レインウエア、ダウンジャケットなど、アウトドアウエアの洗濯ってどうしてる? 下手に自分で洗濯すると機能が落ちてしまいそう……と二の足を踏んでいる人も多いのでは。
実は多くのアウトドアウエアは家庭で洗濯が可能。むしろ初期性能をキープするには、家での日常的なケアこそが大切なんだとか。
今回は、「洗濯ブラザーズ」として活動する洗濯のプロフェッショナル、茂木貴史さん・康之さん兄弟と、ダウンウエアに詳しいNANGA(ナンガ)のPR米澤創さんが、家庭でできるアウトドアウエアの洗濯のイロハについてざっくばらんに対談。
さらに、AQUA(アクア)の洗濯機に搭載された、アウトドアウエアの日常的なケアが圧倒的に楽になる “エアウォッシュ機能”についても紹介。洗濯のプロも注目する機能に迫っていく。

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洗濯のプロも推奨! ダウンジャケットは家で洗うべし!
アウトドアウエアは普段着と違って気軽に毎日洗濯できるものではないため、目立った汚れがなければシーズンに1回クリーニングに出すか出さないかという人も多いのでは?
とはいえ、着ていれば雨や泥で汚れることもあれば、汗や皮脂による汚れも蓄積する。
キャンプ好きでナンガのダウンや寝袋を愛用しているという洗濯ブラザーズの2人や、撮影やイベントなどフィールドでの仕事が多い米澤さんはアウトドアウエアの洗濯をどうしているのか。
ナンガ初の布団専門店「NANGA FUTON SHOP MEGURO」を舞台に3人の対談がスタートした。

―ダウンジャケットはクリーニング屋さんに出してドライクリーニングで洗う……というイメージを持っている人が多いと思います。ずばりダウンジャケットって家で洗濯しても大丈夫なんですか?

貴史「家で洗った方がいいです! これ言うと、他のクリーニング屋さんに怒られるんですけどね(笑)。ダウンに付着しやすい汗などの汚れは水溶性なのでドライクリーニングではきれいに落とせません。だからダウンは水洗いできるじゃなくて、ダウンは水洗いした方がいいんです」

米澤「ナンガでも家で洗ってくださいとお伝えしています。最低でも1ヶ月に1回くらいは洗ってほしいですね」

康之「家で洗えるといっても、洗濯機でそのまま洗ってしまうと汚れが落ちにくいので、洗濯機に入れる前にひと手間かけて“プレウォッシュ(前処理)”をするのがプロのやり方です。8割が前処理で、残り2割を洗濯機にお願いしている感じです」
-そのプレウォッシュは家庭でもできますか? 詳しく教えてください。

康之「ダウンジャケットには汚れやすい部位があります。襟ぐり、袖口、あと意外と見逃しがちなのがポケット口。そういった部位に、普段使っている洗剤と水を1:1で混ぜて、あらかじめ吹きかけておく。10分くらい経って生地に浸透したら、洗濯ブラシで叩いて汚れを浮かせます。その後に洗濯機で洗えばキレイになります。僕らもそのやり方で洗っています。あとは、洗濯機に入れる前にダウンジャケットをあらかじめぬるま湯に漬けておく。そうすると汚れが落ちやすくなります」
貴史「あとは、ダウンをふっくら仕上げるためには、乾燥の工程もポイントです。脱水して自然乾燥すればいいかというとそうではなく、ちょっとひと手間かけてあげる必要があります」
康之「脱水まで終わったらいったん自然乾燥して、6割から7割乾いた段階で乾燥機にかけます。乾燥機に入れる前に手でパンパン叩いて羽毛をほぐして均等にしてから乾燥機で30分くらい。これでパッと膨れ上がります」
米澤「ちなみにダウンジャケットを自然乾燥するときなんですけど、天日干しは生地も劣化するのでおすすめしていなくて、室内で乾かすか、もしくは陰干しを推奨します」
ダウンジャケットは、1カ月に1回は家庭で水洗いすべし。ただし、ちょっとしたコツとひと手間は必要というお話だった。
ところで、最近は家庭用洗濯機もどんどん進化している。洗濯機の機能をうまく使って、ラクしてアウトドアウエアの日常的なケアをするというのもアリだ。

