
東京都中央区・馬喰町。日本橋にもほど近いビジネス街の一角に、トレイルランニングとランニングを軸にした専門店「Run boys! Run girls!(ランボーイズランガールズ)」は店を構えている。
“トレラン専門店”と聞くと、レースに出る人や山を走り慣れた人のための店、というイメージを持つかもしれない。実際、店頭には本格的なレースに対応するギアも並ぶ。けれど一歩入ってみると、ロードランニングや日常のジョギング、ハイキング、普段使いまで視野に入るアイテムも多い。

専門的だけど、決して閉じてはいない。そんなRun boys! Run girls!の間口の広さは、アイテムの揃え方だけでなく、接客やグループラン、山でのマナーを伝える取り組みにも表れていた。
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常連客からスタッフへ。外からも中からも見てきた店。

今回話を聞いたのは、ショップスタッフの上原さん。もともとはスポーツ量販店でアウトドア担当になったことをきっかけに山へ入り、高尾山などの低山ハイクからULハイキング、そしてトレイルランニングへと興味を広げていったという。

Run boys! Run girls!との最初の接点は、スタッフとしてではなく客としてだった。気になるガレージブランドを目当てに通ううちに店との距離が近くなり、グループランに参加したタイミングで声をかけられ、2022年夏ごろからスタッフとして店に立つようになった。
客として感じていた少し入りづらい印象も、スタッフになってから見えてきた間口の広さも知っている。だからこそ、上原さんの言葉からは、この店の“専門店だけど間口が広い”空気が見えてくる。
“敷居が高そう”に見えて、実は間口は広い。

上原さんによると、Run boys! Run girls!は専門店らしい雰囲気もあり、初めて訪れる人にとっては少し身構える部分もあるかもしれないという。とくに移転前はビルの4階にあり、場所も少しわかりにくかったため、なおさらそう感じられやすかったのだろう。
けれど、一度店内に入ってみると印象は変わるだろう。トレイルランニングの玄人向けギアばかりでなく、ハイキングで使えるもの、ロードランニングでも使いやすいウエアやシューズ、日常のジョギングに取り入れやすいアイテムまで幅広い。

最近では、街中でランニング用のザックを背負うスタイルも見かけるようになってきており、トレランギアが一般化してきたこともプラスになっている。山だけでなく、普段の移動やランニングにも使えるものが多いRun boys! Run girls!は、思っているよりもずっと入口の多い店なのだ。
馬喰町という立地が、ランナーのハブになっている。

Run boys! Run girls!は、創業時の岩本町から浅草橋・馬喰町方面へと少しずつ場所を移しながら、このエリアで13年続いてきた。
この場所の良さは、まずアクセスにある。千葉方面、埼玉方面、都心方面からも来やすく、東京駅も近い。出張や旅行の途中、スーツケースを抱えて立ち寄る人も少なくないという。東京近郊で開催される大きなトレイルランニングレースの前後に、遠方から訪れる人もいるそうだ。
もうひとつの魅力は、意外と走りやすいエリアだということ。近くには隅田川が流れていて、川沿いはもちろん、大通りから一本入れば車通りの少ない道もある。木曜夜に開催しているグループランでも、この周辺の走りやすさは活きている。
御茶ノ水や神保町のアウトドアショップ街からもアクセスしやすく、近年は近隣にランニングやアウトドア系の店も増えてきた。馬喰町・東日本橋周辺は、ランナーや外遊び好きが立ち寄るルートのひとつになりつつあるのだ。
“正解を押しつけない”こと。“かっこよく山を楽しむためのマナー”を伝えたい。

お客さんと接するうえで大事にしていることを聞くと、上原さんは「正解を与えすぎない」ことを挙げた。
シューズもザックも、人によって合うものは違う。「これじゃないとダメ」と決めつけるのではなく、話をしながら、その人に合うものを一緒に探していく。ときには、自店にないサイズやモデルであれば、他のショップや量販店を紹介することもあるという。
自分の店にあるもので全部済ませようとしない。もう少し合うものが他にあるなら、その選択肢まで含めて考える。そういうスタンスだから、専門店でありながら相談しやすく、ファンが多くつくのだろう。


また、ギア選びだけでなく、山でのマナーや安全面についても伝えている。トレイルランナーだけでなく、登山者やハイカーも同じフィールドを共有しているからこそ、走る側の振る舞いまで含めて「かっこいいトレイルランナー」であってほしい。そんな姿勢が、店頭にも表れていた。
店内は、ひと目で全体が見渡せるレイアウトに。

