7月19日(金)~21日(日)に開催された、GO OUT CAMP 猪苗代 vol.10。今回も全国各地から、たくさんのオートキャンパーたちが天神浜キャンプ場に集った。
フードやブランドの出展が並ぶなか存在感を放っていたのが、日産自動車の販売会社、福島日産のブース。同社は、85年以上にわたり県内で自動車販売とサービスのカーライフの提供を行うとともに、地域課題にも積極的に取り組む地域密着型の企業だ。
今回は、そんな福島日産のブースで催されていた特別試乗体験や、同社の地域での試みについて紹介。最新技術を搭載した日産SUVのオフロード性能や、日産純正のキャンピングカーなど見所満載だ。
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電気自動車、日産アリアとエクストレイルのオフロード体験。
福島日産のブースのメインコンテンツとなっていたのは、日産の最新SUVのオフロード試乗会。外観や内装が見られるのはもちろん、猪苗代湖畔の砂浜での走行を体験できた。
試乗できるクルマは、2車種。日産独自の電動パワートレイン(e-POWER)を搭載した「エクストレイル」と、100%電気自動車フラッグシップモデルの「日産アリア」。
ブースに訪れたキャンパーたちの視線をとりわけ集めていたのは、未来のクルマを感じさせる最新技術が搭載されたEV「日産アリア」。
外観だけでなく、日本の伝統美を感じさせるデザインとタブレットのような大型ディスプレイや、タッチパネル式のエアコン操作パネルなど、さまざまな先進装備が融合された車内は、もてなしのつまった特別空間。
会話や音楽をより楽しめる非常に静かな車内や、エンジンがない分、広々とした足元など、EVならではの作りに試乗された方も、ガソリン車との違いを確かめていた。
やはり注目は砂上での試乗体験。「日産アリア」と「エクストレイル」には、前後の高出力モーターとブレーキの統合制御により、駆動力を自在にコントロールする電動駆動4輪制御システム「e-4ORCE」が搭載されており、滑りやすい場所もスムーズに走破できる。
試乗会では、ある程度走行したのち、クルマを停め、ステアリングを左右に動かし、あえて前輪を砂に埋まった状態にする。そこからの脱出を試乗した方に体験してもらい「日産アリア」の走行性能を確かめてもらうというわけだ。
特別なテクニックもなく、アクセルを踏むだけで、まるで何事もなかったかのように走り出す「日産アリア」。通常であれば車輪が空転してしまうところであるが、優れた電子制御により、誰でも安全にこの状況をクリアできる。
筆者も実際に試乗させてもらったが、あまりのスムーズさに驚いた。しかもノーマルのオンロードタイヤだったし。砂はもちろん、雪や、雨後のぬかるみに遭遇した際も心強そうだ。
体験した方の間でも、オンロードでの走行のイメージしかなかったEVのイメージが変わったという声も上がっていた。
走行性能はもちろんのこと、筆者的に気になったのが「日産アリア」の「SOSコール」機能。ボタン一つで専門のオペレータと通話がはじまり、警察や消防への連絡、緊急車両の手配などのサポートが得られる。位置情報も共有されまた、事故の際には、エアバッグ展開と連動しオペレータに自動通報されるなど、安全装備の充実さも魅力的に映った。
日産の新しいくつろぎの空間を叶える特装車「キャラバンMYROOM」の体験も。
電気自動車の試乗体験にくわえて、ブースを賑わせていたのが、日産の商用バン「キャラバン」をベースとした、日産が手掛ける新しい時代の新しいくつろぎ空間「キャラバンMYROOM」。
東京オートサロン2022でもコンセプトカーが展示され注目を集めていた「キャラバンMYROOM」もいよいよ本格的に市販開始。キャンピングカーの選択肢として、気になっていた方もいるのでは?
