かたやメンズシーン、かたやレディースシーンで、ファッションデザインキャリア20年超の2人が、揃って山登りに夢中に。山で得た新たな気づきから生まれる、ジェンダーレスでファッショナブルなモノづくりの核心に迫った。

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山と街の比重を5:5に。ファッションデザイナー視点での“山の服”。
――今年1月に『山荘 飯島』でローンチし、話題になったP.P.C.E.は二人のデザイナーにより誕生したブランドですが、まずは自己紹介からお願いします。
秋元:フィーニーというブランドのデザイナーをしている秋元舞子です。ブランドは今年の11月で15年になります。
川瀬:プロダクト・トゥエルブというブランドのデザイナーをしている川瀬正輝です。ブランドは
今年で6年目になりました。お互い20年以上服づくりをしてきた友人で、3年前から一緒に山登りを始めました。

――ファッションデザイナーの二人、それも男女で山のブランドを始めるのはきっと類がないですね。そもそも二人が山登りをはじめたきっかけはなんですか?
川瀬:秋元さんのほうから「山興味ない?」って連絡がきて、「めっちゃ興味あるよ」って言ったんです。自分のブランドは機能性を大切にしているから、山でどこまで対応できるのか知りたかったし。自身の健康を保つことにも関心がありました。そしたら「共通の友人に山を案内してくれる人がいるから早速やろう」となって。
秋元:私はもともと旅と、そのための支度がすごい好きなんですけど、自分がしていたパッキングがULの概念と一致していることを知り、山に登らないのにULのギアとかを買うようになっていたんです。海は大好きだったんですけど、やっぱり山に行ってみたいと思い、川瀬さんも巻き込んだって感じです。
川瀬:行ったらめちゃくちゃ楽しかった。
秋元:ねー、めちゃくちゃ楽しかったね。
川瀬:やっぱり新しいことを始めるのって年齢を重ねると少なくなってくるじゃないですか。登るごとにどんどん成長が感じられるのが嬉しいんですよ。洋服も街だと気づかないような改善点が山なら見つかったりするんです。あと、山にいると長時間会話をするのが良い。そんなコミュニケーションもおもしろいなと思った。



――山で得たものをご自身のブランドでアウトプットするようになりましたか?
川瀬:お互いちょっとずつあったよね?
秋元:ウールのメリノTとか、コンバーチブルパンツを作ったりはしていたけど、フィーニーのユ
ーザーとは合わなくなるので、P.P.C.E.ほど振り切ることはできなかった。
川瀬:同じく。あくまで僕のブランドも街をフィールドにしているから。どうしても振り切れない
でいました。P.P.C.E.を始めたことで、ちゃんと最初から山と街の比重を5:5にできて、純粋なモノづくりができるようになった。曖昧にやっていると、プロダクトも曖昧になるんですよ。フィールドを設定して、凝縮したものが必要と考えて、二人でやろうよとなりました。
ファッションデザイナーで、山ビギナーだからできること。
――お互い同じようなもどかしい気持ちを持っていたわけですね。
秋元:自分が欲しいモノは明確にある。山ウエアへの興味は増すばかりだけど、フィーニーで作ることができない。確かにもどかしさがあった。
川瀬:自分たちが培った洋服づくりのテクニックが必ず山で活かせると思ったんですよ。だから山に登りながら、ちょっとやってみようかって。
秋元:フィーニーのパンツでも全然登れるんです。川瀬さんのプロダクト・トゥエルブもホントに山で使えてすごくいいんだけど、もっと機能を求めたくなって、こういうの欲しいよねって話になっ
ちゃう。
――で、何を最初に作ったんですか?
川瀬:プリマロフト アクティブを使った製品ですね。恐らく国内で最初にそれを用いた製品を作らせていただきました。通気性と保温性のバランスにこだわった、ベースレイヤーとしても使えるインサレーションファブリックなんですけど、じつはP.P.C.E.を始める前から目をつけていたんです。アメリカでは使われていましたが国内はNGで、二年間ちょっとずつ交渉していたら、あるとき突然使わせてもらえた。同時に『山と道』さんが使っていたから、きっと先輩方のロットのおかげで便乗できたのだと思います(笑) 。
秋元:川瀬さんホントに、めちゃくちゃ生地のこと詳しいんですよ。機能的なものをたくさん作ってきてるからだと思うんですけど。教わることも多いですよ。
川瀬:いやいや、それでいうと秋元さんは探求心がヤバい。いろんな素材をとことん試すんです。オクタとかポーラテック アルファ、プリマロフト アクティブとか全部使って、私はこう思った!みたいなのがすごいある。とにかく使って感じる。


