雨の日も遊び倒せる、コスパ最強のレインウエアって何だろう?

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どんな季節でも、雨が降るとちょっと憂鬱で外出がおっくうになる。雨だからやめておこう、そんなキブンになってしまうものだけど、やっぱり休日を棒に振るのはもったいない。

そんな時、信頼の置けるレインウエア(雨具)をひとつ持っておくと、心に余裕が生まれる。というか、雨なのにちょっとした優越感に浸れる、まである。

じゃあどんなのがいいの?という話になるのだが、ひとことにレインウエアといっても、とんでもなく種類があるし、一時の雨をしのぐだけなら撥水さえしてくれればそう大差ないわけで。

ただし、長時間雨に打たれるような環境だったり、中が蒸れるほどの動きを伴う場合、ウエアの性能は大きく影響する。いかに快適に、ラクに、雨や風を防ぎつつ遊ぶかってことを考えると、そういうところも重要になってくる。

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ゴアテックス一着持っていれば大丈夫!?

レインウエアを語る上で重要なのが「防水透湿性」。かいつまんで言うと、長時間かつ相当量の雨風を防ぎ、ウエア内の湿気を逃がすことができる素材が良いとされていて、その代表格と言える素材がかの有名なGORE-TEX(ゴアテックス)だ。

紛れもなく世界的なトップブランドだし、アウトドア熟練者ほどやっぱりゴアじゃなきゃ!と言う人も多く、各メーカーの最高峰モデルのほとんどがゴアテックス・マテリアルを使っていることからも、当然間違いないものだ。

ただ、やっぱり値段が張る……。レインジャケットで5万円を超えてくると、物価高の昨今はちょっと手を出しにくいという人も多いだろう。

だったら、ゴアテックスほどじゃなくても、同じくらい質が高くて、リーズナブルなものはないか、と考えてみたとき、ひとつの答えに行き着いた。

雨風を防ぐなら、釣り用が最強(なのでは?)

また別軸での話になるが、ゴアテックスなどの防水透湿素材を使ったアウトドア向けのウエアといっても、登山、スノー、釣りなど多種多様。それぞれのアクティビティでの体の動きや環境に対応したウエアが発売されているわけで、使用シーンによって一概にどれがいいとは言えない。

ただ、こと「雨風を防ぐ」という意味では、釣り用が最強だとボクは思う(編集部Sの個人の感想です)。

もちろん、釣りに限定してもまた色んな釣りがあるのだが、基本的には立ち止まってアクションするし、クーラーBOXにじっと座って待つ釣りもあれば、ボートの上で立ったり座ったりを繰り返すこともある。同じ体勢をとることが多ければ、それだけ局所的な防水・耐水性が必要となるし、遮蔽物がない海などでは吹きさらしの雨風はもちろん、潮(波)を浴びてしまうことだってある。

そういった過酷な状況で快適に釣りをするために作られたウエアは、素材うんぬんよりも先に、雨を防御するためのディテールに秀でているというのが、釣り最強説を唱える理由だ。

たとえば、職人気質なモノ作りで多くのアングラーから支持されるSHIMANO(シマノ)のウエアを例に見てみよう。

登山用にはない、釣り用ならではの特筆すべき防水機能!

ここで紹介するのは、見た目的には非常にシンプルなレインウエア。でもよーく見たり触ったりしていくと、これは!というポイントが数多く出てくる。冒頭で触れた、雨でもちょっとした優越感に浸れるという所以をここから説明していきます。

コスパ最強! 通年使えて動けるレイン。

左/アングラーズシェル ジャケット01 ¥29700 右/アングラーズシェル パンツ01 ¥19800

シマノのレインシリーズも同様に、ハイエンドモデルにはゴアテックスを採用しているのだが、こちらはシマノ独自の防水透湿基準「DRYSHIELD+(ドライシールド プラス)」をクリアした3層ストレッチ採用のレインウエア。ゴアに比べればぶっちゃけ廉価版なのだが、春夏は蒸れにくく快適に、冬にはミドラーを仕込んで通年着回せる、“超”コストパフォーマンスに優れた逸品だと思う。