屋内展示イベントと違い、会場は猪苗代湖や磐梯山を望む好ロケーション。実際にフィールドでリアルな使用イメージを体感できる場となっていた。
エクステリアだけ見ると、ノーマル車のままに見えるが、「部屋ごと出かけて憩うクルマ」というコンセプトを体現するように、その中には新築マンションのような快適空間が広がっていた。
「キャラバンMYROOM」を体験したファミリーも車内とは思えない快適さに興味深々。その機能美や空間の快適さに感嘆の声を漏らしていた。
ベッドルームは、幅約1.2m、奥行き約2.2mの長さがあり、大人2人がゆったり寝られる広さ。跳ね上げ式のベッドと、フルフラットなセカンドシートのつながりが気持ちいい。
洗練された空間はもちろん、空間のアレンジが自在な点も「キャラバンMYROOM」の特徴。ベッドを跳ね上げ、セカンドシートを起こすことで、リビングに切り替え可能だ。
リアゲートに取り付けられていたパネルは溝に差し込むことで、スライド式のテーブルになる。実用性も高いユニークなギミックだ。
セカンドシートのアレンジは、新幹線のような回転式ではなく、背もたれと座面をピンボールのフリッパーのように切り替える仕組み。移動中は、安全性を重視した硬めの座り心地、ソファーモードではリラックスできる、やわらかな座り心地になっていた。
ベッドモードの際は、硬めの面が体に接するようになっているので、腰への負担も少ない。
キャンピングカーのプライバシー確保には、カーテンが用いられることがほとんどだが、こちらは珍しいブラインド仕様。空間のスタイリッシュさを格上げしている。走行中のブラインドが音を立てるのを防ぐ作りになるなど、細部も抜かりなしだ。
リアゲート側の天井にはロールスクリーンも装備。ポータブルプロジェクターを持ち込めば、クルマがプライベートシアターに変わる心にくい計らいだ。映画はもちろん、ライブビューイングやスポーツ観戦を旅先で楽しむのもアリかもしれない。
EV用のバッテリーを再利用した「ポータブルバッテリー from LEAF(ディーラーオプション)」も日産らしい環境を配慮した取り組みのひとつ。ポータブルバッテリー用電源入力端子(写真下)へ差し込むことで、外付けバッテリーの車内活用ができる。
エンジンがオフの状態でも、換気ファンを回すことができ、外部電源から電力供給も可能だ。
はじめての”走る部屋”を体験したキッズたちはすっかり「キャラバンMYROOM」のとりこに。「いつかはこんなクルマにのりたい!」と強烈な憧憬を抱かせるのに十分な一台だった。
「キャラバン マイルーム」はキャンプシーンや車中泊、災害時の仮の住まいとしても役立つので、いざというときの備えにあると心強い。
福島日産の「フクニチャージ」。
今回の出展も福島日産のメッセージ「フクニチャージ」の一環として行われている。「フクニチャージ」とは「福島日産の活動・商品・サービスからふくしまに元気をチャージする」という思いが込められている。
時代に合わせたモビリティ提案・おもてなし・地域貢献の中で、電気自動車の活用提案には特に注力。
電気自動車の浸透に重要な充電器普及への取り組みや自治体と連携した電気自動車を活用した災害対策も行っている。
福島日産の創業の原点は、明治時代にまでさかのぼる。創業者の故金子與佐(ともすけ)氏が「電気で相双地域の人々の暮らしを豊かにしたい」という思いから起こした水力発電事業からはじまり現在に至る。
災害対策にEVときいて疑問に思う方もいるかもしれないが、2011年の東日本大震災で、電気自動車が被災者の生活を支えた実績がある。電気自動車に内蔵されたバッテリーが大容量の非常電源として機能。分断されたインフラの復旧までのサブインフラとして活躍した。
同社では、急速充電スポットやEVの普及のみならず、太陽光発電などを活用したエネルギーマネジメント機能を備えた施設拡張も検討しながら、地域への貢献を継続していく。
ちなみに、ブース体験をした方に配布されていたのは「フクニチャージ」の一文字目「フ」がプリントされたマシュマロ。キャンプイベントなので、そのまま自分のサイトに持ち帰り焼きマシュマロを楽しめる。
今後も「フクニチャージ」に要注目。
クルマ好きな来場者で始終賑わいを見せていた、福島日産のブース。
今後も「福島に元気をチャージ」のスローガンのもと、福島の充電環境の整備と災害に強い街作りへの貢献になるような新たなプロジェクトも進行中とのこと。
福島日産の「フクニチャージ」に今後も注目だ。
Photo/Fumihiko Ikemoto