――そのうえでのP.P.C.E.の強みは?
秋元:自分たちが着たいシルエットで作ってるっていうのが強みです。山登りを始めたとき、とに
かく着て行く服に悩まされたんです。調べたものを着てみたら、ツラい!みたいな。でもちゃんと着て行かないとなって、憂鬱になりながら。しょうがないんですけどね、 命を守る服なんで。
川瀬:秋元さんは特にファッション的な意識が強いと思う。
秋元:違う、メンズは幅があるんですよ。レディースになると急にウエスト絞られたり、無駄に細
かったりだから (笑) 。
川瀬:それで言うと、P.P.C.E.はユニセックスというのも強みのひとつです。サイズ表記が1〜3なんですけど、1は155cmの秋元さんが着るサイズ、2が172cmの僕が着るサイズ。1と2がレディース、2と3がメンズって感じになっています。
――ファッションに長けた男性と女性が、ともに自分が着るためのモノを作っている。ゆえに男女問わず良い風に着られるものになるというわけですね。
川瀬:加えて、山と街が5:5というバランスであるところも特徴です。
秋元:山に行くからって山の服に悩むのしんどいじゃないですか。山でしか着ないモノなのに高いお金払うのももったいないし。P.P.C.E.の服は普段も使えるからひとつで山と街がまかなえる。しかも小さくなるし、軽いし、イージーケアでいい。ホントに一石三鳥くらいの感じ。
ブランドを始めたことで共にクローゼットのUL化に成功。
――支度好きなところも見事にクロスオーバーしている感じがいいですね!
秋元:製品も小さい収納袋に入れてお渡ししてるんですよ。もともとパッキングが大好きだっただけに、P.P.C.E.始めてちょっと物足りなくなってるくらい(笑) 。
川瀬:スケジュール組みも好きだもんね。先日秋元さんプレゼンツで、皆でスキーに行ったんです。ほんとに何にもしなくていいから最高でしたよ!
秋元:川瀬さんほんとに何にもせず楽しんでたね!(笑)
――今後ブランドはどういう風に展開をしていくんですか?
川瀬:今のところ自社サイトやポップアップのみなんです。とにかく遊びと仕事をつなげるイメージで続けていくって感じですよね?(笑)
秋元:はい! それがいいです!
川瀬:売らないとヤバいみたいな殺伐とした感じはありません。
秋元:P.P.C.E.で地方に行って、そこのお店と一緒に山に登りたい。作り手が楽しんでいることが一番だと思うんですよ。
川瀬:山の先輩たちからいろんな話聞けるのも楽しいんだよね。
――飢えてますね(笑) 。二人が山登りのビギナーじゃないですか。だからゆえ、誰よりも欲に溢れている感じがします。絶賛、山が大好物の人たちが作っているというワクワク感が手に取る人にも伝わっているのかもですね。
秋元:まさに!
川瀬:今後が楽しみでしかありません。洋服を作り続けてきたプロだと自負しているのでそのプライドは持ちつつ、山においてはリスペクト先輩です!(笑)
意味のあるデザイン、縫製、ディテールを1着に込める。
「ストレッチ素材なのに伸びない縫製で縫っているのはなぜ?」とか「レディースは不自然にピタっとする服が多い」などのモヤモヤを徹底的に追求。看板アイテムから2人のこだわりを垣間見る。

Primaloft Active Full Zip ¥35200
機能素材「PRIMALOFT® ACTIVEEVOLVE 100/m2」を使用したブランド渾身のトップス。適度な通気性と保温性、速乾性を備えた化繊素材がいかなるシーンでも快適さを保ってくれる。ラグランスリーブで袖下にマチを設けて動きやすさにも配慮。
秋元:「作っている洋服のタグはすべてループ式にしていて、フックさえあれば簡単に干しておくことができるようにしています。素材のおかげで、それでもすぐ乾くし、旅先で面倒になることもありません」。
川瀬:「何といっても日本では恐らく私たちが最初に使った、インサレーションファブリック、プリマロフトアクティブが特徴。通気して、風を防げば暖かいし、とにかく軽い。旅に持って行くにもすごく便利」。
秋元:「私の旅支度好きが高じて、購入していただいた方に収納袋をつけてお渡ししているのも、P.P.C.E.ならではです。袋って何個あってもいいし、洋服を入れたらちょっとしたシーンで枕代わりにもなる」。
川瀬:「裏から見ても美しいように、後処理も追求しています。風でひらっとなっても恥ずかしい部分がない。表裏問わず、過剰なハギめを設けたることなく、できるだけシンプルに見せているのも特徴です」。
秋元:「フォルムは随所に気を配っていて袖先も、手側と腕側で周囲の長さに違いを持たせてるんです。キュッとはしていてほしいけど、手首が詰まりすぎていると運動時にストレスを感じることもあるので」。
“山で着たい服”をカタチにした1stコレクション。
プリマロフトアクティブに、メリノウールなど、素材は糸から徹底追求。すべてにおいて軽さ、使いやすさ、快適さを考慮しながら、ファッション性にも絶対に妥協しない。ブランド発表時の渾身ラインナップがこちら!

