日常の機能服の店、BLACK BRICKに訪問。ガチスペックなのに街でも着られるアイテムが揃っていた。

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JR・京王井の頭線「吉祥寺」駅北口から徒歩3分ほど。レンガ造りの建物の1階に店を構える「BLACK BRICK(ブラックブリック)」は、アウトドア好きのあいだで“わざわざ行きたくなる店”として知られる存在だ。

吉祥寺の「BLACK BRICK」
吉祥寺駅北口から徒歩約3分。ヨドバシ裏のレンガビル1階に店を構える「BLACK BRICK」。

コンセプトは「日常の機能服」。登山やハイキングで頼れる機能性を持ちながら、街でも違和感なく着られるウェアとギアを軸に、ガレージブランドからオリジナルアパレルまで独自のセレクトを展開している。

今回は、そんなアウトドア好きなら一度は行ったことがある・行ってみたい「BLACK BRICK」で、ブランドプロデューサーのコバヤシミネユキ氏に話を伺った。ガレージブランドとオリジナルが自然に混ざり合う独特のバランス感について、改めて紐解いていく。

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アンティーク什器と“らしい”グラフィック。BLACK BRICKの空気感。

吉祥寺の「BLACK BRICK」
「このテーブルなんかは、持ち上げようとすると腰をやるレベルで重い(笑)。オープン当初からずっと使っている、店の歴史の一部ですね」とコバヤシさん。

店内に足を踏み入れると、まず目に入るのは古いミシン台の足を再利用したテーブルやヴィンテージのミラーなどインダストリアルな什器類。だが、実際は無骨すぎず、どちらかといえばポップで入りやすい不思議な空間だ。

それを表現しているのは、壁面に配されたグラフィック。イラストレーター”苦虫ツヨシ”氏の手がけるイラストやロゴが、BLACK BRICKらしさを空間ごと演出している。

吉祥寺の「BLACK BRICK」

ラックには山シャツやソフトシェル、パンツに加え、ザックや帽子、小物類までがバランスよく並ぶ。山・ラン・街が自然につながるレイアウトは、店内をぐるりと見て回るだけでも楽しい。

“ここでしか見られないもの”を集めた、日常の機能服の拠点。

吉祥寺の「BLACK BRICK」
“日常の機能服”というコンセプトを掲げる、ブランドプロデューサーのコバヤシミネユキさん。

そんなBLACK BRICKがオープンしたのは2016年。

オープン当時は、ガレージブランドのアイテムを扱うセレクトショップはほとんどなかった。「ここでしか見られないとか、個性があるものを扱いたくて。そういうのが見られるお店っていうのが、その当時はほぼなかった」とコバヤシさん。そんな思いからスタートしたのが、日常の機能服を集めたセレクトショップ「BLACK BRICK」だ。

機能性はもちろん、街着としても成立するデザイン性。その両方を満たすアイテムだけを集めていった結果、自然と “日常の機能服” というコンセプトに行き着いた。

アウトドアフィールドだけで完結しない。山からそのまま街に下りても違和感がない。そんなバランス感覚こそが、BLACK BRICKの原点になっている。

RawLow Mountain Worksを軸に、山好きが頼りにするブランドがそろう。

吉祥寺の「BLACK BRICK」

ガレージブランドのセレクトは、いまもBLACK BRICKの大きな柱だ。

なかでも、オープン初期からの“看板ブランド”的な存在が、RawLow Mountain Works(ロウロウマウンテンワークス)。

吉祥寺の「BLACK BRICK」
ロウロウマウンテンワークスのバックパックやサコッシュがずらり。モデルやカラーを実際に見比べられる。

店内の一角には、ロウロウの人気モデルがザックから小物までずらり。ものによっては、WEB上で探すよりも充実しているだろう。ロウロウをここまでしっかり見られるお店は、都内では他にない。

容量や用途の違うモデルを実際に背負い比べたり、荷物量やスタイルに合わせた提案を受けられるのは、リアルショップならでは。ハイキング用のザックを探している人には、まずここを覗いてほしい。

