本格的な装備で登山をしたり、ULスタイルでロングトレイルをするのもいいけど、もっと気軽にアソビの延長で“歩く”ことを楽しみたい。
そんなユルさ溢れるテーマでスタートしたGO OUT遊歩倶楽部だけど、もちろん歩く場所は、山だけに限らない。
ということで、第4回目の舞台は海に浮かぶ孤高の僻地、無人島! はたしてどんな冒険が待っているのか?
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横須賀の「三笠ターミナル」に集合!

辻井国裕(office borshch PRディレクター)PRオフィス、ボルシチの代表。登山、自転車、パックラフトなど趣味も多彩。
カエデ(週末登山女子YOU TUBER)アウトドアメーカーで勤務する傍ら、YouTubeチャンネル『山歩きJP』で創作活動や登山を楽しんでいる。
松尾 慧(TEENY RANCH PR)国内外のブランドのPRするティーニーランチに所属。ライターとしても活躍中。
キャン(GO OUT CAMPクルー)GO OUT CAMPのボランティアリーダー。富士登山のツアーガイドの資格も持つ。遊歩倶楽部の初代部長。
当日の朝に集合したのは、横須賀中央駅から徒歩15分ほどで到着する「三笠ターミナル」。そして今回のメンバーは、キャンさん&辻井さんコンビに加え、PRオフォス、ティーニーランチの松尾さんと、『山歩きJP』として活動するカエデさんの4名。
キャン「どんな冒険になるかわからないけど、よろしくお願いします!」
辻井「無人島って、その響きだけでワクワワクしますよね」
カエデ「山は歩くけど、島はあまり行かないので楽しみです!」
松尾「ジブンも無人島は行ったことないかも。しかもこんな近くにあるんですね」
遊歩するのは、東京湾に浮かぶ無人島「猿島」。

無人島に行くのに、横須賀? なんて思ったヒトも多いのでは? じつは今回の舞台は、東京湾で唯一の自然島となる「猿島」。
南北約450m、東西約200m、周囲約1.6kmと、かなりコンパクトな無人島だけど、幕末から太平洋戦争の時代にかけて、東京湾の防衛拠点として機能してきた歴史を持つ。

現在は「猿島公園」として横須賀市が管理し、三笠ターミナルからフェリーで上陸することができる。そして島内を自由に散策することが可能。
ちなみに、三笠ターミナルに隣接する三笠公園には、現存する世界最古の鋼鉄戦艦「三笠」が展示保存されている。そちらも必見!
フェリーに乗り込み、いざ無人島へ!

ということで、まずはターミナルでチケットを購入。島への入園料は500円で、フェリーの乗船料(往復)が1500円。横須賀市民は、少しだけリーズナブルに利用することができる。

フェリーは毎日運行され、1時間に1本出ているが、運行状況は天候によって変わるので、訪れる際はHPで事前にチェックしておきたい。
そして11月から2月末までの冬季ダイヤは、島から帰る最終便が16:00になる。たっぷり遊びたいなら、早めの時間に上陸したほうがよさそうだ。

三笠ターミナルは、「猿島ビジターセンター」が併設され、待合所と共にスーベニアアイテムが並ぶお土産コーナーも。
出港までちょっと時間があるため、店内を物色する4人。2階には猿島の歴史を学べる展示スペースもあった。
猿島の別名は「ペリーアイランド」?

猿島を往復するフェリーは、黒船を連想させるアトラクション風味のルックスだけど、船名も「ニュークロフネ」。
浦賀がある横須賀だけに? と思うなかれ。じつは猿島は、ペリーが来航したときに、本人自ら「ペリーアイランド」と、(勝手に)命名した史実があり、黒船と関わりが深い。
桟橋の奥にチラ見えしているのが、日露戦争で活躍した戦艦三笠。艦内は歴史博物館になっているそう。


早速、チケットを手に意気揚々と、現代の黒船に乗り込む遊歩メンバー。9時半出港の始発便に乗ったけど、すでに船内は多くのお客さんで賑わっていた。
平日でこの調子なら、休日はかなりの混雑が予想されるはず。もしかして猿島って、人気の観光スポット?


ちなみに乗船時間は、わずか10分ほど。それでも、甲板に出ると秋の海風が心地よく、ちょっとした旅気分を味わえる。
対岸からでもハッキリ見えるほど近い島だけど、間近に迫るとゴツゴツした岩肌も見えて、なかなかの迫力。俄然、冒険心を掻き立てられる。

あっけなく到着してしまったけれど、島に上陸する瞬間は、いつだってワクワクするもの。4人もテンション高めで船を降り、いざ猿島散策へ!
猿島に上陸! はたして、どんな冒険が?

