「OLD MOUNTAIN(オールドマウンテン)」は、2017年に島根県出雲市でスタートしたガレージブランド。現在はギア製造の枠を超え、「ますみず天空キャンプ場」やグランピング施設「EXTRAORDINARY PLACE MOTOSHIMA」なども運営。こだわりの道具を生み出すだけでなく、それらを使って楽しむための「場づくり」にまで活躍の場を広げている。

オールドマウンテンとは?

「OLD MOUNTAIN(オールドマウンテン)」は、2017年に島根県出雲市でスタートしたガレージブランドだ。その第一歩は、ヴィンテージの空気感になじむラクダ革を使った、カーミットチェア用座面の製作から始まった。

ディレクターの辻ノ内氏は、旧車やアンティーク家具に目がない筋金入りのヴィンテージツウであり、そのバックボーンがブランドの世界観に色濃く反映されている。

現在はギア製造の枠を超え、「ますみず天空キャンプ場」やグランピング施設「EXTRAORDINARY PLACE MOTOSHIMA」なども運営。こだわりの道具を生み出すだけでなく、それらを使って楽しむための「場づくり」にまで活躍の場を広げている。

“手間も楽しむ”大人のためのギア

オールドマウンテンのアイテムには、道具とじっくり向き合い、「手間をかけながら長く付き合う」という美学が貫かれている。所有する喜びや、自分だけの世界観を深く追求したい大人たちに向けたギアが中心だ。

その根底にあるのが、徹底した素材へのこだわりである。使い込むほどに表情を変えるウォールナットやオーク、過酷な環境にも耐えるラクダ革、そして鈍い輝きを放つ真鍮。新品の状態がピークではなく、使い込むほどに傷や汚れが“アジ”となり、「自分の道具」へと育っていく。

職人による手仕事が中心のため生産数は限られ、抽選販売でも高倍率となることが多い。ただ、その希少性の高さもブランドの価値を構成する要素のひとつ。手に入れたときの満足感や、フィールドで使う際の特別感につながっている。

“一生モノ”好きに刺さる、オールドマウンテンのアイテムたち

オールドマウンテンの真髄は、そのプロダクトにこそ宿っている。

ヴィンテージのような空気を纏いながら、職人によって緻密に作られた道具たち。「一生モノ」として愛せるタフさと、機能美を兼ね備えたラインナップの中から、特に押さえておきたい名作たちをピックアップする。

ごはん担当の相棒、オカマドン

OKAMADON ¥7150 ※クッカー、ムシアミ、レザーグリップは別売り

「3度の飯より飯が好き」。そんなユニークなキャッチフレーズとともに愛されているのが、この「OKAMADON(オカマドン)」だ。

オールドマウンテンのオリジナル深型シェラカップ(480サイズ)と組み合わせることで、1合までの炊飯が可能になるというアイデア作。裏面に刻印されたブランドアイコンのオルテガ模様も、単なる装飾ではない。昔ながらの技法を用いた「反り止め」としての役割も兼ねており、機能とデザインが融合したつくりとなっている。 

シェラカップにスタッキングできるコンパクトさも相まって、荷物を減らしたいソロキャンパーや登山ユーザーからの支持も厚い名作だ。

カーミットチェアを格上げするレザーシート、ラクダ/ガラクダ

GARAKUDA ¥35200 ※カーミットチェアは別売り

オールドマウンテンの代名詞とも言えるのが、カーミットチェアの張り替えジャケットだ。

まずは、その名の通り高級サウジアラビアンキャメルレザーを贅沢に使用した「RAKUDA(ラクダ)」。 本来、非常に柔らかいキャメルレザーは強度が求められるチェアには不向きとされるが、あえて採用することで極上の座り心地を追求。

伸び止めを施したステッチや、裏面に強度の高いパラフィンコットンを張り合わせた2枚構造によって、耐久性の問題をクリアしている。

一方の「GARAKUDA(ガラクダ)」は、オルテガ紋様と中東の祭りでラクダに入れられる紋様をインスパイアしたオリジナルデザインが印象的。こちらもサイドにキャメルレザーを配し、裏地にパラフィンコットンを使用したタフな構造となっている。

