10月2日~4日に静岡県富士宮市・ふもとっぱらで開催される〈GO OUT CAMP Vol.22〉が、いよいよ目前に迫ってきた。今年もポップスやブルース、レゲエ/ヒップホップなどのアーティストからお笑いタレントまで、豪華な顔ぶれがずらりと並ぶが、中でも注目したいのはこの二人。〈tofubeats & 柴田聡子〉のユニットライブは、ダンスミュージックとJ-POPを股にかけて活躍するトップDJと、ミュージシャン/詩人として熱烈なファンを持つシンガーソングライターとの組み合わせで、どんな化学反応を起こすのか。10月3日のGO OUT STAGEでのパフォーマンスに期待が高まる。
tofubeatsが5月にリリースした最新EP『Angels On The Dancefloor』には、二人のコラボ曲“大丈夫 feat. 柴田聡子”を収録。この曲の制作エピソードを中心に、不思議な縁で結ばれた二人の関係から、それぞれの音楽的志向、キャンプへの興味、〈GO OUT CAMP Vol.22〉への期待など、様々な話題をたっぷりと語ってもらった。
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有楽町でばったり
―お二人のコラボは、柴田さんの曲“Reebok”のtofubeatsさんによるリミックス(2024年)が最初ですね。あれはどんな経緯で実現したんでしょう。
柴田 実は正式にリミックスをお願いする前から、なんとなくtofubeatsさんとのご縁があったような気がしているんです。例えば、駅でばったり会ったりとか。あれは“Reebok”の後でしたっけ。
tofubeats その前後ですね。僕が柴田さんのライブに足繁く行くようになった、そんな時期に駅でばったり会った。
―ちなみにどの駅ですか。
柴田 東京の有楽町です。駅前で友達を待っていたら、改札からtofubeatsさんが出ていらっしゃって、それまで一回ぐらいしかお会いしたことないのに、「tofubeatsさん!!」ってすごい声をかけてしまって(笑)。
tofubeats 僕は金沢から帰ってきたところだったんです。有楽町の改札で奥さんと待ち合わせしていて、しかも金沢で柴田さんのレコードを買ってきていたんですよ。奥さんが柴田さんの大ファンで、昔の7インチがあったからプレゼントに買ってきたんですが、改札を出たら奥さんじゃなくて柴田さんがいて、めちゃくちゃびっくりしました。それで、金沢のお土産を全部柴田さんに渡して、「持って帰ってください、縁起がいいんで」とか言って(笑)。
柴田 パートナーさんからも、さっき買ったクッキーとかいただいちゃって、全部美味しかったです。ありがとうございました。すいません……いきなり話が脱線してしまいました。

〈大丈夫じゃない〉タイミングで届いた“大丈夫”
―いえ、こういう話が聞きたいんです(笑)。すごいご縁、もはやコラボする運命ですね。
tofubeats 僕も、流れみたいなものは感じていました。柴田さんのお名前は、(自分の楽曲にお招きしたいヴォーカリストとして)常に候補に上がっていたんですけど、柴田さんはあくまでシンガーソングライターなので、自分で曲が書ける人に「この曲を歌ってください」と言いに行くのは、心理的にハードルが高いというか、自分が嬉しいだけでしかないみたいなところもあるので、躊躇していた部分もあったんです。だけど、そうこうしているうちに“Reebok”のリミックスのオファーを先にいただいちゃって。
―なるほど。そういう順番なんですね。
tofubeats あのリミックスがあったことで、今年リリースしたEP『Angels On The Dancefloor』に収録した“大丈夫 feat. 柴田聡子”という曲を、柴田さんに頼む前提で作りました。元々柴田さんの周りには、僕と近しい関係の人が多いんですよ。こういう仕事を長く続けていると、点と点が結びつく瞬間があって、何年かに一度関わることになったりして、そういう流れもあるのかなとか思ったりします。
―“大丈夫 feat. 柴田聡子”は、EPの中でも特に反響が大きかった印象です。10月には7インチ・アナログ盤でのリリースも予定されていますが、柴田さん、この曲の第一印象は?
