HISATOMIとAPOLLO、2人の人気レゲエDJが〈GO OUT〉を機にユニットを結成! キャノーズが語った、僕らがキャンプを愛する理由【GO OUT MUSIC FILE vol.8】

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 日本で唯一のキャンプ特化型ユニットとして、他の追随を許さずに独走中。関西レゲエ界の雄、HISATOMIとAPOLLOによるキャノーズは、昨年4月の初リリース“CAMP MAN feat.NG HEAD”を皮切りにこれまでに4曲をリリース。〈GO OUT JAMBOREE〉にも2年連続で出演し、レゲエファンとキャンパーの双方の熱いプロップスを得て現在に至る。そしてHISATOMIは現在、〈GO OUT〉本誌で連載〈野遊びラガマフィン〉も執筆中だ。

 レゲエ界ではキャリア20年を超えるベテランでありながら、キャンプ界では若手のようにフットワーク軽く、HISATOMIは〈LAVA LAVA GEARCLUB〉、APOLLOは〈GAHGA〉と、それぞれのガレージブランドを立ち上げて精力的に活動中。「GO OUTはキャノーズの生みの母です」という二人に、キャンプにハマったきっかけ、音楽とキャンプの共通点、キャンプが与えるポジティブな影響など、様々な質問に答えてもらった。

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キャンプ脳=キャノー

――お二人がキャノーズという名前で初めてステージに立ったのは、2024年4月の〈GO OUT JAMBOREE〉でしたね。

HISATOMI HISATOMIとAPOLLOがキャンプ好きということでブッキングしていただいて、それをきっかけに、二人でキャンプの曲をリリースしようかとなったんです。が、HISATOMI&APOLLOでは芸がないし、この際キャンプ型ユニットとして結成してしまおうと生まれたのがキャノーズ。なので、〈GO OUT〉さんが生みの母です。

APOLLO キャンプのことばっかり考える人をキャンプ脳、略してキャノーと言っていて、そんな二人が集まってキャノーズということです。

――去年の4月にリリースした“CAMP MAN feat. NG HEAD”の後は“TAKIBI BLUE”(2024年9月)、さらに今年の8月にはEP『SUMMERS』を発表。“常夏ベイベー”に加え何と“GO OUT”という曲まで収録していました。

HISATOMI “GO OUT”は、もちろん〈GO OUT JAMBOREE〉の雰囲気を頭に置きながら作った曲です。

APOLLO キャンプが好きな人の前で演奏し、彼らにタオルを振ってもらうようなイメージを、そのまま落とし込んだ曲ですね。

――キャノーズとしては2024年、2025年の2年連続で〈GO OUT JAMBOREE〉に出てもらいました。どんな思い出がありますか?

HISATOMI 2024年の野外ステージは初〈GO OUT JAMBOREE〉かつ、初ふもとっぱらで、本当に思い出深くて。出演させていただく上でも楽しんでましたし、その後は自分たちもテントを張ってキャンプさせてもらって、出演者とお客さんの両方の立場で楽しめました。

APOLLO 僕はちょうど、47都道府県路上ライブツアーをやってた時なんですよ。その合間に〈GO OUT〉さんに行かせていただいて、ああいう野外ステージでライブできる喜びもあるし、路上ライブツアーで疲れた体をキャンプで癒すこともできたし、自分の好きが全て詰まってた日でしたね。最高でした。お客さんもすごいノリが良くて、温かく迎えてくれて、気持ちよくやらせてもらいました。

HISATOMI 〈GO OUT〉のお客さんはみんなキャンプ好きで、音楽が好きで、温かい空気で楽しんでもらえるのがいいですよね。キャンプと音楽と、〈好き〉が二つ重なってるんで、より通じ合ってる感じはします。

APOLLO 大人の林間学校に、プラス音楽があるみたいな。最高のワクワクが常にある感覚ですね。

レゲエとキャンプ、〈GO OUT〉はどっちも入ってるんで最高

――そもそも二人がキャンプにハマったきっかけというと?

HISATOMI もともとバーベキュー大好き人間だったんですけど、そこから派生して、先にキャンプを始めていた同期のアーティストに連れて行ってもらったのがきっかけです。そこで初めて本格的なキャンプを見て、「こんなに便利な物があるのか」「こんなにかっこいいギアがあるのか」みたいなことを知ってから、俺も始めようっていうことになったのが8、9年前ぐらいですね。

APOLLO 僕はYouTubeで、それこそヒロシさんとかのチャンネルを見ていて、自分なりにギアを集め始めたのがきっかけですね。その時はまだ車の免許を持ってなかったんで、すごい荷物を背負って電車に乗って、ソロキャンプに行ってました。コロナ前だったんですけど、キャンプ場に誰もいなくて、夜になってガタガタって物音がすると「誰!?」みたいな、結構怖くて、でも楽しかったんですよね。で、HISATOMI先輩もキャンプをやられてるっていうことで、一緒に連れてきてもらう機会があって、そこで僕も「こんなにかっこいいギアがいっぱいあるんや」と思って、さらにグイっと入っていくようになりました。キャンプギアを作る方はみなさん、男心をくすぐるアイテムを出されてるんで。

――お二人とも、もともと収集癖があったりします?

