトコーデの外しとして、良い存在感を放っていました。
ステッカーチューンのセンスの良さも気になったが、よくよく見ると、昔のラジカセにはない特徴が……。
「ネットで偶然見つけて、懐かしい見た目にグッときて即入手しました。実はこれ、発売されたの2年前なんですよ!」
「ぱっと見普通のラジカセなんですけど、Bluetoothでつないでスマホの音源を再生したり、SDカードでmp3音源を再生できたり、機能は最新。個人的に気に入っているのが、今のスピーカーとは違う昭和のスピーカーらしい低音質。最新の曲も昔の曲に聞こえたり、今のラジオも昭和の放送っぽくなったりして、面白いんですよ!」
「ラジカセのチープ感を引き立てるために貼った、地元、名古屋の人気タイカレー食堂『ヤンガオ』のステッカーもこだわりポイント。このネオンカラーがアジア感あっていいでしょ?」
昭和を生きた世代から見ると懐かしく、今の世代から見ると新しい、令和のラジカセ。最新スペックの製品も良いが、あえてスペックダウンされたものにしか出せない味を楽しむと発見があるかもしれません。
出会いから生まれた、レザーカスタム。エイジングが楽しみなマイ栓抜き。
サッポロビールの栓抜き
こちらは、レザーでグリップをカスタムされた、ヴィンテージの栓抜き。昭和の空気を感じさせるサッポロビールの刻印と使い込まれた金属の質感と本革のコンビネーションがウェルメイド感を醸し出しています。
「もともと、そのままの状態で使っていた栓抜きなんですが、とあるアウトドアイベントに出展したときに仲良くなったレザー作家さんのブランド『Masakazu Yokoi Leather Product』に特注で、カスタムしてもらいました。けっこうしっかりした牛革で、縫い目とかコバの処理とかめっちゃ綺麗で、酒を飲みながら眺めてます。」
「サイトをウッドやレザーでできたアイテム中心で固めているので、そこにより馴染むようになったのも満足ポイント。ヌメ革なので、育てていい感じにしていきたいですね〜。これで栓を抜きたくて、お酒が必要以上にすすんじゃってる説あります!(笑)」
愛用の道具も、レーザーを巻いたり、ステッカーを貼ったり、ちょっとカスタムするだけで自分だけの特別な逸品になるものです。こういった道具と向き合う楽しさもキャンプの楽しみのひとつ。
ショップに依頼するのも良いが、腕に覚えのある方は自分でレザーカスタムに挑戦すると趣味の幅が広がるでしょう。
デザイン良きで、汎用性高い”使える”バッグ。
テンプラガレージの「TO TOTE」
こちらのインパクトのあるテキスタイルが目を引くトートバッグは、都内で指折りの人気を持つ、サイクルカスタムショップ、テンプラサイクルのオリジナルブランド「テンプラガレージ」もの。汚れに強く防水性の高いターポリン素材でできており、アウトドアでの実用性も抜群。
「アウトドアはもちろん、近所への買い物に重宝してます。アーティスト、神山隆二さんがデザインした『Hello Templa Cycle Tokyo』のグラフィックもお気に入りポイント。服装がシンプルな時にコーデのアクセントにしてます!」
「デザインも良きなんですが、持ち手の部分がバックルになっていて、これがめっちゃ便利なんです。自転車のハンドルや、スーパーのカートに吊るせて機能的。」
「キャンプに行く時は、こうやって折りたたみ式のギアハンガーに吊るして使っています。ここにLEDランタンやシングルバーナーなど出番の多いギアを入れておくと、必要な時にさっと取り出せて快適なんです。」
デザインの良さもさることながら、機能面でも使い勝手の良さそうなこのアイテム。使い手次第で、いろんな使い方がありそうです。家のクローゼットやクルマのヘッドレストに吊るしても便利かもしれません。
焚き火ギアブランドが作る、ありそうでなかった金属製うちわ。
トリパスの「UCHIWA」
職場の仲間たちとグルキャンを楽しんでいたHASEBEさんのサイトで目についたのは、この男心くすぐるメカニカルなデザインが特徴的な金属製のうちわ。
こちらは、「グルグルファイヤー」などのヒット焚き火台で知られる、北海道発のキャンプギアブランド、TRIPAS(トリパス)のもの。アルミとウッドのコンビネーションで作られており、軽量で火に強いので、焚き火の火起こしアイテムとして活躍できるタフなうちわです。
「うちわなのに金属で出来てるのが面白いなと思い思わず購入しました!このアイテムを手にする前は、焚き火の火おこしや炭起こしには、プラスチック製のうちわを使っていたんですが、うっかり焦がしてゴミになっていたんですよね。これなら火に強いので、ガンガン焚き火に使えます。」
「このリベット打ちされた飛行機のパネルみたいな見た目がお気に入り。焚き火をしない夏場は、普通のうちわとして使っています。フックが付いているので、いろんなところに吊るせるのも便利。使い込んで、もっと金属の味を楽しもうと思います!」
ちなみに、このうちわがぶら下がっている、ハイラックスのモールパネルは、金属加工のプロのお父さんがハンドメイドで作られたものとのこと。ひょっとしたら、HASEBEさんの金属ギア好きは父親譲りなのかもしれません。ギアの趣向は遺伝する?
昭和感じるレトロデザインが目を引く、天火オーブン。
ピース金物本舗の「ピーステンピ851型」
最後は、年代ものやD.I.Y.したアイテムで、アメリカンヴィンテージな世界観を作り出していた、nozoixさんのサイトで使われていた、トースターのような赤いボックス状のアイテム。
パッと見、家電のように見えるが「天火(てんぴ)オーブン」と呼ばれる、調理道具。本体に熱源は備えておらず、ガスコンロや薪ストーブ、七輪などの上に乗せて使うものとのこと。
「最近、天火オーブンを収集している友人から購入しました。アメリカのヴィンテージものに見えるデザインとカラーですが、ピース金物本舗(平和金属製作所)という今は廃業してしまった日本の会社の製品です。おそらく、1984年に作られたものなんではないでしょうか。中で熱が対流する作りになっているので、下からだけでなく上からも料理に熱が回る作りです。」
「今日のキャンプがこのオーブンのフィールドデビュー。まずは試しにピザを焼いてみることにしました。熱源はイワタニの定番ガスコンロ『タフまる』を使って実験中です。ちゃんと焼けるかなあ?(笑)」
「古いものなのでどこまでアテになるかわからないけど、昔ながらの水銀式の温度計も付いています。使いこなせると、ラザニアなんかも美味しく作れるそうなので、これを使って色んなオーブン料理にチャレンジしていきたいですね。冷めた料理を手軽に温めなおすのにも重宝しそうです。」
ダッチオーブンよりライトに使えて、トースターよりプリミティブな天火オーブン。なかなかのレアアイテムで状態の良いものを見つけるのは難しいようです。運よく出会えた料理好きのキャンパーさんは、思い切って手にすれば、調理の幅が広がるかもしれません。これでケーキを焼いて友人にバースデーサプライズなんてのもアリ?
ちなみに後日、nozoixさんからきいた話によると「タフまる」では高温が必要なピザを焼くには少々火力不足だったそうです。同じイワタニの「フー・ボー」が相性良しと情報いただきました!
アナタに刺さるアイテムは意外な場所にあるかも。
今回取材させていただいた、キャンプラバーたちの趣向が反映された、愛用のアイテムはどれも個性的。みなさんに共通していたのは、それぞれ自分の好きなものがはっきりしている点。好きな素材や色、デザイン、機能などを知ることが、自分に合った道具に出会うきっかけのひとつになるのかもしれません。