どちらも特徴の異なる素材を組み合わせることで、使い込むほどにヴィンテージデニムのような「アタリ」やシワが生まれる。天然素材ゆえの傷や色ムラも「生きていた証」として楽しみたい、まさに一生モノのカスタムパーツだ。

肘掛けと金具をアップデートする、ヒジラク/ブラス

HIJIRAKU ¥13200

チェアのカスタムは座面だけでは終わらない。座り心地とヴィンテージ感をさらに高めるなら、アームレストと金具の交換も欠かせないステップだ。

「HIJIRAKU(ヒジラク)」は、高級材であるホワイトオークやアメリカンブラックウォールナットを使用したアームレスト。 高級車には必ずアームレストがあるように、座り心地において肘掛けも重要な要素であるという考えから、純正よりも長く、幅広にリデザインされている。

天然無垢素材を自然クリアオイルで仕上げており、一つとして同じ木目がないのも特徴だ。

BRASS ¥19250

また、純正のアルミ製金具を真鍮に交換できる「BRASS(ブラス)」もラインナップ。 こちらはアルミに比べてずっしりと重みがあり、使い込むことで真鍮特有の経年変化を楽しめる。ヴィンテージな雰囲気を演出するのに一役買うパーツだ。

小物で差が出る、OD缶レザーカバー

OD ¥9900 ※画像手前

サイトの雰囲気を統一するなら、無機質なガス缶のカバーにもこだわりたい。その名もズバリ「OD」と名付けられたこのカバーは、ブランドのエントリーモデルとしても最適な一品である。

素材には、カーミットチェアの張り替えジャケットと同じく、耐久性に優れたラクダ革を採用。カバーの内側にはスエード生地を貼り合わせて厚みを持たせ、ガシガシ使って“アジ”を出していけるような仕様だ。継ぎ目に革を当てることで、缶を取り付けていない時でも型崩れしにくいつくりになっている。

刀鍛冶の名門が仕立てた一生モノ、NIGARA

NIGARA ¥31350

350年の伝統を受け継ぐ名門、「二唐刃物鍛造所」とのコラボレーションモデル。 戦前は軍刀、戦後は包丁と形を変えながら技術を受け継いできた同社が手がける、本格的なフォールディングナイフだ。

刃先は外装を破る作業などがしやすいよう、鋭く尖ったクリップポイント形状を採用。柄にはヴィンテージ加工を施したオーク材、口金には真鍮を使用しており、使うほどに味わい深くなる一品に仕上がっている。

3ブランドの魂が宿る鉄製クッカー、TETSUARRAY

TETSUARRAY ¥38500

OLD MOUNTAIN、neru design works、asimocraftsの人気3ブランドが手を組んだ、鉄製鋳物のクッカー。 ネルデザインワークスの名作「alcooker」をベースに、素材を鉄に変更することで、高い蓄熱性と均一な加熱を実現している。

グリップにはアシモクラフツの代名詞である「名栗(なぐり)加工」を施し、磁石で脱着できるギミックを採用。内側にはオルテガ紋様が刻まれ、ホットサンドに焼き色をつけられるほか、分離して2つのフライパンとしても使える仕様だ。

絶妙な“1ロール”で着こなす、SET UP plain

SET UP plain¥46750

昔ながらのワークジャケットをベースに、コットンツイルで仕立てたカバーオールとパンツのセットアップ。 しっかりとした生地に製品洗いを施すことで、適度なアタリや無骨さを出しつつも、野暮ったくならないきれいめな表情に仕上げている。

特筆すべきは、計算されたシルエット。パンツの裾をひと巻き(1ロール)することでスタイルが確立されるよう設計されており、ラフに着ても様になる。ボディと同色のオリジナルボタンを採用するなど、ディテールへのこだわりも光る一着だ。

