6月下旬に幕張メッセで開催されたアウトドアの祭典『TOKYO OUTDOOR SHOW 2026』。その特設ステージに、俳優の井浦新さんとアーティストの有太マン(平井有太)さんが登場。
約20年来の付き合いという2人が、久しぶりに顔を揃え、「自然とつながる、暮らしのかたち」をテーマにした、クロストークを展開した。
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若いときの旅仲間が、久しぶりの再開。

20代後半で出会い、よくいっしょに旅をしていたという2人。巨石や仏像を見るために山に登ったり、皆既日食を見るために小笠原諸島まで出向くなど、ワイルドな旅行も多かったとか。しかし近年は多忙が続き、お互いの近況を把握しながらも、なかなか顔を合わす機会がなかったそう。

そんな2人が、まずはお互いのいまの活動を語る。井浦さんは俳優業と並行して、アウトドアウエアブランドの『エルネスト・クリエイティブ・アクティビティ』と、ナチュラルコスメブランドの『クルヒ』を展開。

有太マンさんは、アーティストとして活躍する傍ら、再生可能エネルギーを拡め、農家支援に直結するソーラーシェアリングを推し進めるなど、さまざまな取り組みを行い、今春に著書『生活の実践「足るを知る」と世界が治る』を刊行したばかり。
いまの2人に共通するのは、レス・イズ・モア。

そして現在の2人のライフスタイルに共通する概念が、“レス・イズ・モア”(少ないことは豊か)。久しぶりの再会とは思えないほど息もピッタリで、軽快なトークが進んでいく。
井浦「この年齢になり、やっとレス・イズ・モアって言えるようになりました」
有太マン「20代の頃は真逆でしたからね。“ネバー・イナフ”ですよ。あれも見たい、これも欲しい、あそこにも行きたいって」
井浦「常に、足りない、足りないで生きていましたからね。でもそれを経験していくと、溢れてしまって不健康になるし、ジブンにも周りにもいい影響を与えないってことがわかってくるという」

有太マン「ジブンが、どのポイントで満たされるのか、冷静になってわかるようになりましたね。このへんが1番いいじゃないかって」
井浦「ちょっと足りないが、ちょっとおもしろかったりね。でも、そうなってくると、ホントに必要なモノや大切なコトが見えてきますよね。それは登山でも同じだと思うけど」
ナチュラルコスメは、土壌作りから。

その後のトークは、2人が取り組んでいる自然とつながる暮らしについて。まずは、井浦さんが鹿児島にある自社農園「くるひ自然植物園」のハナシから。
井浦「なぜ自社で農園をやろうとなったのかというと、ナチュラルコスメを作る上で、土壌からこだわりたかったんです。農薬や除草剤を使わずに、微生物といっしょに自然と共に自然のなかで原材料を作っていきたいって気持ちが、どんどん強くなっていって。
もうひとつは、農園があるのは鹿児島の最南端にある地域だけど、農業の担い手がいなくて、耕作放棄地だらけなんですよ。それはそれで問題だけど、できあがった農地を使うのではなく、荒れて野生に戻ってしまった農地を、もう一度ジブンで、手を入れていきたかったというのもあるんです」
循環型農業の実験場としても機能。

2022年からスタートした「くるひ自然植物園」。現在は野菜の販売もしているが、循環型農業の実験場としても機能しているという。
井浦「クルヒでモノづくりをスタートしたとき、その活動のなかにサステナビリティやリジェネラティブということを入れることを意識しました。消費活動も大事だけど、それも含めてすべてを循環させていくという設計図をしっかり描いて、モノづくりをしていきたいなって。それが自己満足じゃなく、誰かのためになり、環境へ取り組みにもなればいいなと。そうした場所がなかったというのも大きいですね」
ソーラーシェアリングとは?

