武蔵野エリアの老舗山屋で、お宝を掘ってみた。【甲斐さんぽ 〜東京名店巡り〜】

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武蔵野エリアの老舗山屋で、お宝を掘ってみた。【甲斐さんぽ 〜東京名店巡り〜】

服と山と酒を愛するオトナが、武蔵野でレアアイテム発見!?

GO OUT本誌でもお馴染み、バンブーシュートの甲斐さんが、毎回、様々なファッション業界人のゲストと共に、東京の名店を巡るショップツアー連載「甲斐さんぽ」。

2022年初となる第9回目のゲストは、ビームスのアウトドアマスター、梨本大介さん。そして今回の散歩の舞台は、中央線沿線の武蔵野エリア。梨本さんからの提案により決定した。

左/甲斐一彦(BAMBOO SHOOTSディレクター)バンブーシュートのディレクターとして活躍中。最近はサウナにハマり中。 右/梨本大介(BEAMSバイヤー)B印 ヨシダのディレクターを経て、ビームスのバイヤーとして活躍。アウトドア系のアイテムの企画も担う。

まずはJR武蔵境駅で待ち合わせ。都心から電車で向かうと吉祥寺駅の2駅先にあり、ほどよい自然と閑静な住宅街が広がる、西東京エリアの玄関口でもある。

梨本「おはようございます! 今日はよろしくお願いします」

甲斐「おはよー。ナッシー、なんで今回は武蔵境なの?」

梨本「僕のローカルなんですけど、いい街なんですよ〜」

甲斐「隣の三鷹駅はたまに来るけど、ここは初めてかも。どんなお店があるの?」

梨本「今回は老舗の山屋を案内しようと思います。中央線は奥多摩や高尾に繋がるから、昔から山屋が多いんですよ。大手アウトドアショップにはない、おもしろいモノが並んでいたりします」

甲斐「なるほどね。それは楽しみ。早速行ってみようか」

ということで、武蔵境駅からスタートする今回の散歩は、隣の三鷹駅付近まで玉川上水の遊歩道を往来するコース。ここでしか手に入らなそうなお宝アイテムを求め、昔ながらの老舗の山屋をハシゴする。

Table Of Contents : 目次

【SHOP1】山幸

東京都武蔵野市境1-2-28 山幸ビル2F tel:0422-38-9234  open:11:00〜19:00 水曜定休(祝日を除く) www.yamakoh1964.co.jp/shop.html

最初のショップ『山幸』は、武蔵境駅の北口を出て徒歩10秒。なんと駅の向かいのビルにある。こちらは1969年に創業した登山専門店で、3年ほど前に吉祥寺から移転してきたとか。

店内には大量のバッグとシューズが並んでいるが、どちらも熟練スタッフがフィッティングをサポートしてくれるため、失敗しないアイテムを選ぶことができるのが魅力。梨本さんは自宅が近所のため、親子で訪れることもあるとか。

甲斐「いきなり凄いね。かなり吟味された品揃えだし、歴史も感じる。こういうお店は本当に勉強になるよ」

梨本「訪れる度に新しい発見がありますね。特にバッグの品揃えは圧巻。シューズもおもしろいモデルが多いです」

そんななか、骨董品のようなコールマンのヴィンテージストーブを発見! 「いきなり、お宝を入手か?」と盛り上がる2人だけど、残念ながらこちらは非売品。

山幸 チロリアンシューズ ¥19250

梨本さんが、まず欲しいアイテムとして選んだのが、こちらのチロリアンシューズ。なんと山幸オリジナルモデルで、レザーシューズながら驚きのロープライスとなっている。

梨本「僕は革の登山靴が好きで、実際に履いて山に行くことも多いけど、チロリアンシューズは初めて見ました。コバのボリュームやステッチの入れ方にもこだわりを感じますね」

CHOUINARD アルミペグ 各¥280

甲斐さんは、カラフルなヴィンテージのペグを発見。なんと、こちらは80年代の消滅した伝説のアウトドアブランド、シュイナードの逸品。しかもデッドストックで残っている希少品。

