サブカルの聖地、高円寺をアウトドア好き目線で散策。【甲斐さんぽ 〜東京名店巡り〜】

作成
サブカルの聖地、高円寺をアウトドア好き目線で散策。【甲斐さんぽ 〜東京名店巡り〜】

GO OUT本誌でもお馴染み、バンブーシュートの甲斐さんが、毎回、様々なファッション業界人のゲストと共に、東京の名店を巡るショップツアー連載「甲斐さんぽ」。

第12回目のゲストは、アウトドア系のイベントやブランドに携わるクリエイティブプロデューサーの月岡徹さん。

甲斐さんとはGO OUT CAMPなどイベントの現場やお酒の席で顔を合わせることが多いが、一緒に街を歩くのは今回が初めて。

左/甲斐一彦(BAMBOO SHOOTSディレクター)バンブーシュートのディレクターとして活躍中。 右/月岡徹(tensixクリエイティブプロデューサー)企業やブランドに関わるプロモーション企画や商品ディレクション、フェスやイベントの制作運営などに携わる。

そして本日する街は、サブカルの聖地としてお馴染みの高円寺。月岡さんは2駅隣りの荻窪で生まれ育ったため、高円寺は子どもの頃から遊びに来ているローカルエリア。そのため、月岡さんのお気に入りのショップを2人で巡ることに。

甲斐「高円寺久しぶりかも。20代の頃はよく遊びに来ていたけど」

月岡「やっぱり古着屋ですか?」

甲斐「そうそう。あとオモチャとスニーカー。でも俺が知っている街の面影は、多分もうないよ(笑)」

月岡「ですよね(笑)。なので、今日は改めて高円寺というか、中央線の魅力を再確認していただきたいなと」

甲斐「今回はショップのセレクトからお願いさせてもらったからね」

月岡「甲斐さんが好きそうなショップを選んでみました」

甲斐「ありがとう! それは楽しみ。早速行ってみようか」

駅を中心にアーケード商店街が広がる高円寺。そんなアットホームなロケーションながら、徒歩圏内に個性的な古着屋が密集しているため、古着屋巡りをする人も多い。もちろん今回巡る3ショップも、すべて徒歩圏内。
Table Of Contents : 目次

【SHOP1】Whimsical(ウィムジカル)/齋藤浩三郎商店

東京都杉並区高円寺南4-4-12 tel:03-6820-1057  13:00~20:00 月火定休 Instagram:@whimsical.koenji

最初に訪れたのは、駅の南口から徒歩5分のところにあるウィムジカル。ここはデトアーライフやカリーメイソンなどの個性派ブランドを手掛ける、ツノカワファームの角川さんが昨年オープンさせたセレクトショップ。

店内にはショップインショップのスタイルで、古着屋の齋藤浩三郎商店のスペースもあり。

そして店内では角川さんだけでなく、齋藤浩三郎商店の店主である齋藤さんも待機。さらにフリーランスのセールスレップ、TOMさんも遊びに訪れていた。3人とも月岡さんの友人であり、甲斐さんもよく知る仲。

甲斐「人数多いな(笑) でもいいショップだね! セレクトが斬新でおもしろい。カレーもあるし。ある意味高円寺っぽいよね」。

月岡「今、1番遊びに来ることが多いショップです。そして毎回カレーを買っています(笑)」

ずらりと並んだレトルトカレーが気になりつつも、まずは齋藤浩三郎商店の古着からチェック。

甲斐「なんか懐かしい古着が多いね。これみんな齋藤くんの私物?(笑)」

齋藤「そんなわけないっすよ(笑) でも私物もあります。スポーツ系のアイテムは昔から集めていたので」

90〜2000年代のスポーツ系アイテムやアウトドアウエアが充実するなか、甲斐さんが注目アイテムとして選んだのが、NHLのチーム、ナッシュビル・プレデターズのゲームシャツ。

