こんな“エベレスト本”見たことない! 「絵と直筆」が異彩なだけじゃない、超等身大の登山記録。

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エベレスト登頂。それは世界中の登山家たちがいちどは夢見る、山登りの到達点のひとつ。エベレストにまつわる“物語”を記した書籍も世にあまた存在し、登る者も登らざる者も、かの山の壮大かつ深遠な魅力に触れることができます。

今回紹介するのは、2025年12月20日に発売される、そんな“物語”のひとつ。著者が描くカラフルな絵と直筆のテキストで構成された、パッと見から独特の1冊ですが、ただし、それ以外の意味でもかなり異彩な面白い本なんです!

『マインド・エベレスト Mind Everest』¥2500

著者は、関 健作さん。

1983年千葉県生まれ。順天堂大学在学中に中国側・ネパール側のエベレストベースキャンプを訪れ、ヒマラヤに魅了される。大学卒業後の2007年から3年間、ヒマラヤ山脈の国・ブータンで教員として勤務。その経験をきっかけに、2011年よりフォトグラファーとして活動を開始。ヒマラヤの国々を中心に撮影を続けている。

と掲載プロフィールをコピペしてみましたが、ことさら特別な登山家ではないことがわかるくらいでしょうか。でも、その“特別じゃなさ”が、この本の肝であり、面白さなんです。

「世界一の稜線をこの目で見たい」という帯の文句の通り、フォトグラファーである著者は、世界一の山を「いつか」と夢見る登山家のひとりでありながら、仕事も家族もある、ありふれた暮らしを送るひとりの生活者でもあります。

40歳の彼にエベレスト挑戦をとうとう決意させたのも、「いつか」っていつ?と、妻というごく身近な存在がかけた言葉でした。伝説のクライマーとの切磋琢磨があったわけでも、大きな使命を背負ったわけでもなく、あったのはただ、ボクらだれしもが持っているような人生の焦りやくすぶる衝動だけ。

本書では、その決意からエベレスト登頂までの4ヶ月間が描かれることになるのですが、なによりユニークなのは、とくに前半、揺れ動きまくる心模様がかなりあけすけに描かれていること。

決意してからまず襲う恐怖心や、著者の口をついて出る言い訳が、正直すぎるくらいそのまま描かれています。有名登山家たちの湧き出る自信やプライドと、ある意味で一線を画す、一喜一憂を繰り返す小さな等身大。

また、資金集め、仕事上の関係者への挨拶、体づくり、普段の仕事、SNSの発信など、出発までの実務的な事柄が、緻密かつ網羅的に描かれているのも特徴。富士山でおこなう日夜のトレーニング、イラスト付きの装備品リスト、エベレスト登山者御用達のショップ情報なども記録されていて、エベレストの攻略本さながら!

色彩ゆたかな絵と直筆テキストに、ページをめくる手が止まらないのはいわずもがなですが、用いられるカラーパレットからは、まんま著者の心模様が感じ取れて、どっぷり感情移入しちゃいます。

また、物語前半、まだ見ぬエベレストは温かくカラフルな色で描かれているのに対し、現地入りしていざ眼前にそびえる山々は、冷たくソリッドな色彩。そんな変化にも注目。

そして、物語は局面に。

山頂アタックにさしかかるあたりは、こちらも息切れしそうになるくらいの、迫真の記録! 一気に読み切っちゃいました……!

登頂を決意したその日から山頂アタック当日まで、溢れ出る感情とイメージを毎日ノートに綴った4か月間の絵日記『マインド・エベレスト Mind Everest』は、12月20日(土)発売予定。

同日には、『マインド・エベレスト』の出版記念イベント「エベレストを登って、描いた日々。」がモンベル 渋谷店で開催されるそう。イベント詳細はこちらから。


マインド・エベレスト Mind Everest

[絵と文]関 健作
2025年12月20日発売 判型:A5変(150mm×196mm)/並/168ページ・フルカラー
ISBN978-4-911273-06-7 C0036
定価(本体2,273円+税)
ブックデザイン 重実生哉

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Masahiro Kosaka
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