甲斐「これは買いだね! でも勿体なくて使えないから、ショップのディスプレイ用にするよ。こういうギアが、当時の価格のまま普通に置いてあるのが凄い(笑)」

OPINEL ペティナイフ ¥1400

同じく小物コーナーで、梨本さんはオピネルの古いナイフを購入。こちらもデッドストックの状態でパッケージのまま売られていたが、スタッフさん曰く「ヴィンテージと呼べるほど古くはない」とのこと。

梨本「料理が好きで、キャンプ用にオピネルのナイフも何本か愛用しているんですよ。だからこれも使いたいなって。でも、このパッケージはレアだから開封したくないな〜」。

2人とも第一線で活躍するファッション業界人ながら、ここではウエアよりもギアに夢中になっている様子。

ガイロープ 2mm モデル¥35/1m、4mmモデル¥80/1m

そして甲斐さんは、各種ガイロープも購入。実用性重視のセレクトで、もはや本気の買い物となっている。

甲斐「他であまり見かけない配色なんだよね。今サンプルを作っているバッグに使おうかなって。なので、それぞれ10mずつ買わせてもらいます!」

老舗山屋ならではの個性的な品揃えを楽しんだ2人は、“おかわり”すべく、2軒目の山屋へ向かう。次のショップは隣の三鷹駅の近くだけど、もちろん電車は使わず徒歩移動。

そして、「せっかくの散歩なので」と、梨本さんがナビゲートしてくれたのは、視界が広い並木道や公園の遊歩道を通る開放的なルート。

【SHOP2】むさしの山荘 

東京都三鷹市上連雀1-1-5 tel:0422-56-1789   open:11:00〜19:00(平日)、11:00〜18:00(土)  日曜、祝日定休(不定休)※ブログに営業時間、定休日を掲載中  ameblo.jp/musasinosansou

ノンビリ歩いて20分ほどで到着したのが、三鷹駅から徒歩2分の場所にある『むさしの山荘』。こちらは創業1985年。ウール系アイテムの品揃えにて定評があり、オリジナルのウエアやバッグも展開している。

雑多にアイテムが並ぶ店内で、山積みになったウエアや小物をかき分けるようにして物色する2人。かなり緩いスタイルのため、常連さんが整理してくれることもあるとか。

梨本「こういうショップは今では珍しいですよね。自分で掘り出す感じがおもしろいし、ワクワクします」

むさしの山荘 ライトダウンベスト ¥11800

そんななか、甲斐さんはオリジナルのダウンベストに注目。国内の職人に直接発注することで高品質&ロープライスを実現しているとか。

甲斐「ちゃんと専用のスタッフサックも用意されていたりして、山で使うことを想定した作りになっているのがいいよね。こういうスタンスから学ぶことはいっぱいあるよ」。

そして梨本さんは、両手に収まるサイズのコンパクトな小物をピックアップ。どうやらこれもオリジナルのアイテムのようだけど……?

むさしの山荘 つま先ダウン ¥2500

梨本「これ、ソックスの上から足の指先にセットするダウンアイテムなんですよ。山で足先だけ温めたいときに重宝するけど、自宅で室内スリッパの中に入れて使うのもいいですよね」。

WOOLPOWER フルジップジャケット ¥9200

再びウエアをセレクトする甲斐さん。こちらはスウェーデンの老舗メーカー、ウールパワーのジップジャケット。メリノウールが使われた厚手のボディが魅力の一着。

甲斐「 昔、バンブーシュートでも扱っていたことがあるけど本当に高品質なんだよ。老舗の山屋らしい渋いセレクトだと思う。パッケージもいいよね」。

店長さんとローカルトークで盛り上がる梨本さん。こうした専門店は敷居が高そうなイメージがあるかもしれないが、むさしの山荘はめちゃくちゃフレンドリー。ほぼ飛び込みに近い取材や一見さんにも、優しく接客してくれる。

