スバル・クロストレック世界初公開!広角単眼カメラを追加した最新アイサイトを採用。

作成

スバルといえばボクサーエンジン……というファンも多いだろうが、近年では「アイサイト」に代表される先進運転支援システムやクロスオーバーSUVラインナップの充実したブランドというイメージも強い。

そんなスバルSUVの末弟といえる「XV」が、グローバルネームの「クロストレック」に変わって一新された。これまでのXVはインプレッサのバリエーションといった印象もあったが、新生クロストレックはインプレッサに先行してデビュー! 日本仕様は、全グレードが2.0Lマイルドハイブリッドのe-BOXERパワートレインを採用する。

225/55R18サイズのタイヤを履く上級グレード。ボディカラーはオアシスブルー。
Table Of Contents : 目次

日本仕様でのワールドプレミア、発売は2023年春

スバルがニューモデル「クロストレック」を世界初公開した。

これまで北米での人気モデルとして知られていたクロストレックだが、ワールドプレミアされた車両は右ハンドルの日本仕様となっている。言うまでもなく、北米のクロストレックは日本のXVであり、クロストレックの発表は実質的にはグローバルネームを統一するという意思表示と捉えることができる。

18インチアルミホイールを装備する上級グレード。ボディカラーはオアシスブルー。
エントリーグレードは225/60R17サイズのタイヤを履く。ボディカラーはオフショアブルー・メタリック。

実際、新生クロストレックの姿は、日本でいうところのXVの正常進化版といえるもの。今回、新色として用意されたイメージカラーは鮮やかな「オアシスブルー」と、深みのある「オフショアブルー・メタリック」となっているが、どちらもこれまでXVが持っていたカジュアルで軽快なイメージに通じるものとなっている。初代XVから数えて3代目となる伝統を受け継いだニューモデルといえる。

見たところ、非常に完成度が高いためすぐに販売開始になることを期待したくなるが、発売時期については「2023年春」とアナウンスされた。

北米で人気の「クロストレック」。名前の由来は?

あらためて「クロストレック」という車名だが、「クロスオーバー+トレッキング」に由来するということが公式発表されている。

新型クロストレックの、シャープでダイナミックなスタイリングは、まさに名は体を表すといったところだろう。とくに新型クロストレックでは、フロントグリルやフロントバンパーの樹脂製ガーニーフラップ、リヤコンビランプといったところに嵌合(かしめ)のような立体感を表現しているのが特徴。デザイン的にも、トレッキングギアとクルマのクロスオーバーといった表現ができそうだ。

樹脂パーツやフロントグリルをボディに嵌合したような表現はユニーク。ヘッドライトウォッシャーも備わっているようだ。
テールレンズもボディにかしめ込んだような意匠。統一感のあるディテールとなっている。

外観においても、フロントバンパーやホイールアーチ部分のクラッディングなど大きな樹脂パーツを配しているのは、イメージを受け継ぐポイント。さらに注目したいのは、フロント・ホイールアーチのクラッディングにエア・アウトレットが設けられている点で、これはスポーツフラッグシップモデル「WRX S4」譲りのは操安性に寄与する機能アイテムとなっている。

また、上級グレードに装着される18インチ・アルミホイールの意匠はXVからの伝統を受け継ぎつつ、ブラッシュアップさせたことが直感的に見て取れる。

ボディは進化。パワートレインはキャリーオーバー

そうしたオフロードでのアクティビティを期待させる要素のひとつが、ボディサイズにある。フルモデルチェンジというと、ボディが大きくなってしまうことが多いが新型クロストレックの全長・全幅・全高は次のようになっている。

上級グレードのフロントマスク。
上級グレードのサイドビュー。
上級グレードのリヤビュー。

新型クロストレック・プロトタイプ ボディサイズ
全長:4480mm(4485)
全幅:1800mm(1800)
全高:1580mm(1595)
※ルーフレール・シャークフィンアンテナなしの場合は1550mm
ホイールベース:2670mm(2670)

()内は現行XVの数値だがわずかながら全長が短くなっていることがわかるだろう。より扱いやすいサイズ感になっていることが期待できる。

ボディサイズが近く、ホイールベースまで同じ数値となれば基本的なプラットフォームはそのまま使われていることも容易に想像できるだろう。実際、新型クロストレックも基本となるのは現行インプレッサから採用された「スバルグローバルプラットフォーム」だ。ただし、レヴォーグやWRX S4と同じフルインナーフレーム構造の採用や構造用接着剤の適用拡大、サスペンション取り付け部の剛性アップなど最新の知見が盛り込まれている進化版となっている。

