
東京は世田谷の豪徳寺に店を構える「Nerdy Dogs™︎(ナーディードッグス)」は、アウトドア古着を軸にした古着店だ。店内に並ぶアイテムのほとんどが古着で、パタゴニアをはじめ、シャツ、バッグ、ショーツまで、街で着たいアウトドアウエアがぎっしり詰まっている。

この店のおもしろさは、アウトドア古着をひとつのジャンルとしてきちんと深掘りして見せているところだ。シャツ、ショーツ、バッグとカテゴリをまたぎながら、年代やサイズ、色の違いまで含めて並んでいるから、最初から狙っていたものだけでなく、「これもアリかも」と思える一着に出会える。
今回は、そんなNerdy Dogsを訪ねて、アウトドア古着にたどり着いたルーツと、店づくりのこだわりなどを聞いてきた。
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アウトドア古着に振り切って、“古着屋をちゃんとやる”。

Nerdy Dogsを始めた2人は、もともと大手セレクトショップ出身。古着好きとして店を巡るうちに、次第に惹かれていったのがアウトドア古着だったという。
独立のきっかけになったのは、コロナ禍で立ち止まる時間ができたことだったそうだ。このまま同じ働き方を続けるのではなく、自分たちが本当に好きなものを、自分たちのやり方で見せたい。その思いが、店を始める流れにつながっていった。
ただ、やるなら曖昧にはしたくなかった。新品の服を扱ってきたからこそ、古着店をやるなら古着屋として腹をくくる。その意識が最初から強くあったようだ。いま店内のほとんどを古着が占めているのも、その考え方の延長線上にある。
そんな秋元さんは、雰囲気も話し方もやわらかい。古着に詳しい人はもちろん、古着ビギナーでも、気になることを聞きながら安心して買い物を楽しめる、そんな空気も持ち合わせていた。
下北沢でもなく、何もない場所でもなく。豪徳寺は“ちょうどいい街”だった。

店を出す場所として豪徳寺を選んだのは、最初からこの街に特別な縁があったからではないという。けれど、古着店をやるなら、店が密集しすぎたエリアではなく、人の往来がそれなりにあるバランスの良い立地が良い。そう考えたときに、豪徳寺の雰囲気とアクセスのちょうど良さがハマった。

実際、オープンしてから街との相性はかなりよかったようだ。古着店は少しずつ増えてきているものの、街の空気はまだ落ち着いている。せかせかせず、ひとつひとつのアイテムをじっくり見て回る、そんなことができる雰囲気だ。
実際に足を運んでみて、人通りも多すぎないせいか、お店に入るときもまわりが気にならない。かわいい犬の看板も、ビギナーには優しく感じる要素か。「古着屋って少し入りづらいかも」と身構えずに立ち寄れる空気があった。
「Nerdy」に込めたのは、掘ることを楽しむ「オタク」な姿勢。

店名の「Nerdy Dogs™︎(ナーディードッグス)」には、犬好きであることと、「ナーディー=オタク」であれ、というテーマが重ねられているという。
アウトドア古着のおもしろさは、見た目の良さだけでは完結しない。古いカタログを読んだり、年代ごとの違いを調べたり、細かな仕様の意味を知ったり。そうやって少しずつ理解が深まっていく、「オタク」なところまで含めて、このジャンルの楽しさだと2人は考えている。
物量で見せる店内。ディグる楽しさもこの店の魅力。

Nerdy Dogsの店内に入ると、まず圧倒されるのが物量だ。ラックも壁面も棚も、なるべく隙間をつくらない。さっと一周して終わるというより、あちこち見ながら時間をかけて物色せざるをえない、そんな気分にさせてくれる。

そうした見せ方のルーツは、2人がアウトドア古着にのめり込むきっかけになった店で、内装も含めてかなり影響を受けていると話していた。
“これもアリかも”が見つかる、Nerdy Dogsの陳列スタイルとおすすめアイテム。

一点モノをぽつんと置くのではなく、同じジャンルの中に年代やサイズ、カラーバリエーションまで含めて幅を持たせて並べているNerdy Dogsのレイアウト。だからこそ、気になる一着のまわりを見ていくうちに、思わぬ掘り出し物に出会える。そうやって自分にハマるものが見つかるのが、この店のおもしろさだ。
そんなアイテムのなかから、オススメアイテムを聞いてみた。
まず見たいのは、ラック1本分で展開するExOfficioのシャツ。

