従来のダウンジャケットが抱えていたウィークポイントを徹底的に無くし、新しい機能ウエアへと進化させた「DESCENTE ALLTERRAIN (デサント オルテライン)」の「水沢ダウン」。日本が世界に誇るそのダウンの専用工場がリニューアルしたと聞き、岩手県の水沢地区に足を運んだ。
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祝新工場竣工。止まることを知らない“水沢ダウン”の進化に驚愕。

2012年にスタートした高機能ウエアカテゴリ「デサント オルテライン」が更なる高みを目指し、岩手の専用工場を大きくリニューアルした。だがまず、工場を知る前にここで作られる「水沢ダウン」の話をしたい。

この工場は元来、70年からスキーウエアや野球のユニフォームなどのパフォーマンスウエアを製造。オリンピアンや、アスリートらのために培われたモノづくりのキャリアの果てに生まれたのが水沢ダウンなのである。
誕生のきっかけは08年のバンクーバーオリンピック。降雪や雨の多い環境で日本の選手たちが快適に過ごせるダウンをと開発された。縫い目にシームテープを使う、というのはほかにもあるが、それをダウンパックとして〝熱接着ノンキルト加工〞を用いたのはあまりに革新的だった。

部屋をしっかり区切ることで縫い目からの水の侵入を防ぎ、熱を逃がさないだけでなく、適切なダウン量で暖かさを保持することに成功し、軽量化も図れた。加えて〝ヒートナビ〞と呼ばれる光を熱に変換する素材の開発にも取り組み、逆に暑いときに熱を逃がす独自ファスナー機構や、雨や雪が入らないファスナー付きのフード〝パラフードシステム〞をも生み出した。
さらに言うと、そんな水沢ダウンの顔とも言える主力モデル「マウンテニア」には「163、94、280、50」という数字が掲げられている。これはダウンジャケット一着ができるまでを数値化したもので、最初の3つの数字は順にパーツ、素材、工程の数を指し、1着ができるまでに50人の職人がかかわっていることを意味する。
これほどのストーリーが詰まっているのを知ると、水沢ダウンがほかのダウンジャケットとは別物であることが分かっていただけたはず。次頁でそんな逸品を手がける新工場を紹介しているので、現状打破のクラフトマンシップを垣間見てほしい。
水沢ダウンを作る職人の効率と働きやすさをUPした新工場。
2017年に水沢ダウン専用になった工場をリニューアルした背景には、老朽化もあるが、動線が悪く作業効率に影響を及ぼしていたことも挙げられる。従業員の9割が女性という環境にも目を向けられ、それらが改善された。

ギャラリーのようなエントランスに、ラボさながらの通路。こんな環境で生まれているのだと知ると、なんだか誇らしい。

従来は次の工程に移るのに移動を要したりしていたが、ワンフロア設計となりスムーズに。生地を収納する部屋、裁断、熱圧着、ダウン封入、縫製といった各作業スペースに順を追ってスムーズに運ばれていく。

低めに設えられた照明は、電源をどこからでも取れる仕組みで、女性でもミシンを移動して使ったりしやすいよう配慮。

工場内には羽毛検査室があり、フィルパワー(FP)、ダウンの種類、異物混合のチェックなど細かな検査が行われている。羽毛に異物が混入しているケースは僅か0.1%以下だというが、そういうものでも見逃しがないように徹底した製品づくりが成されているのも水沢ダウンの凄みなのだ。

荷物を積んだラックを運ぶのも何かと大変だったが、新工場ではロボットが指定の場所まで運んでくれる。

雪の降る地区だが、壁際に設置された輻射熱冷暖房設備が設定した温度を保っているから工場内はポカポカ。エアコンを使わないことで、ダウンが舞うなど、意外と天敵だった風の影響もなくなった。

製品の接着が悪くないか最後まで抜かりなく確認。パーツや生産機器のちょっとした修理にも対応。

水沢ダウン専用工場とあって、すべてがそれを作るために設計されている。

工場で働く99%が岩手出身。自然に囲まれた雪景色の中にある大きな駐車場に、ズラリと並ぶクルマが印象的だった。地域社会の発展や活性化にも大きく寄与していた。
水沢ダウンの軌跡がわかるアーカイブス。
オリンピック日本代表のユニフォームから、ファッションシーンに普及。メゾンブランドとのコラボや、マイナーチェンジを重ね、いろんな製品づくりに励んできた水沢ダウン。幾つかのアーカイブを見させてもらった。

MIZUSAWA DOWN JACKET JAPAN MODEL 2010(2009)

MIZUSAWA DOWN JACKET ANCHOR Mark 3(2010)

is-ness × DESCENTE MIZUSAWA DOWN JACKET(2010)

MIZUSAWA DOWN JACKET SHUTTLE Mark 1(2011)

