東京発のアウトドアブランドとして、スタイリッシュなスタイルを提案するアンドワンダー。洗練されたデザインの機能美ウエアは、フィールドだけでなく街でも着用できるため、幅広いシーンに対応してくれる。そんなものつくりのこだわりやルーツ、今後の展開について、先日フラッグショップMT.をオープンしたばかりのアンドワンダー池内啓太さんに伺いました。
Photo/Toshiyasu Uchida Text/Masatsugu Kuwabara
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「自分たちの作りたいものは明確だったから迷いはなかった」。
—まずはアンドワンダーを立ち上げたキッカケから教えてください。
前職でアパレルの企画の仕事をしていたときにキャンプや登山のアウトドア遊びにハマったんです。26歳くらいの頃ですね。でもそこで欲しいと思えるウエアが無かったんです。
それなら自分で作れないかなと模索したのがキッカケです。それで元同僚で一緒にアウトドア遊びをしていた森と2011年に立ち上げました。
—では改めて、ブランドコンセプトを教えてください。
アウトドアウエアの機能性と街着としてのファッション性を、どう住み分けさせていくかは意識している部分ですが、それがコンセプトかといわれたらそうでもないかなと思っています。
基本はフィールドで使えるギア的要素が前提ですけど、やっぱり洋服も好きですから、そのせめぎ合いですね。ひとつはっきりと言えるのは、自分たちが欲しいと思えるアウトドアの洋服作りです。
—アウトドアブランドをインディペンデントで立ち上げて大変だったことは?
ものつくり的な部分では、自分たちの作りたいものは明確だったから迷いはなかったんですけど、素材の調達に関しては苦労しました。アウトドアのウエアは特殊な素材を使うことが多いけど、そういう素材は注文のロットが大きくて簡単に買えなかったり。
それと前職では企画やデザインはやってきたけど、売ることに関してはノータッチだったから、そこはイチから勉強でした。自分たちが作ったアイテムの売り上げを、数字として見ることはあっても、実際にそこでなにが起きているのかはわかっていなかったので。作ったのはいいけど、どうやって売ればいいんだろうってところからスタートしました。
「あえて、ちょっと違和感のあるアイテムを差し込んでいます」。
—アウトドアの機能性をファッションに落とし込む際に意識していることは?
感覚で作っている部分が大きいから、言葉にすると難しいですね。でも色に対するこだわりは大きいです。シーズン毎にニュアンスが異なる中間色を使ってみたり、春夏に少し元気な差し色を入れてみたり。
アウトドアショップに並ぶウエアの色使いではなく、ファッションブランドが打ち出す色のストーリー作りに感覚が近いんじゃないかなと思ったりします。
—リフレクターの使い方も他のアウトドアブランドにはない特徴かなと。
リフレクターは僕たちのブランドのアイコン的な意味合いも含めてよく使っていますけど、実際のところフィールドよりも街のほうがパフォーマンスを発揮しますよね。夜間に周囲から視認してもらう機能なので。そう考えるとリフレクターにこれだけ一生懸命に取り組んでいることは、やっぱり山と街の両方を向いた機能を考えているのかもしれません。
池内啓太( アンドワンダー/デザイナー)
1978年生まれ、神奈川県出身。2011年にアンドワンダーをスタート。プライベートでは登山とDIYを楽しみ、最近は自宅の庭にアウトドアギアを収納する自作のガレージを建築中。