【ブランドピックアップ〜SEDAN ALL-PURPOSE〜】「大衆セダン」のような、いなたい雰囲気が、今っぽい。

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ジャガードTに、ブルージーンズに、いなたいチェックシャツ。懐かしの大衆服ってクルマに例えるとセダン?普通だけど、普通じゃない。究極の“普通”を追求する、大手からも古着屋からも熱視線の気鋭ブランドに迫る。

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大量生産プロダクトに着目し、“かつての大衆”を“今”に落とし込む。

ファッションを中心とした欧州のカルチャー誌「eye_C」とのコラボ作。昨年夏にリリースされ話題となった。

あの頃は大衆的だったデザインでも、今になって思えば良かったよな、と思えるものは意外と多い。例えば、クルマ。ハッチバックのSUVが目立つ昨今の都心部で’80〜’90年代のセダンが走っているのを見ると、結構良い雰囲気だと思う人も少なくないはず。

’90~’00年代当時のブランドロゴの雰囲気があるこちらは、いろんなウエアに施しているセダンのオリジナルネーム。

今回ピックアップしたブランド「SEDAN ALL-PURPOSE(セダンオールパーパス)」のアイテムも〝セダン〞の名を冠しているだけあり、かつての大衆性を持ちながらも、新鮮なのが最大の特徴。コレクションは、大手セレクトショップにずらりと並び、2021年の立ち上げ時から好調なスタートを切ったわけだが、別軸では古着と新品を同列に扱うショップの先駆けといっても過言ではない名店・トゥゴーでの取扱いや別注があったりもして、現代のアパレルブランドとしてはなかなか珍しいスタンスを確立していて面白い。

大手セレクト勤務や、ブランドのメンズ企画を経て、「セダンオールパーパス」を立ち上げた。

様々な文脈からフォローされるものを手がけているのは、大手セレクトでハイファッションにスーツ、レディースまでを一通り見てきた藤原将平さん。’90〜’00年代のアウトドアやストアブランドのデザイン、ディテールが大好物で、ならではの目線で洋服と向き合う古着好きとして業界で知られる。

パーツやカラーリング、生地選びも、ブランドのウリのひとつ。

「デザイン性の高いものとかではなく、大量生産のプロダクトに目がいってしまうんです。シャツの生地感や、ポケットの大きさ、ジーンズの色味や、Tシャツのネックも……、細かい部分が今のものと似てるようで違う。そのうえであくまで大衆ブランドだから、どんな世界観の人でも着られる。このブランドもそんな見え方のものになればいいなと思いながら作っています。ゆくゆくリサイクルショップで見かけられたら本望です」。

往年のアウトドアブランドに見られた“いなたい”チェックシャツを再現すべく、ドビー織りのチェック生地を発掘。

大衆性を求めているが、どこを取っても偏愛バリバリ。主に’90〜’00年代に潜む、今では珍しいデザインや生地、ディテールをどう落とし込んでいるかは、セダンオールパーパスのものに向き合えば自ずと分かる。

「色も古着の魅力」と藤原さん。こちらは所有している「パタゴニア」のアーカイブ。

どことなく懐かしいデザイン、だけど着ると新鮮で今っぽい。

「セダン オールパーパス」の真骨頂は、着用したときのモダンさにあることを伝えたく、2024SSシーズンのルックを拝借。往年のデザインやディテールを追求しているとは思えない落とし込み方に注目してほしい。

「セダン オールパーパス」は2021年スタートながら、コレクションごとに約40型のアイテムを展開。クラシックなのに今っぽいデザイン性で、帽子やマフラーといった小物類は、女性からも支持を集めている。

誰でも着られるようにと、かつての大衆ブランドのような立ち位置を目指しているからこそ、それらのように手に取りやすい価格で発売しているのもウリのひとつ。ただ、オールドライクなブランドではあるが、完全にアイテムを当時のモノに似せて作っているわけではない。

「オックスフォードのボタンダウンシャツといえば思いつくブランドがありますよね。ジブンも当然好きですが、それでもちょっとこれがなければなとか、もう少しこういうシルエットならなと、違和感を感じるポイントがあるんです。」

「ボクと同じような人がいると思っているから、やっぱりそのままにならないようにしたい。シャツひとつでも着ていてもう少しラクに着られるようにするとか、膝を切り離せるパンツだと当時のものと比べてアジャストの位置を調整するとか。難しいのがそれでいてジブンが好きな年代の雰囲気は損ないたくないこと。双方をどのくらいの割合で取り入れていくのかを結構意識しています」と藤原さん。

様々な時代に見られた些細なディテールを追求し今に表現。

程よく’90~’00年代の雰囲気を醸すアイテムは様々なブランドからリリースされているけど、セダンの素材やパーツ、デザインに目を向けると、ここまでしてこそ!と思わせてくれる。そんなユニークなディテールに着目。