吉祥寺の「BLACK BRICK」

Niho / 偏光サングラスNH-103(ボストン) ¥14300

一方で、「最近のブランドで、おもしろい存在」として紹介してくれたのが、サングラスブランドの「niho(ニホ=二歩の意)」。

nihoは、元メガネ業界出身のディレクターが手がける国産ブランドで、レンズからフレームまでオリジナルで設計。ノーズパッドのフィット感を細かく調整できる構造や、雪山でも使える特許技術のサイドシェード一体型フードコードなど、アイデアが詰まっている。

吉祥寺の「BLACK BRICK」
サイドシェードは使用時にはロックがかかり、外れない仕様になっているのが特徴的。

普段からかけていても違和感を感じさせないデザインや、光の侵入を極力カットするサイドフード構造などによるかけ心地の良さは、山行だけでなく日常使いもしたくなる。BLACK BRICKとしても、これから広く認知させていきたい存在なのだと感じた。

吉祥寺の「BLACK BRICK」

(中央)Rainadole Works / Lichen 25L ¥23100

さらに、コバヤシさんがユニークな存在として挙げてくれたのが、Rainadole Works(レイナドールワークス)

吉祥寺の「BLACK BRICK」
ボディ中央には、真横に配されたジップが。これまでのバックパックにあるようでなかった特徴だ。

きこり出身の夫婦が、いまはバンライフを送りながら全国を旅してものづくりを続けているブランドで、生産効率よりも“自分たちらしい表現”を大事にしているのが特徴だ。

BLACK BRICKには、作り手のライフスタイルや哲学がにじむブランドがセレクトされていて、量産品とは違う温度感に惹かれる。

吉祥寺の「BLACK BRICK」
ミニマライトやNruc(ヌルク)など、小物類も“日常の機能服”の延長線上でセレクト。

そのほか、財布やパンツでおなじみのミニマライト、都内では取り扱いの少ないNrucなど、“知るとハマる”小物系ブランドも並ぶ。ザック、財布、サングラス……と、一式ここで揃えてしまう常連も多いという。

グラフィカルなオリジナルアイテムも、BLACK BRICKらしさ満載。

吉祥寺の「BLACK BRICK」
苦虫ツヨシ氏のグラフィックを使ったオリジナルアイテムも人気。日常づかいの小物はアクセントになる。

こうしたブランドセレクトに加えて、BLACK BRICKはオリジナルアイテムも充実。ショップの世界観を象徴する存在になっているのが、イラストレーター・苦虫ツヨシ氏のグラフィックを使ったプロダクトだ。

独特のタッチで描かれるキャラクターやロゴが、マグやバッグ、小物類などに落とし込まれていて、店内でも思わず目を引く。アウトドアギアというよりは、日常で気軽に使える雑貨が多い。

ギアやウエアを買うつもりで来たのに、気づいたらグラフィック小物をレジに持って行ってしまう——そんな“ついで買い”を誘うのも、このオリジナルアイテムの役割かもしれない。

オリジナルアパレルは、“生地からつくる”。

吉祥寺の「BLACK BRICK」

さらに近年のBLACK BRICKが力を入れているのがオリジナルアパレル

コバヤシさんが20年以上アパレル畑でモノづくりに携わってきたバックボーンを生かし、既製生地を買うのではなく、糸の配合や組成から考える“生地からつくる服”を展開している。

ラインナップは、山にも街にも振れるメリノウールのシャツを軸に、同素材を使ったバンドカラーシャツやキャップなど。なかでもショップの顔になっているのが、「Tech Merino(テックメリノ)」シリーズだ。

山と日常をつなぐ“テックメリノ”は秀逸。

吉祥寺の「BLACK BRICK」

BLACK BRICK / Tech Merino Shirt ¥28600

テックメリノシャツは、日本有数のウール産地・尾州のメーカーで織り上げたメリノウール100%のオリジナル生地を使用。ドレッシーで繊細な表情ながら、程よいハリとコシがあり、耐久性にも優れたファブリックだ。