Reebok ナッシュビル・プレデターズのゲームシャツ ¥6600

90年代にリーボックが作っていた1枚で、ヴィヴィッドな配色もポイントながら、襟周り音符がプリントされたユニークなディテールも要注目。

甲斐「いやー、懐かしい! こういうの昔着ていたんだよ。先輩に勧められて。当時、バックドロップの3階にも置いてあってさ」

INTEGRAL DESIGNS ローガンベスト ¥9240

そして月岡さんは、今は無きカナダのアウトドアブランド、インテグラルデザインの名作モデル、ローガンベストに注目。こちらは2000年代のアイテムで、当時を彷彿とさせるカラーリングも魅力。

月岡「このブランドのウエアが好きで、状態がいい古着を探しているんですよ。これ、買おうかな」

さらに甲斐さんは、ナイキのエアハラチも試し履き。こちらも世代的に刺さるらしく、店主の齋藤さんとのトークが止まらず、なかなか店内の奥まで進めない。

そんななか、月岡さんは、大量に並んだカレー関係のアイテムをチェック。カリーメイソンというブランドを展開するだけに、角川さんは相当なカレーマニア。

そのため店内には数多くのレトルトカレーも並んでいる。まさに日本印度化計画。高円寺のショップは奥が深い。

角川「僕が厳選したレトルトカレーです。実は全部同じメーカーなんだけど、本当にどれも絶品ばかり。しかも、ここまで揃えているのは、全国でもここだけです!」

カレーに関して、自身のブランドのウエアやギアよりもアツく語る角川さん。

CURRY MASON ビーフカレー ¥864

そんな熱量に推されてか、注目アイテムにカレーを選ぶ月岡さん。こちらはカリーメイソンのオリジナルで、角川さんが監修したレトルトだとか。

月岡「遊びに来る度に、毎回買って帰るカレーがこれです。味も美味しいけど、肉がめちゃくちゃ大きくて、とにかく満足度が高いんですよ。キャンプに持っていくことも多いですね。本当にオススメなので1度食べてみてください」

齋藤浩三郎商店の古着の沼から抜け出した甲斐さんも、ようやくウィムジカルのアイテムをチェック。

アウトドア向きの機能的なプロダクトから、思わず手にしたくなるような小物まで、かなり幅広い品揃えとなっているが、気になるアイテムとして選んだのは激シブな山岳模型のプラモデル。

SKYNET やまなみNO.2 穂高岳 明神岳 ¥1320

こちらは知る人ぞ知る静岡の老舗模型メーカー、アオシマが展開する山岳シリーズのひとつ。ジャンダルムなどの鋭利な地形も精密に再現されている。

甲斐「涸沢岳に行ったことあるから、ちょっといいなって。先日も奥穂高でジャンダルムを見てきたばかりだし。行ったことある山の模型って欲しくなるよね」

店内の散策が終わった後も、角川さんと齋藤さん、さらにTOMさんも加わり、ショップ前でトークが止まらない。しかし、そろそろ次のショップに行く時間に……。

話も尽きないということで、そのまま齋藤さんとTOMさんも散歩ツアーに同行することに。アットホーム&自由過ぎる展開で、4人で目指すのは、高円寺が誇るアウトドア古着の名店。

【SHOP2】SAFARI(サファリ)高円寺4号店

東京都杉並区高円寺南3-45-13 tel: 03-5929-9225  13:00~20:00 無休 e-safari.co.jp/

そして訪れたのは、高円寺を拠点にするセレクト&ヴィンテージショップのサファリ。現在は8店舗が展開されるなか、こちらの4号店はアウトドアウエアを中心とした品揃え。パタゴニアやザ・ノース・フェイスの名作モデルも豊富に揃う。

アウトドアウエアの古着が大好物という齋藤さんとTOMさんが、次の目的地を聞いて、「一緒に行きたい!」と即答するほど、外遊び好きに人気のショップとして知られている。そのため4人とも真剣に店内を物色。

