
場所は祐天寺。住宅街の一角にひっそりと店を構える「SUPERMARKET(スーパーマーケット)」は、いわゆる“セレクトショップ”とも、“古着屋”とも少し違う。
一見すると服屋とは気づかないような店構えだが、扉を開けると、アメリカの匂いがしつつも、肩の力が抜けるような“日常にちょうどよい”服と日用品が並んでいる。

今回は、そんな店名のとおり“スーパーで日用品を選ぶみたい”に、ふだん着を気負わず買える「SUPERMARKET」を訪問。オーナーの香月さんと、店長ニージさんの目線で選ばれた“ふだん着たいもの”と、“なんとなく家に置きたいもの”が並ぶ店内は、気取ったセレクトショップというより、仲のいい知り合いの部屋におじゃましたような安心感があった。
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祐天寺の路地で、背伸びせずに入れる小さな店。

お店は祐天寺駅から少し歩いた静かなエリアにある。大きな看板を掲げるタイプではなく、通り過ぎそうなくらい控えめな入口。

SUPERMARKETの根っこには、“アメリカ人が考えた無印良品”みたいな感覚があるという。飾らない、日常にそのまま置ける、気を張らずに手に取れる。そういう「生活に溶け込むものの良さ」を、アメリカ的な目線で解釈して、日本の街に落とし込んでいるイメージだ。

お店の内装も香月さんとニージさんが少しずつDIYで整えてきた。もともとがらんどうの倉庫のようだった店内は、2人で床をはり、壁も塗ってDIYしてきたという。友だちの部屋に呼ばれたみたいな、居心地の良さがある。初めてでも入りやすいのは、この「手作りの温もりとできあがりすぎていない感じ」のおかげだと思う。

店内には、アメリカで買い付けたヴィンテージのライトやネオンライト、絵画も置かれている。
「ベター」という考え方。そのちょうどよさを売っている。

SUPERMARKETで基準になるのは「ベター(Better)」という考え方。アメリカ英語でいう Good Quality × Good Price――ちゃんとした品質を、ちゃんと買える価格で。日本的に言えば「最高じゃないけど、これくらいがちょうどいい」。着たときにラクで、買うときに無理がなく、毎日手が伸びるものを、意識的に選び、必要最小限の手入れだけを加えて店頭に並べている。
それは、“アメリカ人が考えた無印良品”という発想が近く、主張しすぎない無地中心のふだん着をベースに、「気持ちよく着られて、無理なく買える」そんな立ち位置だ。
古着リメイクを原点としながら、「毎日着られる服」をRELAXFITで体現。

オーナー香月さんは下北沢の古着屋で働いたのち、ベスト専門古着ブランド「Gilet」を24歳で始動。その後、古着リメイクへシフトしつつ、「ニューススタンド」名義でパンツ専業から出発したのが、いまのオリジナルブランド「RELAXFIT(リラックスフィット)」の原型だそうだ。
「毎日はきたい形」をベースに、デニムからナイロン、ポリエステル、コーデュロイと素材展開を広げ、“ふつうに良い”アイテムを作り続けている。
店の軸「RELAXFIT」は気持ちよく着られる服。
![中目黒のSUPERMARCKETのRELAX FIT №50 [ Deadstock Denim pants ]](https://web.goout.jp/app/uploads/2025/10/DSCF0477-1024x683.jpg)
![中目黒のSUPERMARCKETのRELAX FIT №50 [ Deadstock Denim pants ]](https://web.goout.jp/app/uploads/2025/10/DSCF0474-1024x683.jpg)
RELAX FIT №50 [ Deadstock Denim pants ] ¥12100
Deadstock Denim pantsは、そんなRELAXFITの定番イチオシアイテムの1つ。渡り太め、股上深め、少しテーパードされた、履いていて楽なのにスッキリ綺麗に見えるシルエットに加え、最大の特徴は独特のハーフUカーブを描いたポケット。座った状態でもものを取り出しやすく、かつ落ちる心配もないパターンになっていて、毎日履きたくなるアイテムだ。
![中目黒のSUPERMARCKETのRELAX FIT №50 [ Deadstock Denim pants ]](https://web.goout.jp/app/uploads/2025/10/DSCF0478-1024x1536.jpg)
リベットを使わず、ワンウォッシュのみにすることで価格を抑えているのもSUPERMARKETらしい。