柴田 まず、声をかけてもらったことが本当に嬉しかったです。去年の夏、〈tofubeats×ピーナッツくん〉の対バン(ツーマンライブ企画「TVP」東京公演)でゲストに呼んでもらった時に、「なんでもやりたいです」という気持ちはお伝えしていたんですけど、いざデモを聴いたら本当にいい曲で、自分がちょうど大丈夫じゃないタイミングだったのもあって、すごい沁みてしまったんですね。聴きながら口ずさんでいると、何か大丈夫な気がしてくるというか、曲から勇気とパワーをもらえたので、「この曲は絶対に歌いたい」と思って気合いを入れました。
―自分が大丈夫じゃないタイミングだった、というのは?
柴田 たぶんその時期にすごく疲れていたというのが一つと、もう一つは、この“大丈夫”という曲から、〈そばにいなくなってしまった人をずっと思っていたけれども、これからはその人のことを思わずにやっていけそうだな〉みたいな感じが伝わってきて、そこにすごく共感できたんですね。誰かがいないとやれないことがあるとか、私は自分では何もできないかもしれないとか……抽象的ですみませんが、ちょうどそんなことを思うタイミングで、もう今はいなくなってしまった人にすがっているような感じがあった。そうしたなかで、寂しいけれど、そろそろ離れていけそうだなという思いが出てきたタイミングとこの曲がちょうど重なって、「まさに私のような人のための曲じゃないか」という感じでした。本当にいい曲だし、たくさんの人がこの曲を聴いて、同じような気持ちになったり、勇気やパワーをもらっているだろうなと思います。
tofubeats そもそも柴田さんの曲の中に、そういうテーマがあると思うんですね。それを違う視点から描いてみたいなと思っていたので、そういうふうに思っていただけてマジで嬉しいです。ただ、まさにその部分が俺を苦しめたというか、柴田さんがずっと書いてきた歌詞の世界がある中で、「自分が(柴田さんの)歌詞を書く意味があるのか」という気持ちはやっぱりあって。「自分にしかできないことで、かつ柴田さんが歌っても違和感がない歌詞とは?」ということに挑戦する作業が、結構大変でした。めっちゃ書き直した記憶があります。
柴田 いや、完璧な歌詞だなと思うし、自分がプレッシャーをかけていたなんて1ミリも思っていませんでした(笑)。本当に素晴らしい曲なので、ずっと歌っていきたいなと思っていますね。私の人生のテーマソング的な曲になると思います。

お客さんが1000人でも10人でも同じことができるか
―あらためて、tofubeatsさんの思う、柴田さんのシンガーとしての魅力とは?
tofubeats 僕の仕事は、ショーアップされた場所でやることも多いですけど、例えば1000人を相手にする時と同じことを10人の時にもできるのか? それでその人らを感動させられるのか? みたいなことをよく考えていて、おそらく柴田さんも同じじゃないかと思うんです。〈ひとりぼっち〉(柴田聡子の弾き語りライブシリーズ)もそうですし、毎月ライブをやる、しかも弾き語りでやることって、相当自分に圧力をかけるという思想がないとできないというか、それが必要だと思っていないとやらないことだと思うんですね。自分を等身大よりも大きく見せたいという思想はなくて、個人としての自分を見せたいということが、曲からもライブからも感じ取れるというか、そのスタンスがまずかっこいいと思っていて。
そしてもちろん、僕が言うのはおこがましいですけど、シンガーとしても年々成長しているというか、どんどん変わっていって、つまりこの人は変わっていきたいと思っているんだなと感じるし、そこにめっちゃ感動するんですよ。自分がミュージシャンとしてやっていくことに関して、柴田さんは「これでいいんだな」とか「こういうことをやっていけばいいのか」みたいなことを思わせてくれる貴重な存在というか、技術的な部分からも、活動の全体像からも、いろんなところから勝手に感じ取って、熱い気持ちにさせられる。すごくかっこいいなといつも思っています。
