近年、爆発的な人気を集めているソロキャンプ。多人数でのキャンプでは味わえないマイペースな楽しみ方ができるうえ、ソーシャルディスタンス的なメリットもあって、今年は特に盛り上がりをみせています。
しかし一口にソロキャンプと言っても、シーンやスタイルは人それぞれ。どう楽しむかによって持っていく装備も異なります。
そこで、おしゃれアウトドア的な5人の外遊び人たちに、この秋のソロキャンプの楽しみ方と必携ギアを伺いました! 第二回は、食に自転車、アートと、独自に外遊びを楽しむお三方のスタイルをご紹介。
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山梨の好スポット探しへ、キャンプツーリング!
自転車にまつわるアイテムならなんでも取り扱う人気ショップ、ブルーラグでメカニックを担当。オリジナルのプロダクトにも関わりはじめたそう。「最近はソックスとハンドルをリリースしました。今後もさまざまな物を製作するのでご期待を!」
かつてはメッセンジャーだったという金子さん。バッグ一つ背負って自転車で故郷に帰って以来、ソロキャンプを意識するように。
「お金がなくて(笑)。当時は装備も揃っていないため、人が居ないトンネルや公園、河原などで野宿していました。それを含めるとソロ歴10年くらいになりますね」。
地元である山梨の自然を愛する金子さんは、今季狙うスポットもやはり山梨! 「山梨にはまだまだ素敵なスポットがたくさんありそうなので、もっと掘り下げに行こうかと思ってます」。
積載量の小さな自転車での遠征ではよりコンパクトなパッキングが必要だが、そこはさすがブルーラグスタッフ。到底キャンプができるとは思えないほどミニマムな装備を実現している。
キャンプ泊に必要なテントやシュラフ、リラックス用パンツなどの大物を揃えつつ、いざという時のためのメンテナンス道具もしっかり携行。スタッフサックを駆使したパッキングや、修理ツールすらも洗練された最小限のラインナップになっているのも上級者らしい。
ちなみに旅の相棒はCRUST BIKESのDREAMER。少々荒れた道も進め、行った先で遊べるよう、太めタイヤにも対応するフレームを選んだそう。「本来はライトなパッキングで、速いツーリングバイクとして使うらしいです。ですが、アレもコレもな自分にはこのセットアップが調子良いんです(笑)」。
金子さんの必携アイテム3選。
01. swift industriesのパニアバッグと、ultra romanceのフロントバッグ
自転車の車輪脇に取り付けるパニアバッグと、ハンドルのフロントバッグ。特にswift industriesのパニアバッグはデイパックのような愛嬌のあるデザインが特徴だ。
視認性の高いほか、90年代アウトドアカラー風味のビビッドなオレンジで統一しているのも好ポイント。耐水性の高い素材ではないものの、ロールトップ仕様のため小雨程度なら十分対応可能だ。
「パニアバッグには野営地で使うテントや寝袋、着替えなどを。フロントには天気の変化に即対応できるウエア、食料にビールと行った、すぐ出したいものを入れています。自家発電できるダイナモライトがあれば、夜遅くになっても安心ですよ」。
02. fair weatherのパッカブルレインポンチョ
パッカブルアイテムや自転車用収納アイテムを展開するフェアウェザーのパッカブルポンチョ。
軽くて丈夫、防水性にも優れたインビスタ社のCORDURA®︎リップストップナイロンファブリックを使用。さらに、全体に施されたシームシール処理のおかげで、ステッチ部分からの浸水まで防ぐタフ仕様だ。裾を絞れば自転車に乗っていてもバタつき知らず。
「2年前、ライトアウター代わりに購入。初めてのアメリカ出張にも連れて行き、現地の自転車乗りに書いてもらったサインが散りばめられています。特にメンテナンスせず使っていますが、全く雨が染みなくて純粋にスゴい。コンパクトに畳めるし、出掛ける時には欠かせません」。
03. L.L.Beanのフリースデニムパンツ
裏地にフリース素材を配して防寒性も意識したデニム。負荷のかかる部分は丈夫な2重縫いとバータック、リベット打ちで補強されている。金子さんはライディング中よりも、キャンプ地でのリラックスパンツとして愛用しているとか。