メリノウール本来の吸放湿性や防臭性に加え、防シワ性・マシンウォッシャブルといった扱いやすさも備えているのがポイント。洗濯機で洗ってそのまま干しても、アイロンいらずで着られるように設計されている。

吉祥寺の「BLACK BRICK」
尾州産メリノウール100%生地を使用した、BLACK BRICKオリジナルの「Tech Merino Shirt」は、山シャツとしても街のアウターとしても使える、“日常の機能服”のど真ん中。

シルエットは、山シャツとしてレイヤリングしやすく、街でもサラッとキマる絶妙なゆとりで、チェックやストライプといった一見クラシックな柄も、配色やトーンで“BLACK BRICKらしい”ニュアンスに仕上げられている。

メリノTの上からテックメリノのシャツを羽織れば、山では温度調整用の一枚として、街ではシャツジャケットとしてそのまま使える。

同素材を使ったバンドカラータイプや、ロングブリムキャップなども展開していて、「テックメリノの生地を軸に、頭から上半身までまとめる」といった楽しみ方もできる。

ほかにも、メリノウール×COOLMAX®素材の涼風山シャツなど、生地から目的や機能にアプローチできるのはBLACK BRICKの強みだ。

ポップアップで地方へ。“リアル”で出会える場を増やしていく。

吉祥寺の「BLACK BRICK」

オンラインストアも運営しているBLACK BRICKだが、ショップとして大事にしているのは、やはりリアルなコミュニケーションだ。

近年は、国内のアウトドアイベントへの出店に加え、地方でのポップアップも積極的に行っている。吉祥寺の店舗だけでなく、各地でBLACK BRICKらしいセレクトに触れられる機会を少しずつ増やしているのだ。

吉祥寺の「BLACK BRICK」

ポップアップは、その街との相性やお客さんの反応を知る場にもなっていて、今後の多店舗展開を考えるうえでも重要な取り組みになっているという。

買い物後は、生麺フォー「チョップスティック」で腹ごしらえ。

吉祥寺の「チョップスティックス」

「この辺で好きなお店ありますか?」と聞いてみたら、コバヤシさんが真っ先に教えてくれたのが、ベトナム屋台料理店「チョップスティック 吉祥寺店」

BLACK BRICKから徒歩1分、駅方面に歩いたところにあり、飲み屋や食堂がひしめく“夜の街の名残”が色濃いエリアに店を構えている。せっかくなので、取材帰りにそのまま足を運んでみた。

吉祥寺の「チョップスティックス」
モチモチの生麺とやさしいスープが印象的だった、生麺フォー。越南鶏飯(コムガー)も絶品。

扉を開けると、ベトナムの屋台を思わせるほどよい雑多感。名物の生麺フォーと越南鶏飯(コムガー)のセットを頼むと、モチモチの麺にやさしいスープがよく絡む。「フォーってこんなに美味しかったっけ?」と思ってしまうほど。

BLACK BRICKでギアやウエアを物色して、チョップスティックで腹ごしらえ。そのまま近くの飲み屋で一杯ひっかける。そんなハシゴのしかたが、このエリアの楽しみ方としてちょうどよさそうだ。

山にも街にも着ていける一枚は、吉祥寺ヨドバシ裏のBLACK BRICKで。

吉祥寺の「BLACK BRICK」

山で頼れる機能と、街で浮かないデザイン。その両方をちゃんと欲張りたい人にとって、BLACK BRICKはベストなショップだ。

ファッショナブルで機能的なザックに、テックメリノのシャツを一枚。差し色にビビッドなオリジナル小物を取り込めば、日常の装いもフィールド目線でアップデートできるはず。

吉祥寺に行く用事ができたら、ヨドバシ裏まで足を伸ばして、「次の相棒になりそうな一着」を探してみてほしい。

■BLACK BRICK

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-22-5 サンウッド吉祥寺フラッツ101(吉祥寺駅北口徒歩約3分)
Open:平日 12:00-20:00 / 土日祝 11:00-19:00
tel:0422-27-5056
Online Shop
black-brick.jp
Instagram
@blackbrick_official

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Yuhei Tokimatsu
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