TOM「最近は古着もネットで探すことが多いから、実店舗でチェックするのは楽しいですね」。

齋藤「特にここは良質なウエアが揃っているからね。掘り出しモノも期待できるよ」。

L.L.Bean メッシュトートバッグ ¥7700

そして月岡さんは、数あるアウトドアアイテムの中から、エル・エル・ビーンの巨大メッシュトートに注目。パープルのパイピングとカタディンロゴがアクセントになったアイテムで、見た目以上にタフな作りが魅力。

月岡「このサイズ感がいいですね。キャンプで、テントやシュラフを入れるのに丁度よさそう。色合いも好きだけど、実用性も高いと思います」

Patagonia シャーリングコート ¥49500

TOMさんはパタゴニアの90年代の名作アウターを手に、満面の笑みを披露。どうやらパタゴニアには特別な思い入れがあるとか。

TOM「パタゴニアは昔から大好きなブランドなんです! 好き過ぎて、タグのアイコンになっている山、フィッツ・ロイにも行ってきました。これはキャンプっぽいカラーリングも含めて、最高の一着ですね!」

アウトドアウエアだけでなく、スポーツ系のアイテムも充実しているのがサファリ4号店。しかもスリート的な視点でセレクトされている。

AVIA セブンアップキャップ ¥8800

そんななか、齋藤さんが「前から狙っているアイテムなんです」と手に取ったのは、アメリカのスポーツメーカー、アヴィアの7UPキャップ。

齋藤「やっぱりバスケット好きとしては、アヴィアのキャップは見逃せないですね。なんといってもスコッティ・ピッペンがルーキー時代に履いたバッシューのメーカーですから。しかもセブンアップのマーチャンダイズアイテム。結構レアだと思います」

NIKE リバデルチ ¥12100

そして甲斐さんはナイキACGから92年頃に登場したスニーカー、リバデルチを発見。こちらもかつて自身が所有していたアイテムだとか。

甲斐「初めてACGのシューズを買ったのが、このモデル。もう手放しちゃったけど、やっぱり格好いいね。もしかしたらこれがそうかも(笑)」

サファリならではの絶妙なセレクトの古着を堪能したのち、齋藤さんは自身のショップへ帰還。そしてTOMさんと3人で次のショップへ。

移動距離はわずか徒歩で5分ほどながら、その最中にも何店舗も古着屋が並んでいるのが高円寺。ついつい足を止めてディスプレイをチェックしてしまう3人。

【SHOP3】cotogoto(コトゴト)

東京都杉並区高円寺南4-27-17-2F tel: 03-3318-0313  11:00~19:00 無休 cotogoto.jp/

“日本の手仕事・暮らしの道具店”をコンセプトに、厳選されたアイテムをセレクトするコトゴトは、優しい外光が差し込む心地よい空間。伝統的な小道具のなかには、アウトドアで使えそうなギアも並んでいる。

まさに”生活の道具”が大量にディスプレされているが、余裕がある作りで丁寧に並べられているため、ゆっくり閲覧することができる。

月岡「前から気になっていたショップだけど、甲斐さんも好きそうだなってことで選ばせてもらいました。実はリサーチがてらに年始に訪れたけど、予想通り欲しいモノがいっぱいで(笑)」

甲斐「うんうん、こういうショップは大好き。ずっと居れるよ(笑)」

あやせものづくり研究会 スミトースター ¥13200

そんな月岡さんが早速アウトドア視点で選んだのが、炭素のカーボングラファイトで作られた無骨なトーストプレート。炭火焼と同等の遠赤外線効果を得られるため、外カリ中フワなトーストが焼き上がるとか。

月岡「これ、サイズ的にアウトドアの小型バーナーの上に置くのによさそうじゃないですか? パンも焼いてみたいけど、鉄板代わりにしていろいろ焼いてみたいなって。炭火と同じ効果なら最高ですよ」