現在の店舗は、入った瞬間に売り場全体が見渡しやすいのが印象的だった。以前の店舗では売り場の中央に柱があり、見え方に難しさもあったそうだが、現在はそのような柱もない。什器の高さや配置に気を配り、どこに何があるかがわかりやすい空間になっている。

一方で、雰囲気は量販店のように明るく整えすぎたものではなく、創業時から使っている什器を引き継ぎ、焼き加工を施した金属や木の質感を生かしながら、落ち着いたトーンでまとめている。水道管を加工したハンガーラックなど、ギアショップらしい素材感も目を引く。
専門店らしい密度がありながら、見通しの良さがあるので、気になっていたギア目がけて入っていける店内だ。
店頭に並ぶのは、走る人の幅に応えるアイテム。

Run boys! Run girls!のセレクトは、トレイルランニング専用のものばかりを並べているわけではない。もちろん、山で走るための機能は大前提。そのうえで、ロードランニングやハイキング、普段のジョグ、街での使いやすさまで視野に入るものが並んでいる。
かつてのトレイルランニングギアは、黄色や青、緑といった派手なカラーも多かった。最近は、落ち着いたアースカラーや、街でも無理なく使えるデザインも増えている。Run boys! Run girls!では、そうした流れも受け止めながら、機能と見た目のバランスを大事にしているという。
速く強い人だけの道具ではなく、いろいろな走り方や遊び方に応えるもの。ここからは、取材時に気になったアイテムを紹介していく。
e-couleurとのコラボで生まれた、気の利いた小物類。

【Run boys! Run girls! × e-couleur 】サングラスケース ¥5500
まず1つ目が、ガレージブランド「e-couleur」とのコラボアイテム。DCFやX-Pac系の素材を使い、山やランニングで使いやすいサイズ感にアレンジしたバッグ類を展開している。
面白かったのが、マグネットで開閉できる柔らかいサングラスケース。トレイルランニング中、サングラスはかけっぱなしでよさそうに見えても、森の中や日が落ちるタイミングでは外したくなることもある。そんなとき、ジッパー式のケースだと出し入れが少し面倒だ。

そこで、マグネット開閉に加え、外側にDCF、内側にAlpha Directを使うことで、出し入れのしやすさと扱いやすさを両立している。実際に使う人の小さな不便から生まれた、ありそうでなかった道具だ。

【Run boys! Run girls! × e-couleur 】お山帰りに持つかばん(トート) ¥11000
山帰りで着替えを入れたり、銭湯に行く際に重宝する大きめのトートバッグも、同じくDCFを使用したコラボアイテム。毎年春先に販売を開始するがすぐに売り切れてしまうという人気アイテムだ。
上海発「Mount to Coast」は、走れて街にもなじむ新鋭。

【Mount to Coast】(左・中央)T1 ¥30800 / (右)H1 ¥27500
豊富なラインナップのシューズから、今年の注目として挙げてくれたのが、上海発のブランド「Mount to Coast」。日本での展開が始まったばかりの新しいブランドで、Run boys! Run girls!でも早いタイミングで取り扱いを始めている。
特徴は、パフォーマンス性と耐久性、そして見た目のバランス。落ち着いたカラーリングで、いかにもレース用という雰囲気に振り切りすぎていない。それでいて、ロングディスタンスに取り組むランナーにも対応する走り心地を備えているという。

フィットも面白い。ヨーロッパ系のシューズに多いタイトな足入れとは少し違い、足幅がある人にも試しやすい余裕がある。モデルによっては、前足部と甲まわりの締め具合を分けて調整できる構造もあり、長い距離で足がむくんだときにも対応しやすそうだ。
山と道のショーツは、“走るハイカー”にもハマる。

ハイキングブランドとして知られる山と道のショーツも、Run boys! Run girls!ではトレランやロードランニングの選択肢としてすすめているそうだ。
今回ピックアップしたのは「Light 5-Pocket Shorts」。このモデルに使用されている「パーテックス・イクイリブリアム」は、肌離れがよく、汗をかいてもベタつきにくいのが特徴。さらに若干のストレッチ性もあり、走るときの足上げなど、動きの大きい場面でも邪魔になりにくいという。
もちろん、名前の通り5つのポケットを備え、スマホや補給食、薄手のウエアなどを収納しやすい。ポケットの位置も揺れにくく、走ってもストレスになりにくい点が魅力だ。

