
4月10日~12日に開催される〈GO OUT JAMBOREE 2026〉に、久しぶりにスチャダラパーが帰ってくる。昨年、デビュー35周年を迎えて日本のラップレジェンドとしての貫禄を増す一方で、お茶の間にも親しまれるポップなキャラクターは未だ健在。Bose、ANI、SHINCOの最強トリオはさらに軽みと円熟味を身に付けて、前人未到のラップ道を驀進している。
キャンプ好きとして知られるBoseは現在鎌倉在住で、大都市では得られない理想のスローライフを謳歌中。今回の〈GO OUT MUSIC FILE〉はBoseを訪ねて現地取材を敢行、日々の生活から音楽活動に至るまで、思いつくままのトピックをユーモラスな語り口でたっぷりと話してもらった。
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ストレスがまったくない
――Boseさんが鎌倉に移住して、何年になりますか。
子供が1歳の時に来たから、11年ぐらいかな。たぶん〈GO OUT〉を読んでいる人のなかにも、鎌倉に住みたいと思ってる人はいるだろうけど、実際、東京から来た人も多いんですよ。世田谷と鎌倉が繋がってる感じで、走ってる車の種類も一緒(笑)。アウトドア好きもいっぱいいるし、親和性は高いと思います。
――意外と、通勤圏内なんですよね。
鎌倉はぎりぎり通える都会という感じで。好んで東京に住んでいた人は、文化がないとやっぱりしんどい人も多いと思うんですよ。鎌倉にはサブカルもいっぱいあって、一昨年ぐらいにできた〈喫茶邂逅〉っていうカフェとか、僕らが若い頃に見ていたような本やレコードがいっぱいあって、店内でノイズがかかってる(笑)。昔からあるベーカリーの〈パラダイスアレイ〉とか、都会っぽい文化のある人たちのお店もいっぱいあるので、会話が成り立つんですよね。あまり田舎に行きすぎると、カルチャーの話になると、地元の人と会話が繋がらないこともあるから。
――確かに。
〈GO OUT〉のカルチャーも、まさにそういうものじゃないですか。都会憧れと田舎好きと、どっちもほしい人のためのものというか。鎌倉の家賃相場は目黒とそんなに変わんないくらいだと思うんだけど、僕が住んでる一軒家の賃貸は、東京と比べたら半分の安さかもしれない。しかも駐車場付き、かつ、徒歩ですぐ海に行けるって考えると、コスパで言うとマジで超プライスレスな感じ。

――いまのBoseさんの1日の典型的なルーティンって、たとえばどんな感じですか。
どこかに行かないとできない仕事がない時は、朝7時ぐらいに起きて、朝ごはん作って、子供を学校に送り出したら、30分ぐらい海辺を散歩。知り合いがやってるカフェでコーヒーを飲むとか、それがだいたい午前10時ぐらいまで。そこからは洗濯したり掃除したり、うちのことをやって、昼になったら自分で昼ごはんを作ったり、「今日はランチ食べに行こうか」みたいなこともある。知り合いがやってるお店に行くだけでも、1週間じゃ回り切れないくらいだから。そのあとは何もなくて、頼まれてる仕事が家でできればやるし、たまに奥さんとハイキングに行ったり、みたいな。
――いいですね。正直、うらやましいです。
そもそも、ここに来た理由で一番大きいのは、東京では何かしようとするのにいちいちストレスがかかること。公園に行っても車を停めるところがないとか、子供を遊園地に連れて行っても、入場料が3000円で駐車場が3000円かかるとか。でもここに来たら、海も山も全部公園みたいなものだから、ストレスがまったくない。子育てのタイミングだったから、それが一番大きかったかな。
――職種にもよりますけど、家庭と仕事の折り合いがつけば、「都会を離れて住むのもありだよ」と。
でも、これから多くなっていくんじゃない? 僕ら(スチャダラパー)みたいに作業部屋を東京に借りて、それをみんなでシェアして、自分は広くて家賃の安いところに住むのはありだと思う。〈GO OUT〉を読んで、キャンプグッズを買いたくても、置くところがないから諦めるとか、そういう人もいるじゃないですか。僕はいちおう庭に倉庫みたいなものがあるけど、これが都会の家だったらどこに置く?ってなるから、その心配がないのも大きいと思う。