そしてTOMさんは、一部の外遊び好きの間で盛り上がっているという噂の、木彫りの鳥を手に……。しかもかなり興奮している様子。

AKIHIRO WOOD WORKS チッチ(Mサイズ) ¥8800

こちらは、鹿児島発も木工プロダクト集団、アキヒロウッドワークスのオブジェ。天然木材を使ったハンドメイドの逸品で、アウトドア系のショップでは抽選販売になるほど人気が高い。

TOM「このブランドは木彫りのカップが有名だけど、最近はこの鳥も話題で、なかなか買えないんですよ。まさかここで出会えるとは……。普段は焚火で木を燃やすからこそ、逆に木を大切にするのもアウトドア視点かなってことで、選んでみました!」

甲斐さんも様々な工芸品をチェックしていたが、最終的にはコーヒーをセレクト。しかも実際に購入して、今度のトレッキングに持っていきたいとか。

プシプシーナ珈琲 山頂コーヒー 各¥323〜

山頂コーヒーという名前通り、アウトドアで楽しむために作られた1カップ用のコーヒーパック。ドリップではなくパックなので、道具要らずで気軽に飲むことができる。

甲斐「最近はこれ系のコーヒーを山で飲むのにハマっていてさ。作るのが楽なんだよね(笑)。しかもパック形式だから、余計にゴミも出ない。パッケージの絵柄もかわいいから、プレゼントにしてもいいかもね」。

たっぷりと高円寺を楽しんだ甲斐さん一行は再び駅へ。ここで解散……となる予定が、月岡さんから「せっかくだからもう1店舗行きませんか?」と、まさかの提案。

月岡「荻窪なんですけど、オススメのクラフトビールのバーがあるんですよ」。

残念ながら、TOMさんは用事があるためここでお別れながら、甲斐さんは二つ返事でOKし、電車で荻窪まで移動することに。

【SHOP4】CRAFT BEER STAND TURQUOISE(クラフトビアスタンド ターコイズ)

東京都杉並区上荻1-4-9  tel:03-5930-1888 18:00~24:00 日、月定休 

そしてやってきたのが、クラフトビアスタンド ターコイズ。国産のクラフトビールが7種類ほど用意されているが、その時々で銘柄が変わるため、一期一会で様々なビールが楽しめる。ここは月岡さんの行きつけのお店で、ほぼ週1ペースで通っているとか。

アットホームな店内では、とりあえずカウンターに座り、オススメの銘柄で乾杯する2人。

甲斐「美味しそうなビールばかり! 今日の打ち上げは、いつもより贅沢だね(笑)」

月岡「オープンは10年くらい前だけど、僕は2年くらい前から通い始めて。唯一地元で1人でも飲めるお店です」

オリジナルのグラスに並々と注がれるクラフトビールは、フルーティだったりスパイシーだったり、独自の風味が楽しめるものばかり。月岡さんのように1人でフラリと訪れる常連さんが多いとか。

「高円寺は歩くのが楽しい街! むしろ住みたい(笑)」

乾杯した後はテーブル席に座り直し、今日の散歩を振り返る2人。

甲斐「改めて、おつかれさま!」

月岡「おつかれさまでした! 高円寺どうでした?」

甲斐「相変わらず歩くのが楽しい街だね。いろんなショップをハシゴしたのは20歳くらいのとき以来だから、街並みはすっかり変わっていたけど。だからこそ、また行きたくなった」。

月岡「僕はこのあたりで生まれ育ったからずっと見ているけど、やっぱり少しずつ変化していますよね。でも安い飲み屋が多いってのは、昔から変わっていないかも」。

甲斐「そういうの、いいよね。やっぱり中央線はいいところだよ。高円寺、西荻窪、中野……、いい街がいっぱいあるからね。俺も住みたくなってきた」

月岡「えー、住みましょうよ(笑)」

Photo/Fumihiko Ikemoto

Tags
Masatsugu Kuwabara
作成