フラグメントデザインとは、日本を拠点に活動するクリエイティブユニット。藤原ヒロシ率いるクリエイティブユニットとしての立ち位置、稲妻ロゴの影響力、名作コラボ、ストリートとラグジュアリーを横断する魅力まで整理します。

フラグメントとは?

FRAGMENT DESIGN(フラグメント デザイン)は、藤原ヒロシが主宰するデザインプロジェクト/クリエイティブユニットだ。

最大の特徴は、自社の定番商品や常設の販売網を持たず、活動の軸をほぼすべてコラボレーションに置いていることにある。ファッションに限らず、ラグジュアリー、音楽、ガジェット、アウトドアまで、ジャンルを横断しながら無数のプロダクトを生み出してきた。

その象徴が、アイコニックなふたつの稲妻(サンダーボルト)ロゴだ。これは単なる装飾ではなく、「フラグメントが関与している」ことを示すサインとして機能している。既存のアイテムにこのマークが加わるだけで、そのモノの意味や見え方が変わる。そうした影響力の大きさこそ、フラグメントという存在を語るうえで欠かせないポイントだ。

また、フラグメントは単体の直営店や定番在庫は基本的に存在せず、購入はコラボ先ブランドや企画元を通じた展開が中心になる。だからこそリリースは常に限定的で、情報解禁から発売までが短いことも多い。出会ったときに逃せない、その一期一会の構造もまた、フラグメントの価値を形づくっている。

フラグメントを率いる、ストリートの先駆者・藤原ヒロシ

フラグメント デザインのクリエイティブを担うのは、藤原ヒロシ氏だ。1990年代、東京・渋谷の裏通りを舞台に巻き起こった「裏原(ウラハラ)」ムーブメントを牽引した一人として知られる。NIGO®やジュン・タカハシとともに時代を作り、日本のストリートカルチャーを世界地図に刻んだカリスマだ。

藤原氏の功績は、単なるファッションデザインにとどまらない。ロンドンや海外の現場で直接触れたDJカルチャーやスケートボード、パンクといったサブカルチャーを日本に持ち込み、ファッションと融合させた張本人だ。情報が今ほど簡単に手に入らなかった時代に、本物の空気をそのまま国内に届け続けた先駆者でもある。

そのセンスと眼力は今もなお健在で、「彼が選んだもの=かっこいい」という評価はストリートシーンで絶対的な信頼を誇る。ファッションに限らず、音楽、アート、テクノロジーに至るまで、そのキュレーション能力はジャンルを横断する。

ストリートとラグジュアリーの壁を壊した革命

今でこそ「高級ハイブランド×ストリート」という組み合わせは珍しくない。ルイ・ヴィトンがNIKEとコラボし、グッチがウォルト・ディズニーと手を組む。そんな時代の潮目を最初に変えたパイオニアのひとりが、他でもない藤原ヒロシだ。

彼のスタンスは、世界中の第一線に立つクリエイターたちからも広く認められている。キム・ジョーンズ(現ディオール メンズ)やヴァージル・アブロー(元ルイ・ヴィトン メンズ)といった、モードの頂点に君臨するデザイナーたちが、惜しみなくリスペクトを表明してきた。

そのクライマックスのひとつが、2017年のルイ・ヴィトンとの公式コラボレーションだ。世界最高峰のメゾンと、自社の店舗も定番品も持たないユニットが公式に手を組んだという事実は、ファッション業界に衝撃をもって受け止められた。

このコラボは「ストリートがラグジュアリーと対等である」という宣言でもあり、その後のモード×ストリートの潮流を決定づけた出来事として記憶されている。

服だけじゃない。ジャンルレスな異業種コラボの数々

フラグメント デザインの面白さは、ファッションにとどまらない点にある。藤原ヒロシのフィルターを通せば、あらゆるプロダクトがストリートの文脈で語られる一品に変わる。それはライフスタイル全般をデザインするという、ひとつの哲学の表れだ。