Uneven Dye Wool Long T-shirt ¥28600
17.5マイクロンの極細なメリノウール天竺繊維を使用し、肌あたりが良く、ドライで快適な着用感。ウール特有の臭いを抑制する高い抗菌・防臭効果は洗っても持続。

Primaloft Active Pants ¥36300
前ページのジャケットでも紹介した、通気性・保温性・速乾性が秀逸のインサレーションファブリック、プリマロフト アクティブを用いたボトムス。

Uneven Dye Neck Warmer ¥9900
細番手のメリノウール天竺を使用したネックウォーマー。ハギ目はフラットシーマーで縫製し、縫い代が肌に当たるストレスを軽減。同じメリノウールでも、ロンTの素材とは異なる最適解を追求した。

Logo Tenugui ¥2640
音楽系の人気グラフィックデザイナーが、ブランドにアンビエントな雰囲気を受けて作ってくれたデザインをオン。ロゴには街と自然をボーダレスにつなぐという意味がある。サイズ:35×100cm。

Spare Pocket by PLATFORM 各¥17600
プラットフォルムのポーチを白とオレンジでカラー別注。一枚の生地から成るミニマム構造は驚くほど軽く、付けているのを忘れるほど。

付属の蓄光ホイッスルは単品購入も可能。¥1100
6月発売となる2ndコレクションを先行公開!
6月26日~28日に東京・世田谷の名店『山荘 飯島』 で行われるPOP-UPイベントで発売予定となる新作をいち早くお披露目! クリエイティビティを徹底的につめこんだ、厳選されたNEWアイテムにご注目を!

PRIMALOFT ACTIVE T-shirt ¥18700
「夏はこれ1枚で抜群に重宝する」とデザイナー2人も太鼓判“PRIMALOFT® ACTIVEEVOLVE 75/m”を使用したTee。汗も吸うし、すぐ乾くし、風抜けもよく何も着ていない感覚。

PRIMALOFT ACTIVE N/S ¥16500
左のTシャツに加えて、ベストも製作。夏場のノースリーブ使いや、テント場での保温着としてミッドレイヤード使いもできる。「中に右頁のロンTを着て、上からベストを着るのがおすすめ」。

COOLDOTS Shorts ¥26400
右のロングパンツと同仕様となるショーツ。入れたモノが落ちないよう、ポケットはジップ付きに。右のヒップポケットにはスマホがぴったり収まる内ポケットがあり、内部でのバタつきを抑制。

COOLDOTS Pants ¥30800
特殊な織構造によって素材全体に細かな格子状の通気孔を形成するCOOLDOTS®を素材に採用。優れた通気性・吸汗速乾性を兼ね備え、夏山でもベタつくことがなく、風が抜けるのがわかるほど。
【INFORMATION】来る6月26日~28日は世田谷・山荘 飯島へ!
今年1月23日~25日まで『山荘 飯島』で開催し大盛況となったP.P.C.E.販売会。待望の2ndコレクションお披露目の場となるPOP-UPがこの夏に再び開催決定! 当日はデザイナー2人も店頭に立つので、直接ウエアについて解説してもらったり、山の話をしたりと、新作を購入できる以外にも貴重な機会となるはず。
P.P.C.E.は現状、実店舗や取扱店を持っていないからこそ、このイベントは絶対見逃せない! 6月26日~28日はスケジュール表を今から抑えておこう。
POP-UP STORE@山荘 飯島
住所:東京都世田谷区船橋5-20-14 パル千歳1C
日程:6月26日(金)~28日(日)
Instagram@sanso_iijima
Photo/Shouta Kikuchi Report & Text/Naoto Matsumura
(問)P.P.C.E. producttwelve.shop/pages/ppce Instagram@p_p_c_e_