「これが自分のパッキングを圧迫している原因だと思います(笑)。ただ、めちゃくちゃ暖かいし、シルエットが適度にルーズなので動きやすくて、しかも丈夫。どうせ持って行くなら暖かい方が良いよなと、この時期は毎回手に取ってしまいます。どなたか、軽くて丈夫な暖かズボン教えて下さい」。
バックパックスタイルでも優雅に楽しむ、秋の湖畔キャンプ。
ここ数年、アウトドアやスポーツ関連に携わることが多く、プライベートでもアウトドアギア、アクティブシーンに精通しようと心がける日々。晴れ予定の週末には、ソロキャンプや縦走登山などのアクティビティも実践している。
ソロキャンプ歴6~7年の辻井さんは、奥多摩駅周辺がお気に入りだそう。
「余計なことを考えたくないので、基本は馴染みの場所でキャンプしています。週末の天気をチェックし、前日に準備。現地では昼寝したり、石に絵を描いたり。日が暮れるころには焚き火して、読書して飲んで寝ちゃいます」
マイペースに自分だけのアウトドア時間を楽しむ辻井さんは、この秋、本栖湖など富士五湖での湖畔キャンプを検討中だとか。「湖の景色と同時に紅葉も見れたら最高ですね」。
基本的にバックパックスタイルでソロキャンプへ行くことが多いという辻井さんのソロキャンプセット。
ゼログラムのテントやアルコールストーブなど、UL系ギアが揃う一方、現地でゆるアートを楽しむための絵の具や粘土、アクションカメラなど一人遊び用の道具も充実。
他にも、肉のグラフィックがかわいいプエブコの保冷バッグやタイダイ柄風のスタッフサック、チービーのTシャツなどクセのあるユニークなアイテムがあったり、夜中の散策用にライトも複数用意していたり……。ポップなカラーコーディネーションも含め、あえての“ごちゃ混ぜ感”が楽しい個性的なラインナップとなっていた。
「最近はめっぽう背負えるタイプのボストンバッグで行ってます。愛用ギアのUL化が進んだため重量に悩まされなくなり、何より中身がガバッと見えるのが良くて。ソロですから荷物は多くないはずなんですが、バックパックだと帰り支度の時まで持ってきたことを忘れているアイテムが結構あったりします(笑)」。
辻井さんの必携アイテム3選。
01. アウトドアアートセット(アクリル絵の具と粘土)
自由に過ごせるソロだからこそ、普段できないアートごっこを楽しむという辻井さん。天然繊維のような風合いが魅力の、CIEのナイロン スクエア ポーチの中には絵の具や粘土、パレットといったグッズが。防水ポーチなのでデリケートな収納物だって安心。
「無心になれる時間が好きで、拾った石に自由気ままに顔を。毎回1〜2個しか描けないですが、コレクションが増えてカラバリも充実してくると、なんかアートっぽい! (笑)。今度は粘土にもチャレンジしようと準備しています」。
02. OLDMOUNTAINのコカマチャン
チタン製250深型シェラカップとレザーグリップ、小釜用の木蓋がセットになったオールドマウンテンの「コカマチャン」。一人飯にジャストな0.5合の炊き立てご飯が食べられる。軽量アイテムではないものの、充実のお食事タイムを演出するキーアイテムだ。
「ULにこだわったギアの中では若干異質かも知れませんが、重量以上に幸せになれるアイテム。自然の中で美味しい白飯を食べる! そんな体験を求めて購入しました。登山でも使いますけど、やっぱりキャンプでカレーや焼肉のお供にするのが最高です」。
03. Jack Wolfskinのボストンバッグ
ショルダーストラップ付きでバックパックスタイルでも使える大容量65Lのボストンバッグ。丈夫かつ防水性のある1680Dバリスティック素材なので、ハードな使用にも対応可能。大きく開くU字ファスナー式の開口部は出し入れがラクなだけでなく、荷物の視認性も高めてくれる。
「収納物を確認しやすいのは、一般的なバックパックと比べて大きなアドバンテージ。ただ、先日テンプラサイクルにて、自転車キャンプに行くべくSalsa cyclesのジャーニーマンを購入しまして。こいつでバイクパッキングが可能か思案中なんです」。
機能的コックピットスタイルで、秋の味覚を堪能!
