マツダのPHEV「CX-60」が先行受注スタート! スカイアクティブ搭載のディーゼル&ガソリン車を展開。

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FRプラットフォーム、6気筒エンジン、PHEV、8AT、すべてが新しい

先行予約を6月24日(金)から開始

2022年の初秋登場予定とアナウンスされているマツダ・CX-60。日本向けのラージ商品群第1弾として、注目している方も多いのではないでしょうか。6月24日(金)より先行受注が開始されます。

「XD-HYBRID Premium Sports」のエクステリア(ソウルレッドクリスタルメタリック)。

まず注目の価格ですが、エントリーモデルとなる直列4気筒2.5Lガソリンの「SKYACTIV-G 2.5」が299万2000円〜407万円。排気量アップが図られた3.3L直列6気筒ディーゼルの「SKYACTIV-D 3.3」が323万9500円〜465万8500円。

6気筒ディーゼルエンジンに加えて、モーターを組み合わせる48Vマイルドハイブリッドの「e-SKYACTIV-D M Hybrid Boost」が505万4500円〜547万2500円。4気筒ガソリンとモーターのプラグインハイブリッドの「e-SKYACTIV PHEV」が539万円〜626万4500円。

ラインアップの考え方は、通常モデルのシリーズとプレミアムシリーズにおおきくわけられており、プレミアムにはModernとSportsの2つの方向性へと分けられています。このプレミアム系の2タイプは単純な理解ではラグジュアリー志向とスポーツ志向ですが、同じ価格に設定されています。

通常モデルシリーズにはエンジンがディーゼルとガソリン、駆動方式が4WDと2WDがそれぞれ組み合わされます。プレミアムシリーズは4気筒ガソリン+PHEV、または6気筒ディーゼル+マイルドハイブリッドのパワーユニットに、すべて4WDが組み合わされます。

「XD-HYBRID Premium Modern」のリヤビュー。ボディカラーは「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」。

トランスミッションは、全車に新開発の8速ATが組み合わされます。

300万円を切る価格は、トヨタ・ハリアーのエントリー価格とほぼ同じです。高級志向とはいえ、若いユーザーにも乗って欲しいという狙いもうかがえます。ちなみに、CX-5も今後も販売されるそうです。

1.9mに迫る全幅による取り回しはどうなる?

縦置きの直列6気筒エンジン(4気筒も設定)に、FRをベースとするCX-60。ボディサイズは、全長4740×全幅1890×全高1685mm。現行CX-5の全長4575×全幅1845×全高1690mmよりもCX-60の方が165mm長く、45mmワイドで、全高は5mm低くなっています。

ボリューム感のあるフロントマスクが目を惹く。写真は「XD-HYBRID Premium Modern」。

近年のマツダを大黒柱として支えてきた現行CX-5を併売しながら、CX-60はCX-5からのステップアップを図るユーザー、より上級志向のニーズを取り込むのが狙いです。ライバルは、ボディサイズ(車格)的には、BMW X3をはじめ、メルセデス・ベンツGLC、アウディQ5、ポルシェ・マカン、ジャガーF-PACEなどが近くなっています。

ロングノーズと後退したキャビンにより重心が後ろ側担った印象を受ける。

また、全長4740mmはトヨタ・ハリアーと同値ながらもCX-60の方が35mmもワイドになっています。

CX-60の主査を務める和田宣之氏によると、明確なベンチマークは設定せず(もちろん、BMWなどの後輪駆動ベースのSUVなどは見たそう)、走る喜び、運転する楽しさを追求すべく、初代ロードスターに改めて乗ったり、こだわったというエンジンサウンドの作り込みでは、アストンマーティンも参考にしたそうです。

ディメンションで筆者が気になったのは、ワイドな全幅。CX-60の1890mmという全幅は、1885mmのトヨタ・ランドクルーザー プラドを超えます。現行プラドは、現行ランドクルーザー(300系)よりもひと回り以上小さいとはいえ、狭い街中では取り回しにそれなりに気を使います。

「XD-HYBRID Premium Sports」のリヤビュー。

主査の和田宣之氏にその点を伺うと、ドアミラー間のサイズ(ミラーtoミラー)を抑え、FRベースの利点を活かし、最小回転半径をCX-5の5.5mからCX-60では、5.4mへと小さくするなど、取り回しにも配慮したとしています。なお、先述したプラドの最小回転半径は、5.8mあります。

加えて、CX-60は狭い場所でも周囲の状況を把握しやすい「360°ビュー・モニター」に加えて、「シースルービュー」も採用されるなど、カメラ映像のアップデートも盛り込まれています。 もちろん、狭い道でのすれ違いや駐車場事情によっては、支障が出るケースもあるでしょう。それでも、ある程度のニーズは拾えるという判断のようです。

