キャプテンサンシャインとは?
「KAPTAIN SUNSHINE(キャプテンサンシャイン)」は、2013年に児島晋輔氏によって設立されたブランドだ。ブランド名にある「KAPTAIN」は、海の男(シーメン)のユニフォームに見られる凛々しい佇まいとタフな作りを意味する。
一方の「SUNSHINE」が表すのは、目的を持ったディテールの集合体であり、贅沢かつソリッドに構築されたフィールドウェアのこと。この二つの要素を融合させ、独自のスタイルを提案している。
デザイナーの児島氏は、雑誌編集者としてのキャリアを経て、かつてリメイクブランド「Waste(twice)」を手掛けた人物。編集者時代に培ったヴィンテージ・アーカイブへの深い造詣が、クリエイションの根幹を支えている。しかし、生み出されるプロダクトは、単なる過去の再現(復刻)にはとどまらない。
往年のアメリカン・トラディショナルやミリタリーの意匠をベースにしながらも、現代の都市生活に馴染むモダンなシルエットへと再構築する。そこに選び抜かれた上質な素材を掛け合わせることで、大人のための新しいフィールドウェアとしての立ち位置を確立しているのだ。
ヴィンテージの面影を、現代の上質な生地で
キャプテンサンシャインを語る上で欠かせないのが、並々ならぬ素材へのこだわりだ。デザイナーが産地の職人と膝を突き合わせ、糸の選定から織りの構成に至るまで、ゼロから生地を開発することも珍しくない。
採用するのは、最高級綿として名高い「フィンクスコットン」や「スビンコットン」などの希少素材。それらを岡山や尾州といった国内屈指の産地で、熟練の技術をもって織り上げることで、ヴィンテージの風合いと現代的な着心地を高度に両立させている。
風を孕む、計算されたボリュームとドレープ
上質な素材と並び、このブランドを象徴するのが「シルエット」の妙だ。特徴的なのは、生地の分量を贅沢に使ったボリューミーなフォルム。ただサイズを大きくするのではなく、緻密な計算のもとに設計されており、動くたびに美しいドレープ(生地の波打ち)が生まれる。
ゆったりとしたAラインや、身体を優しく包み込むような丸みのあるライン。無骨なワークウェアの意匠を持ちながらも、袖を通すとどこかエレガントな空気が漂うのは、この現代的なパターンワークがあるからこそと言えるだろう。
旅へと誘う、”道具”としての機能美
ブランドの根底に流れる重要なテーマ、それが「トラベラー(旅)」だ。トラディショナルやミリタリーのアーカイブをベースにしつつ、そこにはフィールドで真価を発揮する実用的な機能が宿っている。
鞄を持たずとも行動できる秀逸なポケット配置や、ストレスのない可動域を確保したパターンワーク。単なるファッションにとどまらず、旅の相棒となる”ギア”としての側面まで綿密に計算されているのが特徴である。
また、上質かつタフな素材使いも、道具としての信頼性を高めている。生地は型崩れしにくく、着込むほどに身体に馴染んでいく。新品の状態をピークとせず、使い込むことで風合い深く育っていく「経年変化」も、このブランドが長く愛され続ける大きな理由だ。
毎シーズン展開される、多彩なコラボレーション
毎シーズンのように発表されるコラボレーションアイテムも、キャプテンサンシャインの楽しみの一つ。
英国の老舗「Barbour(バブアー)」、「JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)」や、日本の「Goldwin(ゴールドウイン)」、「PORTER(ポーター)」など、国内外の確かな背景を持つブランドと継続的に共作を行っている。
特筆すべきは、そのアプローチの深さにある。単に色を変えたりロゴを配置したりするだけの安易なものではない。型紙(パターン)をイチから製作したり、ブランドオリジナルの上質な生地に載せ替えたりと、完全な別注仕様で製作されることが多い。
相手ブランドの歴史や機能性を尊重しつつ、そこにキャプテンサンシャインらしい「旅」や「フィールド」の要素、そして現代的なシルエットを注入する。互いの強みを掛け合わせたプロダクトは、レギュラーライン同様に高い人気を博している。
キャプテンサンシャインを象徴する、珠玉の名作たち
これまで触れてきた素材へのこだわりや旅の思想は、実際のプロダクトにどのように落とし込まれているのか。ブランドの顔としてラインナップされ続けている定番品に加え、注目の別注モデルも含めた、代表的なアイテムをいくつか見ていこう。
優雅なドレープを纏う、Traveler Coat
極細繊維「Super140’s」を贅沢に使用した、ブランドを代表する二重織りメルトンコートだ。
特筆すべきは、重厚な見た目を裏切る軽やかさと、上質な原料ならではの品のある光沢感。たっぷりとしたAラインシルエットは包容力があり、ジャケットの上からでも無理なく羽織れる。襟元のチンストラップなど、細部まで実用性が宿る一着だ。
英国羊毛を贅沢に味わう、Walker Coat
英国産の希少種「ブルーフェイス」を梳毛紡績し、高密度に打ち込んだウールサージ素材のコート。英国羊毛ならではの反発力のある弾力性と、しっかりとしたハリコシが特徴だ。あえてじっくりと手洗いで仕上げることで、生地本来の豊かな風合いを引き出している。
肩に縫い目のない「一枚袖」のラグランスリーブを採用しており、肩から裾にかけて流れるような美しいAラインシルエットを描くのも魅力の一つだ。
