気になるSHIMANOの新型クーラー「VACILAND」は、なぜ高い? インプレッション&担当者に直撃!

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2022年のキャンプシーンを席巻したクーラーボックスといえば、誰もが「SHIMANO(シマノ)」の「ICEBOX(アイスボックス)」と答えるだろう。こちらの記事でもインプレッションをして多くの反響をいただいたが、そのアイスボックスを凌ぐスペックを持つという、NEWクーラーが満を持して発売されたとか。

こちらがSHIMANOのICEBOX。間違いなく2022年の売れ筋No.1クーラーだ。

それを聞いて真っ先に思ったのは「シマノさん、それいま必要ですか?」ということ。だって、アイスボックスが十分すぎるほどスタイリッシュで、キャンプスペックも兼ね備えているから。

ただし、今回は完全新設計とのこと。過酷なフィッシングシーンで培った技術を惜しげもなく投入した、SHIMANO史上最高峰のクーラーという触れ込みなので、そんな新作はきっとトンデモナイことになっているのだろう。

というわけで、釣りもキャンプも大好きな編集部Sが、シマノの新型クーラーを使ってみた企画第二弾。ちなみに今回は、使って感じた率直なギモンをシマノの担当者にぶっ込んでみたので最後までお見逃しなく。

Table Of Contents : 目次

シマノが誇る最高級クーラー「ヴァシランド」。

こちらがシマノの新作クーラー「VACILAND(ヴァシランド)」。アイスボックス同様、スペック違いで4種ラインナップし、それぞれカラーリングも異なる。写真は最上級グレードの「PRO」で、SHIMANOブルーを思わせるアンヴィルグレー。40Lタイプだ(同色で32Lもあり)。

手持ちのアイスボックス(30L)と並べてみた。サイズこそ違うが明らかにゴツく、背が高くなっている。ロゴマークもこの角度からは確認できず、デザイン的にキャンプ感は増している印象。

左が昨年リリースされたアイスボックス(EL 30L)で、右が新作のヴァシランド(PRO 40L)。パッと見でデザインがまるで違う。アイスボックスの進化版だとばかり思っていたが、まったくの別物だった。

まずは細部を徹底チェック!

スペック表を見る前に、まずはディテールをチェック。アイスボックスと比べてどう変わったのか、細部を見ていくとしよう。

① 新設計のレバー構造と超密閉設計の蓋!

天板にSHIMANOロゴがさりげなくエンボスされていた。気になるのはこのレバー構造。ヴァシランドのために開発された完全新設計らしく、PROグレードに至ってはレバー持ち手部分に質感の高い金属が採用されている。
このレバーを握って引き上げると蓋が開く新システム。見た目は重々しいが、ほとんど力は必要ない。なんなら膝が当たっても開いてしまうほど軽い。
蓋を閉めてロックするときはカチッとレバーを押し込むだけ。ワンアクションで開閉が可能。
もちろん左右両開きで、蓋を外すこともできる。メンテナンスもラクちんだ。
蓋部分はより分厚くなり、シーリングはさらに立体的な形状に。新設計のレバー構造とこのシーリングにより気密性が高くなり保冷力が得られる。アイスボックスと比べると蓋を閉めるときの音が明らかに違う。アイスボックスが「バンッ」なら、ヴァシランドは「バフッ」という感じ。高級車のドアを閉めた感じに似ていた。

② 高さや底面のサイズは、まさにキャンプ仕様!

今回のインプレで一番感動したのがヴァシランドの計算しつくされたサイズ感。「シマノさん、ちゃんとキャンプ知ってるわ」と偉そうに感心してしまうくらい、痒いところに手が届く仕様となっていた。

40L、32Lともに底面のサイズは同様で、市販の板氷が底面に3枚すっぽり入る。ロゴスの氷点下パックなど、いわゆる売れ線の保冷剤も底面に2枚横並びで収まるそう。
試しに、同じ板氷をアイスボックスに入れてみると、、あれ? 途中で引っ掛かって入らない。スーパーで買った板氷は入ったのだが、コンビニの板氷は入らないという、絶妙なサイズ感だったことがわかった。板氷サイズの個体差はあってもたぶんヴァシランドならだいたい大丈夫。
そして、第2のポイントが高さ。40Lサイズなら1.5Lや2Lのペットボトルを立てて入れられる(板氷は縦置き)。32Lの方は底面のサイズは同様だが高さが異なるため立て入れできるのは1Lのペットボトルまで。
大型のペットボトルが立てて入れられるとクーラーの中身もスッキリ。試しに同じ中身をすべてアイスボックス(30L)に移動しても入りきりはしたが、下のものが取り出しにくいという当然の結果に。

③ 持ち運びはどうだ?

