健康を意識してランニングをはじめた外遊び好きのオトナが、興味を持っていたり、楽しんでいるアクティビティが、トレイルランニング(トレラン)。
通称“ロード”と呼ばれる街中を走るランではなく、未舗装の登山道(トレイル)を走るため、安全かつ快適に楽しむためには、それなりの装備や知識、体力が必要。
それだけに、ちょっと敷居が高いイメージがあるけど、GO OUT界隈でも最近はじめましたって人が続出しているし、専門的なギアがファッション的に注目を集めることも少なくない。
そこで、実際にトレラン沼に浸かっている外遊び好きに、ハマった理由や魅力を聞いてみることに。一体、普通のランニングとはナニが違うのか? 山を走る楽しさって、どんな部分にあるの?
ということで、今回集まってもらったのは、100マイルのレースにも出場している嶋田さん、そろそろハマって1年になる小田さん、半年前にはじめたばかりの萱森さん。
3人ともトレランにハマるまで、本格的なラン経験もあまりなく、もちろん山なんて走ったこともなかったとか。
Table Of Contents : 目次
最初は「ホントに山を走るの?」って感じでした。
―まず、なんでトレランをやってみようと思ったんですか?
小田「ハマっている先輩に、飲みの席でノリで誘われたのがキッカケです。明日、走るからおいでよって。体調を整える程度に軽く走ったりしていたから、ちょっと興味はあったんですよ」
萱森「ボクは仕事の延長で、レースのエイドスタッフをやっていて、トレイルランナーたちを間近で見させてもらう機会がありまして。それで自分も出てみたくなったんです。まともに走ったこともなかったのに(笑)」
嶋田「レースの現場は、なかなか見れないですもんね」
萱森「みなさん震えながら水分補給をしたり、ゴールで号泣していたり、もうドラマの連続で……。その熱意にヤラれました」
嶋田「自分は8年くらい前にはじめました。まだトレランって言葉が新鮮だった時期だと思います。ボクも“ホントに山を走るの?”って感じだったし。当時はボルダリングのために身体を絞っていたから、その延長で挑戦してみた感じですね」
最近はギアのレンタルも充実しています。
―やってみようと思って、いきなりできるものなんですか?
嶋田「安全面を考えると、やっぱり最初はツアーに参加したり、経験者に連れて行ってもらう方がいいと思います。あとはギアですね」
小田「とりあえずシューズとザックがあれば、どうにかなるって聞いていたけど、ボク最初は全部レンタルだったんですよ」
萱森「自分はレースに出たくてはじめたから、必要なギアを一通り先に揃えちゃったけど、最近はレンタルも充実していますよね」
小田「そうなんですよ。高尾のベースキャンプで借りました。でもその1回でハマって、その後に一気に揃えた感じです」
嶋田「ボクはシューズだけ持っていたから、ザックとレインウエアを揃えたのかな。山を走るなら必要かなと思って」
萱森「登山もしたことなかったから、ハイカー優先とか、すれ違うときに挨拶をするとか、山の基本的なルールも勉強しました。走り方とかわからないままだったけど、それでも、めちゃくちゃ気持ちよかったです」
小田「挨拶いいですよね。ボクも新鮮でした。ロードのランにはない文化だし。誰とでも自然に話ができる環境ってだけでも、ハマる要素になる気がする」
疲れたら歩いてもいいし、休んでもいい。
―そこまでストイックに、黙々と走るってわけじゃなさそうですね。
小田「そうなんですよ。疲れたら歩いてもいいし、休んでもいいんです。フルマラソンと同じ距離を走ったとしても、たぶんトレランのほうが辛くないと思います」
萱森「自分のペースで走れるのがいいですよね。それと、ボクはロードの長距離はどちらかといえばあまり得意じゃないんですよ。景色が単調で飽きちゃうっていうか」
嶋田「確かにフルマラソンを走ったときは、ずっと音楽を聴いていたかも。でもトレランは鳥の鳴き声とか聴こえたりして、自然の音が心地いいんですよね」
萱森「しかも地形や景色がどんどん変わっていくから、気持ちも萎えない。それで気付いたら結構な距離を走っているっていう」
嶋田「初めてそれを経験したときに、山遊びの世界観がガラっと変わりましたよ。こんなに楽しいアクティビティがあったのかって。すぐに一生続けたいって思いましたね」
小田「あとはやっぱり、ウエアとかギアを見るのもおもしろいなって。思った以上にいろんなアイテムがあるし、ギミックもしっかりしていて機能性も高いから、実際に使う楽しさもあると思います」
どんどん新しくなるシューズ選びも楽しみ。
―みなさんギアとかにもこだわりがありそうですが、どんなアイテムが気になりますか?
小田「ザックも気になるけど、シューズはどんどん新しいモデルが出るから、常にチェックしているし、その度に欲しくなっちゃいます(笑)」
嶋田「わかる! シューズは常に新調したくなる。いいモデルがあれば、数足ストックしてますよ」
萱森「ちなみに、2人はどんな基準でシューズを選んでます? ボクはデザインよりも、機能性を重視しちゃうんですけど」
嶋田「自分の足に合うってのは大前提だけど、それ以外ならカラーリングですかね。結構ハデなモデルが多いから、ウエアやザックとのバランスを見て、コーディネートとか考えちゃう」
小田「自分はアルトラのシューズがフィットするから、今のところアルトラが中心ですね。でも確かに色は重要かも。ソックスとの相性とか気にしちゃいますね」
3人が愛用するシューズをチェック。
せっかくなので3人が愛用しているシューズを紹介。ロード用のシューズよりもワイルドなルックスと、悪路を走破する機能性は、あらゆる外遊びで重宝してくれそう。街履きとして取り入れるのもありかも?