APOLLO あります。ポケモンカードとか遊戯王カードはめちゃくちゃ集めてました。

HISATOMI 僕は突き詰めていくのが好きなタイプというか、料理も色々学びたいし、ゲームもやりたいし、趣味的なところを深く追求するところがあって。キャンプのことも深く学んでいきたいと思って、いろんな人に会って、勉強させてもらっての今って感じです。

――メジャーな企業ではなく、個人や小規模な会社が作っている、いわゆるガレージブランド系のキャンプグッズにハマったのは、いつ頃ですか。

HISATOMI 最初はノルディスク、ユニフレーム、スノーピークなど有名メーカーのギアをメインに集めていて、ガレージ系にぐいっとハマったのはその後ですね。ちょうどコロナ禍で、僕がYouTubeでキャンプ動画を配信し出した頃に、個人的にキャンプイベントをやっている方から「一度来られませんか?」というDMをいただいて。それが〈ゴリゴリ会〉という集団で、そこでWANTKEY CAMPの方など人気ガレージブランドをやっている方たちと出会って、それが交友を広げるきっかけになったんですね。

APOLLO 僕も最初は普通にAmazonでギアを買ってたんですけど、〈ゴリゴリ会〉のイベントに一緒に行かせてもらって、そこからぐいっと行った記憶はありますね。「ヤバイ、お金足らへん」ってなりました(笑)。

――ひょっとして、車の免許を取ったのも「キャンプに行きたい」というのが要因だったりして?

APOLLO そうなんです。ラングラーに乗ってるんですけど、キャンプ行くためだけに買ったみたいなところがあります。キャンプにすごい持っていかれてますね、僕の人生を。多趣味だけど飽き性の僕が、唯一飽きひんかったのがレゲエとキャンプです。〈GO OUT〉はそのどっちもが入ってるんで、もう最高です。

HISATOMI 僕も音楽とキャンプが、人生の中で五分五分ぐらいになってきてますね(笑)。

どちらも野外が必須

――音楽制作とガレージブランドでのグッズ制作は使う脳みそは違いますか?

HISATOMI 物を創造して作るっていうのは一緒です。あとはキャンプとレゲエの共通点として、どちらも野外が必須条件というのはありますね。レゲエを聴く人はほぼ全て野外が好きで、ジャマイカの本場でのレゲエのイベントで言うと、屋内はほとんどなくて、昼だろうが夜だろうが路上でやってたりするんで、そういう共通点もあったりします。

APOLLO 新しい物を作ろうとか、人を驚かそうとか、クリエイティブという意味では一緒なんですけど、やっぱり曲を作るのとギアを作るのとではちょっと違う感覚はあります。曲を作るのは言葉を扱うことなんで、自分の思いを伝えたいという脳と、物作りとしてパッと見た時に驚くようなものを作ろうという脳の違い、みたいな感じですかね。

――二つの脳を使うことで、曲作りもギア作りもどっちも活性化する、みたいなこともありそうですね。

APOLLO あると思います。でも偏りすぎると良くないなとは思っていて、いいバランスでやっていきたいですね。僕は「目指せ武道館!」っていう形で音楽をやっていて、やっぱりそっちがメインなので。

HISATOMI APOLLOの純粋に大きな夢に熱くなれることはすごいな、いいなと思っているんですけど、僕の目標はAPOLLOとは違うので、それもまた面白いところですね。僕は、たとえばホールでワンマンをするとかよりも、自分が今いいなと思ってる音楽性を崩したくないほうが大きい。やっぱりポピュラーになっていくには、考え方を曲げてでも大衆的にしないといけないこともあると思うんですけど、僕はそれはしたくないっていうことです。ただ、もっとうまくなりたいという気持ちは常にありますね。達人になりたいとは思っています。

