—そのあたりも含め、デザインする上で心掛けていることは?
機能的な部分を視野に入れつつも、洋服としてのデザイン性や時代性を意識しています。昔よりも“山で使って便利でしょ”という部分だけじゃなく、世界的なファッションの流れの中で、どう見えているのかってことを考えたり。
というのも最近は海外展開が全体の1/3くらいを占めるようになっているんですよ。北米やヨーロッパからアジアまで幅広く展開してもらえるようになりました。
—具体的にどんなアイテムに反映されているんですか?
コレクションを見てもらったときに、少し抵抗感が生まれるようなアイテムですね。オーソドックスなものつくりのラインナップというのは、6年やってきてそれなりに構築してきたので。
例えば2017 F/Wシーズンでは、あえてメンズにも向けたスカートを提案してみたり。そういう、ちょっと違和感のあるアイテムを差し込んでいます。
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「槍ヶ岳の山小屋で結婚式をやらせてもらいました」。
—池内さんが山に興味を持ったキッカケはなんだったんですか?
元々は旅が好きだったんですよ。学生時代は長期休暇を利用して海外を放浪したり。いわゆるバックパッカーをやって20カ国くらい回りました。就職してからも夏休みを利用して旅をしていたけど、やっぱりハイシーズンは高いし、なかなかまとまった休みも取れなくて。そんなときに誘われたアウトドア遊びがおもしろくて、すっかりハマってしまったんです。
そもそもバックパッカーをやっていた理由は、見たことがない景色を見たかったり、知らない場所に行くのがおもしろかったからなんですよね。でも山もそういう欲求を満たしてくれたんです。標高を上げるほど違う世界が広がりますから。
—そういえばご自身の結婚式も山でやりましたよね。
そうですね。槍ヶ岳の山頂で(笑)。イラストレーターさんとの繋がりで、山小屋のオリジナルグッズを作らせてもらっていたのと、ウチの嫁が仕事の夏期休暇を利用して山小屋のお手伝いをしていたんですよ。そんな繋がりもあり、山小屋で結婚式をやらせてもらいました。
「もう少し踏み込んだところで、慈善活動的なこともやりたい」。
—今春からスタートした旗艦店、MT.はどんなショップですか?
アンドワンダーのアイテムをフルラインナップに近い状態で見てもらえるショップです。でも今後はアウトドアを始めるキッカケになるようなショップにもしていきたいと思っています。興味があるけどなにを揃えたらいいか迷う人たちに、僕たちがオススメするアイテムやギアを通して遊び方まで提案できればなと。
だから山に行くときに必要な装備は、一通り揃える予定です。そんなに広いスペースもないから、まずは自分たちが使ってみてよかったものだけを厳選するつもりです。
池内啓太( アンドワンダー/デザイナー)
1978年生まれ、神奈川県出身。2011年にアンドワンダーをスタート。プライベートでは登山とDIYを楽しみ、最近は自宅の庭にアウトドアギアを収納する自作のガレージを建築中。