山と日常の距離を縮めてくれる店。練馬のアウトドアセレクトショップ「sokit」に訪問。

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sokitの長島さん

西武池袋線や都営大江戸線からアクセスしやすい練馬エリアに店を構える「sokit(ソキット)」は、国内外のアウトドアブランドと、日常の延長で使いたくなる道具が並ぶセレクトショップだ。

創業は2012年3月20日。最初は5坪ほどの小さな店からスタートし、創業から14年目を迎えるなかで、2025年2月、新店舗へ移転したばかり。以前より余白のある空間になり、ブランドのポップアップ展示もできる店へと少しずつ進化している。

今回は、そんなsokitに足を運び、長く続く店の軸と移転後の変化、そして今の店頭でイチオシのアイテムについて話を聞いてきた。

Table Of Contents : 目次

創業から14年目。山好きの視点と、店としての視点が少しずつ重なってきた。

sokitの長島さん
14年、一人で店を続けてきたオーナー・長島さん。山との付き合い方の変化も、店の視点に反映されている。

sokitは、開業から間もなく14年。オーナーの長島さんは、これまでずっと一人で店を続けてきたという。社会人になって登山を始め、当時は友人たちと日本百名山を中心に登っていたそうだ。

いまは、以前のような“挑戦する山歩き”一辺倒ではなく、ライフスタイルの変化とともに山との距離感も少しずつ変わってきた。大型連休にテント・山小屋泊で山行することはあっても、普段はもっと身近な自然に目を向けることが増えたという。

sokit看板

そんな変化もあって、単に自分が好きなものを並べるだけでなく、「自然の楽しさや、外に出るきっかけをどう伝えていくか」という視点が、店を続けるなかで以前より強くなってきたそうだ。山好きとしての感覚と、オーナーとしての責任感が、少しずつ重なってきた14年ともいえる。

練馬という立地は、“山へ向かう途中にある街”。

sokitの店内
移転したばかりの新店舗。以前より余白が生まれ、ポップアップや展示もしやすくなった。

店を始める前は、アパレル関連の輸入卸会社に勤務。独立するなら、自分が本当に好きなジャンルで店をやりたいと考えたことが、アウトドアセレクトショップとしての開業につながった。

sokitの店内
内装は建築士にデザインと施工を依頼。八ヶ岳の麓で採れた木材による一枚板や、ゴロタ石を使って“山の店”らしい空気感を表現してもらったという。

練馬という場所に特別な縁があったわけではないが、実家も近く、電車なら秩父方面、車なら関越方面へ抜けやすいうえ、都内からのアクセスも悪くなく、“山へ向かう途中にある街”として見たときに、ちょうどよかったのだという。

sokitの試着室
木の温もりが感じられる、広々とした試着室も完備。

実際に店を始めてみると、想像以上にいろいろな場所から人が来るようになったそうだ。「この店があるから来る」という来店も増えていった。SNSが広まり、実物を見に来る人の期待が高まったこともあって、旧店舗では手狭になり、今回の移転へとつながっていく。

大手にはないもの、でも日常にもなじむもの。セレクトの軸は変わらない。

sokitの店内
大型店ではなかなか見かけないブランドや道具との出会いも、sokitの楽しさのひとつ。

sokitが大事にしているのは、「個性やユニークさ、こだわりのあるブランド」であること。そして、大型店ではなかなか見かけないものを、自分の視点で見つけて紹介することだ。

sokitの店内

服が好きということもあり、開業当初から「山で使えて、なおかつ日常にもなじむもの」を意識してきたという。初期は今よりライフスタイル寄りのセレクトも多かったが、ここ数年で店の輪郭は少しずつ山寄りになってきたそうだ。

sokitの長島さん

それでも、「セレクトショップとして、まだ知られていないブランドを紹介したい」という軸は今も変わっていない。

だからこそ、sokitにはいわゆる“売れ筋”だけではなく、見たことのないギアや、使い方まで含めて気になる道具が並ぶ。大きな店にはない、小さな発見を楽しめる。店に入った瞬間から、これまで知らなかったブランドやアイテムが目に飛び込んでくるのがこの店の魅力だ。

いま気になるのは、台湾発「URSUS」のアルファ系ウェア。

sokitにあるURSUSのウェア
台湾発『URSUS』のアルファ系ウェア。素材使いとギミックに、今のsokitらしさが出ている。

【ULSUS】(左)Rover 1/2 Zip Hoodie ¥23100 , (右)Bear Vest ¥16940

いま長島さんのイチオシが、台湾の若いカップルが手がけるブランド「URSUS(ウルサス)」。Alpha DirectやOctaといった素材を組み合わせながら、見た目にも工夫のあるウエアを展開している。

日本ではまだ広く知られているとは言いがたいが、色味やギミックの面白さもあって、つい手に取りたくなるブランドだ。

sokitにあるURSUSのウェア

たとえば、AlphaとOctaを切り替えて使ったウエアは、ただ軽く暖かいだけではない。

Octaファブリックをフード、肩、袖部分に使用することで、ウェアの耐久性とパフォーマンスを向上。サムホールも備えていたりと、通年活躍するウエアに仕上がっている。

また、スナップボタン式のカーディガン・ベストは、前から羽織って上部のボタンをとめればバックパックを背負ったまま着脱しやすい。

経験に基づいて、使う場面まできちんと想定されたアイテムで、sokitが日本での卸も担っているという点も含めて、今の店を象徴するブランドのひとつだ。

異素材MIXと拡張性・機能性が魅力の香港発「TA(R)PMENT」。

sokitにあるTA(R)PMENTのBIRD Sacoche “HOUR”(4L)
香港発「TA(R)PMENT(タープメント)」のサコッシュ。拡張性の高さと街でも使いやすいバランスが面白い。カラバリも豊富だ。

