アウトドアブランド「Marmot(マーモット)」は、「極寒の氷河でも快適に動けるギアがないなら、自分たちで作ってしまおう」というピュアなDIY精神がモノづくりの原点。防水透湿素材「GORE-TEX(ゴアテックス)」と世界で初めて手を組んだところから、本格的なスペックを、日常のスタイルへ落としこむ昨今の製品作りまで、Marmot(マーモット)の世界観と歴史を徹底解剖。

Marmot(マーモット)とは?

マーモット

1974年、アメリカ・コロラド州で誕生したアウトドアブランド「Marmot(マーモット)」。数ある名門アウトドアブランドのなかでも、そのルーツは少しユニークだ。はじまりは創業者が大学生のころ、氷河研究の授業をきっかけに結成した同好会「Marmot Club」に遡る。

決してビジネス目的でスタートしたわけではなく、「極寒の氷河でも快適に動けるギアがないなら、自分たちで作ってしまおう」というピュアなDIY精神がモノづくりの原点。既存の道具に満足できなかった彼らは、自らの手でウェアやスリーピングバッグをカタチにしていった。

現場でのリアルな実体験から生まれた、妥協のないプロダクト。そのブレない本物志向なスタンスが、創業から半世紀経った今も世界中のアウトドアマンを惹きつけている。

世界初。GORE-TEXとの運命的な出会い。

今やアウトドアギアの当たり前となった防水透湿素材「GORE-TEX(ゴアテックス)」。実は、世界中のアウトドアブランドのなかで一番最初にこの素材を採用したのはマーモットなのだ。

1976年、当時まだ無名だったゴアテックスのフィルムにいち早く目をつけた彼らは、マーモットらしい規格外のテストを敢行する。ゴアテックス生地で作った試作の寝袋を持ち込み、なんと業務用の巨大な「冷凍食肉保管庫」のなかで7日間も寝泊まりし、スプリンクラーの水を浴び続けたのだ。

極寒とずぶ濡れの環境下で、新素材の圧倒的なパフォーマンスを自らの体で証明すると、すぐさま自社の寝袋やウェアへの採用を決定。

無名の素材のポテンシャルを見抜き、いち早くプロダクトに落とし込んだこの決断が、アウトドアウェアの歴史を大きく前進させ、マーモット=「高機能で革新的」という確固たる地位を築き上げたのは言うまでもない。

NYストリートを熱狂させた「マンモス・パーカー」現象。

本格的な山岳スペックを追求してきたマーモットだが、2000年代のニューヨークでは予想外のムーブメントを巻き起こしている。舞台はストリートカルチャーの中心地、ブロンクスだ。

極寒地用に作られたダウンジャケット「Mammoth Parka(マンモス・パーカー)」が、なぜか現地のラッパーや若者たちの間で突如として大ヒット。その名の通りのボリューミーなビッグシルエットと、アウトドアブランドならではのビビッドなカラーリングがストリートの感性に刺さり、「Biggie(ビギー)」の愛称でまたたく間に彼らのステータスシンボルとして定着したのだ。

過酷な「山」を生き抜くためのハイスペックなギアが、遊び心たっぷりに着崩され、NYの「街」のカルチャーアイコンになる。この出来事は、マーモットのプロダクトが単なる実用的な道具の枠を超え、ファッションとしても強烈な魅力を持っていることを象徴するエピソードとして、今も語り継がれている。

街とフィールドを繋ぐ、自由な「遊びの道具」。

氷河での過酷なテストやストリートでの大ヒット。そんな独自の歩みを進めてきたマーモットが、50年以上にわたって根底に持ち続けているのは、創業時の「自由で独創的なフィロソフィー」だ。

彼らが「アウトドアこそが想像できる最高の遊び場」と掲げるように、現在のアイテムは自然のなかで自分らしく楽しむためのプロダクトが中心。本格的な山岳ギアで培った確かなテクノロジーをベースにしつつも、キャンプやフェス、そして日常で気兼ねなく使えるライフスタイルウェアへと絶妙なバランスで落とし込んでいる。

頼もしいスペックを備えつつも、決して堅苦しくなく、日常の延長としてサラッと着こなせる心地よさ。街とフィールドをシームレスに行き来できる懐の深さこそが、現代の外遊び好きから支持される理由なのだ。

毎回ハズレなし。「センス良すぎ」なコラボの数々。

マーモットが多くのファッション好きから一目置かれている理由のひとつに、コラボレーションの巧みさがある。これまでにも「Supreme(シュプリーム)」や「VAINL ARCHIVE(ヴァイナル アーカイブ)」、そして「BEAMS(ビームス)」など、ジャンルを問わず名だたるブランドやセレクトショップとタッグを組んできた。

