キャンプと言えばクルマや公共交通機関だけでなく、バイクで赴く人も多いと思います。いわゆる「キャンプツーリング」ですね! キャンプ場によっては険しい道を進まねばならない場合もあり、クルマと違ってコンパクトなバイクならスイスイ進めちゃうのも魅力です。だけど逆もしかり・・・・・・。クルマならガツガツ進める道も転倒する可能性のあるバイクだと厳しかったりすることも。
そんなわけで、今回はクルマではなくバイクの「オートキャンプ」を楽しむアウトドア好きのライダーにぴったりの内容をお届け。タイヤメーカーの iRCが2022年6月12日(日)に開催した「iRC OFF ROAD PARTY~みにばい編~」の模様をレポートします。
これは原付二種のバイク限定で、林道やオフロードコースを走るというビギナー向けの走行イベントで、バイク好きのGO OUTスタッフが実際に参加してみました。とくに今をときめくCT125ハンターカブオーナーは要チェックですよ。
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アトラクションさながらの林道ツーリング!
当日の福島県いわき市は朝からあいにくの天気・・・・・・。空は灰色に染まり、シトシトと雨が降りだした頃、続々と参加者が集まってきました。参加者は30名ほどで、多くはバイクをトランポに積んで、何名かは自走で登場。私のようにソロもいれば、複数人の仲間で参加している人もいて、中には女性の姿もチラホラ。最近は女性ライダーも増えてきていますしね!
8時30分から受け付けを終えるとブリーフィングが開始。天候不良でスケジュールを変更し、午前中は林道、午後からオフロードコースの逆順となりました。
早速準備を整えます。オフロード走行向けの本格的な装備は持ち合わせていないため普段のバイク乗車時とほぼ同じ格好です。ヘルメット&ゴーグル、グローブ、さらにスケボーで使っているヒジ/ヒザプロテクターを中に仕込み、バックパックには水筒やタオルなど入れて完了!
そして私が乗車するのは、ホンダ・CT125ハンターカブです。タフ&トルクフルで扱いやすく、今回のような「アドベンチャー」にはもってこい。基本的にノーマルですが、重要なポイントがあります。それは「タイヤ」です。
CT125は純正でもオールラウンドタイプのタイヤ(iRC製GP-5)を装着していますが、砂利道や砂地を走るならば、よりグリップ力の高いものを履くと安心です。オフロード向けに開発され、キャンプ・林道ツアラーに人気のGP-22(iRC)に履き替えてチャレンジ!
準備ができた参加者からスタート! スタッフも一緒に走ってくれるけど先導するのではなくあくまでもサポート要員で、決められたルートは自力で進んでいく必要があります。
このルートを進むにはスマホと専用アプリが欠かせません! 事前にジオグラフィカというアプリをインストールして正しいルートを辿っていきます。バイクを使ったトレッキングと考えればわかりやすいかも?
会場の「モトスポーツランドしどき」は山中にあり、敷地から出るとすぐに分かれ道、そして林道が待ち受けていました。うっそうと木々が茂る細道は路面がひび割れていたり、太い枝が転がっていたりして中々にアグレッシブ。路面にばかり気を取られていると今度は飛び出た小枝が体中を鞭打ってきます。雨で濡れた路面や視界が悪いことも重なって、「これはしんどいぞ!」と思う自称・中級者スタッフ・・・・・・。
いわき市の北西を回るルートは約43kmの行程で、そのうち7割ほどは林道でした。めげそうになる気持ちを奮い立たせて無我夢中で進んでいきます。ハンドルを素早く切って小枝をよけると、次は迫りくるタイトコーナーに向けてブレーキ。今度は枝を乗り越えるために姿勢を整え、優しくアクセルを開けて慎重にクリア。
難所を突破しながら進む行程は、リアルなアトラクションをしているみたいで楽しくなってきちゃいました! そう思った矢先、道が開けて国道に到着。安堵した以上に残念な気持ちが芽生え、ハンドルにマウントしたスマホでルートを確認すると次の林道に向けて猛ダッシュ。
ところで、CT125ハンターカブはクラッチレバーがないロータリーミッションです。クラッチ操作が必要なく、シフトチェンジや発進時などにエンストすることがないので運転に集中できます。また、シーソーペダルは靴の裏だけでシフトアップ/ダウンができるので、アッパーに厚みのあるマウンテンブーツでもすんなりシフトチェンジが可能。逆にアンダーボーンフレームゆえにニーグリップができないのがデメリットだけど、軽量な125㏄クラスだから問題なし?
