キャンプとお酒には、人の縁をつなぐ不思議な力がある。水道橋のカフェ・バー「BASE CAMP(ベースキャンプ)」で腕を振るうかたわら、キャンプギアのプロデュースなども手掛ける異色の店主、岡野永佑(A-suke)さんのもとにも、彼を慕って多くのアウトドアラバーが夜な夜な集まってくる。
そんなA-sukeさんが、BASE CAMPのスタッフを卒業して半年前にカフェ・バー「LEUCHTTURM(ロイヒトトゥルム)」をオープンしたばかりの後輩、津場拓也(タクヤ)さんとともに男2人でキャンプへ。
熟練キャンパーでもあり、ともにウイスキー好きでもある2人が今回のキャンプのために選んだのは、シングルモルト スコッチウイスキー「TALISKER(タリスカー)」。焚き火を囲んで語り合いながら、野性的な香りの黒胡椒をプラスオンした「タリスカー スパイシーハイボール」を味わった。
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スパイシーハイボールのベースとなるのは「タリスカー10年」。
今回、A-sukeさんとタクヤさんがキャンプで楽しむ「スパイシーハイボール」。そのベースとして使うのは、スコットランド・スカイ島の厳しくも美しい自然が育んだ「タリスカー10年」。冒険小説『宝島』やホラー小説『ジキル博士とハイド氏』で有名なイギリスの文豪スティーブンソンをして「酒の王様」と言わしめた、「タリスカー」のラインナップのなかでも蒸留所を代表する1本だ。
ほのかな潮風と黒胡椒のようなスパイシーな香り、芳醇な甘みと力強いスモーキーさが特徴で、スカイ島の荒々しい自然をそのままボトルにしたかのような強烈な個性。アルコール度数は45.8%だ。
自然との距離が近い、A-sukeさんの“男前”なキャンプスタイル。
キャンプにとどまらず、自然との距離間が近い遊びには貪欲にチャレンジ。その経験を自身のカフェ・バーや各メディアでフィードバックしているA-sukeさん。
パックラフトやカヤック、マウンテンバイクなどを使って人力の旅を楽しみながら、自然をより身近に感じるようなスタイルで宿泊する。そんな少年のころに憧れてワクワクしたようなキャンプを好んでいる。今回も自然との境はメッシュ生地1枚というタープ泊で、道具立てもシンプルな男前キャンプスタイルだ。
一方、テント泊での登山を趣味にしているタクヤさんは、ツェルト泊を快適に進化させたようなソロキャンプスタイル。焚き火台を中心に2人がウイング型にタープを並べるワイルドなサイトが出来上がった。
A-sukeさんのこだわりのキャンプギア。
FIRESIDE OUTDOOR「ポップアップピット」。
カフェ・バーを開く前にはプロダクトデザイナーをしていた経験があり、現在も数々のアウトドアギアのプロデュースを手掛けるA-sukeさんは、キャンプギアへのこだわりも強い。
今回のキャンプでサイトの中心に置く焚き火台としてセレクトしたのは、2016年にアメリカのフェニックスで設立された「FIRESIDE OUTDOOR(ファイヤーサイドアウトドア)」の大型焚き火台「ポップアップピット」。
ワンアクションで足を広げられるフレームはアルミ製で、大型のわりに軽量で収納もコンパクト。ステンレスメッシュの火床は、縦・横ともに62cmの広さがあるのが特徴となっている。
「火床がフラットでとても広いので、直火のように使えるところが気に入り。広い火床の中心部で焚き火をして、周辺にケトルや鍋を置いて直火感覚の焚き火料理を楽しんでいます」。
OUTSIDE IN「Toast n’ Roast」。
A-sukeさんの友人が手掛けるブランド「OUTSIDE IN(アウトサイドイン)」の鋳鉄製マルチグリルプレート「Toast n’ Roast (トースト・アンド・ロースト)」。ホットサンドメーカーとしてはもちろん、上下パーツを分割すれば、大きめのステーキ肉も焼けるサイズのグリルプレートになるので、これひとつでいろいろな料理に対応できる。
「鋳鉄製だから焚き火で豪快に焼けるところがいいですね。ホットサンドメーカーとしては、一度に2人分を焼けるサイズなのでデュオキャンプにも最適。今回はこの大きさをいかしてバゲットを焼いて、キューバサンドのアレンジ料理を作ります」。
スパイシーハイボールのおともは、“焚き火ビーフジャーキー”のキューバサンド風。