大排気量化でトルク向上と燃費、エミッションの改善が図られた3.3L直列6気筒ディーゼル

ここからは、パワートレーンを中心にシャーシなどの概要をお届けします。日本向けでは、新世代ラージ商品群第1弾となるCX-60は、プラットフォームからパワートレーンまで新開発のオンパレード。

3.3Lに排気量アップが図られた直列6気筒ディーゼル。

プラットフォームは、エンジン縦置きの高出力パワーユニットに対応すべく、新開発の「SKYACTIV マルチソリューション スケーラブルアーキテクチャー」が採用されています。サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リヤがフルマルチリンクで、前後作動軸を揃えることで、上下動(バウンス)を抑え、しなやかな足の動きを可能としたそう。

さらに、マイナーチェンジ版のロードスターに採用された「KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール )」も備わり、高速コーナリング時の旋回姿勢の安定化が図られています。

新型CX-60のインパネ。ワイドなセンターコンソールが目を惹く。

CX-60のリヤサスペンションは、制動時に車体を引き下げるアンチリフト力が発生する構造になっているそうで、「KPC」はこの特性を活かし、ハードなコーナリング時にリヤの内輪をごくわずかに制動させることで、ロールを抑制することができます。

パワーユニットでまず注目は、大排気量化された3.3リッターの直列6気筒ディーゼル。マツダだけでなく、BMWやメルセデス・ベンツなどのSUVにおいては、日本ではディーゼルエンジン搭載の人気が高く、CX-60でも売れ筋になるはず。CX-60は3.3リッターという排気量の拡大によりトルクをアップさせるとともに、燃費向上とエミッションの低減に活用するのを狙いとしています。

従来型の4気筒ディーゼルエンジンは、総排気量が2.2リッターなので、3.3リッターというと1.5倍になっているわけです。が、気筒数もちょうど1.5倍の6気筒というのはどちらかといえば結果的にそうなったそうです。その排気量アップを何に使ったかと言うと、半分を上級車にすべく動力性能としてのトルクアップ、半分は燃費の向上とエミッションへの対応だといいます。

1.5倍の排気量、気筒数にした結果は。トルクは24%アップ(排気量1.5倍ながら1.24倍「しか」アップさせてない)、燃費は全トルク域において向上(従来型2.2Lエンジン比8%アップ)し、高トルク領域でもNOx(窒素酸化物)を低減。これらを実現するためには、もちろん大排気量化しただけでなく、それによるEGRの増加、2段エッグ(卵型)燃焼、多段燃焼噴射によりDCPCI燃焼を実現しています。

DCPCI燃焼とは、Distribution Controlled-PartiallyPremixed Compression Ignitionの略で、日本語では「空間制御予混合燃焼」とのこと。ざっくりいうと、燃焼は上死点付近に集中して行いたいが、そうするには何回かにわけて噴射するときの最初の燃焼が邪魔をしてします。これをコントロールするためにピストン形状を2段エッグにしたり、多段階のタイミングや回数を制御して、効率よく、クリーンな燃焼を全域で実現しているわけです。

センターコンソールにシフトレバー、マツダコネクトのコントローラーを用意。

また、最上級仕様に位置づけられる、2.5L直列4気筒ガソリンとモーターのプラグインハイブリッドの「e-SKYACTIV PHEV」は、日常使いをEV走行でまかない、モーターアシストにより大トルク、高出力化を実現。バッテリー容量は17.8kWで、日本仕様の航続距離などは、認証前で未定となっています。なお、普通充電(220-240V)の場合、4時間で0%から満充電まで完了。

急速充電(チャデモ規格)は、20%から80%まで約25分で完了(バッテリー残量や外気温などにより異なる)。そのほか、車両から家電などに給電できる機能(V2L)や車両の電池を家の電力として使える「V2H」にも対応しています。

新型CX-60のシート。ワイドで掛け心地は上々だ。

パワートレーンの注目は数多くありますが、中でも6速ATから8速ATに多段化されたトルコンレス8速ATも気になります。

デュアルクラッチトランスミッションのDCT、一般的にカタログ燃費に有利といわれるCVTのメリット、デメリットを精査しつつ、DCTは低速域を中心としたギクシャク感、CVTはいわゆるラバーバンドフィールを嫌い、トルコンレス8速ATを開発したそうです。トルクコンバーターをクラッチに置き換えることで、ダイレクト感を実現したとしています。

CX-60のラゲッジ(トノボードを外した通常時)。

さらに、トルコンレス化によりトンネルスペースの縮小を可能にすることで、ペダルレイアウトのさらなる改善などにも寄与しています。

●ボディサイズ:全長4740×全幅1890×全高1685mm

●価格帯:299万2000円〜626万4500円

(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)

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GO OUT編集部
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