RELAX FIT №135 [ スウェットのような形のポケットロンT ] ¥4,950
パンツのほか、店内でよく目につくのがロンTやスウェット。そのなかでも、北米No.1の売上を誇る世界最大のアパレルメーカー「Gildan(ギルダン)」のボディを使い、リブを付けてスウェットのように見せたカスタムロンTはイチオシだ。


無地ロンTに袖口や裾のリブを足して、ロンTをスウェットライクにリメイクしたもの。発泡プリントのロゴをあしらったものもある。
見る人が見ればすぐ分かる“プラスアルファの手入れ”が入っているけど、わざとらしくはないのは、もともと古着のリメイクやカスタムの流れから服づくりをしてきた店ならではの手つき。

Donburi Graphic crwe swtsh ¥6380
もうひとつ、異彩を放つのが通称「ラーメンどんぶり」スウェット。みんなが知っている器の縁のグラフィックを着想に、夏はTシャツ、冬はスウェットで展開。龍の両脇の「双喜紋」は、通常「喜」の文字が入るところをSUPERMARKETの文字にアレンジ。
ショップサインを含む店の各種グラフィックは、開店初期からの常連で、中目黒のギャラリー「ギャラッジ スタジオ」を主宰する ニノミヤさん が手がけている。店舗の空気と同じく“やりすぎない遊び”がいい。
毎日使うものを、ふつうに買える金額で。

棚にはパンツやスウェットだけじゃなく、ソックスやトランクス、キャンドル風ライトやアメリカのコンセント式芳香剤といった小物も並ぶ。アメリカのホームセンター、雑貨屋のようなラインナップ。
オーナーいわく、値付けの基準は「自分がふつうに買える金額かどうか」。高級なギフトじゃなくて、“日常の補充”として買えるものを置いておきたい、という感覚だ。


オーナーの趣味でアメリカで買い付けた古いライトや油絵も実は販売しているとのこと。店内のいたるところにびっしりと並べられているが、実は倉庫にもまだたくさんストックがあるという。ちょっとクセのある油絵や、ヴィンテージのランプが、店の空気をゆるくまとめている。
ふらっと来て、ちょっとしゃべって帰る居心地の良さ。

SUPERMARKETには、用事がなくても寄る常連がいる。買い物をしに来るというより、「近くまで来たから顔出しに来た」というノリで扉を開ける。お店側のお二人も、それを楽しんでいるから、ここはアパレルショップでありつつ、ちょっとした寄り道スポットにもなっている。

特に店の外は、今の季節絶好のチルスポットに。ビーチチェアに腰掛け、コーヒー片手に雑談するのが、きもちよくて最高だという。
「今日はパンツ一本買っとくわ」ぐらいの距離感で買い物ができる。話して、笑って、何か一つ持って帰る日もあれば、何も買わずに帰る日もある。そういう空気が、店の雰囲気をさらにやわらかくしている。
明日から着られる服を探しに、祐天寺で寄りたい店。

SUPERMARKETは、「特別な日用の一張羅」より「明日から毎日着るやつ」がほしい人にこそ刺さる店だ。
ゆるくはける、けどきれいにまとまるパンツ。ちょうどよく抜けたTシャツ。毎日使うソックスや芳香剤といった消耗品。気づけば部屋に置きたくなるライトや絵。どれも生活の延長で、そのまま持ち帰れる。
気負わず着られるのに、だらしなくは見えない。ふつうっぽいのに、ちゃんとここでしか手に入らない。祐天寺でそういう一本・一枚を探したいなら、この店は覚えておきたい。
■SUPERMARKET
住所:東京都目黒区祐天寺2丁目18−7
Open:(木〜日)13:00~19:00
tel:03-4296-4525
Online Shop
supermarketrelaxfit.com
Instagram
@supermarket.relaxfit
