砂浜は海辺だけじゃない? 夏でも涼しい「天空ビーチ」でチルアウト。【GO OUT 遊歩倶楽部/日向山編#01】

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砂浜は海辺だけじゃない? 夏でも涼しい「天空ビーチ」でチルアウト。【GO OUT 遊歩倶楽部/日向山編#01】

里山から旧街道まで、アソビの延長で“歩く”ことを楽しむ、GO OUT遊歩倶楽部。第3回目は、まだまだ残暑が厳しい人里を離れ、清涼感溢れるビーチへ。

だけど、都内からクルマや電車で行ける湘南の海や九十九里浜に、わざわざ“遊歩”で行くのもちょっとナンセンス。

せっかくなら、歩いてしか行けないようなビーチを目指したい!

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Table Of Contents : 目次

ビーチに行くけど、山に集合。

(左から)
辻井国裕(office borshch PRディレクター)PRオフィス、ボルシチの代表。登山、自転車、パックラフトなど趣味も多彩。
キャン(GO OUT CAMPクルー)GO OUT CAMPのボランティアリーダー。富士登山のツアーガイドの資格も持つ。遊歩倶楽部の初代部長。
藤巻健治(フォトグラファー)遊歩倶楽部の第1回目で撮影を担当。趣味はクライミング。
安田香織(フリーランスPR)アート、ファッション、ライフスタイルなど、さまざまなブランドのPRを担う。@kaoriyasuta
aiai(トラベルインフルエンサー)フォロワー数4万人以上を誇る、旅するインフルエンサー。@aiai0311

ということで早朝に集まってもらったのは、山梨県北杜市にある「尾白川渓谷の駐車場」。今回のメンバーはキャンさん&辻井さんコンビに加え、フォトグラファーの藤巻さん、フリーPRの安田さん、トラベルインスタグラマーのaiaiさん。

キャン「よろしくお願いします!」
aiai「アウトドア好きなので楽しみです」
藤巻「今回は撮る側ではなく、出演する側です」
安田「……あの、ビーチまで歩くって聞いていたんですけど、ここ山ですよね?」
辻井「ボクなんて、リゾート気分でアロハシャツ着てきちゃいましたよ」

「今回はビーチに行きます」とだけ言われていたメンバーたちは、ちょっと戸惑いも……。

目指すは、標高1600mにある“天空のビーチ”

さすがに、ここから海までは100kmくらい離れているので、とてもじゃないけど“遊歩”にならない。というわけで、今回目指してもらうのは、標高1660mにある“天空のビーチ”。

何度か行ったことがあるというキャンさんが、駐車場にある看板を見ながら説明してくれた。

キャン「南アルプスの日向山(ひなたやま)っていう山の山頂付近に、白い花崗岩が露出したガレ場があるんですよ。そこが本当に砂浜みたいで……。確かに“天空のビーチ”って呼ばれていますね」

日向山の山頂までは、ここから歩いて行くこともできるが、直近の登山口にも駐車場があるため、まずはそこまでクルマで移動する。

ちなみに集合場所となった「尾白川渓谷駐車場」は、南アルプスの名峰、甲斐駒ヶ岳の登山口。そのため、ザ・ノース・フェイスもサポートするシェア型登山タクシー、「マウンテンタクシー」にも対応している。

おかげで電車でもアクセス可能。尾白川沿いのキャンプ場にも隣接しているため、キャンプをするために訪れるのもあり。

標高約1120mの駐車場から遊歩スタート。

尾白川渓谷駐車場からクルマで15分くらいかけて上がってきたのが、標高約1120mにある矢立石駐車場。

こちらは10台くらいしか駐車できないので、なるべく早朝に訪れるのがオススメ。この日は平日ながら、8時前にはほぼ満車状態になっていた。

到着までの道幅も狭めなので、尾白川渓谷駐車場から歩くほうが無難かも? その場合、ここまで片道1時間ほどの道のりとなる。

登山口には、南アルプスエリアが日本ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)に認定されているという看板が設置されていた。もちろん日向山もその区域内。美しい山岳資源を未来に残すために、さまざまな取り組みが行われている。

そんな自然の植生や生態系を保護する貴重なエリアに、ちょっとお邪魔させてもらいますというカンジで、遊歩スタート。しばらくは緩やかな林道や、木の根で作られた天然の階段が続いていく。

急勾配の坂もないため軽快に進んでいくと、いきなり巨岩に遭遇。クライミングが趣味の藤巻さんが「ちょっと登ってみてもいいですか?」と岩肌へ。

尾白川渓谷の近辺はクライミングのスポットとしても有名らしく、冬場はアイスクライミグも楽しめるそう。

道中には、古墳のような石室の遺構も。これは「炭焼き窯」の跡らしい。昔は山で集めた薪を、その場で焼いて炭にして、軽くして持ち帰っていたとか。

いまでこそエコパークに認定されているけど、かつては地域の暮らしを支える里山だった証であり、この登山道にも生活の歴史があることが伺える。

「1/10」の道標を発見。まさかのここが一合目?

