お気に入りのシューズをいつまでも履くために。Vibram 認定工場にリソールを依頼してみた!

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お気に入りのシューズをいつまでも履くために。Vibram 認定工場にリソールを依頼してみた!

気に入ったシューズはいつまでも履きたいけれど、ソールには寿命があるのが悩みですよね。でも様々な交換用ソールを展開しているヴィブラムなら、ソールを貼り替えて寿命を伸ばすことができるんです!

というわけで、日本に2軒しかないヴィブラム認定工場のひとつ、ナカダ商会さんを訪問してみました。

アクタガワタカトシ
GO OUT本誌にて連載企画『LBOT』を執筆中のアウトドアが専門のクリエイティブ・ディレクター。様々なメーカーのディレクションに加わるほか、自他ともに認めるスニーカーフリークでもあり、ヴィンテージスニーカーの蒐集家としても知られる。

今回伺ったのは、2020年に日本で最初のヴィブラム認定工場となった埼玉にある「ナカダ商会」さん。クライミングシューズやスポーツシューズなどの比較的テクニカルなシューズを得意としていて、その技術力の高さは折り紙つき。

靴修理大好き工房・株式会社ナカダ商会
埼玉県川口市峯81
tel:048-296-3073
www.shoes-doctor.com

もちろんネットや電話で依頼することもできますが、今回は直接持ち込んで相談に乗っていただくと同時に、工場内も見学させていただきました。

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持ち込んだのは、思い入れが強すぎるブーツとスニーカー。

今回修理を依頼するために持参したのは長年履いていたブーツとスニーカーの2足です。ひとつは2000年頃に個人輸入で購入したラッセルモカシンの名作「ノックアバウト」。

あまりの履きやすさに一時期は毎日履いていたため、ソールは丸坊主になっており、履かなくなって20年近くになりますが、アッパーのコンディションは悪くないので、そのうちリソールしようと思いながらも放置してしまっていた一足。

そしてもう一足は高校生の時に原宿のオッシュマンズで購入したオリジナルのニューバランス「995」。レアなアルゼンチン製で、僕がはじめて買ったニューバランスでもあります。

こちらはもともとアウトソールがヴィブラム製のもので、アウトソールはまだそれなりに残っているのですが、ポリウレタンのミッドソールが加水分解してしまい、触るのもはばかられるくらいボロボロ。受付のテーブルをだいぶ汚してしまいました……。こちらも20年以上履いていませんが、何とかなるのでしょうか。

シューズの健康診断と、ソール選び。

代表の中田さんに様々なソールを見せていただき、どんな雰囲気に仕立てるかを検討。

ヴィブラムでは射出成型のカップソールなども交換用に揃えており、雰囲気を大胆に変えてしまうことも可能なのですが、今回はオリジナルのイメージに近いダイカットタイプのソールを選び、元のイメージを崩さずに性能や履き心地を向上させる方向でお願いすることにしました。

そして今回選んだソールがこちらの2種類。

ラッセルの方(写真左)は軽くてクッションの良いスポンジソールを選び、底板とミッドソールも交換していただくことに。元のソールより柔らかいものになりますが、アッパーがそれなりにくたびれてきているので、丁度良い塩梅になるのでないかと考えました。

ニューバランスの方(写真右)は、オリジナルのソールにもっともイメージの近いデザインのアウトソールを選択。崩壊しているミッドソールは、似たような色のEVAシートで作り変えてもらいます。

後からうかがった話によると、このソールも元々はニューバランスのために製作したものだろうとのこと。995にはまさにピッタリじゃないですか!どんな風に仕上がるのかとても楽しみです。

ニューバランスの方は状態が状態なだけに、ちょっと大変そう……。ジブンなりのこだわりもあってワガママを言いましたが、親身になって相談に乗ってもらえました。

工場見学でわかったこと。

ソール選びが一段落したあたりでちょうどお昼休みが終わり、職人さんたちが作業を始めた様子だったので、特別に工場内を見学させていただきました。

その歴史を物語るように年季の入った機械が所狭しと並んでいますが、修理されているシューズは最近のものが多い様子。

こちらは一般の修理依頼品以外にも、誰もが知っているような数々の有名メーカーからの修理依頼を請け負っているそうで、特に絶対的な信頼性が求められる登山靴やクライミングシューズが数多くあったのが印象的でした。