デニムのコインポケットに付けたネームは、’90年代頃のサーフやストリートブランドのテイストを表現。デニム地の素材感も当時の雰囲気をもつ“いなたい”ものを探し、かなり洗いこんで色合いまで追求した。
スラックスの脇にジッパーをつけ、’00年代の東京ストリートブランドが用いていたようなメッシュデザインを取り入れている。ベンチレーション機能はもちろんだが、固くなりがちなスラックスにカジュアルな印象をプラスするため、カラーメッシュをセレクト。
キャップに取り付けるべく、懐かしのレールアジャスターをわざわざ探し出した。
メッセンジャーバックに採用した写真のサイドリリースバッグと呼ばれるパーツやジッパープルも、当時らしいものをチョイス。
’90~’00年代らしいチェックシャツを作りたく、独特の凹凸感を持つドビー織りの生地を。
古着好きなら見覚えのあるナイスな柄のジャガード生地のTシャツ。
ポケットのカーブも年代によって様々。デザイナーが好きな年代のデザインに。
ネックの太さ、ボディの大きさ、丈の短さが絶妙なTシャツを、あえてUSボディで製作。とにかくあらゆる手法で唯一無二なアイテムを製作しているのだ。

’90sな雰囲気満載の2024SSコレクション。

この見開きは古着の紹介ページかと錯覚してしまいそうになるけど、すべてが新作。見た目に限らず、往年のアウトドアものや、裏原アイテムからインスパイアされた細かなディテールまで秀逸のコレクションだ。

Big Light Jacket ¥36300

ブランドの代名詞的1着。その名のとおり、大きくて軽いジャケット。高機能、とは言わずとも往年の大衆感を損なわないくらいに撥水加工が施されているし、裾も絞れて、ファスナーポケットも3つ搭載。

Soft Shell Jacket ¥33000

ブランド初のソフトシェルジャケット。往年のアウトドアブランドのものより、ソリッドかつシャープなデザインで作られているので、タウンユースにもおすすめ。しかも2WAYストレッチでノーストレス。

NYCO Hooded Jacket ¥39600

もっとも“らしいアイテム”とブランドも太鼓判を押す、M-51をベースに丈を短く仕上げて作っている人気ジャケットのアップデート作。本家ミリタリーカラーよりも淡く、コーディネートにも馴染む。

Full Zip Packable Vest ¥27500

コーディネートが寂しくなりがちな春先にあると嬉しい、ちょい古なアメリカンアウトドアを感じさせるナイロンベスト。カラバリは、写真のネイビーに加えて、グリーンとブラックもラインナップ。

UMBRO® Woven Track Jacket ¥50600

今年創業100周年を迎えた「アンブロ」との2シーズン連続コラボレーション。オトナのY2Kにもってこいの、当時のカジュアルズを彷彿とさせるデザインが秀逸。裾もゴムで縛れて上物としても◎。

UMBRO® S/S Game Shirt ¥34100

上と同じく「アンブロ」とのコラボアイテム。2000年頃のユニフォームを元に、胸のフロッキープリントや刺しゅう、背面のUMBRO®アップリケロゴ、切り替え、パイピング使いまで、とことん追求した。

Dobby Plaid Open Collar S/S Shirt ¥23100

’90~’00年代のシャツにあったような細かいチェック柄を、立体感とシボ感を持つドビー織りの生地で構築。裾には、サーフ&ストリートブランドが使っていたようなオーバルロゴの刺しゅうを施した。

Striped S/S Pocket Tee ¥12100

アメリカ綿を空紡した糸を甘撚りにして……と、こだわり満載の生地なのだが、結局のところ「ボーダーはカラーリングとピッチがすべて」とデザイナーが奮闘して、’90sライクに仕上げたポケットT。

Jaquard Striped S/S Tee ¥11000

’90~’00年代のサーフ&ストリートブランドに見られた、ジャガードのボーダーTシャツをアップデート。当時とは異なり、生地にハリを持たせたことで、普通のボーダーTとして着用できる仕様に。

Oval Logo Denim Pant ¥24200

’90sに大流行したテーパードデニム。腰穿きして裾はズルズルしてたが、流石に今はそのキブンじゃないと考えて、丈の長さをモダナイズ。コインポケットにはオーバル刺しゅう入り。色味も絶妙である。

Cargo Easy Shorts ¥20900

ブランドでリリースされているワイドシルエットのカーゴパンツをショーツにアレンジ。生地にはコットンライクなリップストップナイロン100%を使用。軽さと耐久性に加え、撥水性も備えた逸品。

Convertible Climbing Pant ¥30800

デザイナー本人が旅先で使った、膝下を切り離せる古着の2WAYパンツに感動し、それを改良したクライミングパンツ。シャカパンではなくコーデュラのストレッチ生地。ショーツ単体のシルエットも◎。

Overdyed Nylon Messenger Bag ¥24200

ピストが流行した’00年代のメッセンジャーバッグを、ストレートすぎないようアレンジ。アジャスターなどのパーツで往年感を出しつつ、製品染めしたオックスフォードナイロンで今っぽく仕上げた。

Fly Logo Fishing Cap ¥9350

大きなツバと昔懐かしいレールアジャスターが気分を盛り上げてくれるフリーサイズのキャップ。憧れでもある、ハンティングとフライフィッシングに想いを馳せて、フロントには毛ばりロゴを刺しゅう。


(問)セダン オールパーパス sedan-all-purpose.com instagram:@sedan_all_purpose

Photo/Shouta Kikuchi,SOWBOW  Report & Text/Naoto Matsumura

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GO OUT編集部
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