D.W.ニコルズのわたなべだいすけと、地元・葉山の馴染みを巡る。【ワンデイドライブ #18】

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D.W.ニコルズのわたなべだいすけと、地元・葉山の馴染みを巡る。【ワンデイドライブ #18】

電車なんかと違って、クルマで行く旅は風の吹くまま気の向くまま、どこにだって行ける。行き先は、思い立ったらパッと行けて、パッと帰ってこられるくらいの場所がいい。

今回のドライバーは、D.W.ニコルズのフロントマンである、わたなべだいすけさん。黄色いトップスに赤いサスペンダーでお馴染みの彼と向かうのは、生まれ育った街である葉山。車で走っているだけで、思い出が出てくる出てくる!

過去のワンデイドライブ記事はこちらから。

Table Of Contents : 目次

地元の匂いを求めて。生まれ育った葉山町まで。

わたなべだいすけ
1980年生まれ、神奈川県葉山町出身。D.W.ニコルズのボーカル&ギターとして活動するほか、テレビやCMなどへの楽曲提供も多数。静岡県のFMラジオ局 K-MIX「LIFE!LIFE!LIFE!」、同じくK-MIX、FM徳島、HBC北海道放送「ラジオのおじさん」にて、ラジオパーソナリティとしても活動中。
Instagram:@daisukewhatanabe

神奈川県葉山町。指定された場所につくと、黄色のトップスと赤のサスペンダーという、いつものイデタチで現れたD.W.ニコルズのわたなべさん。GO OUT CAMPに何度か来ている人ならわかると思うけど、「GO GO GO GO GO OUT♪ 」のメロディで、一気に会場のボルテージをあげてくれるあの人だ。

そんなわたなべさんは葉山生まれ葉山育ち。生まれてから高校卒業までをこの町で過ごしてきた。いまは東京に拠点があるけれど、定期的に帰ってきている。

「夏もだし、正月も必ず帰ってます。あとは、ちょっと自然が足りなくなったときにも」

東京で忙しなく働いていると、自然を渇望してしまう。自然の多い場所で育ったのなら、なおさらだ。そんなときはクルマを走らせ、ふいに訪れることもあるという。

「ただ、クルマはもってないんですよ。バンドのときは大きなハイエースで移動するし、都内で生活しているときも必要に迫られることがなくて。なので帰るときは、カーシェアがお決まりです」

この日はトヨタの「ヤリスクロス」をレンタルして葉山までやってきた。ではわたなべさん、地元案内、お願いします!

葉山町民の足元を支えるビーサンのメッカへ。

「葉山の人にとって『げんべい』は当たり前。子供の頃から足元は『げんべい』だし、海で遊ぶ浮き輪とか、バケツとかも、全部『げんべい』です」

げんべい商店一色店
住所:神奈川県三浦郡葉山町一色1464
電話:046-875-7213
Instagram:@genbeihayama

「げんべい商店」は、葉山で1863年(一説によるともっと昔)から続く老舗。その歴史は足袋の販売から始まり、いまはビーサン屋さんとして広く知られている。店内に入ると、圧巻のビーサンコレクションが壁一面にならび、最近はオリジナルのTシャツやショーツ、アウターなども販売している。

わたなべさんは、毎年この場所で、ひと夏の相棒を決めるのが恒例行事。ビーサンのほかに、その年に発売されるオリジナルTシャツを買うこともある。

「昔からずっとビーサンなので、東京でもビーサンでうろうろしてます。できる限り靴下も履きたくない」

葉山に訪れたのは10月某日。ちょっとひんやりでも、町行く人たちの足元を見ればビーサン多数。ファッションって土地柄が出るものだけど、葉山はやっぱりビーサンなのだ。真冬でもビーサンという強者も珍しくないらしい。

ローカルは「まるげ」と呼ぶ「げんべい商店」。この日も、ピンクとパープルというドギツイやつを手に入れて大満足の様子。あと、めちゃくちゃ安い!