各ジッパーは当然のように止水式。フロントポケットはライフジャケットに干渉しにくい位置(通常より外側で高め)にセット。意外とリュックとも相性が良さそう。
ドライシールド+の3層生地は、高い防水透湿性を持ちながらストレッチ性もあるので動きやすい。これはゴアテックスにはない特筆ポイントと言える。
後ろ身頃が少し長めに作られており、屈んだり立ったりする動きの際に背中が露出しにくい。裾のドローコードが通る部分は、表生地を折り返さず別生地を使ってシームされているのも防水性を高める作り込み。
たとえばフードひとつとっても、雨の侵入を防ぐ工夫が。ツバ部分には形を保つ芯が入っており、効率よく雨が流れ落ちるようになっている。
レインパンツのフロント部分はジップとベルクロ式比翼の二重構造。それだけでなく比翼部は折返し構造となっており、徹底的に水の侵入を防ぐデザインに。
防水性とはまた別の観点だが、ベルト部分の幅広シャーリングも必見のディテール。ズレ落ちにくくソフトにホールドしてくれるので船酔い対策にも効果的だそう。

冬キャンプでも活躍必至! 中綿入りのあったかレイン。

左/インサレーション レインジャケット ¥30800 右/インサレーション レインパンツ ¥22000

表生地にドライシールド+の2層ストレッチ生地を採用しながら、寒さを感じやすい部分を中心に化繊インサレーションをたっぷり封入。蒸れにくく、動きやすく、暖かい、厳冬期まで活躍するレインウエアとして人気のモデルだ。

袖口からの雨風の侵入をシャットアウトする二重構造。クロロプレンにジャージ素材を組み合わせた内袖口は、内面がスキンになっており雨水が染み込みにくい。外袖のベルクロをしっかり締めることでより防水・防寒効果が発揮される仕組み。
裾部分の生地が切り替えられており(グレー部)、裾からの水の染み込みをカット。ブラックの裏地には蓄熱効果のあるカーボン糸を採用して保温性をアップ。
こちらのパンツもフロントファスナーは比翼との二重構造。もっとも水の侵入を受けやすい部分にガゼットが設けられており、座った状態で雨が溜まっても受け流してくれるらしい。
防水性とは関係ないが、腰部分にカイロを入れられるポケットまで。こういう気の利いたディテールは釣り用ならではだが、これなら冬キャンプ等のオーバーパンツとしても活躍しそう。

「ゴアテックス」と「ドライシールド+」、どう違う?

上記2モデルを紹介するにあたってサラっと流してしまったが、そもそもシマノが独自に設定する防水透湿基準「DRYSHIELD+(ドライシールド プラス)」って、どれくらいのものなのさってお話に立ち返ってみよう。

シマノによると、ドライシールド+のモデルとゴアテックス採用モデルと比べた場合、透湿性も耐水圧もゴアテックスの方が数値的には上ではあるが、「釣りが行える状況」での耐水圧にはほぼ差はないとのこと。

基準値など詳細については残念ながら触れられないが、釣りが行える状況というところがミソ。そもそも、暴風雨のなかでは釣りをはじめとする外遊びは行わないわけで、大雨くらいを想定した耐水性と透湿性の両立を実現するために、厳しい独自の試験を設けているそうだ。

最高峰か、コスパ最強か。お財布と相談だ!

「防水ウエアならゴアテックスでしょ?」は、ある意味正しい。シマノのレインウエアをとっても、ハイエンドモデルに関しては、耐久性や信頼性の面でゴアテックスの胸を借りている部分があるのだから。

ただし、ミドルクラス以下のウエアに関しても一切妥協は見られない様子。最終的には価格面とのバランスというだけで、コストをできるだけ抑えながら、釣りという特殊な環境で使い込めるウエア作りをモットーに自ら厳しい基準を設けてテストしていると言うし、そんなウエアがゴアテックス採用モデルの半額程度で手に入るのであれば、選ばない手はないんじゃないか、というのがボクの結論だ。

最後に、取材中シマノの開発担当者から目からウロコな話が聞けたので、ちょっとシェアしておきたい。

「使い終わった後、そのままクルマのトランクなどに常備しておくのはウエアにとっては最悪で、劣化がかなり早まります。高温多湿での保管は避け、毎回洗うということがレインウエアを長持ちさせる秘訣です。もちろんゴアテックスのウエアも同じですよ!」

いくら高価で性能のいいレインウエアを持っていても、耐水性能が劣化したら同じ。雨の日も快適に遊びたいなら、日頃のメンテナンスも大事ということでした。

アナタは、レインウエア洗ってますか? ボクは1シーズンに1度くらいしか……。


(問)シマノ https://fish.shimano.com/ja-JP



Photo/Takuma Utoo(Item)、Shimano(Image)

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GO OUT編集部
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