Freitag(フライターグ)とは?
「FREITAG(フライターグ)」は、1993年にスイスのチューリッヒでスタートしたバッグブランドだ。
その第一歩は、当時グラフィックデザイナーだったマーカスとダニエルのフライターグ兄弟が、雨の多い街を自転車で移動するための「機能的で撥水性に優れたバッグ」を探し求めたことから始まった。
市場に納得できるモノがなかった彼らが目をつけたのは、シェアしていたアパートの窓から見えた景色。雨の中を走るトラックの「幌(ほろ)」に、求めていたタフさと防水性を見出したのである。彼らはすぐさま、そのアイデアを形にすべく素材集めに取り掛かった。
使い古されたトラックの幌をボディに、自転車のインナーチューブを縁取りに、そして廃車のシートベルトをストラップとして調達。廃棄されるはずだったマテリアルを組み合わせ、メッセンジャーバッグのプロトタイプを作り上げたのがすべての原点だ。
現在でこそ「アップサイクル」という言葉は定着しているが、彼らはその概念が一般的になるずっと前から、クリエイティブな発想でそれを体現していた。単なるリサイクル製品ではなく、都市生活における「実用的なギア」として確立させた点に、このブランドの真価がある。
全てが一点モノ。自分だけのデザインを「ディグる」楽しみ
フライターグのプロダクトを語るうえで外せないのが、その独自の製造工程にある。
巨大なトラックの幌を回収・洗浄した後、デザイナーが一つひとつ手作業でトリミング(裁断)を行っているのだ。無地のシンプルな箇所を切り取ることもあれば、元のトラックにプリントされていたロゴやタイポグラフィを大胆に活かすことも。
こうした工程により、大型のバックパックから手のひらサイズの小物に至るまで、この世に同じ柄は二つとして存在しない。それゆえ、手に入れる過程は単なる“買い物”というより、膨大なストックの中から自分の感性に刺さる個体を“ディグる(掘り出す)”行為と言える。
また、マテリアルの状態によって表情が大きく異なるのも面白い。鮮やかな発色のものもあれば、高速道路を走ってきた傷や汚れがあえて残されたものもある。そうした痕跡すらも「味」として成立させてしまうのが、トラックの幌という素材の魅力だ。
高速道路仕込みの耐久性。ラフに扱えるタフな相棒
もともとが雨風や排気ガス、紫外線にさらされながら高速道路を走り続けてきた素材である。その耐久性と防水性は、過酷な環境下で実証済みだ。
突然の雨や泥汚れも気にする必要はない。創業のきっかけとなった自転車移動はもちろん、キャンプやフェスなどのアウトドアシーンでも、繊細なケアを気にせずガシガシと使い倒せる頼もしさがある。
メンテナンスも非常にイージーだ。汚れが気になれば、水拭きや家庭用の中性洗剤で洗ってしまえばいい。ラフに扱えるうえ、使い込むほどに生地が馴染んで柔らかくなり、自分だけの“道具”へと育っていく。
自分に馴染む相棒を。失敗しないフライターグの選び方
フライターグは同じモデルであっても、使われている幌の厚みや硬さによって、背負い心地や重さが微妙に異なる。だからこそ、まずは「どう使うか」の用途を明確にするのが、運命の個体に出会う近道だ。
通勤・通学メインなら、PCスリーブの有無と容量を軸に考えよう。デイリーユースなら15〜20L、出張や小旅行まで視野に入れるなら25〜30Lが目安になる。開口部の仕様も重要だ。荷物をガサッと放り込むラフな運用なら、ジップレスの「MIAMI VICE」が使いやすい。逆に、雨天の移動や荷物量に柔軟に対応したいなら、ロールトップのバックパック「CLAPTON」が安心だ。
また、素材の組み合わせにも注目したい。幌のみで構成されたモデルは最もタフで無骨だが、ペットボトル再生繊維を組み合わせた「ANDERSON」のようなハイブリッドモデルは、軽量で扱いやすい。