驚くべきは、そのどれもが単なる「名義貸し」に終わらない、ハズレなしの完成度を誇ること。ベースとなるギアの機能性はしっかりと担保しつつ、インラインにはない絶妙なカラーパレットや、今の気分にフィットする素材・シルエットへのアップデートがとにかく秀逸なのだ。

次はどこと組んで、どんな一着を見せてくれるのか。そんなワクワク感を常に提供してくれるのも、自由なフィロソフィーを貫くマーモットならではの魅力といえる。

押さえておきたい、マーモットの傑作たち。

本格的なスペックを、日常のスタイルへ。歴史あるアーカイブから定番まで、ここからはマーモットを象徴する名品をいくつか紹介する。

NYの熱狂を現代に語り継ぐ、マンモスダウンパーカ。

マンモスダウンパーカ

Mammoth Down Parka(マンモスダウンパーカ) ¥55000

1970年代中期、マーモットが世界で初めてGORE-TEXを製品化した際のモデルが、この「All Weather Parka」だ。当時のクラシックなディテールを忠実に再現しながらも、シルエットは今の空気感に合うようモダンに調整されている。

素材には、環境に配慮したリサイクルポリエステルと、軽量でしなやかな「GORE-TEX PACLITE」テクノロジーを採用。防水・透湿・防風という最高峰の機能を備えつつ、ゴワつきのない軽やかな着心地を実現している。

まさにブランドのアイデンティティを体現する一着。雨天時の心強い味方としてはもちろん、季節の変わり目のライトアウターとして、一年を通して出番が多くなりそうだ。

WINDSTOPPER×ダウン、トグナダウンパーカ。

トグナダウンパーカ

Toguna Down Parka(トグナダウンパーカ) ¥44000

1990年代に人気を博した“Parbat Parka”をベースにしたダウンジャケット。タウンユースからアクティビティまで幅広いニ ーズに応えるデザイン性とスペックを兼ね備えたオールラウンドなアイテム。

こちらは30デニールの仮撚りナイロン66糸を使ったストレッチ性のある平織り組織の生地に、GORE社のWINDSTOPPERメンブレンを貼り合わせた2層素材となっている。

高い防風性、優れた透湿性と耐水性を備えたWINDSTOPPERテクノロジーを使用し、750Fill Powerのダウンを充填して現代的にアップデート。ロフトを調整し、ウォーム感はそのままに非常に軽くタウンでも着やすいシルエットだ。

軽快さと暖かさを両立した、750FP プライムダウンジャケット。

750FP プライムダウンジャケット ¥19800

20デニールのナイロン生地に750フィルパワーの撥水ダウンを詰め込んだ、実力派の一着。ダウンパックを省いた二層構造を採用することで、ダウン特有の着膨れを抑えたスッキリとしたシルエットを実現している。

撥水ダウンが水濡れによる保温低下を防いでくれるため、天候が不安な日も安心。ボリュームを抑えた作りは、メインのアウターとしてはもちろん、シェルの下に忍ばせるインナーダウンとしても重宝する。スタッフサック付きでコンパクトに持ち運べるので、荷物を減らしたいキャンプや旅の相棒にも最適だ。

最先端とクラシックが交差する、キメラ ジャケット。

キメラ ジャケット ¥37400

ブランド独自の防水・超通気素材を採用した、次世代シェルのフラッグシップモデル。その特徴は、雨を弾きながら衣服内の熱気をダイレクトに逃がす、圧倒的な蒸れにくさにある。

3層構造の本格派シェルながら、270gという驚きの軽さを実現。何度も試作を繰り返して辿りついたという絶妙な厚みの生地は、ライトウェイトでありながら、羽織った瞬間に安心感を与えてくれる。また、経年劣化に強い素材選びがなされており、タフに使い込めるのも道具として嬉しいポイントだ。

スペックは極めて現代的だが、配色はアーカイブから引用したクラシカルな装い。最先端の機能をあえてレトロなムードで着こなす、そんな大人の遊び心を体現した一着といえる。

まーもっとのスタンダードダウン、プライムダウンジャケット。

750FP Prime Down Jacket(750フィルパワープライムダウンジャケット) ¥19800

750FP Prime Down Jacket(750フィルパワープライムダウンジャケット) ¥19800

防寒アウターとしてだけでなく、インナーダウンとしても活躍する、マーモットのスタンダードダウン。防水性の高い20デニールナイロン生地と750Fill Powerの撥水ダウンを組み合わせたダウンジャケットで、ダウンの水濡れを防いで保温性を確保してくれる。