コラボ相手の幅は驚くほど広い。コーヒーチェーンの「スターバックス」、国民的キャラクターの「ポケモン」、イタリアの高級車ブランド「マセラティ」、農機メーカーでもある「ヤンマー」のクルーザーボート、さらには腕時計やガジェットまで。業界や業種を軽々と飛び越えたラインナップは、フラグメント以外ではなかなか実現しない。

共通しているのは、どのコラボでも「稲妻マーク」が主役に立つのではなく、あくまでエッセンスとして加わるという点だ。相手のプロダクトが持つ本来の良さを損なわず、そこにストリートの精神をそっと注入する。その絶妙な距離感と節度こそが、業界を問わずパートナーから信頼される理由だろう。

フラグメントが手がけた、過去の名作コラボアイテム

フラグメント デザインには、常設ショップも定番の在庫も存在しない。リリースの多くはコラボ先のブランドを通じたゲリラ的な発売で、情報解禁から発売まで数日ということも珍しくない。つまり「いつでも買える現行品」というものが構造的に存在しないのだ。

そこで、過去にリリースされた歴代のコラボアイテムの中から、特に語り継がれる名作をいくつかピックアップして紹介する。

×アンダーカバー

ダウンジャケット  ¥132000

「今、自分たちが着たい服」を起点に生まれたカプセルコレクション。UNDERCOVERのジュン・タカハシと藤原ヒロシ、それぞれが「チャイナジャケット」をベースに構想したダウンジャケットとダウンベストなどがラインナップした。

あえて情報を絞った形で先行発表されたゲリラポップアップ「The KIOSK.」でも話題を独占した、裏原盟友たちの想いを形にしたコラボだ。

軽量・薄手のダウン素材を用いた作りは、長期の海外旅行や短くなる冬のシーズンを想定した設計。折りたたんでコンパクトに収まる携帯性も併せ持つ。アンダーカバーのコンセプトストア「V.A.」およびオンラインで集中展開された。

×バートン

[ak]アクマーゴアテックスプロ3Lジャケット ¥165000

約30年にもわたって雪山に通い続けるリアルスノーボーダーとしての藤原ヒロシと、長年のパートナーシップを育んできたBURTONとの関係が、最高峰ライン「[ak]®」との全方位共作として結実した。

グレーをキートーンにした[ak] Acamar Gore-Tex Pro 3Lジャケットや、ヘルメットインサレーテッドベストなどソフトグッズに留まらず、スノーボード本体やビンディング、ゴーグル、ヘルメットまで展開する幅広いコラボとなった。

フラグメントオリジナルのモノグラムデザインを全面に配し、雪山とストリートの双方に溶け込むルックに仕上がっている。ハードグッズにまで及ぶ本格的なコラボは前シーズンのウェアのみの展開から大幅に進化したもので、発売即完売を記録した。

×Casiotone CT-S1

Casiotone CT-S1 × FRAGMENT ¥71500

ミニマルなフォルムと迫力あるサウンドが共存する「Casiotone CT-S1」とのコラボは、フラグメントらしさが凝縮された一品だ。

スピーカーネットに千鳥格子柄のファブリック素材を採用し、ブラックのボディにシンプルなフラグメントロゴを配置。楽器としての機能性はそのままに、AiXサウンドソースによる10色の「ADVANCED TONES」とカシオの歴史から引き継いだ12色の「CASIO CLASSIC TONES」を搭載する。

プライスは71,500円(税込)。DJ活動を持つ藤原ヒロシが音楽と向き合い続けてきたバックボーンが滲み出る一品だ。表参道のコンセプトストア「V.A.」店頭およびV.A.オンラインストアにて数量限定で販売された。

