【ブランドピックアップ〜goyemon〜】日本に昔からあるモノや文化を、最新技術でリデザインする。

作成

“日本の伝統×最新技術”により誕生した雪駄×スニーカーに衝撃を受け、そのブランドであり、プロダクトデザインユニットである「ゴヱモン」の元を訪問。代表作のundaや新プロダクトに迫った。

Table Of Contents : 目次

〝日本の伝統×最新技術〞をコンセプトに掲げ、2018年に始動。

 このページに写るゴヱモンの雪駄×スニーカーは、読者や感度の高いファッションフリークなら一度は目にしたことがあるのでは。弊誌ゴーアウトでも登場しているし、なにせ昨年の5月末売り号では、セレクトショップとのコラボ作を表紙に使用させていただいたので、そこで知った読者も多いかもしれません。

「unda」は“Makuake Of The Year”や“JIDA Design Museum Selection”などを受賞。

ゴヱモンは〝日本の伝統×最新技術〞をコンセプトに掲げ、2018年に始動。第一作目として登場したこの雪駄×スニーカー「unda」は、国内最大級のクラウドファンディングサービスMakuakeにてリリース。1週間で2000万円を超える支援を集めて、Makuake Award 2019ではGOLD賞を受賞した。独創的なデザインは言わずもがな、エアーソールの履き心地や、雪駄特有の左右のない造りにより、交換して履くことでソールの減りが軽減できるギミックなど、とにかく語りどころの多い素晴らしい逸品だ。コラボレーションの依頼が続々と舞い込んでいるなか、今年7月頃には「unda」の耐水タイプであるEVA(イーブイエー)が発売されるから、さらに注目度を増していくだろう(後ろのページでいろいろ紹介しています)。

1980年代のカセットコンポをBluetoothスピーカーとして使用。些細なこだわりにゴヱモンらしさを感じる。

ここで、ゴヱモンがサンダルブランドでもファッションブランドでもないということを明言しておかなければならない。そもそも第二作目には切子×ダブルウォールのグラス「Fuwan」を発表しているし、今後は包丁や提灯のリリースを予定。

ジブンたちで施工・デザインした事務所内には、名作チェアのリプロダクトや、ヴァンムーフの自転車が並ぶ。

ブランドは、都立工芸高校の同級生だった若き才能の二人、大西藍さんと武内賢太さんが立ち上げたプロダクトデザインユニットでもある。なんと取材をさせてもらった事務所でさえ、ジブンたちでデザインも施工も行なっているというから驚いた(中には家具まで)。「なんでも0から作るのが好きで、写真やムービー、ホームページの作成とかもジブンたちでやっています」と2人は言う。

クリエイティブディレクターの大西藍さん(左)と、コンセプターの武内賢太さん(右奥)。最近、同じ工芸高校卒の新しいメンバーも加わり(右手前)、それぞれが共通して何らかのスペシャリストというから面白い。

今はチームが5人に増え、やれることもさらに広がっている様子。「家電製品を作ったりもしてみたい」と話してくれたが、依頼を受けて石垣島や、愛知にリトリート施設を作っていたり、驚きの素材で包丁を作ったりしている積極性を知ると、それも決して遠い未来じゃないように思えてくる。

事務所にはゲレンデヴァーゲンやクロモリフレームの自転車など、伝統的なデザインのものが多い。

クルマや自転車、ボールペン、カメラまでデザインしてきたイタリアのデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロに
も彼の色があったように、すべてにおいて〝日本の伝統×最新技術〞を取り入れるゴヱモンのアプローチから、次世代のトップデザイナーの資質を感じずにはいられない。モノ、空間、WEB製作まで、文化を重んじつつもジャンルを問わず新しいものを創り上げていくこの才能たちは、なんとまだ20代だという。まずは「unda」を手にし、今から彼らを応援しておいて絶対に損はないだろう。

ブランドを盛り上げていったコラボ作のアーカイブを紹介。

これまでにリリースした数々のコラボ作を拝見。鼻緒やフットベッドがどれほど変化しても、雪駄とスニーカーがクロスオーバーした唯一無二なデザインはひと目でゴヱモンの「unda」と理解できるから流石である。

右最上段からB’2ndとの共作。鼻緒をレザーにアレンジ。次にマナスタッシュとの共作、ヘンプ×オーガニックコットンをフットベッドに。次はスノーピークとの共作、鼻緒はウエアにも使用しているオーガニックコットンの生地。蛇皮の鼻緒はショットとの共作、パイソンレザーがまさしく。次はエディフィスとの共作、一見シンプルだが、ミッドソールはオールクリアに。一番下はジャーナルスタンダードレリュームとの共作、カーキのパナマメッシュ天板を採用。左隣はファーストハンドとの共作、明るい色合いが特徴的。黄色の鼻緒はユニクロ浅草のオープン記念で展示用として作った非売品。中央のデンハムとの共作ではデニムを使用。

