山ビギナーが八ヶ岳へ。本格登山を体験して発見したアレコレ。

GO OUT編集部

あれよあれよという間に2022年も山開きの季節。山の麓で優雅に過ごすオートキャンプとは違って、登山は十分な装備や知識、体力がなければ危険も多い過酷な世界。興味はあってもハードルが高くてトライできずにいる外遊び好きも多いのではないでしょうか。

かくいう筆者もその1人。アウトドアといえばキャンプや野外フェスへ行っては日がな一日ビール片手にはしゃいで過ごすばかりで、山に登った経験はほとんどなし。そんなアウトドアをずっと浅瀬で楽しんできた筆者に、かの”八ヶ岳”へ挑戦するチャンスが到来。ブランド設立160周年を迎えたMAMMUT(マムート)山の魅力を発信するべく開催している登山ツアーに参加し、本格登山のリアルを知りました。

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1泊2日の本格登山へ。果たして山の楽しさが分かるのか!?

苔むす八ヶ岳の登山道。6月中旬でも風が冷たく、動いていないと肌寒いほど。

“日本の守るべき美しい山景色”登山ツアーと銘打たれた同企画は、南八ヶ岳登山の要所である山小屋「赤岳鉱泉」を拠点に、八ヶ岳の中でも4番目に高い「硫黄岳」の登頂を目指す1泊2日の本格ツアー。

プロのガイドや宿泊所、食事まで用意された至れり尽くせりな企画なのですが、とはいえ、山を歩く知識も装備も体力も不十分な登山初心者にとって標高2760mを誇る硫黄岳登頂は決してラクではなく、心が折れそうになる場面もあったほど。

硫黄岳山頂へと続く稜線。岩が風化して細かくなった岩屑に足を取られるため、想像以上に歩きにくい。

絶対役立つ、山歩きの豆知識(プロガイドに教えてもらったこと)。

山頂を目指すなかで、足の置き方や歩幅、体温調整やエネルギー補給など、何気なく歩いているようで実は奥が深い、山歩きの基礎知識を学ぶことができました。足元の悪いフィールドで過ごすアウトドアならキャンプやフェスでも役立ちそうなテクニックばかりなので覚えておいて損はなさそうです。

小股歩きで体力温存。
できるだけ小さな歩幅で歩いた方が疲れにくく、ケガのリスクも軽減できるという。段差の大きなところを一気に上がると乳酸が溜まりやすいので、少しでも段差の小さなところを選んで歩くといいそう。
汗冷えにご用心!
汗冷えが体温低下を引き起こすため、なるべく汗をかかないようにするのが鉄則だそう。動作時の体温上昇を考慮してスタート時はあえて肌寒いくらいの格好がベター。稜線や山頂付近は強風に煽られるため、森林地帯でアウターを着てから進むと山頂付近で慌てずに済む。
行動食でエネルギー補給
数時間かけて行う山登りではエネルギー切れにも要注意。ドリンクだけでなく手軽に食べられる行動食も携行することで登山中の空腹を抑えられる。ナルゲンボトルなどに食べ物を入れておけばザックのドリンクホルダーに入れられるので便利。

まるでゲストハウス! 登山者の憩いの山小屋「赤岳鉱泉」へ。

今回、個人的に一番気になっていたのが山小屋に泊まるということ。もちろん初心者である筆者に山小屋泊の経験はあるわけもなく、ただ漠然と、小さなログハウスに雑魚寝するようなイメージで、縦走や雪山登山といった上級者の利用する簡易施設といった印象だったのですが、今回宿泊した「赤岳鉱泉」はそんなイメージを大きく覆す快適な空間となっていました。

標高2215m地点まで登ったところで現れた「赤岳鉱泉」。思い描いていた“山小屋”よりも遥かに大きく、20以上の客室を有し、全国的にも珍しい通年営業を行う南八ヶ岳の重要拠点だ。
赤岳鉱泉の物資はヘリコプターにて供給される。機体から吊るされた物資をあっという間に切り離して去っていく。
フロントでは雪山登山向け装備のレンタルを行っている他、なんとお風呂まで備えているから驚きだ。お風呂付きの山小屋は全国的にみてもかなり珍しいらしい。
売店の品物もかなりの充実ぶり。特に酒類の品揃えが良く、地元の日本酒にワイン、生ビールにまで取り扱っている。登山の後は風呂で疲れを癒やし、最後はビールでパーッと1
杯!なんて楽しみ方もできる。
食事のメニューもご覧の豊富さ。山小屋というとレトルト食品がある程度かと思っていただけに、これだけの選択肢があるのは嬉しい。
夕食にはなんとステーキが提供され、これまた嬉しい予想外。実はこちら、赤岳鉱泉の名物メニューとなっているようで、このステーキを食べるために遥々やってくる登山者も多いのだとか。
山小屋の周りでテント泊をする登山者の姿も。トップシーズンには辺り一面にテントが並ぶそう。

コロナ禍でも登山者を支えるために。

通年営業を行う赤岳鉱泉では、コロナ禍でも通常通り登山者を受け入れるための努力がなされていました。運営スタッフの数も限られている分、感染拡大防止には細心の注意が払われており、山小屋におけるコロナ対策の大変さを窺い知ることができました。

入り口には利用者にマスクの着用を促す看板が。山小屋内ではマスクの着用が義務付けられている。
食堂には全席にパーテーションが設けられ、飛沫対策が施されている。ここではWi-Fiも完備しており、ネットも繋がるという快適ぶり。
多額の費用をかけ、すべての部屋に換気扇を設置。室内は暖かくて夜も快適。登山の疲れを癒やす環境が整っている。

快適空間を支える水力発電。

ご覧の通り、いわゆる山小屋のイメージを遥かに超え、リゾート地のコテージを思わせるほど環境の整った赤岳鉱泉ですが、そんな快適な空間を作り上げている秘密が南八ヶ岳の自然にありました。そこには登山者を最大限サポートするためのただならぬ努力が見られました。

赤岳鉱泉への道中、登山道の脇を流れる川に作られた小さなダムを発見。この川の水力を利用する「マイクロ水力発電」システムを構築し赤岳鉱泉の電力を賄っている。
ダムに溜めた水を写真の黒いパイプへ流し込み水圧を高め、約50mの高低差をつけることで水力を上げ、下流に設置したタービンで発電を行い、赤岳鉱泉へ送電される。
赤岳鉱泉4代目オーナー 柳沢太貴さん
63年の間、曽祖父の時代から代々続く赤岳鉱泉の運営を一手に担う若頭。20年前から取り組んできた山での「マイクロ水力発電」を実現させた。「山小屋の運営は苦難の連続ですが、誰もやったことがないことに挑戦できるのは楽しみでもあり、とてもやりがいに満ちています」。

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