秋元さんがとくに推しているのが、シアトル発の「ExOfficio(エクスオフィシオ)」。なかでも見てほしいのが、ブランドを象徴するシャツ全般だという。

ExOfficio(エクスオフィシオ)/ シャツ ¥15180
ひとつピックアップしてもらったものは、フロントにマチ付きポケットが2つ並び、ベンチレーションや袖をまくれるギミックも備えているシャツ。アウトドアシャツとしての機能を持ちつつ、シルエットや配色自体のクセも少ないのが特徴だ。
コロンビアのPFG(フィッシングに特化したライン)のような“わかりやすい機能シャツ”に比べると、ExOfficioはもう少しニュートラル。そのぶん、ファッションとして取り入れやすい。
シャツ1枚ではどんなブランドなのかわからない。だからこそ、ブランドの世界観が伝わるように、ラック1本分をほぼ同ブランドでまとめて、面で見られるようにしている。
原点はやっぱりパタゴニア。ショーツを若者に流行らせたい。

2人がアウトドア古着にハマる入り口にもなったパタゴニアは、いまも店の中心にあるブランドだ。ブームもあり、売上的にも大きな柱になっているという。

なかでも、店として強めに打ち出したいのがショーツ。ずらっと並んでいるのは、定番の「スタンドアップショーツ」で、年代によってシルエットやポケットの形状、位置など仕様の違いを比べてみられるのも、この物量があるからこそだ。

アウトドアショーツはとにかく気楽で、街でもそのままはきやすい。その良さをもっと若い世代にも知ってもらって、流行らせたい、と秋元さんは言う。
バッグもウエアも自らリペアして、次の人の手に。

「実は個人的に、服以上に好きなのはバッグなんですよね」と秋元さん。そう話すだけあって、店内にはバックパック類も多い。
古いアウトドアバッグは、内側コーティングの劣化がネックになりやすく、扱いに慎重になる店も少なくない。けれどNerdy Dogsでは、そのコーティングを丁寧に剥がし、これからも使える状態まで整えたうえで店頭に並べているという。
そうした手間を惜しまないのは、古着をファッションとして提案する店だからこそ。見た目だけでなく、実際に使える状態で送り出すところまで含めて、この店のスタンスが表れている。

その姿勢はバッグだけに限らない。店頭のウエアにもリペアが施されたものがある。聞けば、その技術は独学で身につけたそうだ。古着をただ並べるのではなく、手をかけて次の人につなぐ。その向き合い方にも、Nerdy Dogsらしさがにじんでいた。
現状維持ではなく、もっと“ハードコア”な店へ。

Nerdy Dogsは、今年で3年目。今後の展望について話を聞いてみると、まだ現状維持を口にするには早いかな、と秋元さん。むしろ、もっとハードコアに、もっと濃いラインナップにしていきたいという思いが強いらしい。
ビッグブランドだけでなく、あまり見たことのないセカンドブランドや、埋もれているアウトドア古着ももっと提案していきたい。より攻めたお店にしていきたいという話からは、まだまだ店が完成形ではなく、これからも面白く、独自色を濃くしていく段階にあることが伝わってきた。
豪徳寺で腹ごしらえするなら、「代一元 山下店」で決まり。

最後に、この辺でおすすめの店を聞くと、向かいの老舗「ピコンバー」や、「代一元 山下店」、「旬菜魚 いなだ」といった名前が挙がった。今回はそのなかから、町中華の「代一元 山下店」へ足を運んでみた。

注文したのは麻婆麺と餃子。麻婆麺は、ピリッと辛さの効いたあんがしっかり麺に絡み、挽き肉と豆腐もたっぷり。ただ辛いだけでなく、旨みと食べ応えに大満足だった。

そして餃子。パンパンに詰まった餡は、ゴロッとした肉の食感と野菜のシャキシャキ感がどちらも残っていて、満足感はしっかり。店内には昼から一杯やっているお客さんの姿もあって、この餃子ならたしかにビールを飲みたくなる。
Nerdy Dogsで古着をディグり疲れたあとは、代一元でエネルギーチャージ。そんな流れが、王道コースになりそうだ。
豪徳寺で、アウトドア古着をちゃんと掘れる店。

Nerdy Dogsを見ていると、アウトドア古着は“昔の山服”ではなく、いまの気分で着られる服として生きているのだと感じた。だからこそ、古着好きにも、アウトドアマンにも、それぞれ異なる入り口で引っかかるのだろう。
豪徳寺は、地域に根ざした個人店や飲食店をのんびり巡るのが似合う街だ。Nerdy Dogsも、そんな空気のなかでふらっと立ち寄りたくなる一軒。古着をディグった流れで、気分よく昼ごはんや一杯まで楽しみたい。そんな日に、足を運んでみてはどうだろうか。
◼︎Nerdy Dogs™︎(ナーディードッグス)
住所:東京都世田谷区豪徳寺1丁目45−2
Open:12:00〜20:00(定休日なし)
tel:03-6413-1893
Instagram
@nerdy__dogs
※Instagram記載の商品に関する通販、質問はDMにて問い合わせ可能