グラス、包丁、店舗設計など幅広いプロダクトデザイン。

工芸の学校を卒業し、デザインの道をひた走ってきたプロダクトデザインユニットだけあって、そのアウトプットはアパレルの域を遥かに超える。切子×ダブルウォールや、空間デザインまで、その一部をご紹介しよう。

事務所兼アトリエの施工・デザインもジブンたちで行う。

前述のインタビューページで掲載していた事務所は、ほぼ外注せずに、すべてジブンたちでつくったとのこと。ショールームとしている右側空間はデザインの良い家具や什器があり、ポップアップスペースやスタジオ貸しも行なっている。●東京都渋谷区東1-1-36 B1F

日本の伝統を重んじた一風変わった包丁も製作中。

こちらはまだ情報非公開ながら、ねだりにねだって、写真をチラリと掲載させてもらえることになった包丁である。意外な素材でできていて、あっと驚く機能美がたくさん詰まっている。クラウドファウンディングサイトMakuakeで今年中には始動予定とのこと。

電子レンジにも対応する“次世代切子”。

Fuwan 2個セット¥13200

「unda」の次に発表された「Fuwan」は、切子にダブルウォールを組み合わせ、切子グラスの美しさと機能を兼ね揃えた逸品。「unda」と同様Makuakeでリリースし、注目を集めた。電子レンジ対応で、素手で持っても熱くなく、結露しにくいうえ、保温・保冷で長時間安定。180mL、耐熱温度差120℃。カラバリも豊富。

琉球造りの平家を改装した一棟貸し宿。

沖縄県石垣島に昨年オープンした一棟貸しの宿も、ゴヱモンがプロデュースしたもの。宿にこもって文化を楽しめ
るよう、琉球作りの平屋建ての屋根や壁など、古き良き部分を残しつつ、沖縄の伝統文化“泥染め”をテーマに再構築。まさにゴヱモンらしい、アプローチとなっている。現在予約も受付中。Instagram:@deigo_ishigaki

温泉旅館をアップデートしたリトリート施設も今秋誕生予定。

琉球の一棟貸し宿に続いて、今は愛知県蒲郡にある旅館の元大浴場部分を改装してカフェにするプロジェクトが進行中。最大の特徴は、視界いっぱいに広がる太平洋の絶景を見ながらお風呂に浸かっているように足湯をしながらカフェを楽しむことができるところ。宿泊も可能で、オープンは今秋を目指している。

今年こそ手にしてほしい!! undaの定番&コラボモデル。

これからも面白いアイテムが発表されそうなゴヱモンだけど、やっぱりそれらは「unda」を手にしてからチェックしたいところ。耐久性がアップしたTOUGH、7月にはEVAも発売予定なので、新モデルも見逃すべからず!!

unda ¥19250

ブランドの代表作である雪駄×スニーカー。低反発クッションで、PU&エアーソールのミッドソールにより履き心地バツグン。足指の締め付けがなく、通気性に優れているため足指が蒸れず、気持ちいい。

unda TOUGH ¥22000

「unda」をベースに、アウトドアシーンでも履くことができるようにナイロン100%の糸で編み込まれた独自開発の生地を採用。耐久性もさることながら適度な凹凸感でフィッティング性も向上した。

unda EVA(イーブイエー) ¥11550

シリーズ初となる、高い耐水性を誇るモデルが登場。「unda」の生地の凹凸感や、左右対称などの粋な履き方は継承しつつ、約50%も軽量化。履き心地も病みつきになるほどに心地よい。7月発売予定。

(左)Peace and After unda ¥23100、EDIFICE unda TSUKI 2.0 TOUGH Black ¥23100

左はストリートカルチャーを軸に古今東西の異なる歴史・文化をミックスするファッションブランド、「ピースアンドアフター」との第2弾コラボ。シックな色味ながらも、柄モノの鼻緒が新鮮。発売未定。右はエディフィス別注で生まれたTSUKIシリーズの今季作。ナイロン100%で編み込まれた耐久性の高いフットベッドを採用。何より定番モデルの風合いを尊重したデザインがグッド。6月発売予定。

(左)JOURNAL STANDARD relume unda HEICHA ¥22000、White Mountaineering unda ¥35200

毎回人気のレリューム別注作は、インラインのブラックソール・鼻緒をベースに、ブラウンのパナマメッシュ天板を用いているのが最大の個性。伝統にリゾート感も兼ね備えた面持ちにやられてしまう。右のホワイトマウンテニアリングオリジナルの伝統的な寄木柄を立体的に再現したジャガード生地を採用。インラインとはまた異なる“和”を感じることができる1足に。もちろん履き心地も申し分なし。

Photo/Shouta Kikuchi Report & Text/Naoto Matsumura


(問)ニューベーシック www.goyemon.tokyo instagram:@goyemon_japan

Tags
GO OUT編集部
作成