同じお店で働いているときには、たびたび一緒にキャンプを楽しんできた2人。今回はタクヤさんが独立して以来、久しぶりのキャンプということで、A-sukeさんがお祝いを兼ねて焚き火料理でおもてなしをする。
タリスカーのスパイシーハイボールに合わせる料理としてA-sukeさんが選んだのは「“焚き火ビーフジャーキー”のキューバサンド風」。
あらかじめ赤ワイン・しょうゆ・ニンニクなどで作ったタレに一晩漬け込み、1日風に当てて乾燥させておいた牛の赤身肉を、焚き火の煙でいぶすことでじっくり仕上げていく。
遠火で肉に火を入れながら、広葉樹の煙で芳醇な燻製香をつけたら、仕上げに黒胡椒を振りかけてビーフジャーキーの完成だ。
さらに、チーズとマスタードを塗って焚き火でカリカリに焼いたバゲットに、このビーフジャーキー、ローストビーフ、レタス、ピクルスを挟んで、“焚き火ビーフジャーキー”のキューバサンド風を仕上げていく。
「焚き火の煙で燻されて、肉に少しずつ香りがついていく。焚き火を愛でながらその時間を楽しむのが“焚き火ジャーキー”の魅力ですね。味がしっかりしていて、噛むほどに肉本来のワイルドさも味えるので、タリスカー スパイシーハイボールとの相性もバツグンです」
タリスカー スパイシーハイボールの作り方。
A-sukeさんが作った“焚き火ビーフジャーキー”のキューバサンド風とともに楽しむお酒は、タクヤさんが担当する。
タクヤさんが手に取ったタリスカーが生まれるスコットランドのスカイ島では、冬場は外海が荒れ、大波が沿岸の荒々しい岩肌に打ちつける。そんなスカイ島の厳しい自然と海が育んだタリスカーは、海潮のような風味と黒胡椒の爆発的な香味が特徴。その海潮のような香りとスパイシーな味わいを引き立てるのが、黒胡椒をガリッとひと振りオントップした「スパイシーハイボール」だ。
タクヤさんは自身のお店「ロイヒトトゥルム」でも、タリスカーをこのスパイシーハイボールで提供することが多いそうだ。
スパイシーハイボールの作り方は簡単。
グラスに氷を入れて、マドラーでよくかき混ぜてグラスを冷やし、氷から溶けた水を捨てたあとに「タリスカー10年」を注ぐ。
続いてタリスカー1に対して、3を目安にソーダを注ぐ。この時にソーダを氷に当てないように注ぐと炭酸が抜けにくい。ソーダを注いだ後はタリスカーの風味を逃さないよう、かき混ぜないことがポイント。ウイスキーとソーダは、比重の違いで自然に混ざってくれる。
最後に粗挽きの黒胡椒を氷に当てるようにふりかけたら完成。黒胡椒は氷の上に振りかけることで、香りがより花開く。黒胡椒の量はお好みでOKだ。
タリスカー スパイシーハイボールは、焚き火料理の最高の相棒だった。
スパイシーハイボールが完成したら、いよいよ乾杯タイム。“焚き火ビーフジャーキー”のキューバサンド風とともにいただく。
「タリスカーは潮風と黒胡椒の香りやスモーキーな味わいが野生的で、ハイボールにしても個性がしっかり残るのが美味しいんですよね」。
「黒胡椒の香りが食欲をそそりますね。料理とも合わせやすいし、シンプルに飲み物としても美味しいところがいい。焚き火の煙に燻されたジャーキーにも負けないスモーキーな味わいもあって、肉料理との相性もバツグン」。
くつろぎの時間にストレートやロックでゆっくりと愉しむタリスカーが最高なのは言うまでもないが、一方でスパイシーハイボールは食中酒としてのタリスカーのポテンシャルを最大限に引き出してくれる飲み方だ。
スカイ島をはじめ、スコットランドの土壌は、ピート層と呼ばれる泥炭層が広がっていて、タリスカーの特徴的なスモーキーな味わいは、原料の麦芽を乾かすときに焚くこのピートから生まれている。そう考えると、ビーフジャーキーのような焚き火料理と相性がいいのも納得がいく。
久しぶりに焚き火を囲むことになった2人は、スパイシーハイボールを片手に趣味の話がつきない。タクヤさんが「焚き火のように時間をかけてゆったりと楽しむ」という趣味のパイプの話をすれば、今度はA-sukeさんが最近ハマッっているパックラフトをすすめる。
スコットランドでは、タリスカーほど生まれ故郷の自然を体現しているウイスキーはないと言われている。まさに自然の中で味わうのに相応しいタリスカーと焚き火の組み合わせは、これからの2人のキャンプの定番となりそうだ。
Photo/Takuma Utoo
(問)モエ ヘネシー ディアジオ talisker-online.jp/
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