葉山発。32年続くローカルブランドは雰囲気もサイコー。

「げんべい商店」からクルマで少し走ると、もうひとつの葉山の顔「Sunshine+Cloud」がある。葉山発のブランドで、32年も続く老舗だ。この場所にお店ができてからは、今年で30年になる。

Sunshine+Cloud
住所:神奈川県三浦郡葉山町一色2151-1
電話:046-876-0746
Instagram:@sunshine_cloud_hayama

「葉山にいるときは来てなかったんですけど、葉山を離れてから興味を持ち始めて。いまは定期的に買ってるんです」

オリジナル商品も多い同店で、わたなべさんが定期的に買っているのがTシャツ。表と裏に文字がプリントされていて、たとえば前面が「HI」なら、背面には「BALL」。片面なら意味がわからないけど、両面見ると意味がわかるという、ユニークなやつ。

素材はアメリカンコットンを使用しているため、そのゴワっと感もわたなべさんのお気に入り。海あがりに着用すると気持ちいいのだとか。

「それと、葉山を歩いているおじさんで、ビーサンにショーツ、そこにこのTシャツを合わせている人がいるんです。Tシャツも長年着ていて、ちょっと陽に焼けて、いい感じにやれてる。それがかっこよくって」

わたなべさんは今夏もTシャツを買っているため、この日は赤いブレスレット(本当はアンクレットらしい)をお買い上げ。海と山に囲まれた葉山の雰囲気にぴったりなアクセサリーを購入したら、次はお参りへ。

海を眺めて整ったら、喉の神様にごあいさつ。

葉山といえば海水浴場が有名だけど、わたなべさんが愛するのは森戸海岸の岩場がゴツゴツしたあたり。観光客でごった返す海水浴場とは違い、ここは地元民の憩いの場所だ。

「森戸海岸はフラッときて、ただただぼーっとします。マットを敷いて、暑くなってきたら海でチャプチャプしたり。小さい頃は飛び込んだりもしてたんですけどね。やっぱり、潮の匂いをかぐと、帰ってきたな〜って感じがします」

今日は、遠くに富士山も顔を覗かしている。

波の音に潮風、たまにトンビ。この光景がわたなべさんの日常だった。悩みをためこんだときも、よくここを訪れていたという。 「なんにも問題は解決しないんですけど」と笑うけど、心の拠り所って大事なものです。

森戸神社(森戸大明神)
住所:神奈川県三浦郡葉山町堀内1025
電話:046-875-2681
Instagram:@moritojinja.official

拠り所をもうひとつ。森戸海岸には森戸神社がある。パワースポットで知られる場所は、子宝祈願で訪れる人が多い一方で、わたなべさんが詣るのは喉の神様。

ここには「おせき稲荷社」といって、古来より「せきが止まらない人」、「喉を使う職業の人」たちが詣る場所がある。

「新年は必ず挨拶をして、今年1年、無事に喉を使えるように祈るんです。これからツアーがはじまるので、しっかり祈っておかなくちゃ」

ライブ演出家が始めた、九州スタイルのうどん店

最後に向かったのは、うどん屋さん。実はこちらの店主である吉田さんは演出家で、Netflixで話題になっているあの作品のライブシーンも手がけたお方。

益うどん DEKETACHI
住所:神奈川県三浦郡葉山町一色1392
電話:なし(インスタグラムで営業日確認)
Instagram:@deketachi_hayama

わたなべさんと吉田さんは知人を介して数年前に出会い、その後、吉田さんが主催する葉山の「吉田フェス」にも出演。時期はかぶっていないまでも、同じ高校の先輩後輩でもある。

店名にもある「でけたち」とは、できたての意味。「益うどん」というのは、これを食べて、みんなが益々繁盛するように、という願いがこめられている。

肝心の味はというと、丁寧に引いた無添加のだしが、なによりおいしい。ずっと飲んでいたくなる。麺は、九州由来の細麺で、九州のものよりもコシがあり出汁がよく絡む。ずっとススッていたくなる。

「やっと来られてよかったです。予想通り、めちゃくちゃおいしい。このバランスのうどんって、都内にもなかなかない。絶対にまた来ます、実家も近いので(笑)」

吉田さんは本業も忙しいため営業は不規則。訪問前にはインスタグラムで営業確認を忘れずに。

葉山の緑と海の匂いを胸に、明日も歌う!

ライブで全国を飛び回り、ラジオで毎週静岡に通い、都会の喧騒の中で音楽を作り続ける。そんな彼にとって、葉山は充電する場所。カーシェアですぐに帰れる距離にある故郷。

「落ち着くし肩の力が抜けますね。やっぱり自然がないと、心がもたない。自分にとって、自然に身を置くことって本当に大切なんです」

黄色いシャツに赤いサスペンダーの下には、自然を愛する心と、葉山の海と山が息づいている。

にしても、車中でわたなべさんの喋り声を聞いていると、まるでラジオを聞いているような気分になる。いい声だ。それと言葉の端々に感じるやさしさに、心がほぐれる。こんなおちゃらけた姿だって見せてくれる。

早く、GO OUTキャンプで「GO GO GO GO GO OUT♪ 」って歌いたい! 次は春、ふもとっぱらで!

Photo / Shouta Kikuchi

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Keisuke Kimura
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