今度は舗装路ではなく、砂利や土(泥)ばかりのダートセクションでした。新しいオフタイヤが泥や小石をかき分けてぐんぐん進む! 日常使いではパワー不足とも思える125㏄エンジンですが、低速域を多用する荒地では自称・中級者の私でもコントロールがしやすく、意外にもトルクフルで今日はやけに頼もしく思えました。
点在する大きな水溜まりにも突っ込んだりと気持ちにも余裕が生まれて、最初の杞憂はどこ吹く風! それに自分のペースで気ままに走れるのも魅力でした。先を急ぐ人はどんどん進み、私のように方向音痴かつマッタリ派は景色を眺めながらトコトコ走れるのも同イベントならではです。
もちろん、ルートの要所要所にはスタッフがいて目を配っているし、同走スタッフもいるから安心。また道中は急なマシントラブルの際に参加者同士で工具を貸し借りしたり、道がわからない人に教えてあげたりと、参加者同士での助け合いや交流もあって一人で走るだけでは味わえない感動も!
大きなトラブルもなく、約2時間かけてルートを走り切ったところで昼食タイム。用意されていた地元の有名店のお弁当で腹ごしらえを済ませたら、午後からはオフロードコース走行の準備にとりかかります。
本格的オフロードコースをストリートマシンで疾走!
会場の「モトスポーツランドしどき」は、バイクメーカーの試乗会や大きなモトクロスレースが行われる福島県屈指のオフロードコースです。 当イベントのために作られた特設コースをはじめ、常設ミニコースや平地にパイロンを設けて「八の字」走行の練習場などが用意されていました。
さらに、モトスポーツランドしどきでは各種装備のレンタルもしているとのことで早速借りてみることに(参加費込み)。至れり尽くせりです!
雨でぬかるんだコースは深いところだとスネまでずっぽりとハマってしまうほどで、前に進むのが精いっぱい。起伏もあり、速度を乗せないと山(ジャンプ台)を超えるのも一苦労でしたが、CT125・ハンターカブでオフロードコースを走る機会なんて滅多になく、とても貴重な体験ができました。 大人になった今、泥だらけになって遊ぶのがこんなに楽しいとは!
また他参加者のノーマルタイヤを履いたCT125と乗り比べてみたら、純正(GP-5)だと空転してしまうポイントも変更したタイヤ(iRC-22)だとしっかりとトラクションがかかり、あらためてタイヤの重要性を痛感!
最後は有志やスタッフらが本コースの急斜面を駆けのぼるという、即興のデモンストレーションも行われて「iRC OFF ROAD PARTY~みにばい編~」は幕を閉じました。
他の参加者に話を伺ったところ、
「買ったばかりのクロスカブ110を試したく、また地元で開催ということで参加しました。普段はBMW・G1000という大型アドベンチャーに乗っていますが、68歳と歳なので大変なんです・・・・・・。このイベントで小型バイクの楽しみ方や限界がわかってよかったです」
「カブは女性でも扱いやすいから大好きです。以前、福島県須賀川市で開催されたiRCのキャンプツーリングにも参加しました。とても楽しかったので思い出作りに今回も参加しました~!」
「免許を取ったばかりの頃にキャンプツーリングに出かけたのですが、キャンプ場まで想像以上に道が酷くて断念したことがあります。それから1年経ち、腕試しのつもりで参加しました。以前よりはスキルアップしていてすんなりと走れちゃいましたね!」
といった好意的な意見が多く、参加者の年齢も性別も様々でした。
当の私も普段は街乗りメインで、ツーリングでもカーナビで示された舗装路ばかりゆえ、この機会がなければ走らない(走れない)道のオンパレード。さらに、メーカーや運営スタッフが一から十まで手ほどきするのではなく、必要な分だけサポートをして参加者に委ねるスタンスも奏功して、ちょっと過酷な経験を積んだ私は、自称から本物のバイク中級者にステップアップできた気がします!
キャンプ場への交通手段でもあるバイクのスキルアップはもちろん重要ですが、走ること自体も遊び(レジャー)と捉えて、あえて「酷道」を選んだり、道中に寄り道をして、出発から帰宅までひっくるめてキャンプツーリングを楽しんでみてはいかがでしょうか?
このイベントをきっかけに、今後iRCでは中級社向けのコースを作ってみたり、キャンプと併催するイベントも考えているそうなので気になる人は要チェックです。
参加者のカスタムマシンをPICK UP!
最後に参加者達のイケてるカスタムマシンをご紹介します。
スーパーカブの外装をスポイルして軽快に仕上げつつ、アップフェンダーや丸目ライト、SP武川製のアップタイプマフラー、ブロックタイヤなどでオフテイストにアレンジ! さらにサブフレームを追加して剛性アップ。
グロムをベースにT.T.R.モータース製のFRPカウルキットを纏って「パリダカ」風に変身! 12インチの小径ながらもiRCのブロックタイヤ(GP-22)を履いて悪路をガシガシ進む姿はラリー車と見まごうばかりだ。
フランスヤマハ発のパワフルなインポートオフ、WR125Rが登場。なんと小田原市から駆け付けたハマヤンさんは、このバイクで日本半周をしたこともある猛者だ。長距離走行に向けてお尻が痛くならないようにゲルザブを追加し、フォグランプ×2基、トップケースなどを装着。
- Photo/Kosaku Hoshino
- Report & Text/Yasuo Sato
iRCウェブサイト https://ircmoto.jp/