2種の超長綿と丸胴の心地よさ、Suvin Supima Tube L/S Tee Heavy
希少な「スビンコットン」と、アメリカ産の上質な「スーピマコットン」をブレンドしたチューブ天竺Tシャツ。糸に程よく撚りをかけることで、シャリっとした清涼感を持たせつつ、原料本来の滑らかな肌触りと上品な光沢を両立させている。
脇に縫い目のない「丸胴」ボディに加え、ネック部分もシームレスに仕上げることで、肌への干渉を極限まで軽減。リラックスシルエットで、毎日袖を通したくなるストレスフリーな一着だ。
旧式織機が生む味わい、5P Zipper Front Denim Pants
上質なサンフォーキン・コットンを原料に、ナチュラルなネップを混ぜてピュア・インディゴで染め上げた13.5ozセルビッチデニムを使用。旧式織機を用いてローテンションでゆっくりと織り上げることで、現代のデニムにはない味わい深い凹凸感が表れている。
シルエットは、ゆとりを持たせつつ裾に向かって緩やかに絞り込んだ「イーストコースト・ワイドテーパード」。クラシックな5ポケットの佇まいながら、着脱しやすいジッパーフライを採用したブランドの定番モデルである。
エジプト超長綿の品格を宿す、Baker Pants
エジプトの超長綿「FINX」を3本撚り合わせ、超高密度に織り上げたバギーサテン素材を採用。ワークウェアの定番であるベイカーパンツながら、原料ならではの上品な光沢と、とろけるようなヌメリ感を備えているのが特徴だ。
仕上げにしっかりと洗い込むことで、ヴィンテージを彷彿とさせる淡い色調を引き出している。レギュラーフィッティングのストレートシルエットは、武骨さと洗練が同居しており、カジュアルな着こなしを格上げしてくれる一本である。
英国の名門と描くコントラスト、Cruiser Hoodie
Cruiser Hoodie ¥68200
英国の老舗「Barbour(バブアー)」とコラボレーションした、スペシャルなフーデッドジャケット。生地には4オンスのドライワックスコットンを採用し、ベタつきを抑えた軽やかな着心地に仕上げているのが魅力だ。
最大の特徴は、裏地に鮮やかなメルトン素材を配した着脱式のフード。外せばコーデュロイ襟が際立つスタンドカラーとなり、よりシックな表情へと変化する。ゆとりのあるリラックスフィットにより、インナーを選ばず羽織れる実用性の高さも備えている。
日本の伝統色が息づく、Market Bag
タテ糸にコットン、ヨコ糸に太番手のヘンプを交織した、高密度のヘビー・オックスフォード生地を採用。日本の伝統的な染料である「墨」と「柿渋」で染め上げ、仕上げにテンションをかけず何度も洗い込むことで、生地そのものがふっくらとした豊かな表情を見せている。
ざっくりと荷物を放り込めるビッグサイズに加え、手持ちと肩掛けの使い分けが可能な2WAYハンドル仕様。使い込むほどに味わいが増す、経年変化も楽しみな一品である。
待望の旗艦店、南青山「KAPTAIN SUNSHINE AOYAMA」
2025年3月、骨董通りから一本入った閑静な路地裏に、ブランド初となる待望の旗艦店「KAPTAIN SUNSHINE AOYAMA」がオープンした。
空間設計を手掛けたのは、二俣公一氏率いる「CASE-REAL(ケース・リアル)」。元々の物件が持つ複雑な構造をあえて活かし、長いアプローチの先にある中庭(パティオ)を介して、開放的なメインフロアと、落ち着きのあるフィッティングスペースを緩やかにつなぐ構成となっている。
店内では、シーズンごとのフルラインナップに加え、直営店限定のアイテムも展開される。さらに、デザイナーの児島氏が長年収集してきたヴィンテージのジャズTシャツや、英国のゴールドジュエリーなど、独自の視点でセレクトされた一点物も並ぶ。
こだわりのプロダクトだけでなく、デザイナーの美学やバックボーンまでをも体感できるこの場所は、ファンにとってブランドの世界観に深く浸れる「聖地」と呼ぶにふさわしい空間となっている。
FAQ
Q.サイズ選びのポイントは?
基本的にはジャストサイズを選べば問題ない。ブランド全体として、大人の余裕を感じさせるリラックスフィットで設計されている。肩のラインや身幅に絶妙なゆとりを持たせているため、無理にサイズを上げる必要はなく、いつものサイズ選びで美しいAラインやドレープを楽しめる。
Q.どこで購入できる?
南青山の旗艦店のほか、公式オンラインストア、および全国の有力セレクトショップで展開されている。人気モデルや別注アイテムはシーズン序盤に完売することも珍しくないため、各ショップのデリバリー時期を早めに確認しておくのが定石だ。
Q.価格帯の相場は?
カットソーで1〜2万円台、パンツやシャツで3〜4万円台、アウター類は10万円前後が目安となる。決して安価ではないが、最高級の原料選定や国内熟練職人による仕立て、そして経年変化まで計算された作りを考えれば、むしろコストパフォーマンスは高いといえる。
Q.初めての一着、おすすめは?
まずはブランドの顔である「Traveler Coat」や、素材の良さをダイレクトに体感できる「Suvin Supima」シリーズのカットソーから入るのがおすすめだ。日常的に袖を通すアイテムでその圧倒的なクオリティを実感できれば、自ずとセットアップや別注品へと食指が動くはずだ。