最後はやはり、直営店で実際に触ったり背負ったりすることをおすすめする。幌の硬さによる肩当たりの違いや、荷物を入れた時の底マチの安定感など、スペック表だけでは見えない「自分との相性」を確かめてほしい。
押さえておきたい、フライターグの名作たち
フライターグの魅力は、一点モノというデザイン性だけではない。創業当時から続くショッピングバッグやバックパックはもちろん、現代のデジタルライフに対応したテックアクセサリーに至るまで、そのラインナップは多岐にわたる。
ここでは、数あるアーカイブの中から「まずはこれを持っておけば間違いない」という王道モデルと、今の気分にフィットする機能的なアイテムを厳選。膨大なストックの中から、自分のライフスタイルに寄り添う“最強の相棒”を見つけ出してほしい。
紙袋に着想を得たブランドの顔、F52 MIAMI VICE

F52 MIAMI VICE ¥19700
「フライターグといえばこれ」と言われるほど、ブランドのアイコンとして君臨するショッピングバッグ。そのルーツは、スイスのスーパーマーケットで使われている「紙袋」にある。
機能はいたってシンプルだ。ジッパーすらない潔い作りで、食料品からランドリー、キャンプギアまで、あらゆるモノを放り込める。強靭なトラックの幌だからこそ許される「雑に使える」タフさは、初めてのフライターグとして手に入れるのに相応しい。
自転車通勤の最強の味方、F155 CLAPTON
F155 CLAPTON ¥46000
自転車通勤者のために開発されたバックパック。最大の特徴は、荷物の量に合わせてサイズを拡張できるロールトップ仕様にある。突然の雨や泥跳ねも気にせず走れる高い防水性は、トラックの幌ならでは。
内部にはパッド付きのPCスリーブも完備しており、ビジネスツールを安全に保護してくれる。夜間の視認性を高めるリフレクター機能も備えた、まさに都市を駆けるためのギアだ。
軽さと機能性を両立した都会派、F680 ANDERSON
F680 ANDERSON ¥42700
「幌のバッグは重い」という定説を覆す、軽量で柔軟なモデル。使用済みのトラックの幌に、ペットボトル再生繊維から作られた撥水ファブリックを組み合わせたハイブリッドなトートバッグだ。
手持ちと肩掛けの2WAY仕様で、シーンに応じて使い分けが可能。ブラックを基調としたシックなデザインに、一点モノの幌がアクセントとして効いている。都会の移動にフィットする、スマートな選択肢と言える。
レトロな箱型フォルムを背負う、F49 FRINGE
F49 FRINGE ¥46000 ※写真右
スクエアな形状で切り取られた、ボックスシルエットのバックパック。目を引くのは、トラックの幌とコントラストを成すカラフルなジッパーだ。無骨な素材感にポップな要素が加わり、背負った時の絶妙なアクセントになってくれる。
機能面も抜かりない。開口部はダブルジッパーでガバッと大きく開くため、視認性は抜群。内部にはPCを固定できるベルトが装備されており、17インチまでのラップトップも安心して持ち運べる。デイリーユースからショートトリップまでこなせる、実用性と遊び心を兼ね備えた万能選手だ。
ブランド史上最小リュック、F44 WALTER
F44 WALTER ¥29600
「荷物は最小限にしたいが、サコッシュでは心許ない」。そんなミニマリストの最適解となるのが、ブランド史上最小のバックパックだ。 約8Lというコンパクトなサイズ感ながら、ストラップを調整するだけでリュックからショルダー、クロスボディへと変幻自在にスタイルを変えられる。
背面にはスマホや財布に素早くアクセスできる隠しポケットも完備。身軽さが求められるフェスや街歩きには、うってつけのバッグだ。
容量を自在に操るクロスボディ、F640 ROLLIN
F640 ROLLIN ¥39500
普段はコンパクトなクロスボディだが、荷物が増えたらロールトップを伸ばして縦型トートへと姿を変える。この「形と容量」を即座に切り替えられるギミックが、荷物量が読めない街歩きで威力を発揮する。
