ランドローバーの『ディフェンダー』シリーズの中で最長のホイールベースとなる8人乗りの“130”の新型がついに発表。すでにショート版の90、ミドル版の110は発売され大人気モデルとなっている。3列シートのディフェンダーを待ち望んでいたファンにはまたとない朗報だろう。
ランドローバーは2022年5月31日(現地時間)、かねてよりの告知通り、世界中で好評を博している『ディフェンダー』シリーズの8人乗り仕様である新型『ディフェンダー 130』を世界発表した。
たいへん基本的な事柄だが、そもそも“ディフェンダー”とは1989年に『ディスカバリー』シリーズが登場した際に、1948年から製造販売されていた本家本元の『ランドローバー』シリーズが改名したもの。先代モデルではホイールベースの長さにより90、110、130の3種類が用意されており、実は2019年に『ディフェンダー』の2代目にあたる新型モデルが発表された際にショートホイールベースの90とミドルホイールベースの110はすでに発売されたのだが、ロングホイールベースの130は今回、満を持しての登場となった。
新型『ディフェンダー 130』は、3列シートで2-3-3の広々としたシート構成を持ち、最大8人が乗車可能。すでに発売されている90や110と同じく、ボディの素材には軽量かつ堅牢性に優れたアルミニウムが多用され、極限環境向けに開発された『D7x』アーキテクチャーが採用されている。このため、以前のラダーフレーム構造の約3倍のねじり剛性を実現したモノコック構造となっており、歴代のランドローバーで最も頑丈なボディとなっているのも既発売の90、110同様である。
エンジンは『レンジローバー・スポーツ』などで定評のある直列6気筒の“インジニウム”エンジンで、ガソリンで300psのP300と400psのP400のほかディーゼルで250psのD250と300psのD300が用意される。いずれも48Vベルト一体型スタータージェネレーター(BiSG)を使用して、通常はブレーキと減速の際に失われるエネルギーを回収、スタート/ストップ・システムをより迅速かつ効率的に働かせる電力として用いるマイルドハイブリッド(MHEV)テクノロジーと組み合わされている。無論、定評のあるAWD(4WD)システムや電子制御のアクティブ ロッキング リヤ デファレンシャル、電子制御式エアサスペンションなどにより、酷暑の砂漠から酷寒のツンドラにいたるまで、路面を選ばぬ走破性を発揮する。また、全車20インチ・アルミ合金ホイールとなる。
新型『ディフェンダー 130』には、SE、HSE、X-Dynamic、Xの各仕様が用意されるのに加え、HSEをベースに3種類の特別なデザイン・テーマに仕立てられたファーストエディションと呼ぶ仕様が用意される。このファーストエディションには、マトリックスLEDヘッドランプ、2列目および3列目シートのヒーター、4ゾーン気候制御、メリディアン サウンド システム、ドライバーアシストパック、プライバシーガラスなど多くの装備が備えられているが、日本人の我々にとって面白いのは、特別なボディ色としてセドナレッドやカルパチアン・グレーに加え、まさに「富士山」をイメージしたというフジホワイトが用意されている点だろう。
2022年は英国ではエリザベス女王在位70周年のプラチナジュビリーにあたる。ランドローバーではそれを祝し、この新型『ディフェンダー 130』を女王と英国赤十字に贈呈する予定だ。
※なお、6月1日付けで、日本国内向けにも「ディフェンダー130」が正式にリリースされた。現段階で発表されている数値は、本記事に掲載されている欧州仕様値であり、日本市場における受注開始日および機種体系等は後日発表予定とのこと。楽しみに詳細情報を待ちたい。
■主要諸元(本国仕様)
全長×全幅×全高mm):5338×2008(ドアミラー収納時)×1970
ホイールベース(mm):3022
最小回転半径(m):12.84
フロントオーバーハング(mm):845
リヤオーバーハング(mm):1491
アプローチアングル:37.5°
デパーチャーアングル:28.5°
ブレイクオーバーアングル:27.8°
最低地上高(mm):290
アーティキュレーション(mm):430
最大渡渉深度(mm):900
ルーフ上最大積載重量(kg):300(静荷重)/168(動荷重)
最大牽引重量(kg):3000
最大積載重量:750kg未満(8座席)/800kg未満(5座席)