2013年から代々木上原にてUSED&NEWのセレクトショップを運営。月に2〜3回はキャンプに行っている外遊び好きでもある。ユーズド品も扱うショップのオーナーらしく、ユーズドのアウトドアウエアで実際にキャンプを楽しんでいる。HP:https://coloratagainst-online.net
ソロキャンプ歴はまだ1年ほどながら、月に2,3回はキャンプに出かけるというヘビーキャンパーな髙橋さんは、お気に入りのギアに囲まれながらキャンプ飯を堪能している。
「普段はコクピットスタイルで焚き火や料理を楽しんでます。ただ、これまではキャンプ自体が目的だったんですが、段々アクティビティを楽しむための手段だと思うようになってきました。今後は釣りや山登り、MTBにも挑戦したいので、それに合わせて荷物のミニマム化を図ってます」。
この秋はコックピットスタイルに磨きを掛けつつ、新たに釣りに挑戦予定だとか。「湖畔でキャンプして釣りを楽しみたいです! あと、料理も好きなので、秋の食材を味わいたいですね」。
ミニマム化計画中の高橋さんのギアセット。ハンモックテントを始め、ハンドアックスやメッシュテーブル、ヨコザワテッパン、モーラナイフに森林香セットなど、ミニマルながら、実用性の高いラインナップになっている。
エル・エル・ビーンのベストやREIのマウンテンパーカなど古着のテイストも相まって、どことなくアメリカの林業者のような雰囲気がただようアイテムセレクトには、USEDのショップを営む高橋さんの個性が感じられる。
「ハンモック泊がメインなので、イメージとしては森林の中。普通は重さを考えてパッキングしますが、どうしても鉄板でのステーキは欠かせず……。ヨコザワテッパンがマストなんです」。
髙橋さんの必携アイテム3選。
01. Hennessy Hammockのハンモックテント
名門ハンモックメーカーの定番モデル。簡単に設営できて、日差しから守ってくれるフライシートやメッシュの蚊帳まで付属する名品だ。高品質のマットレスと同等の寝心地と評価され、多くのソロキャンパーに愛されている。
「ハンモックスタイルをはじめるきっかけになったモデルです。軍モノがきっかけで製作されたもので、当初は下から入る設計だったり、個人的に魅せられる要素がかなり多く、迷うことなく購入しました。ルックスもカッコ良すぎません?」。
02. ヨコザワテッパンの鉄板
ライターや釣り人として活躍する横沢テッペイ氏が開発した、厚さ約5ミリで重量約1キロの鋼鉄素材を使った、A5サイズのコンパクトな鉄板。食材に効率よく熱を与えられ、どんな食材も美味しく焼けると話題の人気アイテム。
「とにかくこれを使って肉や野菜を焼くのがソロキャンプの楽しみ。これでステーキとか焼いたら最高に美味いですよ。キャンプサイトでくつろぐだけでなく、アクティビティなど他に目的があるキャンプだと重いために優先度は下がりますが、まったりソロキャンプならこれが絶対的エースです」。
03. L.L.Beanのフィッシングベスト
’90年代前半のモデルながら非常に状態が良いこの一枚は、Color at Against の常連である友人からのプレゼント。収納力が高く、釣りをしないシチュエーションでも羽織っていると便利なんだとか。
「友人がタイのお土産で買ってきてくれました。すぐモノを無くしちゃうので、ポケットいっぱいのフィッシングベストは本当に助かります。小物なら何でもしまってしまえばギアの行方不明が大幅に減らせます。アレコレ詰め込み過ぎて壊しちゃったギアもありますけどね(笑)」。
食に自転車、アートまで、三者三様の楽しみ方を披露し、気ままなソロキャンプの魅力を体現してくれたお三方。ミニマルなパッキングにまとめつつも、趣味的アイテムは惜しまず持ち込むことで、ソロキャンプの楽しみを最大化していました。
仲間と行くキャンプも楽しいものですが、こだわりのギアを引き連れ自分だけの世界に浸るのもまた一興。この秋は、加速するソロキャンプ人気の理由を探る意味でも、しっぽり一人外遊びを体験してみてはいかが?
Photo/Takuma Utoo