新型クロストレックのパワートレインは、2.0Lのe-BOXER(マイルドハイブリッド)だけになる模様だ。

パワートレインについてはスバルが「e-BOXER」と呼ぶ2.0L直噴エンジンのマイルドハイブリッドを搭載している。現行XVには1.6Lのガソリンエンジンもラインナップしているが、新型クロストレックはe-BOXERだけの設定となる模様だ。駆動方式はAWD(常時四輪駆動)となり、スバルSUVではお約束の電子制御「X-MODE」も搭載される。

そのほか走りに関わる部分では、ステアリングギアボックスが2ピニオン電動パワータイプかつVGR(可変ギヤレシオ)となり、ドライバーの操作に対するリニアリティを高めているのも見逃せない。

ステアリングホイールの基本デザインは従来通りで、スバリストには見慣れたものだが、メカニズムは進化している。

フロントシートは完全新設計。エンタメ系は上級車ゆずり

インテリアでは、フロントシートに注目したい。発表によれば「仙骨を押さえて、骨盤を支える新しいシート構造」をスバルとして初採用したという。現行レヴォーグあたりからスバルのシート作りは一段階レベルアップした印象もあるが、さらに心地よい乗り味が期待できる。合わせて、シートレールを直接車体に固定する構造に変更したことも、乗り心地の質を上げているということだ。

フロントシートはシート自体の設計を見直すと共に、取り付け方法も改良している。
リヤシートは3人掛け。60:40分割可倒式で、荷物量に応じたアレンジでも使いやすい。

そのほか、ルーフパネルの部分に高減衰マスチック(弾性接着剤)を用いることで、共振を抑え、音の収束性を向上させているというのも、車内の快適性に寄与する改良ポイントだ。

インテリアで目立っているのが、インパネ中央の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイだ。縦型の大きな液晶パネルは、レヴォーグなどの上級モデルではお馴染みのアイテムで、クロストレックも同じサイズを採用してきたというのは、うれしいポイントだ。

タブレットのようにアイコンが並んだホーム画面は、最近のスバル車ではおなじみ。画面サイズは11.6インチだ。
日本仕様のスバル車としては初めて「デジタルマルチビューモニター」を採用する。

さらにスマートフォンとの連携機能を強化した最新版で、シームレスな操作感となっているのもポイント。複数のカメラ映像を組み合わせた「デジタルマルチビューモニター」も上級グレードに備わる機能で、大きな画面だからこその見やすさもある。意外にも、マルチビューモニターは国内のスバル車としては初採用なのだという。

3つ目仕様になった新しいアイサイトを採用する

スバルのコアテクノロジーである先進運転支援システム「アイサイト」も大きく進化している。

こちらも日本仕様としては初採用となる3つのカメラで前方を認識するようになっている。といっても3眼タイプというわけではなく、レヴォーグなどで採用している最新世代のステレオカメラ(フロントウインドウ設置型)に、広角の単眼カメラをプラスしたという3つ目仕様だ。

最新世代のステレオカメラに、広角単眼カメラを組み合わせた3つ目仕様。

ステレオカメラの左右視差を利用して対象物までの距離を測り、衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロールの制御に用いているのは従来通りで、広角単眼カメラは二輪車や歩行者の飛び出しなどを検知することが目的と、カメラの特性に合わせて使い分けている。これにより低速でのプリクラッシュセーフティ性能を拡大することができたという。

夜間の視認性を向上させるフルLEDのハイ&ローランプ+コーナリングランプも上級グレードに設定。LEDコーナリングはスバル車として初採用となる。あわせて上級グレードではウインカーもLEDとなっているなど、差別化された仕様となっている。

なお、現時点ではグレード構成や価格帯、燃費性能などの詳細情報は公開されていない。正式発表となる2023年春に向けて、徐々に明らかとなっていくであろう新型クロストレックの情報が楽しみだ。

上級グレードにはガラスサンルーフが設定されるようだ。オプションなのか、標準装備なのか現時点では不明。
SUBARUクロストレック上級グレード(プロトタイプ参考値)
全長×全幅×全高:44805×1800×1580mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1620kg
排気量:2.0L
エンジン:水平対向4気筒DOHCガソリン直噴
駆動方式:AWD
トランスミッション:CVT
タイヤサイズ:225/55R18
乗車定員:5名

REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:/中野幸次(NAKANO Koji)

その他クルマに関する記事なら、姉妹サイト「モーターファン」をチェック!!

関連記事

Tags
GO OUT編集部
作成