なかでもRun boys! Run girls!がこのモデルをセレクトしている理由のひとつが、ウエストのナイロンベルト&バックル仕様。ポケットにいろいろ入れたときも腰まわりでしっかり固定しやすく、細い紐だけで締めるタイプに比べて腹部への食い込みを抑えやすい。
スピードを追い求めるランニングショーツとは違うけれど、ハイキングをベースに、ときどき走るようなトレランにはピッタリ。速く歩くハイカーにも、ゆっくり走るランナーにもマッチする、そんなチョイスがこの店らしい。
ちょっと走る日に持ち出したい、RBRG限定のシェイクハンズボトル。

【wellbe】Shake Hands RBRG ver ¥2530
Run boys! Run girls!らしい小物として紹介したいのが、wellbeの「Shake Hands RBRG ver」。フロントにショップロゴをプリントした、限定バージョンのボトルだ。
容量は350mlで、近所を軽く走るときや、ちょっと水分を持って出たいときにちょうどいいサイズ。特徴的なのは、ボトル本体に入ったくぼみだ。手に持つと親指が自然に収まり、握りやすい。さらにボトルホルダーやポケットにも差し込みやすく、走るときの持ち運びにも向いている。
大げさな装備ではないけれど、こういう一本があると、短いジョグや街歩きにも水分を持ち出しやすくなる。走ることを少し身近にしてくれる、RBRGらしいアイテムだ。
フィールドで試す機会と、より伝わるオンラインへ。

今後について聞くと、上原さんは「情報提供」や「実際にフィールドで使ってみる場」をもう少し増やしていきたいと話していた。
コロナ以降、店としてフィールドイベントに取り組みにくい時期もあった。けれど本来は、道具を店頭で選ぶだけでなく、実際にトレイルへ行き、使い方や走り方を体験してもらうことも大事にしたいという。
また、オンラインストアでも、単なる商品説明だけではなく、スタッフのコメントや使用感を充実させていきたいという。店頭で接客するように、「これはどういう人に向いているのか」「どんな使い方ができるのか」まで伝えられれば、遠方の人にとっても選びやすくなる。
専門店としての深さはそのままに、入口を少しずつ広げていく。Run boys! Run girls!は、店頭でもオンラインでも、その人に合う走り方や道具との出会いを増やしていこうとしている。
馬喰町で立ち寄りたい、隅田川沿いのランニングコースと「フクモリ」の定食。

このエリアでの過ごし方のオススメを聞くと、「走る場所」と「ごはん」の両方を教えてくれた。北へ向かえば浅草寺、西へ行けば東京駅や皇居も3km圏内。隅田川を軸にすれば、都心にいながら観光地や川沿いの景色をつなぐコースが組みやすいという。
飲食店では、同じ通り沿いにある「フクモリ」の名前が挙がった。山形の食材を使った定食や一品料理が楽しめる店で、ランチにもディナーにも使いやすい一軒だ。

今回は取材後に実際に立ち寄り、山形牛ハンバーグ定食をオーダー。ごろっと粗挽きのハンバーグは肉感がしっかりあり、食べ応えも十分。臭みはなく、肉の旨みに特製ソースがよく合う。

つや姫100%のご飯が、おかわり自由なのもうれしい。小鉢も絶品。Run boys! Run girls!の周辺には、走りやすい場所も、立ち寄りたいごはん屋もある。馬喰町を訪れる楽しみが、店の外にも少し広がる。
Run boys! Run girls!は、走ることをもう少し自由にしてくれる店。

Run boys! Run girls!は、トレイルランニングの専門店でありながら、ロードランニングにも、ハイキングにも、日常のジョグにもつながるアイテムがあり、「走ること」への入口をいくつも用意している。
キャンプや登山は好きだけど、トレランはまだ少し遠い。ランニングのフィールドを広げてみたい。そんな人にとっても、ここなら自分に合う始め方を相談できるはず。Run boys! Run girls!は、山をもう少し軽く、自由に楽しむためのヒントが見つかる場所だった。
◼︎Run boys! Run girls!(ランボーイズランガールズ)
住所:東京都中央区日本橋馬喰町1-8-8 森忠ビルB1
Open:平日15:00〜20:00、土日祝12:00〜18:00(不定休)
Tel:03-5825-4534
Online Shop
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Instagram
@runboysrungirls