サイズが大きくなり重量感も増しているだけに、持ち運びやすさは大きなポイントだが、さすがは2年連続で新作クーラーを出してきているだけはある。両手持ちできる仕様になっていたり、隅々まで行き届いている印象だ。

側面は指を入れられる設計になっているので両手で抱えて持つことができる。特にSUVなど車高のあるクルマからの出し入れに重宝!
アイスボックスは釣り用のレバーシステムのみを採用しているのもヴァシランドとの違い。
片手での持ち運びはハンドルを使用するが、このハンドルが自立するようになっているのもポイント高い。アイスボックスは自立しない。

④ 他にも目をみはるポイントいっぱい!

力要らずでキャップを失くす心配も皆無な、ワンアクションの水抜きシステムはアイスボックスを踏襲。構造自体は同様だがデザインや大きさが一新されていた。アイスボックスと比べて操作しやすい印象。
クーラー底部の水抜き栓周辺も仕様変更。水残りが少なく、拭き取りやすい設計に。左がアイスボックスで右がヴァシランド。
底面には室内保管も安心のクッションゴムを採用。アイスボックス同様、台座付きで地熱の影響を受けにくい設計となっている。

もっとも気になる、スペックと価格について。

さて、ここまで細かくディテールをチェックしてきたが、見れば見るほどアイスボックスよりもさらにキャンプに特化した印象で高級感も増している。じゃあ、保冷力や価格はどうなんだろう。

以下はシマノ公式ページで公表されている、ヴァシランドのグレード別スペック表。最大氷保持期間はPROの40Lでなんと13日間。アイスボックスのPRO(30L)が10日間の表記だったので、容量も大きくなり保冷力も上がったということがうかがえる。

価格は税抜表記。最大氷保持期間は、容量比40%の氷を入れ、30℃9h-20℃15hで保管後に氷重量を測定。氷が溶けきるまでの時間を算出(シマノ調べ)

ただ、気になるのは、重量と価格の欄。サイズこそ違うが一番下のVLグレードでもアイスボックスと比べて約2kg増(30Lと32Lの比較)。特に、フルスペック(40LのPRO)で重量9.9kg、93000円というのは、かなりパンチが効いている。スペックが上がっているぶん重量に関しては納得いく範囲ではあるが、価格も約2倍とは……。

シマノ担当者にぶっ込んでみた。

最後に、なぜこのような価格設定になったのか、アイスボックスが今も人気なのになぜ新作をリリースするに至ったのか、広報担当者に経緯を聞いてみた(シマノは顔出しNGだそうで文字のみです)。

「最高のクーラーボックスを!というコンセプトで、一切妥協せずに作った結果、この価格設定になりました。私たちが持つ技術を全投入するだけでなく、質感や使用感も含めて“最高”を目指しました。

アイスボックスはそれまでシマノで展開していた釣り用クーラーをベースにしていますが、ヴァシランドは完全に新設計。アウトドアに特化したMade in Japanのシマノ製クーラーの本気を見せたい!という思いで、開発に取り掛かりました。

特にこだわったのはレバーの構造。最小の操作で強く密閉させる新構造となっており、この構造こそが保冷力UPの秘密です。モノづくり企業として使いやすさや保冷力だけでなく、使用感や質感等の細部までこだわり抜いています。例えば開閉レバー。グレードに応じた素材や塗装へのこだわり、カチッという質感、蓋の開け閉めの音など……じつに官能的なクーラーに仕上がったと思います。

よく質問をいただくアイスボックスとの違いについては、やはりサイズ感です。ヴァシランドとアイスボックス、どちらのクーラーも自信を持ってリリースしておりますので、ご自身のスタイルに応じて検討して頂きたいです」(広報担当Sさん)

熱い。熱意の塊かのような回答だ。とにかく、シマノの技術とこだわりを結集した最高のクーラーボックスが完成したということは事実のよう。

釣りをする人なら分かると思うが、同じリールでもグレード(ライン)によって質感や操作感が異なり、そこに価格差があるわけで。それと考え方は同様、シマノ製クーラーにおける最上級が「ヴァシランド」。続くグレードが「アイスボックス」というわけだ。

細部までトコトンこだわった憧れ的存在のヴァシランドを選ぶか、コストパフォーマンスが魅力のアイスボックスを選ぶか、それぞれサイズや使い勝手も異なるので、用途やお財布と相談して熟考してもらいたい。

ちなみに、4月21〜23日にふもとっぱらで開催される「GO OUT JAMBOREE2023」にはシマノの出展が決定しており、ヴァシランドも展示予定。生でこのこだわりを感じられる絶好の機会となるので、チケットをお持ちの方はぜひ会場で実際に触れてみてほしい。


(問)シマノ lifestyle.shimano.com/

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GO OUT編集部
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