しばらく歩くと、擦れて見えにくいけど「1/10」と書かれた標識が出てきた。結構登ったつもりだったけど、もしやここが一合目? 

ある意味スタート地点ともいえる数字に驚きながらも、こうした標識があるとペース配分しやすいし、モチベーションの維持にも役立つ。

しかも、10分も歩かないうちに「2/10」の標識に到着した。予想以上にタイトに刻まれているため、一同のテンションもアップ。「ゆっくり歩いても、山頂まで1時間くらいですね」とキャンさん。

ゴール地点までの距離感を、なんとなく掴んだ5人は、気を取り直して元気よく登っていく。もちろんそれでも、天空のビーチまでの道のりは、それなりに長い。

ちょいちょい休んで、ノンビリと山頂へ。クマ対策も。

ということで、ちょっと休憩することに。ピークハントの登山といえども、ストイックに山頂を目指さず、ちょいちょい休んでノンビリとハイクするのが遊歩スタイル。

「なぜか山ではスナック菓子が食べたくなります(笑)」と、aiaiさんが持ってきた、すっぱムーチョ梅で、サッパリしつつ塩分補給。

【辻井さんのクマ対策ギア】トイガンは火薬銃、熊避けスプレーケースはジンダイジマウンテンワークス、熊鈴はプエブコとファクトリービー

でも、山といえば、ちょっと気になるのが最近のクマ事情。もはや、どこで出会ってもおかしくない状況だけど、そこは辻井さんが、しっかりとクマ対策グッズを持参してくれた。

【安田さんの新調シューズ】Topo Athletic トレイルベンチャー2 WP

安田さんは、この日のためにトポアスレチックのハイクシューズを新調。安全性を考慮して、防水仕様のミッドカットを選んだらしいけど、「思っていた以上に軽くて、歩きやすいです」と大満足の様子。

【キャンさんの新調シューズ】ALTRA ローンピーク9+

そしてキャンさんも、入手したばかりというアルトラの新作モデルを、本日おろし履き。「昨日、バンブーシュートで買ってきました! やっぱりローンピークは名作ですよね。これもグリップ力が凄い」と絶賛。

気がつけば、標識フォトセッションに。

ゆっくり休憩したら、再び山頂を目指して歩き始めた5人。この日は、平地は35度を超える猛暑日だったけど、標高1300m付近の樹林帯は、比較的涼しくて歩きやすい。

しかも極端な急勾配もないため、息を切らすこともなく、テンポよく登っていける。

ということで、さくっと「3/10」に到着。あまり変わり映えしない景色が続くなか、この標識が唯一の現在地を知る手掛かり。それと同時に、ちょっとしたフォトスポットに。

そこで、気がつけば、標識フォトセッションに。山頂まで絶景がなくても、和気藹々と楽しく登っていく、ポジティブな遊歩メンバーたち。

途中、2回ほど休憩を挟んだが、みんな終始笑顔で疲れを見せることなく、案外スムーズに山頂へ。

そして無事に日向山のピークに到着! しかし今回のゴールはここではなく、山頂より少し先にあるガレ場。その”天空ビーチ”は目前なはずだけど、まだこの時点で、その気配はまったく感じられない。

天空のビーチに到着! 絶景が見えるはずが……?

山頂付近は勾配もなだらかになり、笹が茂るカラマツ林になるなど、景色にも少し変化が見えてきた。なんか、ちょっとだけ周りが明るくなってきたかも?

そして山頂から少しだけ降り、その先に進んでいくと……。

樹林帯を抜けると同時に、いきなり視界が広がり、とても山の上とは思えない広大な砂浜に辿り着いた。

目的地に到着した達成感と、一気に景色が変わった高揚感で、とりあえずみんなのテンションはマックス!

しかし、タイミング悪くガスってしまい、高度感もわからない濃霧の世界に。それでも、これはこれで幻想的。

キャン「本当は、この先に絶景が広がっているんだけど……。でも霧はそのうち晴れると思いますよ」
aiai「これでも充分にビーチ感ありますよ!」
安田「ちゃんと砂浜なんですねー。 山の上とは思えない!」

とりあえず、濃霧のなか看板前で記念撮影。ここは日向山の山頂の西にある「雁ヶ原(がんがはら)」呼ばれるスポット。花崗岩が風化して作られた、真っ白な砂場になっていて、異世界感に溢れる不思議な景色が楽しめる。

そして写真を撮っているうちに、キャンさんの言葉通り、少しずつ霧が晴れてきた。

同時に、荒波のようにダイナミックに隆起する花崗岩が姿を現し、目の前に南アルプスの雄大な山岳展望が広がっていく。真っ白な砂浜と深緑の山肌のコントラストも美しい。

これぞまさに天空のビーチ。そのあまりの絶景ぶりに、一同が大歓声を上げるほど。しかし、今回の最大の目的は、ここで清涼チルアウトすること。はたして、一体なにをするのか。

【#02後編へ続く】

Photo/Fumihiko Ikemoto

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Masatsugu Kuwabara
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