全部普段の暮らしから生まれてくる
――キャンプの話題が出たところで、話をそっちに変えて。Boseさんのキャンプ歴について聞かせてください。
子供ができたぐらいから、かな。もともとうちの奥さんは、お父さんが〈エアストリーム〉のキャンピングトレーラーを持っていたぐらいの人だから、子供の頃からいろんなところに行ってたみたいで、奥さんの勧めで子供と一緒にキャンプに行き始めたのが10年ぐらい前。そのうち仲間が増えて、最初はみんな子供連れだったけど、子供が大きくなるとだんだん付き合ってくれなくなるじゃないですか。「キャンプ行ってもおじさんたちが喋ってるのを聞くだけでしょ」みたいな。実際、恵比寿の居酒屋がふもっとぱらになってるだけ、という時があるからね(笑)。おじさん同士、お酒飲んでただ喋りたいだけみたいな。
――ありますね(笑)。子供はそのへんにほったらかして。
焚き火してだらだら喋って、誰かが作ってくれた美味しいものをつまんでる時間が、一番楽しいじゃないですか。外にある居酒屋みたいな感じだから、オートキャンプで、荷物を降ろしてすぐにできるところじゃないとやりたくないし、結局、都会の続きをやってるだけかもしれない。〈非日常〉というのもあるけど、結局みんなで外で食べたり飲んだりするのが楽しいって感じかな。
――今までで一番、印象的なキャンプ体験というと?
奥さんがキャンプ好きだから、結婚パーティーをキャンプにしたんですよ。今もあるのかな、西伊豆の〈AQUA VILLAGE〉っていう、陸地から離れた島みたいなところで、貸し切りで、でかい音も出せるし、何をやってもいい場所で、みんなでキャンプして遊んだのが楽しくて。奥さんが30歳になる時に、同じようなことを丹沢のキャンプ場を借りてやったんだけど、友達のご飯屋さんとか芸人さんとかいっぱい呼んで、あれも楽しかったな。主催する側として、みんなでどうやったら面白くなるかな?みたいなことを考えるのが好きなんですよね。最近は〈海の家OASIS〉というお店が葉山にあって、毎年夏にそこが開催している〈『Melody fair Beach Party』〉で僕らがライブをやるのもそれの延長というか、都会の人を普段と違うところに連れて行ったらそれだけで面白いから、僕がみんなをこっちに連れてきて、一緒に遊んだら楽しいじゃん?ということなんで。
――キャンプしてる時って、仕事とか音楽のこととか、考えないですか。
どうだろう? 普段からいつも何か考えているのが日常だから、区切りがないんですよ。例えば今だったら、「戦争って嫌だな」と思った時に、「そこでこういうひとことを言いたい」とか、パンチラインみたいなものがパッと浮かんだりすると、それを元にラップを考えたりするから。キャンプ場で遊んでる時の「うわー楽しい」という感覚も、「これが何かにならないかな?」ってやっぱり思っちゃう。それが溜まっていって、「じゃあ曲を作ろうか」という時にポロポロっと出てくるみたいな感じ。だからこうやって、鎌倉にわざわざ取材に来てくれることも一個のネタになるんだよね。
――ある意味、どこにいても音楽のことを考えてる。
音楽というか、何かしらのネタって感じ。喋ったりなんだりするようなことも、全部普段の暮らしから生まれてくるから、それが最後に音楽の形になってるだけなんだよね。

誰もやってない面白いことをやる
――リリースの話で言うと、先日、ゲーム音楽に新曲“たそがれチートコード”を提供したというニュースを見ました。
須田剛一さんの『ROMEO IS A DEAD MAN』ですね。〈須田ゲー〉って呼ばれるぐらい、その人が作るとこういうゲームになるという特徴のある人から誘ってもらって、ゲームの中のあるシーンだけで使われる曲を作ったんですよ。今どきCDがメインでもないだろうから、どういうふうにリリースするかを考えたんだけど、次のライブ(5月26日東京・LINE CUBE SHIBUYA)は〈お土産付き〉で開催することになっていて、そこに入ってるミックステープの中に音源を入れようかと思ってます。昔あったカセットブックみたいな感じにしたくて、新曲も含めて何曲か入れて、サブスクには上げずに当日もらった人だけが聴けるものにしておくとか、ひとまずはそういう形にするのが面白いかなと思ってます。
――それはファンがめちゃくちゃ喜びます。
結局みんな、物が欲しいんですよね。〈GO OUT〉も、こういう取材系の記事はWEBで、物のカタログは紙の雑誌のほうになってると思うけど、服とかはやっぱり紙のほうで見たいんですよね。こうやって(スマホをスクロールしながら)見てもイメージが浮かばないし、紙で見るほうが買いたくなっちゃう。ページを開いた時にダウンジャケットがいっぱい載ってるみたいな、ああいうほうが自分はそそられるから。実際、どうなんですか。〈GO OUT〉に載ってるキャンプグッズは、今けっこう売れてるんですか。
――売れてますね。ただ、二極化している傾向はあるかもしれないです。趣味にお金を使うタイプのマニア向けの品物と、ライトユーザー向けの手軽で安いものと、というような。
物にお金を使う人は高いものも買ってる、他は全員ユニクロで買ってる、みたいな感じかな。うちらは趣味寄りでいいわけだから、〈お土産付きライブ〉はまさにそれで。今スチャダラのライブに来るような人はこだわりがある人達というか、僕らも人を選んで作ってるわけじゃないけど、若くてお金に余裕がない人に向けて「これ買ってください」とは言えないな、みたいな感じはある。「こういうものが欲しいでしょ?」って提示して、自分と同じ感覚になってくれたら嬉しいんですよ。