【小田さん愛用シューズ】ALTRA ローンピーク8
アルトラを代表する人気シリーズの最新モデル。ロングトレイルに対応する履き心地と耐久性を備えているため、ハイカーたちからも人気が高い。
小田「グレーベースで、オレンジの差し色が入った配色お気に入り。シンプルなウエアを選ぶことが多いから、シューズは少しアクセントになるモデルがいいかなって。ソックスのラインの色を合わせたりしています」
【嶋田さん愛用シューズ】BROOKS カスケディア16
ランニングシューズブランド、ブルックスのロングセラーモデル。大きめのヒールカップやミッドソールが足を保護し、悪路でも快適な走り心地を提供する。
嶋田「あまりスピードを出すほうではないので、安定感重視で選びました。長時間走り続けても疲れないです。珍しい配色も気に入っていて、ファッション的に見てもおもしろいかなと。ちなみに、ストックと合わせて4足持っています(笑)」
【萱森さん愛用シューズ】ALTRA モンブラン
快適さとスピードを融合させたスポーティな一足。どんな地形でも高いトラクションを発揮するビブラムの軽量ソールを採用。通気性にも優れている。
萱森「軽量性、クッション性、グリップ力の高さのバランスで選びました。これで2月に『かたのビッグロックトレイル』に出場したけど、かなり調子よかったですね。最近、新色がリリースされたから、そっちも気になっています」
キャンプみたいに、ギアからハマるのもあり?
―シューズもそうですけど、トレランのアイテムはスタイリッシュなデザインが多いですよね。それこそ、日常でも使えそうなウエアとか。
嶋田「結構、スタイルの幅は出せると思いますよ。ザックとかウインドシェルも、いろんなデザインがあるし」
萱森「個人的にはアンサーフォーのアイテムが好きなんですよ。憧れのブランドだったから、最初にいろいろ揃えたけど、ザックがめちゃくちゃ使いやすくて、帰宅ランでも重宝しています」
嶋田「ボクはワントーンコーデが好きだったりするので、今回はブルー系のギアでコーデしてみました。ザ・ノース・フェイスのシェルの発色もお気に入り。色合わせを考えるのも楽しいです」
小田「シェルはカラバリが豊富ですよね。しかもコンパクトになるから、普段からバッグに常備しやすい。それで、ちょっと昼飯を買いに行くときに、さっと羽織ったりとか」
嶋田「あるある。ウインドシェルって、めちゃくちゃ便利なんですよね。それこそトレランをするまで1枚も持っていなかったのに(笑)」
萱森「確かに、シェルは普段から活躍しますよね。今のところボクはモノトーンのウエアが中心だから、今後はもうちょっと遊び心のある色を選んでみたいです」
小田「普段なら選ばないようなカラーも、トレランのアイテムなら挑戦しやすいってのもありますよね。オレンジのシェルとか、トレランをやってなかったら着なかったと思う」
嶋田「そういう意味では、キャンプみたいにギアから興味を持って、やってみるのもありですよね。ボクも、たまたまトレランシューズを持っていて、使ってみたくてはじめた部分もあるし」
走った後の温泉が最高! セットで楽しんでみてほしい。
―あまり走ったことがない人や、山の初心者でも楽しめますか?
萱森「外遊びが好きな人なら、間違いなく楽しめると思いますよ。体力的に心配なら、最初はスピードハイクみたいなノリで、ちょっと早く歩いてみるだけでもいいかも」
小田「あと、走り終えた後に入る温泉が、もう最高に気持ちいいから、それも含めて体験してほしいです。こんな気持ちいいことがあるんだってレベルで、衝撃を受けると思います」
嶋田「でもホントに1度やってみたら、世界観が変わると思うんですよね。しかも一生楽しめますから。きっと年老いて走れなくなってきても、その気持ちよさは変わらないと思うし」
トレランは、新しい出会いにも繋がる?
―競技人口的には、年齢層が高めみたいですね。
嶋田「若い人も増えているけど、メインの世代は30代〜40代くらいみたいですよ。あと50代も」
小田「確かにそれくらいの年齢の方々を、よく見かけますね。なんでだろう。健康に気を使って走りはじめたおじさんが、ハマるパターンが多いのかな。あと単純に都会に疲れたとか」
嶋田「いろんな外遊びを一通りやってきて、最終的に辿り着くアクティビティなのかも」
萱森「でも最近は若い女性のランナーも増えてきた気がしません?」
嶋田「そういえば、そうかも。挨拶するだけでモチベーションが上がります(笑)」
萱森「走っていると年齢とか性別とか、あまり関係なく仲良くなれるのもいいですよね」
小田「じゃあ、新しい出会いを求めている人も、ぜひってことで(笑)」
Photo/Fumihiko Ikemoto