【ブランドピックアップ〜THE NORTH FACE PURPLE LABEL〜】もうひとつの“ノース”の顔を、アーバンアウトドアに落とし込んだ。

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誰もが見たことのあるこのデザイン。ヘヴィデューティでクラシカルな「THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」の製品を長年にわたり着目し続け、今に落とし込む「THE NORTH FACE PURPLE LABEL(ザ・ノース・フェイス パープルレーベル)」。“普遍の最高峰”を今一度知ろうではないか。

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日本が世界に誇るナナミカ発、ザ・ノース・フェイス パープルレーベル。

今回は、紫色のタグが目を引くザ・ノース・フェイス パープルレーベルにフィーチャーした。取材することになった理由はブランドの人気に拍車がかかっているから、というのもあるが、意外とまだまだブランドの本質が世に知られていないためここで伝えたかったというのが一番の要因かもしれない。

実際インターネットでブランドについて検索しようとすると〝ザ・ノース・フェイス パープルレーベルとは〞というキーワードが上位に出てくるくらい。まさに多くの人がこのブランドの背景をあまり理解できていない証明といえよう。

まずTNF パープルレーベルは、『ザ・ノース・フェイス』を母体に持つブランドではあるが、それとはまったく異なる世界観であることを伝えておかなければならない。

『ザ・ノース・フェイス』が数々のスポーツ用品を揃える大手ゴールドウイン社が製造しているのに対し、『ザ・ノース・フェイス パープルレーベル』は、枝分かれし日本が世界に誇るブランド『ナナミカ』の会社から生まれている。

産声を上げたのは2003年と今から20年前になるが、5年ほど前からタグに〝Made possible by nanamica〞の文字が刻まれるようになったことで、ようやく『ナナミカ』とのコラボラインだと知るようになった人も増えてきているという状況だ。

代官山にある『ナナミカ』と『ザ・ノース・フェイスパープルレーベル』の本社ビルにて。製品と向き合うのはMDの遠藤さん。

前者の製品は言わずもがな技術の進歩が目まぐるしく、つねに革新的であることに対し、TNF パープルレーベルが求めている世界はあくまでアーバンアウトドア。街馴染みの良い『ザ・ノース・フェイス』にフォーカスしているから面白い。

大ヒットしたという2012年発売のゼブラ柄アイテム。弊誌でも表紙を飾った逸品だ。あれから10年経つが人気は衰えるどころか、世界にもその名を知らしめていて、どんどんと増している。

古き良き時代の『ザ・ノース・フェイス』製品に目を向け、それらのクラシックな名品をアップグレードさせたモノづくりが最大の持ち味。つまりスタンスが全く異なるということ。特にそれを象徴するのが本記事1枚目の写真に映る1976年に発表されたマウンテンパーカをベースに作っている65/35ベイヘッドクロスを用いた「65/35マウンテンパーカ」と、2気室の「ミディアムデイパック」だろう。

ちなみに65/35(通称:ロクゴーサンゴー)は 年代に『ザ・ノース・フェイス』が開発し、2006年にTNF パープルレーベルが再現して今に蘇ったもの。65%のポリエステルと35%のコットンの糸で織られていることが呼称の由来で、やわらかな風合いと程よいシャリ感でクラシックな見た目ともマッチする。しかもポリエステルが混紡されているから軽量で、非常によく考えられた優れ素材とされている。

化繊でストイックに作るのではなく、天然素材をうまく織り混ぜるのは『ナナミカ』の十八番。世の中ではハイスペックのアイテムが注目されがちなように思えるが、クラシックな製法でもタウンユースでは十分すぎるほど頼りになるし、図らずも温かみのある服となっているから、『ザ・ノース・フェイス』とはまた違った魅力を醸し出しているというわけ。

ビル内に設けられた一室には『ザ・ノース・フェイス』の貴重なヴィンテージアイテ ムがずらりと揃う。細かいディテールをチェックするうえで大切なアーカイブだ。

当ブランドが人気を博しているのにはほかにも理由がある。ブランドのアイテムラインナップはシーズンのアイテムと、マウンテンパーカをはじめとする定番アイテムが中心となっているのだが、そのほとんどがスタンダードアイテムと言っても過言ではない。

代表の本間さんは「雰囲気の違う椅子でも、ひとつのテーブルに並べたら違和感のないようにしておきたい」とよく社員らに伝えているらしく、売り出されているどの製品をとっても、他ブランドのものとすんなり合わせられるのもユーザーが慕っている要因なんだろう。