例えば「AQUA(アクア)」。尖った製品を開発することで知られる三洋電機の白物家電部門をルーツに持つブランドだ。
そんなAQUAのドラム式洗濯機の一部に搭載されている機能が、温風ミストとUVライトで衣類をリフレッシュできる機能「エアウォッシュ」。実はこのエアウォッシュ機能がアウトドアウエアのケアもお手軽にできるということで、今回、アクアの東京本社にお邪魔して3人に体験してもらった。
アウトドアウエアのケアもラクになる機能「エアウォッシュ」とは?
AQUAのドラム式洗濯乾燥機「AQW-DX12R」などに搭載されている注目の機能「エアウォッシュ」。アウトドアウエアのデイリーケアにも最適なこの機能について、AQUAでドラム式洗濯機の企画を担当している石井さんに教えてもらった。

石井「エアウォッシュは、温風ミストとUVライトで衣類をリフレッシュできる機能です。水で洗うわけではないので、デリケート素材にも使えるのが特長です」

石井「具体的にはごく少量の水をミスト状態にして吹きかけます。その後に温風で乾かしながら、循環する空気にはUVライト(紫外線)を当てて仕上げていきます。効果としては、消臭、除菌、シワ伸ばし、ダウンジャケットのふんわり仕上げ、さらにアウトドアウエアのはっ水機能も復活できます」

康之「衣類に直接UVライトを当ててしまうと傷んでしまうので、循環する空気にUVライトを当てるというのは面白い発想ですね。個人的には消臭が気になりますが、どんな匂いを落とせるんですか?」
石井「効果が出やすい匂い、出にくい匂いはあるんですが、衣類に染み付いたタバコの匂いや焼肉の匂いには効果があることが実証されています。スーツなど気軽に洗濯できない衣類には特にオススメです」
ダウンジャケットで実験! 驚くほどフワフワに。
米澤「ダウンブランドとしては、ダウンのふっくら仕上げが気になります。1シーズンくらい洗ってなくて、ロフトもつぶれ気味の私物ダウンジャケットを持ってきたんですが、これでエアウォッシュの効果を試してみていいですか?」

石井「もちろんです。使い方は簡単です。衣服を乾いた状態でドラムに入れてもらって、ボタンでエアウォッシュのコースを選ぶだけ。強力にシワを伸ばす『ミストアイロンコース』や、アウトドアウエアに使える『はっ水復元コース』などがあるんですが、今回は標準コースでやってみます。あとは終わるまで30分ほど待ってください」

米澤「一度にどのくらいの衣類を入れられるんですか?」
石井「シャツなどなら1.5キロまでOKです。ダウンジャケットの場合はカサがあるので1着がベターです」

米澤「30分経ってダウンジャケットを取り出してみたんですが、ドアを開ける前からダウンジャケットのふくらみ方が全然違うのが分かりました」

米澤「洗濯機から取り出してみると、肩や腕の部分など、羽毛が多い部分は特にボリュームがかなり出ている。こんなにパンパンだったかな?というくらい違う。正直、かなり驚きました。これで消臭もできているなんて最高ですね」
石井「アウトドアウエアのケアに便利な機能としては、エアウォッシュのはっ水復元コースもあります。ヒートポンプ乾燥の熱を利用して、はっ水性能をよみがえらせる機能で、運転時間は約110分ほどです。これは使用前・使用後の生地がありますので、水をかけて比べてみてください」

康之「使用前(写真右)ははっ水性能が落ちて水がしみちゃっていますが、エアウォッシュをかけた後(写真左)はしっかり水を弾いていますね。日本だと摩擦と湿度だけでもどんどんはっ水性能が落ちていってしまうので、エアウォッシュで簡単に日常的にケアできるのはいいですね」
「エアウォッシュ」体験してみてどうだった?
―今回初めて「エアウォッシュ」を体験してもらいましたが、どうでしたか?

貴史「エアウォッシュで仕上げたワイシャツ(写真左)を見せていただきました。もちろんアイロンがけしたようなパリパリの状態ではないですが、シワが気にならない状態にはなっていました。手間いらずでこのレベルにまで仕上げてくれるなら、忙しい共働き世代は助かります。家では洗いにくいデリケート素材のケアに使えるのも嬉しいです」

米澤「僕はダウンの仕上がりにすごく感動しました。日常的な匂いが取れるってすごく便利だと思うんです。居酒屋に行った後とかは今まで陰干しして匂いを取っていたりしていたんですが、エアウォッシュさえあればその必要もないですよね。羽毛布団に使える業務用サイズがあったら、お店での消臭・除菌用に欲しいくらいです(笑)」

康之「少し話がずれるんですが、実はエアウォッシュを体験する前に洗濯機をちょっと見せてもらって、洗濯槽に開いている穴がわずか2mmということに驚きました。普通のドラム式はだいたい7~8mmくらいです。実は水の出口になるこの穴が大きいほど服は傷みやすいんです。2mmなら生地が傷みにくいし、優しく洗えるので繊細なモノも洗いやすい。服を大切に長く使うには最高だと思いました」