【TAR(P)MENT】BIRD Sacoche “HOUR”(4L) X-pac ¥14300 , BIRD Sacoche “HOUR”(4L) DCF ¥16500

バッグまわりで気になったのは「TA(R)PMENT(タープメント)」。香港・中国を拠点にするブランドで、ひとつで複数の役割を持つアイテムや、拡張性・素材使いが特徴的なブランドだ。

sokitにあるTA(R)PMENTのBIRD Sacoche “HOUR”(4L)
単体でもミニサコッシュとして使える前面のポケット。

そのなかでもBIRD Sacoche “HOUR”(4L)は、そのギミックに惹かれるアイテムだ。4Lの本体正面についているポケット、実はスナップボタンで取り外すことができ、さらにストラップが付属しているので、これ単体でもミニサコッシュとして使えるのだ。

メインの生地は、X-PACとDCFの2種展開。それぞれに、反射素材やスピンネーカーなど複数の高機能素材を組み合わせていたり、別売のパーツを追加して使い方を変えられたりと、ひと工夫があるのも特徴。自転車での移動や日常使いにもフィットするデザインで、“山のためだけじゃない”というsokitのセレクト軸ともよく重なる。

sokitにあるTA(R)PMENTのBIRD Sacoche “HOUR”(4L)

【TAR(P)MENT】UL STRAPS Pro ¥3520 , UL STRAPS Pro DCF ¥4180

また、新作のカメラストラップも見逃せない。カメラ用としてはもちろん、普段使いのポーチ類をアップグレードするストラップとしても使えるアイテムで、先に紹介したBIRD Sacocheにも取り付けられる。

最先端のテクニカルファブリックを使いながら、かさばらず高い強度を備えているのが特徴だ。長さは最大135cmまで調整できるので、体格や持ち方に合わせて柔軟に使える。

こちらも素材は2タイプ。ひとつは、DCFを使ったモデルで、驚くほど軽く、それでいて高い強度と防水性を備える仕様。できるだけ軽さを重視したい人には、かなり魅力的な選択肢だ。もうひとつはスピンネーカーファブリックを使ったモデルで、豊富なカラバリ、素材の表情も含めてTA(R)PMENTらしいテクニカルな雰囲気が楽しめる。

4.5gの歯ブラシとケースにも惹かれる。

sokitにある「こだま屋」の4.5g歯ブラシ
sokitロゴのプリントされた純正ケースはDCF製。

【Kodamaya】Feather Brush ¥680 , Brush Pack ¥2800

小物でおもしろかったのが、愛知の「Kodamaya」がつくる3.4gの歯ブラシと、収納ケース。極力無駄を削ぎ落としたミニマルな歯ブラシ、一見持ちにくそうだが、実は持ち手側に凹凸がありブラシカバーを取り付けることで、持ちにくさを克服している。

sokitにある「こだま屋」の4.5g歯ブラシ

ブラシカバーをなくしてしまうあるあるも防ぐという、副次的な効果もあるこのギミック、まさに山にうってつけのアイテム。sokitのロゴが入った別注仕様の専用DCF製収納ケースも、思わず手に取ってしまう。

変えたいのは、時間の使い方。変えたくないのは、セレクトショップであること。

sokitの長島さん

今回の移転理由のひとつには、「一人でできることの限界が何年も続いていた」という事情があった。今後は新しくスタッフを迎えながら、自分ひとりでは手が回らなかったことにも少しずつ取り組んでいきたいという。

ただ、それは単純に作業を分担するという話だけではない。新しく一緒に働く人が得意としていることや、やってみたいと思っていることを店に持ち込むことで、これまでsokitではできなかった見せ方や企画にも広がっていけたらと考えているそうだ。

sokitにあるTA(R)PMENTのBIRD Sacoche

そのうえで、今後は山に入る回数を増やし、その経験をもとにオリジナル製品の企画にもつなげていきたいという思いもある。

ただし、そうした広がりが増えても、外のブランドや道具を見つけて紹介する“セレクトショップ”としての軸は見失いたくない。新しいことに挑戦しながらも、sokitらしさの中心には、これからも「選ぶ店」であることがあり続けるのだと思う。

帰りに寄るなら、「アジ好きですか?」でアジフライを。

「アジ好きですか?
」のアジフライ定食
近隣のおすすめ「アジ好きですか?」。ふっくら仕上がったアジフライが人気。

最後に、この辺でおすすめの飲食店を聞くと、いくつか名前があがった。その中で今回訪れたのは、「アジ好きですか?」。テレビでも取り上げられることのあるアジフライの店だ。

オーダーしたのはアジフライ定食。衣は軽くサクサクで、身はふっくら。味噌汁にもアジが使われていて、旨味たっぷりでたまらない。意外と大きな駅である練馬駅周辺には、「アジ好きですか?」をはじめとしたローカルグルメも多く、飽きのこない街という印象だった。

練馬で、知らなかったブランドに出会える店。

sokitの長島さん

大きな店舗ではないし、メガブランドのアイテムが揃っているわけではない。だからこそ、知らなかったブランドや、実物を見る機会の少ない道具と出会える。移転を機に少しだけ見せ方を変えながらも、“セレクトショップ”という軸をブラさないそのスタイルに注目したい。

sokitには、山も日常もつなげたい、そんな気分にちょうどいいシームレスなアイテムが並んでいる。

◼︎sokit(ソキット)
住所:東京都練馬区練馬1丁目34−12
Open:12:00〜18:00(金・土・日)
Online Shop
sokit.jp
Instagram
@sokit.jp

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Yuhei Tokimatsu
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