70~80年代の製品に使用されていた、通称“茶タグ”と呼ばれている、茶色いカラーのタグが付いたヴィンテージ・マウンテンパーカ。

アーバンアウトドア感と、普遍性や馴染みの良さ。人によっては〝ノース〞に一番求めていたであろうヴィンテージ的要素と適度な機能を絶妙に取り入れた『ザ・ノース・フェイス パープルレーベル』は、〝デイリーユースも求める〞ゴーアウト読者にとってこのうえないアイテムなのかもしれない。

じつは今回、撮影で店舗に伺った際にイギリスからの来客が大勢いたのが印象的だった。このブランドの魅力は今や世界中で知れ渡っているのだが、こう見えて日本でのみ展開されているという点もちょっと誇らしいところだったりするのだ。

“アーバンアウトドア”を知れる新店舗へ。

今年3月、代官山に『ナナミカ』の2つの店舗と『ザ・ノース・フェイスパープルレーベル』を展開する「nanamica MOUNTAIN」が同時オープンした。“都会の中の山の家”がコンセプトの上質空間を楽しむ。

『ザ・ノース・フェイスパープルレーベル』を扱う2階建ての店舗。対面には『ナナミカ』のメンズウエアを展開する「nanamica DAIKANYAMA」と、ウィメンズを揃えた「nanamica D.W.S.」が並ぶ。猿楽町の一角が“ナナミカ村”になっている。

たくさんあるTNFパープルレーベルのアイテムが一同に会する。そしてどれも普遍的なのだ。

グラフィックデザイナー三重野龍がグラフィックを手がけたショップ限定のスーベニアコレクション。どれもオーガニックコットンを使用している。

ニューヨークの『ナナミカ』の店舗でも話題になっていた外から自然光が差し込むガラス戸をここ「nanamicaMOUNTAIN」でも用いられているから一見の価値あり。

マネキンに着せたコーディネートやシルエットもさすが。

コンクリートと木の相反する質感がクロスオーバーしていて、見事に都会とアウトドアの融合が感じられる。

ハリスツイード素材のダウンベストもショップ限定アイテム。

豊富なアイテム数をラインナップ。

店舗情報
住所:東京都渋谷区猿楽町19-6CUBE代官山
tel:03-6416-3012
open:11:00~20:00

貴重なアーカイブを拝借させてもらった。

アーバンアウトドアを掲げるうえで、TNFパープルレーベルが着目した『ザ・ノース・フェイス』の過去作。70〜80年代製品は提唱する世界観そのものが宿り、アーカイブを介してもうひとつの側面を知ることができた。

すべて70~80年代の逸品。(左上)これぞ、元祖マウンテンパーカ。全面の大きな4つポケとハンドウォーマーなどは今見ても完璧なデザイン。(右上)プルオーバータイプのマウンテンパーカ。(右下)味のある底が表レザーのデイパック。(下中)フードが着脱可能で、ふたつの表情で楽しめるのもニクいフィールドジャケット。(左下)マウンテンパーカに負けず劣らず今世の中に普及しているほどんどのダウンベストのデザインがここから来ているといってもいい。

この冬、絶対に持っておきたい重衣料4選!!

アイテム数はかなりある『ザ・ノース・フェイスパープルレーベル』だけど、やはりアウターの存在は切っても切り離せない。社会情勢なども考慮し、とにかく今季こそ絶対買っておくべきものがこの4着だ。

Harris Tweed GORE-TEX INFINIUMTM Mountain Parka ¥99000

ハリスツイード素材を用いたビッグマウンテンパー カ。裏地にゴアテックス インフィニアムTM ウインドストッパー®ライナーを使用することで風の侵入と内側の蒸れを軽減した至極のコラボ作だ。

65/35 Sierra Parka ¥71500

ザ・ノース・フェイスの古き良きシエラパーカを現代的にアップデートした65/35素材の人気ダウン。オリーブのほか、ブラック、ダークグレー、レッドがあり、いずれも絶妙なカラーリングが◎。

65/35 Long Sierra Parka ¥77000

65/35ベイヘッドクロス&撥水加工のロングシエラパーカ。光電子®ダウンで自然な暖かさをキープし、パンツポケットにアクセスしやすいサイドスリットなど現代的なディテールも取り入れている。

65/35 Sierra Vest ¥45100

65/35のクラシカルさながら、裏地にリサイクルポリエステルリップストップを使用。他モデルのダウンと同様にオーバーシルエットや、内側のモバイルポケットなど、今のキブンもあるのが魅力。

本記事は、GO OUT vol.159からの転載記事です。

Photo/Shouta Kikuchi
Report&Text/Naoto Matsumura


(問)ナナミカ マウンテン tel:03-6416-3012 www.nanamica.com

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GO OUT編集部
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