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半球体から一歩前進した21世紀のドームテント。
ジオドーム4がこれまでのドームテントと一線を画しているのは、何と言っても従来の半球体から一歩前進して、下半球が一部とはいえ地上に姿を現したことだ。確かに耐風性能だけを考えるならば、半球の方が良いに決まっている。
しかしその常識に囚われすぎた結果、ドームテントは進化の歩みを止めていたとは言えないだろうか。この球体の下側を、小林さんは「未来」と表現した。半ばクラシックなスタイルになろうとしていたドームテントが、再び未来に向けて歩を進めはじめたのである。それがジオドームの誕生を知って、小林さんが喜びを感じた一番の理由だったようだ。
しかしジオドーム4が風に弱いかと言えば、それはまったくの誤りだ。そこには最新の技術が注ぎ込まれ、十分な対策が練られている。赤道と呼ばれる一番外径が大きい部分に通る太いポールはそのひとつ。風洞施設を使った実験では、実に風速26m/秒の風に耐えられることが確認されているそうだ。風速26mと言えば台風並みの強さ。ヒマラヤで使うには少し足りない数値かもしれないが、一般的にはそんな強風の中でキャンプをすることなどあり得ないだろう。
つまりこのテントは、エクスペディションユースを目指したものではなく、もう少しライトにキャンプを楽しむために生まれたもの。かつては極地での性能を最重要視して作られていたドームテントも、時を経て純粋にシルエットを楽しんだり、オートキャンプで快適な時間を過ごすためのツールとして選ばれるようになった。それもひとつの進化の道程と言えるんじゃないだろうか。
2Mドームで10本あったメインフレームは5本に減らされ、慣れたら一人でも建てられる。そしてポールが減った分、弱くなったテンションを補うために、短いポールを幕体に突き立てて細いロープで張力を与える構造が考え出された。
こうした工夫はまさに最新のテクノロジーがあるからこそ可能になったものであり、その結果より球体に近づいたジオドーム4は、中に入ると従来のドームテントに比べとても広く感じる。その名前が示す通り、フロア面積は4人が就寝するのに丁度良いくらいの広さだが、実際に感じる広さは通常の4人用テントのそれを遥かに上回るのだ。
つまりこの設営の簡単さと、居住性の高さがジオドーム4のアドバンテージであり、それを実現しながら視覚的な新しさをも感じさせてくれるのが、ハーフドームから一歩踏み出した独特のシルエットというわけだ。そしてポールが減ったことにより総重量も軽くなり、価格も手が届きやすいものとなった。
2Mドームはその性能もさることながら、重量や価格においてもライバルを凌駕する存在だったわけだが、このジオドーム4は一般的なキャンパーにとって、とても現実的な選択肢となることは間違いないだろう。
40年以上にわたる歴史を一望するドームテントの競演。
オーバル・インテンション、2Mドーム、ジオデシック4という、40年以上の時を股にかけた3つのドームテントを、我々は小林さんとともにデッキの上に立ち上げた。やがて夜の帳が下りると、照明を仕込んだ3つのドームテントは、闇の中にそれぞれの個性的なシルエットを浮かび上がらせる。我々は少し離れた丘の上で、しばし無言になってテントたちを見つめていた。山の中にいることも忘れて、その非現実的な光景に圧倒されながら、見とれていたのだ。
それはザ・ノース・フェイスが刻んできたドームテントの進化の歴史を総括する機会でもあり、今なお通用するジオデシック・ドームの美しさと未来性の再確認でもあった。これから小林さんのデッキは雪に覆われる季節。その雪が解けて無くなる頃に、恐らくジオドーム4は再びデッキの上で「未来」を映し出すことだろう。
Photo/Shouta Kikuchi Report & Text/Takatoshi Akutagawa
The North Face「Geodome 4」
- ■ 素材:キャノピー/75Dリップストップポリエステル フロア/150Dポリエステルオックス、10000mmPUコーティング フライシート/75Dポリエステルタフタ、1500mmPUコーティング
- ■ 就寝人数:4人
- ■ 重量:11.07kg
- ■ フロアサイズ:230×218cm
- ■ 全高:210cm
- ■ 出入り口数:1
- ■ 収納サイズ:全長73×直径26cm
- ■ 発売時期:2018年3月中旬予定
- ■ 価格:¥180000+税
「Geodome 4」 インプレッション動画をYouTubeで公開中!
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