港から島内までは桟橋が設けられているが、英文字のゲートもあり、ちょっとしたテーマパークのような雰囲気。
猿島は釣りのスポットとしても人気らしいが、桟橋から海を覗くとかなり透明度が高い。イワシの大群や大きなクロダイの姿も見ることができた。

島内に入ると大きなデッキがある「猿島ウェルカムセンター」がお出迎え。ここは島の管理棟やレジャー用品の「レンタルショップ」などもある。
辻井「思ったより無人島感がないですね。張り切って探検家スタイルで来たんですけど……」
キャン「観光地として、しっかり整備されていますよね(笑)。でも見所は多そう!」

そして島の歴史や名所を説明した看板を発見。古くは江戸時代に、日本で初めて砲台が設置されたという猿島。旧日本軍の軍事施設も残されている。
そうした国指定史跡を見ることができ、現在は日本遺産にも認定されているそう。無人島だけど、手付かずの自然が満載、というわけでもなさそうだ。
島全体が要塞? そこはラピュタの世界だった。


ということで、島の奥地へと足を進める4人。しっかりと整備された歩道を登っていくと、ほどなくして、旧要塞施設が並ぶ、切り通しのルートに到着した。


両側が石壁や煉瓦で高く覆われた塁道があり、岩壁を深く掘り込んで兵舎や弾薬庫が作られているが、それは島の外部から人工物が見えないようにするため。明治時代に島全体を要塞化したらしい。

建設当時から140年ほど経っている遺構も多く残っているが、長い年月を経て草や木の根に侵食されている。
木漏れ日のなか、静かに佇む苔むした要塞跡は、まさにジブリ映画の『ラピュタ』の世界。圧倒的な非日常感を味わえる。

カエデ「神秘的な空間ですね。ホントにジブリっぽい!」
松尾「確かに……。バルスって言ったら、石壁が壊れそう(笑)」
島の中心部、レンガ造りのトンネルへ。

ジブリの世界を堪能した4人の先には、煉瓦造りの古いトンネルが待ち構えていた。
ここは島を代表する名所のひとつ、通称「愛のトンネル」。名前の由来は、内部が薄暗いため、カップルで訪れると自然と手をつないでしまうことから。


しかし、実際に入ってみると、そこまで暗くなく、煉瓦の壁とアーチ状の天井がほどよくライトアップされ、なかなか幻想的。
トンネルの幅は4メートルで、全長は約90メートル。そんなに長くないけど出口が見えにくいのは、見通しがいいと敵に見つかりやすいから。あえて歩道に高低差が作られている。

通称にちなんで、仲良く手を繋いでトンネルから出てきた4人。もはや完全に猿島観光を楽しんでいるようだが、たまにはこんな遊歩もあり!
無人島らしい自然も満喫!


それでも、トンネルを抜けると、そこはちょっと無人島らしい自然が広がっていた。緑に埋もれつつある砲台跡を見学したり、その先に広がる海原を眺めたり、島内散策は続く。

こちらの大きな砲台跡の先に、猿島の由来となる鎌倉時代の逸話に登場する「日蓮洞窟」があるらしい。残念ながら現在は、台風の影響で通行禁止になっていた。


そして島の最深部ともいえる、北東端の広場に到着。ここは、いままでの要塞感がない開放的な空間。東京湾を行き交う工船や、その先に広がる房総半島を一望することができる。
開放的なスポットで、遊歩トークを交えてチル。

ピクニックテーブルも設置されていたので、ここで一旦休憩することに。観光地といえどもハイク装備の遊歩メンバーは、行動食やコーヒーもしっかりと持参。

なかでも辻井さんは、前回の天空ビーチに持参した“ブルーハワイ”に続き、またもや粋な遊歩メシを用意。もちろん今回も、メンバー全員から大好評。
辻井「ULショップのムーンライトギアが提案するトレイルフード、ムーンライトバターを持ってきました。パンはオーバカナルのバケットです」

4人とも登山好きなので、トークは自然と山のハナシに。そんななか、カエデさんは、毎回ハイクに持参するというメモ帳を見せてくれた。
カエデ「昨年、フランスの山を縦走したときのメモです。イラストも交えて、いろいろ記録を残しているんですよ。いつかzineにできたらいいなって」


キャンさんがゴープロで撮影したり、松尾さんが島内で撮影した写真をみんなでチェックしたり、緩やかにチルタイムが過ぎていく。
「無人島」というパワーワードに引っ張られ、当初はアドベンチャー気分で上陸した猿島だったけど、予想以上に観光ハイクになった今回の遊歩倶楽部。
そんななか、後半は無人島らしい外遊びにも挑戦!?
Photo/Fumihiko Ikemoto
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