――スチャダラパーには、良い意味で大人の上質感や高級感がありますから。TikTokを活用して若い層に売ろうとか、そういうのは違う気はします。
自分らが作ってるようなものを、そういう子たちが買うイメージは湧かないよね。それを求められてる感じもしないし。ただ新しいものは好きだから、TikTokとかYouTubeで、顔を出さないで面白いことをやってる人とか、すごい興味ある。あそこに混ざって、「スチャダラパーがVTuberになりました」みたいなことをやるのは超楽しいかも。〈星街すいせい・フィーチャリング・スチャダラパー〉で、アバターしかないみたいなのはマジ面白い(笑)。絵だからめっちゃ動けるとか、どんな悪いことを言ってもいいとか、できるじゃないですか。〈中の人〉になれば、別の人格になれるから。
――そうですよね。
冗談で、(ANIとSHINCOと)3人でよく言うんだけど、僕たち今の時代に高校生だったら迷惑系YouTuberになってるねって(笑)。迷惑は良くないけど、誰もやってないことを先にやる奴はかっこいいって思ってるから。だって、元々スチャダラパーが目指していたのはそうだもん。誰もやってない、面白いことをやるという(笑)。誰もやってない音楽とか、そういうことを最初にやるのが絶対かっこいいと思ってたから。
――まさに、スチャダラパーはそういう存在でした。
YouTuberやVTuberのそういう人は好き。昔のスチャダラパーは、今で言うとそういうところにいたんだと思う。今のラップは「高校生ラップ選手権」とか、音楽というよりスポーツでインターハイに出るみたいな厳しさだと思うから、そういうのは絶対に選ばない(笑)。その隣で、誰もやってないことないかな?みたいな感じで、面白いことを探してると思う。
――ちなみに、スチャダラパーの後継者みたいに思っている人って、いたりしますか。
僕らのことを好きだった子は、芸人になってる子も多いんですよ。バカリズムとか、麒麟・川島くんとか、スチャダラファンと言ってくれていて。電気グルーヴとかスチャダラパーが好きな人たちが、芸人をやってるのはめちゃくちゃ納得で。で、逆に彼らのお笑いに憧れた子たちの一部はむしろ音楽をやってるかもしれないし、また違うことをやってたりするはず。僕らがみうらじゅんさんや宮沢章夫さんを見てラップを始めたり、そういういろんなものから影響を受けて、自分の表現に繋がるのが正しいし、面白くなると思うんですよね。

Bose
Instagram:www.instagram.com/bose_sdp/
スチャダラパー
オフィシャルサイト: www.schadaraparr.net/
X(エックス):x.com/sdp1990official
Instagram:www.instagram.com/sdp1990_official/
YouTube:www.youtube.com/channel/UCbJcf3ifgY-LlwrwbsCj2hg
インタヴュー・文/宮本英夫
撮影/大橋祐希
スチャダラパーも出演する〈GO OUT JAMBOREE 2026〉の概要はこちら。
【GO OUT JAMBOREE 2026】
公式サイト:www.gooutcamp.jp/jamboree/
開催日:2026年4月10日(金)、11日(土)、12日(日)
会場:ふもとっぱら(静岡県富士宮市)
出演アーティスト:
4月10日
GetSerious(GFB / TKC / PATTI BOY / RIM)/oomalamaチーム
4月11日
石野卓球/RED SPIDER/Rickie-G/DJレイザーラモンRG/四星球/toconoma/TENDOUJI/D.W.ニコルズ/HISATOMI/775/なかむらみなみ/andrew(TREKKIE TRAX)/Shigeo(スケボーキング / Steady&Co. / GOLF4649)/xiangyu/GUAN CHAI/ICHI-LOW/上鈴木兄弟/Satoshi Miya/+music/ゆってぃ/鬼ヶ島/人間横丁/伊豆のぬし釣り
4月12日
MONGOL800/スチャダラパー/水曜日のカンパネラ/GOMA/キャノーズ/THE SIDEBURNS
「GO OUT JAMBOREE 2026」について、もっと詳しく知りたい人は、こちらの記事もぜひ。
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