柴田 そんなに立派な信念はないですし、常に揺らいでばかりなので、そんなふうに言ってもらえるとちょっと後ろめたい部分もありますけど、めっちゃ嬉しいです。でも本当に、いろんなことに自分は揺らいだり、影響を受けたりするんですよ。めっちゃ売れたいな、とか思ったりもするし。

tofubeats それはもう全員が思っていることなので、大丈夫です。
柴田 そうなんだ(笑)。でも確かに、私は本当に小さなところから、何も考えずに活動を始めているので、それはいい財産になっているなとは思いますね。「この(お客さんの)数を保たなければ自分はやっていけないんじゃないか」ということはなくて、どんな場所にも出て行ってみた経験があることが、財産だと思います。ただ、実際に「チケットが売れていない」とか聞くと心底落ち込みますし、「今日は10人しか集まりません」ということがあった時には、やっぱり動揺すると思うので、それを望んでいるというよりも、ただその都度受け入れているという感じかもしれません。
tofubeats 僕も、チケットが売れていなかったら、狼狽に狼狽を重ねます(笑)。かと言って、お客さんが10人の日に手を抜くつもりはないです。最近聞いた話で、会場が盛り上がっていなくて、若手のラッパーがお客さんにキレたみたいな話があって、気持ちはわかるけど、それはダメじゃんと思うんですよ。そういう時でも真摯にやっていくのがミュージシャンシップじゃないですか。だから柴田さんには1万人の会場でやってくれよって、俺は全然思っているんですけど、かと言って、そうなった時の柴田さんを神保町の〈試聴室〉(〈ひとりぼっち〉シリーズのホームグラウンド)で見ても全く同じ感じで見れると思う、そういう信頼感があるという感じです。
柴田 本当に嬉しいですね、そう言っていただけると。

でっかい花火を打ち上げたい
―ここからは、いよいよ開催が迫ってきた〈GO OUT CAMP Vol.22〉の話をさせてください。お二人は〈tofubeats & 柴田聡子〉として、10月3日のGO OUT STAGEに出演されますね。tofubeatsさんは今回で4度目の出演になりますが、〈GO OUT CAMP〉にはどんなイメージがありますか。
tofubeats ロケーションがめっちゃ良くて、しかも音楽ステージのほかにアウトドアグッズのショップもたくさん出ているから、毎回お店を見るのがすごい楽しみで、なんならそれが楽しみで行っているみたいなところも正直ある(笑)。グッズを見たり服を買ったり、他の来場者さんと同じように楽しませてもらっています。
―柴田さんは〈GO OUT CAMP〉初出演ですが、キャンプフェス/野外フェスはお好きですか。
柴田 好きです。外はやっぱり開放的になるし、「Yeah!」みたいな気持ちがより高まってきて、普段は言えないこととかも結構言えます。北海道出身で湿度が苦手なので、雨だとちょっと困るんですけど、それも最近は結構楽しいかもと思ってきて、お客さんも雨でめちゃくちゃテンションが上がってしまうとか、それもアリだよなと思うようになりました。
―今回の〈tofubeats & 柴田聡子〉という名義での出演は、tofubeatsさんからの提案なんですよね。
tofubeats そうです。去年の春の〈GO OUT JAMBOREE〉に出演する際に、tofubeats & 澤部渡(スカート)という名義でやらせてもらって、澤部さんと僕のライブが半々で、最後に1、2曲を一緒にやったんですけど、今回もそういう感じになると思います。一つの枠を二人で分け合うことで、普段は見られない開放感を出しつつ、キャンプと同じような非日常感をライブに盛り込もうという意図があったんですけど、去年がいい感じにできたので、今年も「誰かやりたい人はいますか?」となったんです。そこで「柴田さんがいいな」と思い、このユニット形式になったということですね。
柴田 私はすぐに「楽しそうだ。やりたい!」と思いました。一緒にやれる曲もあるし、PAにDub Master Xさんが入ってくれることになったのも、すごく楽しみです。富士山が好きなので、すぐ近くに見えるというのも嬉しいです。

―お互いに、どんなライブにするイメージがありますか。