素材は、タフな幌とリサイクルPET素材を組み合わせたハイブリッド構造だ。約450gという軽快な仕上がりで、一日中身に付けていても負担が少ない。背面の隠しポケットによる貴重品へのクイックなアクセスなど、都市生活に寄り添う機能的なバッグといえる。
キャッシュレス時代の身軽な相棒、F255 PARKER
F255 PARKER ¥14000
首や肩から下げられる、ストラップ付きのコンパクトなウォレット。カードや現金を収納できるのはもちろん、外側には交通系ICカードや鍵の収納に便利なポケットを配置しており、これ一つで手ぶらでの外出が叶う。
強靭な幌素材のおかげで、アウトドアシーンでラフに扱っても中身をしっかりガード。キャンプ場での貴重品管理や、フェスでのサブウォレットとしても重宝する。
スキーブーツを再利用したガジェット、F385 CIRC‑CASE
F385 CIRC‑CASE ¥2500 ※カードホルダーは別売
毎日手に触れるデバイスだからこそ、ストーリーのある素材を選びたい。このiPhoneケースは、廃棄されたスキーブーツをリサイクルして作られている。ユニークなのは、背面に別売りのカードホルダー(F380 JUSTIN)をドッキングできるギミックだ。
自分好みの幌を選んで組み合わせることで、無機質なデジタルガジェットが世界に一つだけのプロダクトへと昇華する。環境への配慮と遊び心が融合した、フライターグの哲学を体現するアイテムだ。
運命の出会いは、壁一面の引き出しから
フライターグを手に入れる醍醐味は、なんといっても実店舗での「ディグり」にある。店内に入るとまず目を引くのが、整然と積み上げられた「V3006」と呼ばれる白い引き出しだ。倉庫のような無機質な空間に、壁一面を埋め尽くすほどの膨大なストックが眠っている。
この引き出しを一つひとつ開け、自分だけの柄を掘り出す体験は、もはや買い物の枠を超えたエンターテインメント。モニター越しでは伝わらない、使い古された幌の独特な匂いや質感、そして圧倒的な物量を前にして、直感で選ぶ時間は格別だ。
現在、国内では東京(渋谷・銀座)、京都、大阪の3エリアに直営店を展開。どの店舗もブランドの哲学が反映されたユニークな内装で、訪れるだけでも価値がある。一期一会の出会いを求めて、ぜひ店舗の「壁」に挑んでみてほしい。
FAQ
Q. 価格帯はどれくらい?
小物類は5,000円前後から、バッグ類は1万円台後半〜5万円台が中心。モデルやサイズで幅はあるが、一生モノとして使い倒せる耐久性を考えれば、コスパは決して悪くないはずだ。
Q. トラックの幌特有の「匂い」はある?
新品のうちは、トラックの幌特有のゴムのような匂いが残っている。これは素材の証でもあるが、使い続けるうちに自然と薄れていく。早く消したい場合は、風通しの良い場所でガシガシ使い込むのが一番の近道だ。
Q. 汚れた時の手入れ方法は?
特別な洗剤は不要。柔らかい布に水、あるいは少量の家庭用中性洗剤をつけて拭くだけでOK。もともと過酷な環境に耐えてきた素材なので、神経質にならずラフに扱うのがFreitag流だ。
Q. 壊れてしまったら修理できる?
日本国内にリペア拠点があり、幌の破れやパーツの破損に専門のスタッフが対応してくれるため、修理は可能。特に渋谷店にはオープンな修理スペースが併設されていて、ブランドの「長く使う」ことへのこだわりが感じられる。
バックルなどの一部パーツは自分で交換できるよう提供してくれる場合もあるため、一生モノとして愛用できる体制はバッチリだ。
Q. 欲しい色や柄はどうやって探せばいい?
まずは直営店へ足を運び、「V3006」の引き出しを片っ端から開けてみるのがおすすめ。
もし近くに店舗がない場合は、公式オンラインストアでも十分に探すことができる。一点一点すべての個体が写真で掲載されているので、自宅にいながら自分だけの一品をじっくり探し出せる。
