APOLLO もう達人ですけどね。

HISATOMI いやいや。まだまだ勉強不足です。

APOLLO 性格は真逆なんですよ。感覚でイケイケゴーゴーの僕と、諸葛亮孔明なHISATOMIと、っていう感じです。

HISATOMI 考える前に動くAPOLLOと、考えてからじゃないと動きたくない僕と。

――そんな二人が仲良く、ユニットを組んでいるのがすごく面白いです。

HISATOMI 出会ってから21年ぐらいになるんですけど、20年も経てば同じぐらいのキャリアのアーティストがいなくなっていったりするので、生き残りの同志であり、20年来のライバルみたいなところもあります。

――確かにレゲエ界隈で言うと、お二人は中堅を超えてベテランの域に入ってきているかもしれない。

HISATOMI 歴だけで言うと本当にベテランになっちゃってるんですけど、でも、これ良くないなと思うんですけど、我々が未だに若手ヅラしているところが問題で(笑)。僕らの上の人たちが凄すぎたっていうのもあるんですけど、例えばDOZAN11 a.k.a. 三木道三、湘南乃風、MINMI、RED SPIDER、MIGHTY JAM ROCKとか、一時代を作り上げた人たちが上にガサっといてるんで、未だに若手感で見られるし、僕らもそういう顔してるところが、下の世代にとって良くないなとは思ってます。シーン全体を考えた時に。

APOLLO 僕も出てきた時から、圧倒的若手感で長らくやらせてもらってて、未だにそれが出てると思うので(笑)。もうちょっと大人になっていかないとなと思ってるところです。

人と人の繋がりを深めるもの

――そして来年春の〈GO OUT JAMBOREE 2026〉。11月29日の正式発表前にここでフライング発表しちゃいますが、キャノーズの3年連続の出演が決まりました。

HISATOMI 前述の通り、キャノーズは〈GO OUT〉から生まれたユニットでございますので、さらに〈GO OUT〉の顔に近づけるように、「GO OUTと言えばキャノーズでしょう」と言われるように、来年も盛り上げることは大前提として、頑張っていきたいなと思います。よろしくお願いします!

APOLLO 以前出た時よりもキャノーズのクオリティを格段に上げて、なんだったら“JAMBOREE”っていう新しい曲まで作っちゃってもいいかなと思ってます(笑)。自分たちも楽しんで、お客さんと一緒に楽しめたら最高だなと思いますんで、全力で盛り上げていきます。

――アーティストとして、2026年はどんな年にしたいと思っていますか?

HISATOMI 来年も年に一度のワンマンライブを開催するので、それに向けて準備を進めています。ブランドの〈LAVA LAVA GEARCLUB〉に関しては、方向性としてはヴィンテージのスタイルで、カラフルな感じもやりつつ、キャンプサイトに馴染むギアの世界観をさらに構築していきたいですね。そして今の目標は、まさに今日がGO OUT MAGAZINEの僕の連載〈野遊びラガマフィン〉の締め切りで、それをこの後、必死で仕上げないとな、と思っております(笑)。

APOLLO 僕はHISATOMIさんの連載で、〈GAHGA〉特集を組んでもらいたいと思ってます(笑)。〈GAHGA〉については、この間も〈FIELDSTYLE EXPO 2025〉に出店させていただいたんですけど、音楽と良いバランスを保ちながら、新しいギアをどんどん出してみなさんを驚かせていけたらいいなと思ってます。そして年明け1月から東京、名古屋、神戸とワンマンツアーをやらせてもらって、それは先ほど言わせてもらった〈日本武道館への道〉っていう形でやってるんで、短いスパンでワンマンライブを重ねて、曲も作って、精進していきたいなと思っております。

――最後の質問です。これからキャンプをやってみたい人に向けて、キャンプをやることで人間的にポジティブな影響があったとか、考え方が変わったとか、そういうことがあれば教えてもらえますか。

APOLLO アーティスト同士は現場で会っても、だいたい5分10分ぐらいの会話で終わることが多いんですね。でもキャンプは昼から入って次の日の昼まで、24時間同じ空間で過ごすんで、すごい濃い話ができて、お互いを知れるなと。キャンプは人と人の繋がりをすごい深めるものなんですよね。それがいちばん大きいと思います。

HISATOMI 人との繋がり、ほんまにそれが一番だなと僕も思うんですけど、そもそもレゲエ業界はある種クローズドな、世捨て人の集落みたいなところがあるんで(笑)。(レゲエ以外の)キャンプの人と知り合って、ようやく社会と交われたという意味でも、自分で言うのも何ですけど成長目まぐるしいというか、一般人になっていけてるという感じがしてます。やっぱり特殊なところで20年も生きてしまうと、見えなくなるものもあるので、キャンプの人たちにはいつも大切なことを教えてもらってますね。

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Interview, Text/Hideo Miyamoto

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Ryota Tanaka
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