MIZUSAWA DOWN JACKET MOUNTAINEER Mark 1(2012)

MIZUSAWA DOWN JACKET MOUNTAINEER(2013)

MIZUSAWA DOWN JACKET SHUTTLE(2014)

MIZUSAWA DOWN JACKET STORM(2015)

MIZUSAWA DOWN JACKET ALLTERRAIN 5th ANNIVERSARY MODEL SCHEMATECH-M(2017)

MIZUSAWA DOWN JACKET MOUNTAINEER 10th ANNIVERSARY MODEL(2018)

MIZUSAWA DOWN JACKET REQUISITE(2019)

DIOR×DESCENTE MIZUSAWA DOWN JACKET(2020)
今季は、竣工記念、限定、新モデルが多数登場!
「アンカー」や「マウンテニア」が持つあらゆる機能美をベースにデザインされた、多様なダウンジャケットを今シーズンも数多くラインナップ。定番モデルのほか、限定&新モデルもあわせてご紹介します。

MIZUSAWA DOWN JACKET “MOUNTAINEER” ¥143000
水沢ダウンジャケット至極のハイスペックモデル。熱接着ノンキルトとシームテープ加工により、水分含浸を防ぎ、高い耐水性を実現。フードには水や雪だまりを防ぐパラフードシステムを採用。

MIZUSAWA DOWN OVERSIZED JACKET “MOUNTAINEER” ¥154000
フロントジッパーが2列構造で、暑いときはメッシュに切り替えて外気を取り込むことができるなど、マウンテニアと同等のスペックだが、オーバーサイジングタイプなので好みで選ぼう。

MIZUSAWA DOWN JACKET “ANCHOR” ¥121000
水沢ダウンジャケットの初期モデル。光を熱に変換し保温性能を発揮する“HEAT NAVI®”の裏地など、ほとんどマウンテニアと同等だが、さらにミニマルでリーズナブルなのが特徴。

MIZUSAWA INVISIBLE DOWN COAT “INV-08″ ¥154000
表地は防水透湿性に優れる4WAYストレッチ、中生地は保温性能に優れる“HEAT NAVI®”、パラフー
ドシステムなど機能美はそのまま、ダウンの密度をデイリーユースにしたダウンコート。

MIZUSAWA INVISIBLE DOWN JACKET “INV-06″ ¥132000
熱接着ノンキルト加工やその他ディテールを内側に潜め、都会的でミニマルなデザインを追求したシリーズ。ダウンの密度を従来モデルの約60%に抑えることで、軽量化。都市生活でも快適。

MIZUSAWA DOWN JACKET “LUCENT” ¥198000
水沢新工場の竣工を記念したモデルで100着限定販売。内側の仕様をあえて見せるクラフトマンシップを表現するスケルトンモデル。随一の軽量性と嵩高性を発揮する1000FPのダウンを充填。

MIZUSAWA DOWN JACKET “MOUNTAINEER” 90TH MODEL ¥165000
マウンテニアをベースに、デサントの90周年を記念した特別モデル。90周年ロゴを裏地にプリント。さらに左袖にはデサントの旧ロゴから新ロゴへの変化を表現した特殊加工の記念ロゴ。

MIZUSAWA DOWN JACKET “CARRY” ¥154000
ダウン量を従来モデルから約60%に抑え軽量化。内側に大容量ポケットを備え、ポケッタブル携行も可能。スタンドカラーデザインで、衿部分にはフードを内蔵し、急な天候変化にも対応可。

MIZUSAWA DOWN JACKET “VERTEX-3” 1000FP ¥198000
水沢ダウンジャケットの2024年最上位モデルをアップデート。従来モデルと比較して10%の軽量化を実現しながら保温性も向上。1000FPのダウンでこれまでにない暖かさを実現。

MIZUSAWA DOWN JACKET “GORE-TEX ENDEVOR” ¥176000
アメリカのゴア社が開発した高度な防水性と耐久性を備えたGORE-TEX Fabricを採用した2025年の新モデル。リサイクルナイロンを使用した、コットンライクでナチュラルな風合い。

MIZUSAWA DOWN JACKET “TRIDENT” ¥198000
デサントのブランドロゴを想起させる首元から裾まで走らせた3本のファスナーが特徴的な新モデル。左右ファスナーはベンチレーション、ハンドウォーマー、ポケットと3つの機能を集約。

MIZUSAWA DOWN JACKET “MERGE” ¥220000
極細メリノウールとリサイクルポリの混紡素材をベースに、ポケット周囲や脇下に化繊の布帛素材を配置した新モデル。デザイン性に加え、摩耗に対する強度補完機能が加味された逸品だ。
(問)デサントお客様相談室 tel:0120-46-0310 allterrain.descente.com
Photo/Shouta Kikuchi(Image), Yuma Yoshitsugu(Item)
Report & Text/Naoto Matsumura