微生物で土壌を再生していくリジェネラティブな農地改革を実践する井浦さんに、有太マンさんも共感。そして自身が携わっている、ソーラーシェアリングの活動を紹介。
有太マン「ボクも再生可能エネルギーに10年以上関わっているけど、いま最も拡めたいのが、農業と発電を同時に行うソーラーシェアリングです。日本からはじまった技術なんですが、これは農業の後継者不足も含め、他国が起こす戦争に影響を受けない、国内の食とエネルギーの自給率向上の起爆剤として注目されています。環境破壊とも言われているメガソーラーとは、まったく別モノの発電方法なんですよ」
自然と共生し、農家の収入向上にも。

井浦「メガソーラーとは、具体的にどんな部分が違うの?」
有太マン「メガソーラーは地面にベタ置きで土地を無駄にするんですよ。でもソーラーシェアリングは、パネルの下で植物を育てるんです。しかも不耕起栽培や最先端の有機農業を行うんですね。豊かな土壌には二酸化炭素を土中に固める機能があるんです。それと、猛暑や熱波から植物を守ることができるし、日陰もできるから農家の方々の熱中症対策にもなります。同時に、発電と売電をすることで農家さんの自給力を高めてもらい、後継者不足の解消やサステナビリティにも寄与するという」

ソーラーシェアリングが日本でスタートしたのは2013年。2023年までに6000件以上、東京ドーム290個分の農地で稼働しているそう。そして国内の農地の5%(約22万ヘクタール)にソーラーシェアリングを導入すると、約2000億kWhの電力を生み出すことができるとか。これは国内電力量の約1/5を賄える量に相当する。
ストリートで出会い、アートや音楽に夢中になった20代や30代を経て、オトナになった2人が本気で向き合う、自然とつながる暮らしのかたち。井浦さんやの有太マンさんと同世代なら、刺さる部分もあるのでは?

井浦さんの活動は『エルネスト・クリエイティブ・アクティビティ』や『クルヒ』の公式サイトで、その動向をチェックできるし、有太マンさんの取り組みは、最新の著書『生活の実践「足るを知る」と世界が治る』に詳しく書かれているそう。気になったヒトはサイトを訪れたり、著書を手に取ってみよう。
少しでもなにかを感じとってもらえれば。
クロストークを終えたばかりの2人に、バックステージでインタビューを敢行。トークの手応えや会場の雰囲気、気になるブースについて聞いてみた。

–トークショーおつかれさまでした。ステージ上でも阿吽の呼吸でしたね。
有太マン「ありがとうございます。異様な噛み合い方になりましたね。すごく久しぶりに会ったのに」
井浦「ボクらは20代の頃から自然や社会について話してはいたけど、それぞれの道を、ちゃんと続けながら歩いてきたんだなってことを、トークしながら噛み締めていました」
有太マン「でも、微生物とかリジェネラティブとか、誰でも辿り着くわけじゃないですから。だけど、お客さんは楽しめたのかなって。同窓会みたいになっちゃって申し訳なかったけど、少しでもなにかを感じとってもらえればなと思いました」
–ステージ前に会場を回られたみたいですが、気になるブースはありました?
有太マン「ボクは職業柄、やっぱりバッテリー関係のサイトが気になりました。新しいブランドも多いけど、日本よりも中国の企業が多いですよね。中国のバッテリーの技術はすごいと思います」
井浦「ジブンは台湾の台中から出展していたギャラントアウトドアが気になりました。じつは少し前までシゴトで滞在していて、現地で行きたいと思っていたお店のブランドだったんですよ。ボク的にはちょっと懐かしいカンジだけど、それが逆に気持ちよく見えるっていうか、ものすごく、いまだなって思いました」
–お2人は、新しくやってみたいアクティビティはありますか?
井浦「ボクは基本は山なんですけど、標高差を出していくという意味でも、今度は水の中に入りたくて、スキューバの免許を取ろうと思っています。でもそれには確固たる目的があって、海底遺跡を見に行きたいんですよ」
有太マン「また、なにを言い出したのかと思ったら(笑)」
井浦「行きたい場所は与那国なんですけど、何十年も前からずっと気になっていて。でも60代、70代になってからは体力的にも厳しいじゃないですか。だから、そろそろ動かないとなって」
有太マン「ボクはトレランですね。でも100マイルとかは目指さないと思う。そこまでエクストリームじゃなく、もっとマイペースに楽しんでいきたいです」