スマートに冷気を遮る、750FP プライムダウンパンツ

750フィルパワープライムダウンパンツ

750FP プライムダウンパンツ ¥18480

ジャケット同様、20デニールの防風ナイロンと750フィルパワーの撥水ダウンを組み合わせた、下半身の守護神。ダウンパンツにありがちな着膨れ感を抑え、スッキリとスマートに見えるシルエットに設計されている。

撥水加工を施したダウンは水濡れに強く、雪や結露で湿りがちな冬のテントサイトでも安定した保温力を発揮。裾にはアジャスターを備えており、シューズに合わせて冷気の侵入をシャットアウトできるのも心強い。

スタッフサックに詰めればコンパクトに持ち運べるため、冬キャンプや天体観測、冬フェスなどの「もしも」の防寒着としてバッグに忍ばせておきたい。

冬の足取りを軽くする、アクトイージーパンツ。

アクトイージーパンツ

アクトイージーパンツ ¥14850

秋から冬にかけてのフィールドで真価を発揮する、中厚手のトレッキングパンツ。縦横に伸びる4WAYストレッチ素材を採用しており、足上げがスムーズでとにかく動きやすいのが自慢だ。

表地には優れた撥水性を備え、裏地には保温性の高い起毛トリコットを配置。しっかりと暖かさをキープしながらも、着膨れを感じさせないスッキリとしたシルエットに仕上げている。

冬の低山歩きからハイキング、キャンプまで、寒い季節の外遊びにはこれ一本あれば事足りる。ウエストのサイズ調整が容易なバックルベルト仕様も、地味ながら使い勝手の良さを後押ししている。

創業の地を冠した新定番、パーテックス ジャンクション パンツ


パーテックス ジャンクション パンツ ¥13200

マーモット創業の地であるコロラド州の街「グランド・ジャンクション」へ履いていくパンツ、という遊び心あるコンセプトから生まれた一着。軽量で耐久性に優れた機能素材「PERTEX UNLIMITED」を採用している。

最大の特徴は、テクニカルな素材でありながら、コットンのようなナチュラルな風合いに仕上げている点。ワイドなシルエットと相まって、山向けのウェアというよりは、旬なストリートパンツのような佇まいを見せる。

独自の撥水加工により急な雨にも対応しつつ、街着としてのファッション性も文句なし。まさに「山と街」を境目なくシームレスに繋いでくれる、ブランドのスタイルを象徴するアイテムだ。

クラシックな顔立ちの機能派、マーモットロングビルキャップ

マーモットロングビルキャップ ¥5280

絶妙な長さのツバが目を引く、人気ロングビルキャップの秋冬モデル。90年代のデザインを踏襲しつつ、現代的なシルエットへとアップデートした。

デザインだけでなく、使い勝手も抜かりない。内側の汗止めテープには吸汗速乾素材を配し、取り外し可能なあご紐も備えるなど、フィールドでの実用性をしっかり確保。さらにツバの芯地が柔らかく、折り畳んでポケットやバッグに収納できるのも大きな魅力だ。

シンプルな着こなしのアクセントとしてはもちろん、日差しの強い冬の低山やキャンプサイトでも、その機能性が存分に活きるはず。

CORDURA生地を採用したマーモットショルダーポケット。

マーモットショルダーポケット

Marmot Shoulder Pocket(マーモットショルダーポケット) ¥3520

スマートフォンや財布といった最小限の持ち物を入れられるポケットのようなミニバッグ。CORDURA生地を採用しており耐久性もバッチリ。撥水加工されているので多少の雨にも対応可能。

FAQ

Q. サイズ選びのポイントは?

アイテムによってシルエットが大きく異なるため、実寸の確認を推奨する。特にマンモスダウンパーカのようなアーカイブモデルは、当時のオーバーサイズな着こなしを再現しており、ゆとりのある設計になっている。

まずは自分がどう着こなしたいかをイメージし、各商品ページの身幅や着丈をチェックするのが確実だ。

Q. どこで買える?

新作のフルラインナップを確実にチェックするなら、公式オンラインストアの活用がスムーズ。現在、国内の直営店は数店舗に限られているものの、全国のセレクトショップやアウトドア専門店で広く取り扱われている。

話題のコラボモデルは各コラボ先の店舗で販売されるケースも多いため、公式SNSと併せてこまめに情報を追っておきたい。

Q. 破れたり壊れたりした場合、修理はできる? 

修理の受付にはいくつか条件がある。まず、製品の内側にある品質表示タグに「株式会社サードシップ」と記載があり、かつ「購入から2年以内」のアイテムであることが基本ルール。公式オンラインストアでの購入分は公式サイトのフォームから、それ以外の店舗で買った場合は購入店への相談となる。

なお、以前のライセンス元である「株式会社デサント」の記載がある旧アイテムについては、デサントのお客さま相談室へ直接連絡する必要があるため注意したい。