貴史「みんな注目してないけど、実はこの穴のサイズは重要で、この洗濯機で洗えばタオルなんかはかなり長持ちすると思いますよ」
洗濯のプロもダウンブランドPRも驚いたAQUAのドラム式洗濯乾燥機とその機能「エアウォッシュ」。ウエアについてしまった匂い対策や、ダウンのふっくら感アップ、はっ水性能の回復など、アウトドアウエアに関する悩みをボタン1つで気軽にケアできるのは大きな魅力と言えそうだ。
シェルジャケットの洗濯には専用洗剤&はっ水材がおすすめ。

―さて、洗濯ブラザーズの2人とナンガ米澤さんによるアウトドアウエア洗濯対談に戻ります。さきほどダウンジャケットは家で洗濯した方がいいと教えていただきましたが、今の時期活躍するレインウエアなど、シェルジャケットも家で洗った方がいいですか?

貴史「シェルも家で洗った方がいいです。家で洗うとはっ水加工が落ちてしまうと思って洗わない人も多いですが、正しく洗ってしっかりはっ水性能を復活させてあげることが大切です。ただ1つ注意点があって。シェルには止水のためにシームテープが貼ってありますが、普通の洗剤で洗うと刺激が強くてシームテープが剥がれてしまうことがあるんです。なので、基本的にはアウトドアウエア専用の洗剤で洗うのがいいと思います。それから間違っても柔軟剤は使わないこと。はっ水性能が落ちる原因になります」

康之「洗濯ブラザーズでは、ゴアテックスなどのアウトドアウエア全般に使える専用洗剤と、はっ水材を出しています。衣類に優しい“中性洗剤”なんですが、使い方は普通の洗剤と同じです。シームテープが劣化して剝がれてしまわないように余計なものは一切入れていません。はっ水剤はすすぎの時に投入してください。最後に乾燥機で乾燥させると、はっ水性能を回復させることができます」
貴史「実はこの洗剤、実際、僕たちが業務で使っているものなんですよ」

米澤「洗剤と言えば、実はナンガでも家で気軽に洗ってほしいのでダウン製品専用の洗剤とはっ水材を販売しています。イギリスのアウトドア専用ケアキット“ストーム”とコラボしたものなんですが、普通の洗剤と同じように使えるので、気軽にお手入れしてもらえればうれしいです。ナンガのユーザーさんで寝袋を20年近く使ってくださっている方がいましたが、ダウン製品はしっかりお手入れしていればそれくらい使えるものですので」
東京アウトドアショーでも3人のアウトドアウエア洗濯対談が実現!

アウトドアウエアは、その機能をしっかり発揮してこそのアイテム。「ダウンジャケットはプレウォッシュ&水洗い」「シェルジャケットには専用洗剤とはっ水材」など、今回教えてもらった洗濯のコツに加えて、エアウォッシュなど進化した洗濯機の便利機能の力も借りながらケアをしていけば、お気に入りのウエアはもっと愛着がわくし、長く活躍できそうだ。
ちなみに今回のアウトドアウエア洗濯対談に登場してくれた洗濯ブラザーズ×ナンガPR米澤さんによるアウトドアウエア洗濯対談が「東京アウトドアショー2025」のステージでも実現。今回は紹介しきれなかったアウトドアウエアの洗濯のコツがまだまだ飛び出しそうな予感。
2025年 6月27日(金)・28日(土)・29日(日)に幕張メッセで開催される「東京アウトドアショー2025」。トークショーのスケジュールはイベント公式HPで発表されているので、気になる方はチェックをお忘れなく。
今回体験したAQUAのドラム式洗濯乾燥機はこちら。

今回、洗濯ブラザーズとナンガ米澤さんが体験したドラム式洗濯乾燥機は、AQUAの「AQW-DX12R」。
ドラム槽がまっすぐ水平に配置された「まっ直ぐドラム」を採用しているので、コンパクトなのに洗濯・脱水12kg/乾燥6kgと大容量。乾燥はヒートポンプ乾燥方式で、ヒーター乾燥方式より低温で乾かすため、衣類にやさしく、縮みにくくなっている。
アウトドアウエアのデイリーケアにも最適な「エアウォッシュ」機能のほか、洗濯ブラザーズもオススメしていたプレウォッシュ(予洗い)を自動的に行う「置きラクコース」など、豊富な機能を備えている。
カラーはシルキーブラックとホワイト。ドアは右開きと左開きの2パターンがラインナップしているので、設置場所に合わせて選ぶことができる。
Photo/Takuma Utoo
(問)アクア aqua-has.com/