当時のディテールを忠実に復刻、”1933XX” TAPERED DENIM

”1933XX”TAPERED DENIM ¥41800

リーバイス501XXの1933年モデルという、特異な一本をベースにしたテーパードデニム。出雲デニム協力のもと、元リーバイスのオフィシャル工場で製作された本格派だ。

最大の特徴は、ベルトループ、シンチバック、サスペンダーボタンがすべて取り付けられている点。作業着からファッションアイテムへと移り変わる過渡期ならではのディテールを、細部まで忠実に再現している。

ガレージ3ブランドの遊び場、MOLDSってなんだ?

爆発的な人気により、製品をじっくり眺める機会になかなか恵まれなかったオールドマウンテン。その世界観に触れられる場所として、東京・千駄ヶ谷にオープンしたのが「MOLDS TOKYO GALLERY(モールズ トーキョー ギャラリー)」だ。

運営は、ガレージブランドのムーブメントを黎明期から牽引してきた「asimocrafts(アシモクラフツ)」、「neru design works(ネルデザインワークス)」を加えた3者共同。

「自社製品のフルラインナップを手にとって見られる場所を作りたい」という想いから、土木業をも生業とする辻ノ内氏自らが施工を担当した。1900年代初頭のアンティーク什器やサインペインティングが見られ、オールドマウンテンらしさにあふれている。

通常営業時はギャラリーとしてオープンしており、誰でも入店が可能。販売イベントは抽選制が導入されるほどだが、ファンなら一度は訪れておきたいスポットだ。

2025年夏、本拠地・出雲に「OLD THEATER & GALLERY」が誕生

「OLD THEATER&GALLERY」の外壁に採用されているロゴをモチーフにしたプリントTシャツ

さらに2025年8月、島根県出雲市にブランドの世界観を凝縮した新たなスポットがオープンした。 

舞台となったのは、ディレクターの辻ノ内氏が幼少期に通い詰めたという映画館の跡地。ここをフルリノベーションし、「OLD THEATER & GALLERY」として蘇らせたのだ。普段はジャズ喫茶として営業し、不定期で大画面での映画上映も行われるという。

ギャラリースペースには、入手困難なギアに加え、氏が長年集めてきたヴィンテージランタンやカスタムバイクも鎮座。ブランドのルーツと現在地が交差する、ファンならずとも訪れる価値のある空間となっている。

FAQ

Q. どこで買える?

基本は公式オンラインストア、もしくは全国の「正規取扱店(ディーラー)」での販売となる。 そのほか、アウトドアイベント等に出展して販売を行うケースもある。いずれにせよ在庫は流動的なため、公式SNSや各ディーラーのアナウンスをこまめにチェックしよう。

Q. 入手難易度は?

入手難易度は高めといえる。 公式サイトでも常時在庫があるわけではなく、人気アイテムに関しては不定期の「抽選販売」が基本となっている。 タイミングよく購入するには公式SNSでの告知チェックなど、根気強い情報収集が必要不可欠だ。

Q. 価格帯は?

数千円の小物から5万円前後の主力ギアまで幅広い。 全般的に高価格帯だが、無垢材や本革などの素材費、および国内職人による加工費が反映された設定となっている。

Q. 軽量キャンプには向く?

基本的にはオートキャンプ向きといえる。軽さや携帯性よりも、質感や耐久性を優先したアイテムが多い。ただし、チタン製のシェラカップや「オカマドン」、ナイフといった小物類であれば、バックパック装備のアクセントとして取り入れることは可能だ。

Q. 初めて買うならどれ?

まずはシェラカップや「オカマドン」などの小物から入るのがおすすめだ。 比較的手に取りやすい価格帯だが、ブランドの象徴であるオルテガ柄や木の質感を十分に楽しめる。

実際に使ってみて、その世界観が肌に合うと感じたら、徐々にチェアのカスタムパーツなどの大物へステップアップしていくのが良いだろう。