むさしの山荘 ザ・ふとん 各¥900

そして購入したのはUL系アイテムのソロ用パッド。裏面が保冷シートになり、ペットボトルを包んで持ち歩くこともできる優れモノ。

梨本「親子で公園に行くときに使いたいですね。ペットボトルを包んで持っていって、現地で飲むときはこれに座って。アソート感のあるカラバリもおもしろいです」。

2件の老舗山屋をハシゴしたところで、梨本さんから「もう一店舗、案内したいところがあるんですが……」という提案が。

甲斐「まだ山屋あるの?」

梨本「山屋もあるんでけど、行きたいのは酒屋なんです。珍しいお酒と焼酎を扱っている、老舗の酒屋があるんですよ」。

甲斐「まさかの老舗繋がり(笑)。いいよ、行こうよ」

梨本「山で飲みたいお酒も欲しいってことで(笑)」

ということで急遽、“別のお宝”を探しに、酒屋に行くことに決定。そして、むさしの山荘から目指す酒屋までの道は、歴史ある玉川上水緑道。こちらも散歩に最適のロケーション。

【SHOP3】宮田酒店

東京都三鷹市上連雀1-18-3 tel:0422-51-9314  open:11:00〜19:00(平日、土)、11:00〜18:00(日、祝) 月曜日・第3火曜日定休   miyatasaketen.co.jp/

三鷹駅から玉川上水緑道を15分ほど歩いた先にある宮田酒店は、創業1971年の老舗酒屋。全国各地の酒蔵から厳選したお酒が並び、そのこだわりのセレクトを求めて遠方から訪れる常連も多いとか。

梨本「僕は焼酎が好きなんですけど、ここでオススメしてもらう銘柄は本当にハズれがないんです。スタッフさんのお酒の説明も上手いから、話を聞くだけでも楽しいですよ」

甲斐「まず内装が洗練されているよね。いい意味で老舗っぽくないっていうか。おつまみのセレクトにもセンスを感じるよ」

尾鈴山蒸留所 OSUZU JIN ¥4290

早速、気になるお酒を選んでもらったところ、甲斐さんは国産のクラフトジンをセレクト。こちらは宮崎県の尾鈴山に麓にある酒蔵で作られた1本で、大地の香水のようなボタニカルな風味と味わいが魅力だとか。

甲斐「山が描かれたボトルのデザインもいいし、爽やかな感じがして美味しそう。山に持っていくのもいいけど、プレゼントとかお土産にもいいね」。

一方、常連の梨本さんは、スタッフさんが好みを把握しているため、今春のオススメの1本を選んでもらっていた。

國分酒造 芋焼酎 安田 ¥2838

こちらは鹿児島の老舗酒蔵が作る大人気の名酒。現代の名工として知られる、杜氏の安田宣久さんが、自身の名を付けた芋焼酎で、ソーダ割りにも合うフルーティかつ爽やかな味わいが評判。

梨本「さすがに一升瓶は山に持っていけないけど(笑)、いろんな飲み方が楽しめそうだから、キャンプに持っていきたいですね」。

もちろん購入決定。そして、なによりも一升瓶がよく似合う。

左から/御祖酒造  遊穂 花さかゆうほ  ¥1650、金光酒造 賀茂金秀(新酒生)¥1518

せっかくなので、外遊びにマッチするお酒も選んでもらうことに。そしてオススメしてくれたのが、こちらの2銘柄。

遊穂はフレッシュかつ爽やかな酸味が魅力。日本酒では珍しい肉料理にマッチするシャープな風味とのことで、バーベキューやキャンプに最適。

賀茂金秀は微炭酸で爽快感のある味わいが特徴。すっきりした後味なので、春のライトトレッキングで山頂で飲むと心地よいとか。

山屋から酒屋まで、武蔵野の老舗ショップを満喫した2人。最後は再び武蔵境駅に戻るけど、その前に宮田酒店のベンチでちょっと休憩。散歩ルートも心地よい景色が多く、春目前の多摩の風を感じることもできたのでは?

梨本「どうでした?武蔵野」

甲斐「いいよ!すごくいい! やっぱり都心より、街並みにゆとりがあるよね。散歩していて本当に気持ちよかった」

梨本「今日は天気も良かったですからね。このあたりは公園や遊歩道が充実しているのも魅力です」

甲斐「じゃあ、さっきナッシーが買った焼酎を公園で飲もうよ」

梨本「このルックスの2人が、昼から公園で一升瓶を空けてたら通報案件ですよ(笑)」

Photo/Fumihiko Ikemoto

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Masatsugu Kuwabara
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