×マムート

Barryvox S FRGMT Edition ¥63800

創業160周年を迎えたスイスの老舗「MAMMUT(マムート)」とフラグメントの初コラボは、希少感満点のアイテムが話題を呼んだ。

目玉は雪崩捜索用トランシーバー「Barryvox S FRGMT Edition」。セーフティオレンジを随所に配した視認性重視のカラーリングを採用しつつ、サンダーボルトマークから飛び出すマンモスロゴのユニークなデザインと特別なスタートアニメーションが心をつかむ。

日本国内での購入者には「fragment×RAMIDUS×MAMMUT」のトリプルネームBarryvoxケースが付属したのも嬉しいポイントだった。

×ヘリノックス

ヘリノックスの日本進出10周年を記念し、原宿に海外初のフラッグシップ「Helinox Creative Center Tokyo(HCC TOKYO)」がオープンした際の記念コラボとして登場したカプセルコレクション。

タクティカルラインをベースに、スペックタグやポールへの刻印、両者のネームを織り込んだジャガードテープなど、細部へのデザイン密度が高い一作だ。

×オークリー

Frogskinsプレミアムバンドルセット(Frogskins TI & Frogskins) ¥89100

フラグメントとオークリーのコラボは実は6回目。その度熱狂する市場に、両者の関係がいかに色褪せないかを物語る。

同コレクションのラインナップはフログスキンスTI(サテンブラックチタニウム)とフログスキンス(マットブラック)の2モデル。どちらもPrizm™グレーレンズを備え、専用のリユーサブルサングラスケースとマイクロバッグがセットになっていた。

アパレルラインには日本製フーディーもラインナップ。フラグメントらしいミニマルなアプローチで再解釈されたアイウェアは、Phase 1、Phase 2の2段階リリース。どちらのフェーズも発売後はたちまち完売となった。

×アノン

Anon × FRAGMENT M4 スナップバックゴーグル(シリンドリカル) – ローブリッジフィット ¥49500

バートン傘下のゴーグルブランド「ANON(アノン)」とのコラボモデル「M4 x FRAGMENT」。MAGNA-TECH®によるワンタッチのクイックレンズ交換機構と、マグネット着脱式のシンプルなスナップオフノーズガードを搭載した。

メインレンズには藤原ヒロシが特にお気に入りのカラーと語る「PERCEIVE CLOUDY PINK」を採用。コラボロゴ入りのストラップ、Fragment branded MFI®フェイスマスク、ゴーグルバッグがセットになっていた。

バートンのコラボウェアと並び、ウィンターシーズンのフラグメントコラボを代表するゴーグルとして大きな存在感を放った。

FAQ

Q.直営店はあるの?どこで買える?

フラグメント デザイン単体の実店舗や公式オンラインストアは存在しない。アイテムの購入はコラボ先のブランドを通すのが基本となる。

Q.定価はどれくらい? やっぱり高いの?

定価自体はコラボ先のブランドに準じるため、べらぼうに高いわけではない。たとえばNIKEとのコラボスニーカーであれば、定価は2万円前後が目安となる。

ただし、圧倒的な人気によってリリース後すぐに完売することがほとんどで、二次流通(フリマアプリや中古市場)では大幅なプレミア価格がつくことも珍しくない。

Q.過去の名作モデルが再販されることはある?

ほぼ無いと思っておいた方がいい。一度リリースされたアイテムが後日同じ仕様で再販されることはほとんどなく、一期一会であることが前提だ。そのため過去のアーカイブアイテムは年々希少性を増し、コレクターズアイテムとしての価値も上がり続けている。

Q.あの「稲妻マーク」にはどんな意味があるの?

通称「サンダーボルトロゴ」と呼ばれる、フラグメント デザインのシンボルマークだ。藤原ヒロシ氏が「デザインやディレクションに関わった」「承認した」という証として刻まれる。

既存のアイテムにこのマークがひとつ加わるだけで、ストリートシーンでの評価が跳ね上がる。シンプルなデザインながらその影響力は絶大だ。