高いデザイン性に使いやすいファンクションをプラスする日本発のバッグブランドAS2OV(アッソブ)。その人気におごらず進化を止めない魅力的なプロダクトの謎に迫るべく、代表の冨士松大智氏にお話をうかがった。
Photo/Shouta Kikuchi(Item),Kohei Shigematsu(Interview)
Table Of Contents : 目次
01. 機能とデザイン、そのバランスを追求。
「カバンばかりで、気がつけば21年ですね(笑)。バッグ作りをはじめた90年代もアウトドアブームだったので、グレゴリーとかマウンテンスミスといったブランドは特に人気がありました。そんな時代にスタートしたのがマスターピースだったので、“機能”と“デザイン”の融合というテーマは、基本として当時からずっと持ち続けています。
機能を追求したらデザインが制限されたり、デザイン重視だと機能が失われたり。このふたつは相反しがちだと思っているので、それをどうバランスをとるかをいつも考えています」
02. あくまでも街で使いやすいことが前提。
「例えば、ミルスペックの軍モノ、山専門のバックパック、プロ用のカメラバッグとか、目的がハッキリしているモノの方が参考にすることが多いかもしれませんね。ただ、ボクらの作るバッグは“街”をメインに使うので、ココをもっとこうしたら街で使いやすい、みたいなことをミックスしながら構築していくことが多いです」
03. オリジナルの3層生地、アンバイ テックス。
「2016年の秋冬からスタートした“アンバイ テックス”は、表のコーデュラ305Dのポリエステルに透湿防水フィルムを貼って、トリコット生地を重ねた3層(レイヤー)生地です。外からの水はシャットアウトして中からの空気は出す機能素材で、アウターなどに使われるような素材ですね。
ウエアに使われている3レイヤーの生地だと100Dなどの細い糸を使っているので、バッグとしては心許ない。そこで糸を太くして耐久性をもたせたのがアンバイ テックスです」
「じつは1年くらい前からずっと企画していて、最初のサンプルでは完全防水仕様ですべての縫い目の内側にシームテープを貼っていましたが、そうすると立体的な部分への縫製のハードルが高くなってしまい、デザインの自由度も制限されてしまうため、最終的には平面的なフロントポケットと、サイドポケットにだけ貼ることになりました。
ただし、生地自体が防水なので、普段の雨くらいなら心配ありません。雨が降った時に傘をさしていても、意外と背中のバックパックが濡れていたりしますが、そういった時も気にせず使ってもらえますね」
WATER PROOF CODURA 305D DAY PACK ¥34560
アッソブ独自の透湿防水素材アンバイ テックス、摩擦・引き裂き・すり切れなどに強い特殊ポリエステル糸のコーデュラ305Dファブリックを採用し、裏面にはL-VENT加工(3レイヤー)を用いて、水蒸気を通しつつ20000mm以上の耐水圧も確保。シンプルなルックスながら、フロントポケットや背面のPC収納スペースなどに加えてウエストベルトにもポケットを配置して、デイリーユースでの使い勝手を考慮。ウエストベルトとバックパック部分は取り外しが可能。
04. 細部の細部までトコトンこだわる。
「このバックパックを例にとると、耐久性や補強の意味も込めてボトムに防水性のある厚めのラバー素材を使っていたり、じつは腰のベルトも防水で、ポケットにシームテープを貼っていたり。また、腰ベルトを取り外せば、単体でボディバッグとしても使えます。さらに素材そのものが軽いので、重量を抑えることができました。いままでは各部に金属パーツを使っていたのですが、このモデルは樹脂パーツのみでレザーも使用していないので、そのぶん大幅に軽量化でき、ボクら的には新しいスタイルになったかなと。
背中側のサイドジップからバッグを背負ったままiPadやタブレットを取り出せるポケットもこだわりのひとつです。ノートPCを出し入れできるトップ部分のジップとは別なのでその分手間がかかってますけどね(笑)。スマホのサイズが大きくなったり、ガジェットを持ち運ぶようになったり、ユーザーの普段の持ち物が変化してきているので、そういった部分を意識してモノづくりをしています。この春、このシリーズにはフラップ式のバックパックと、2WAYバッグがラインナップされる予定です」
背面は厚いボンディングを備えて極上の背負い心地に。
防水性を高めるためにフロントポケットの内側などにはシームテープを貼り、縫い目からの水の浸入をシャットアウト。
ウエストベルトは取り外して使うことが可能。財布などの小物を収納できるポケットを備える。