毎月900足前後のシューズを修理しているとのことで、工房というよりはまさに工場。数多くの修理をこなしながらも高いクオリティを保っていることが、様々なメーカーから信頼を寄せられる理由なのでしょう。

代表の中田さんはこちらの工場の3代目。もともと昭和30年代にサンダル工場としてお祖父様が創業したそうで、その後シューズの生産もしていた時期を経て、現在は修理専門の工場として運営されています。創業65年を迎えるという老舗中の老舗です。

その歴史を物語るように、工場内や併設された倉庫には様々なソールや木型がびっしり。その全貌は中田さん自身ですらつかめていないのだとか。そして2020年からはヴィブラムの認定工場として稼働しており、もちろんイタリア本社のサイトにも公式リペアサービス拠点として掲載されています。

現在日本には2軒のヴィブラム認定工場がありますが、もう一社はタウンユースを専門としているそうで、スポーツシューズのリソールに関してはナカダ商会さんがベストチョイスのようです。厳しい審査をくぐり抜けたことを証明するように、受け付けの横の壁には認定証が堂々と掲げられていました。これこそ信頼の証です。

リソールというかリボーン! 生まれ変わったシューズとご対面。

そして後日……。ヴィブラムジャパンにて、生まれ変わった2足と対面することができました。リソールというよりは、まさにリボーンです。

まずはその仕上げの綺麗さにビックリ。シューズのリソールをしたのはこれが初めてではありませんが、間違いなく今まででナンバーワンの仕上がりです。

特にニューバランスの方は、ベージュ色のミッドソールを選んだこともあって、よくあるリソールしたスニーカーにありがちな違和感がまったくありません。あまりの自然さに思わず笑ってしまいました。

早速生まれ変わった2足に足を通してみましたが、もちろん履き心地にまったく問題はありません。アッパーのヘタリもあるので新品同様というわけにはいきませんが、修理前の履き心地とは雲泥の差です。アッパーをきれいに整えれば、まだまだ履けるなという印象でした。


みんながヴィブラムを選ぶ理由。

当日は、たまたまイタリアのヴィブラム本社からオーナーの子息が来社しており、ご挨拶することが出来ました。ヴィブラムはこれだけ世界的に有名な企業に成長したにも関わらず、いまだにファミリー企業なのだそうです。

だからこそ収益性にこだわらず、リペア事業のようなサステナブルで社会的に意義のある事業を行うことができるのでしょう。このニューバランスは35年前に購入したものだという話をしたら、「これであと35年履けるね」と仰ってましたが、いやいや人間の方がそこまで持ちません(笑)

またヴィブラムジャパンのショールームでは最新のソールテクノロジーを体感できるテスト機器が設置されており、こちらも体験させていただきましたが、ヴィブラム「メガグリップ」やヴィブラム「アークティックグリップ」といった最新のソールの効果は目を見張るものでした。

やはりソールに特化しているメーカーだけあり、なぜ多くのメーカーがヴィブラムを採用するのか、その理由が垣間見えました。

最後に。

今回リソールを依頼したニューバランスは、たまたま最初からヴィブラムを採用したモデルでしたが、実際はどんなソールをつかったシューズであってもヴィブラムで貼り替えることが可能です。

もう履かなくなったかつての愛用シューズや、加水分解で履けなくなってしまったシューズをリソールして、みなさんも第二の人生を歩んでみてはいかがでしょうか? 

この記事を通じて、リソールについて少し興味がわいた!という方は、ぜひ下記「REPAIR IF YOU CARE」のサイトも見てみてください。リソールの様子などが動画でチェックできますよ!


(問)ヴィブラムジャパン株式会社 infovjp@vibram.com

Photo/Takuma Utoo
Report & Text/Takatoshi Akutagawa

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GO OUT編集部
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