柴田 私のパートは弾き語りで行くので、いい感じにしっとりさせた後にtofubeatsさんにぶち上げてもらって、お客さんにジェットコースターみたいな気分を味わってもらいたいなと思います。
tofubeats 皆さんも秋の行楽気分でいらっしゃってくれると思うので、我々も普段と違う感じで楽しくできたらいいなと思っています。コラボステージでは、先ほどお話しした2曲は、おそらくドロップされる可能性が高いと思います。
柴田 客演としてステージに呼んでいただく時は、「1曲でバチっと決めなきゃ」という感じが強くて、楽しむところまでなかなか行けずにいたんですけど、最近思うのは、打ち上げ花火みたいな感じで、とにかく自分が花火を打ち上げる一員として、お客さんと一緒に楽しめるようになってきた気がしますね。〈GO OUT CAMP〉のステージでも、でっかい花火を打ち上げたいと思います。
〈GO OUT CAMP〉はマジでいい雰囲気
―楽しみです。最後に、せっかくなので、お二人のキャンプへのご興味についても聞いてみたいです。
柴田 北海道出身なので、アウトドアは結構やっていたんですけど、大人になってからはあんまりやっていないですね。でも野点(のだて)が好きで、道具一式揃えて、山の上でお茶を飲むことにとてつもない憧れと快感を感じているので、今もたまにやっています。小型で使いやすいストーブを持っていて、それでお茶を飲んだり、お湯を沸かしてカップラーメンを食べたり。
―それって家のご近所ですか。
柴田 いや、火が使えるところで(笑)。外でお茶を飲むとか、本当に好きなんです。だから〈GO OUT CAMP〉に行けるのが嬉しいです。野点キット、持って行かないと。
―tofubeatsさんは神戸出身ですね。キャンプ体験というと?
tofubeats 僕は、無人島に行って1週間テントで泊まらされる、みたいな学校に行っていたので、キャンプの免疫はあると思います。学校が無人島を持っていて、夏休みに5人1班とかで行かされるんですよ。そういう中学、高校に通っていて、一回行かされると全然平気になるので、そのあと船に乗ったり、別の島に行ったり、みんな自由に過ごせるようになるんです。自分の中で一番大きいキャンプの経験はそれですね。
―10月3日はぜひ、キャンプ気分を楽しんでください。そして、お客さんへのメッセージをお願いします。
柴田 もう絶対楽しいステージにするので、ぜひ遊びに来てください。
tofubeats マジでいい雰囲気の場所なので、来てほしいですね。普段キャンプをしない自分でも、キャンプに行きたい気持ちにしてもらえるイベントなので、僕も楽しもうと思います。
インタヴュー・文/宮本英夫
写真/船津晃一朗
tofubeats
オフィシャルサイト: www.tofubeats.com
X(エックス):x.com/tofubeats
Instagram:www.instagram.com/tofubeats
柴田聡子
オフィシャルサイト: shibatasatoko.com
X(エックス):x.com/sbttttt
Instagram:www.instagram.com/batayanworld
tofubeats & 柴田聡子も出演する〈GO OUT CAMP Vol.22〉の概要はこちら。
【GO OUT CAMP Vol.22】
公式サイト:www.gooutcamp.jp/goc/
開催日:2026年10月2日(金)、3日(土)、4日(日)
会場:ふもとっぱら(静岡県富士宮市)
【出演アーティスト一覧】
〈10/3(土)出演〉
tofubeats & 柴田聡子/PUSHIM × 韻シストBAND/Caravan/スナックはせべ(DJ HASEBE、ZEN-LA-ROCK、嶋野百恵)/JUMBO MAATCH/TAKAFIN/BOXER KID/RYO the SKYWALKER/T字路s/D.W.ニコルズ/上鈴木兄弟/ICHI-LOW/Satoshi Miya/+music/GetSerious/歌声ナイトクラブ and MORE.
【外-1グランプリ出演者】10/3(土)開催
流れ星/牧野ステテコ/マジメニマフィン
〈10/4(日)出演〉
PES/LA SEÑAS

