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SPOT 03|悟空茶荘
NO MUSIC, NO LIFE。20年越しのポスターが待っている!
サウナで整えた体で、中華街のメインストリートをひとつ外れた路地へ。重厚な木の扉を開けると、異国の時間が流れている。お茶屋さんの「悟空茶荘」だ。

住所:神奈川県横浜市中区山下町130
電話:045-681-7776
Instagram:@goku_teahouse
「中国だと、なにかあれば、とりあえずお茶を飲んでタバコを吸うってのがお決まり。仕事で中国に行ったときも、8時間のうち6時間くらいはお茶の時間ってこともあります。そのくらい、みんなお茶が好きだし生活の一部にってるんです(笑)」
現在は仕事で中国に通うJUNさんだけれど、19歳から24歳までは中国で暮らしていたこともある。中国人の作家と共同生活をしながら、語学を学び、バーでDJをし、気づけばパーティ三昧の日々を送っていた。内モンゴルや万里の長城の上でパーティを主催したことも(以下の動画がソレ)。そんな中国での暮らしを経ているから、お茶の文化も骨の髄まで染み込んでいる。




席に着くと、小ぶりな茶器が次々と並べられお湯が絶え間なく補充される。茶葉を蒸らし、温め、少量ずつ注いで飲む。それが永遠に続いていく。「こうしてチマチマやって、しゃべってっていうのを、ずっと繰り返すんです。本場はもっと雑多な感じなんですけど」

1階では茶葉の販売もしているのだけど、そこでJUNさんが思わず「うわっ!」と驚く。視線の先には、一枚の古びたポスター。「NO MUSIC, NO LIFE」——その文字が中国語で書かれていて、若き日のFIRE BALLの姿があった。約20年前のものらしい。「この店のおじいちゃんが音楽をやる人で、撮影場所を聞かれたときにここを指定したんです。いや〜、懐かしい!」
1階の右奥、お店へ行った際はチェックよろしくお願いします。
SPOT 04|横浜関帝廟
中華街に住む人たちのモーニングルーティーン。
中華街を歩けば一度は目にする、極彩色の彫刻が施された門。線香の煙が、境内にもうもうと立ち込める。

住所:神奈川県横浜市中区山下町140
電話:045-226-2636
HP:yokohama-kanteibyo.com
「横浜関帝廟」は、この街の信仰の核と言っていい。1871年に創建され(現在の社殿は1990年再建)、三国志でも知られる商売の神様・関羽が祀られている。
「毎朝、必ずお参りに来るんです。なんのお願い事もしないけど、ここにいることをただ感謝するんです」とJUNさん。
中華街に住む人たちにとって、関帝廟での朝の参拝は「当たり前」なのだという。たしかに、朝この前を通ると、門の外で手を合わせる人たちを目撃する。家や店にも関羽様を飾っているところも多い。




参拝の作法は、日本の神社仏閣とは少し違う。まずは巨大な線香を購入し火をつけたら、天の神様(天公)に礼をし、各香炉の前で線香を一本ずつ手向ける。「で、自分の名前、住所を唱えて、あいさつをする感じ」。参拝の仕方は境内にも飾ってあるので確認を。

参拝すると、この赤いカードをゲットできて、JUNさんはお財布にお守りとして入れている。この関羽様がなかなか迫力があり、たしかに、変な災厄は遠ざけてくれそうだ。
SPOT 05|美楽一杯
知ってても辿り着けない。それが、本物の地元飯。
晩餐の前に、JUNさんが経営するチャーハンの専門店「民生炒飯」に立ち寄った。台湾で大人気のチャーハン店で、鍋を振るシェフも本国で修行済み。パラパラでふっくらしたチャーハンは、お世辞を抜き美味。あっさりしながらコクがあり、ひとくち食べるともう止まらない。

ピックアップを無事に済ませたら、こちらもまた、味がありすぎるビルの前にたどりつく。「いい感じでしょ?」と笑いながら、怪し気な入り口を通り、狭いエレベーターに乗ると、その店は現れる。

住所:神奈川県横浜市中区山下町202 チャイナタウンビル 4F
時間:17:00-24:00
電話:045-641-0812


「いつもは食べたあとに来る」というけど、この日は早めの到着。店内はもう、本場も本場だ。ドが付くローカル。観光客でここへ来る人は、まずいないだろう。夜までやっているから、この辺で働くコックたちの溜まり場でもあるらしい。
「昔から通ってますね。10年以上になるかな。FIRE BALLの時代も、夜遅くになって『どこ行く?』ってなると、だいたいここでした」


必ず頼む一品は、あさりのトーチ蒸し。蒸した浅蜊に、発酵した豆豉の香りが絡む。ほかにもスペアリブも絶品だったし、ゴーヤの炒め物なんかも酒の肴にもってこい。
観光マップには載らない、地元民だけが知る顔。こういう店が、本当の意味での「中華街の食文化」を守っているのかもしれない。華やかな観光地の裏側で、ひっそりと。
ガイドには載らない、俺だけの中華街。
外に出ると、もうすっかり暗くなっていた。昼の喧騒は嘘みたいに、静かな街がそこにはあった。 一日歩いてみて、改めて気がついたこと。それは、横浜・中華街は、テーマパークじゃないってこと。人の人生が、何代にもわたって積み上がった、ぶ厚い街だった。
次にこの街を訪れるとき、きっと見え方が変わっている。食べ歩きの列も、派手な門も、同じように目に入るだろうけど、その路地の奥に、毎朝手を合わせる人がいることを、深夜に仲間と流れ込む店があることを、20年前のポスターが今も壁に貼ってある茶荘があることを、もう知っている。
それだけで、旅はちょっと豊かになる。ありがとうJUNさん、ありがとう中華街!

Photo/Shouta Kikuchi
